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営業の外回りや経理・総務の方が各手続きを行うために外出する際は、社用車が欠かせません。
それぞれが自家用車で業務を行うとトラブルがあった場合に会社が費用をうまく負担できなかったり、従業員との間でトラブルが発生したりします。
そのため、会社で車が必要な場合は、購入やリース契約での手配が必要です。
この記事では、中古車リースで社用車を契約する際に知っておきたい注意点や計上方法について紹介します。複雑な手続きに見えますが、一つずつ確認していくと理解を深められるでしょう。
中古車リースは購入や新車リースよりお得
会社規模で車を保有する場合は十台〜数十台の規模で契約が必要です。社用車を一台一台購入し、税金や車検、メンテナンス処理を行うと、とてつもない労力がかかったり、ミスが発生したりするためリースを検討しましょう。
特に中古車リースであれば、新車リースよりも費用をおさえて契約可能です。
リース契約の帳簿における処理は購入よりも手間を省けますが、減価償却や耐用年数に注意が必要です。リース車の正しい計上方法を確認して経費をお得におさえましょう。
リースと購入の違い
ここからはまず、リース車と購入した車における違いを2つ紹介します。
大前提として、カーリースはサービスを提供する会社から「使用者」として月額料金を支払いながら車を借りる仕組みです。
そのため、所有権の観点から自家用車との違いを明確にしましょう。
車を自社で購入する場合、車検証に書かれた所有者は法人名や代表の名前です。
しかし、カーリースの場合は所有者がリース会社で使用者が自社の扱いです。そのため、会社の資産ではなく借り物として扱いましょう。
なお、リースだからといって契約満了を迎えたら必ず返却するわけではありません。プランによっては期間終了後に車を所有できるケースもあります。
リース契約の期間満了後に車を返却するものは「所有権移転外リース」、期間満了後に車をもらえるものは「所有権移転リース」と呼ばれています。
中古車リースの場合は、新車と比較するとどうしても乗れる期間は短い傾向にありますが、それでもなお満了後に車を保有できる点は魅力的です。
リースと購入は経理面でも違いがあります。
車を借りたり保有したりする際は、帳簿において計上が欠かせません。どれくらいの経費を何に使ったかを記載して財政状況を明らかにします。
この計上においてリースは、一年間の費用(月額料金×12ヶ月)を一括計上するだけのため、作業が明確です。
一方、中古車や新車を購入する場合は、減価償却を考えたうえで計上が求められるため、作業が煩雑になるでしょう。
リースと購入にかかる費用を比較
ここからは、リース契約と購入においてどれくらい費用に差があるかを考察します。
はじめに、リース契約における年間の必要費用は下記のとおりです。
- 月額利用料
- 任意保険料
- ガソリン代
- 駐車場代
リース車の月額料金には、車両代や自動車税、自賠責保険料や車検代などの維持費が含まれています。そのため、年度頭に発生する自動車税の支払いや車検時の支払いが別途発生しません。
月額料金以外にかかる費用としては任意保険料です。万が一に人を保証する自賠責保険は強制加入のためリース料金に含まれますが、対物や自損事故などに対応する任意保険は各自で加入が必要です。
一方、自社で車を購入する場合は下記の必要経費が発生します。
- 車両代
- 自動車税
- 自賠責保険料
- 任意保険料
- 車検代
- 各種メンテナンス費用
- ガソリン代
- 駐車場代
自社で車を購入する場合は、様々な手続きや費用が発生します。特に車検においては、複数台を保有しているとスケジュールや費用の計画が難しいため、リースを選択すると効率化できるでしょう。
中古車の法定耐用年数について
中古車リースと比較される機会が多い方法として、中古車の購入が挙げられます。
中古車の場合は社用車を新車にするよりも費用をおさえられるため、初期費用を少しでも減らしたい会社に適しています。
しかし、中古車の費用を計上する場合は、法定耐用年数への配慮が必要です。
法定耐用年数は、購入した中古車が資産として使用できる期間を指します。具体的には国税庁が定めている固定資産の法定耐用年数を用いて計算します。
新車においては軽自動車の耐用年数は4年、普通自動車の耐用年数は6年です。中古車に関しては、以下の計算式をあてはめて算出しましょう。
中古車の耐用年数の計算式は、以下になります。
次は具体的な数値を元に確認していきましょう。
例えば、3年落ちの普通自動車を社用車にする場合、上記の計算式に当てはめると下記のとおりです。
なお、1年未満の端数は切り捨てのため、耐用年数は3年となります。
中古車を購入する場合、耐用年数を超えたものを選ぶ可能性があります。軽自動の場合は4年以上経過したもの、普通車の場合は6年以上経過したものです。
例えば、8年落ちの中古車を購入する場合は、下記の計算式を想像するでしょう。
しかし、耐用年数においてマイナスが発生することは、まずありません。また、経過年数が法定耐用年数を越える場合は、2年との定めもあります。
資産は帳簿上ではだんだんと価値が落ちていき、やがては価値がなくなります。しかし、価値がなくなったからといって車を使えないわけではありません。
帳簿上では後述する減価償却が終わって完結しているため、新たな計上は発生しない状態です。しかし、車を使用する限り各種税金が発生します。
なお、中古車の場合は計算式に則って自身で耐用年数を計算します。計算式は(法定耐用年数−経過年数)+(経過年数×0.2)で算出可能です。
減価償却でリース代を計上する方法
ここからは、減価償却の必要があるリース車について、計上方法を解説します。
なお、リースは基本的に「借り物」の扱いであることから減価償却ができません。例外として、リース終了後に車をもらえるプランで「所有権移転」をする場合のみ可能です。
減価償却が必要なパターンでは、先程算出した耐用年数を用いて計算します。基本的には「リース期間定額法」で算出し、耐用年数が超えているか否かが判断基準です。
具体的な数値をもとに理解を深めましょう。
車の減価償却には下記3つの方法があります。
- 定額法
- 定率法
- リース期間定額法
1つ目の定額法は、取得した車(資産)の法定耐用年数の期間内において、均等に減価償却費を計上していく方法を指します。
2つ目の定率法は、取得した車の未償却残高(購入金額の中でまだ減価償却費として計上していない部分)に一定の償却率を乗じて、減価償却費を計上する方法です。
3つ目のリース期間定額法は、カーリースにおいて利用されます。計算式は以下の通りです。
なお、リースにおいて契約期間が1年未満の場合や、リース料金の総額が300万円以下の場合は、減価償却の対象にはなりません。
該当しない場合は、1年間にかかったリース費用を一括で事業年度の経費として計上しましょう。
ここまで、中古車とリース車の計上方法を確認してきました。
リースでは期間満了とともに返却する場合、減価償却が不要だったり、300万円以下の支払いの場合は年度に一括で計上したりするため、帳簿上での取り扱いが容易です。
減価償却が発生すると計算が難しく、ミスが発生しやすいため極力手間を省きたいと感じます。
また、中古車を購入すると、あとになって売却で価値が思ったようにつかない場合や、状態が悪く予想よりも早く手放さなければいけない可能性もあります。
リースの場合は、料金にメンテナンスが含まれるため、中古車の観点から比較するのであれば購入するよりもおすすめです。
社用車に中古車リースが選ばれる理由
リースは経理上の手続きが容易です。そのため、個人事業主や小さな会社で経理に人員を割けない場合や、簡単に処理を行いたい場合に適しています。
リースの費用はよほどのことがない限り、毎年の経費の中で一括計上します。そのため、複雑な減価償却の計算が不要な点はメリットとして挙げられるでしょう。
減価償却の計算は知識と経験が必要です。各自治体の税務署でサポートを受け、それでも難しい場合は税理士のサポート受ける必要があります。
しかし、リースの場合は煩わしい仕訳が少なく済むため、小さな会社におすすめです。
リース車をよりお得に活用するポイントは3つ
ここからは、中古車リースをよりお得に活用するポイントを解説します。
月額料金だけでなく、諸費用を経費に計上したり減価償却が必要ない範囲内で使用したりがおすすめです。
もしも年数の把握や仕組みが難しいと感じた場合は、リース会社や会社の税理士に確認しましょう。
リースは月額料金に様々な費用が含まれますが、ガソリン代と駐車場代金は別で発生します。
会社に駐車スペースを持っている場合は問題ありませんが、別途駐車場を借りる場合は予算に含みましょう。
なお、月々のガソリン代も別途必要です。ガソリン代は使用頻度によって大きく異なるため、まずどれくらの費用がかかるかを想定して予算組みを行いましょう。
リース車はお得ですが、会社で使用する場合はガソリン代の想定が悩みどころです。契約前にどれくらいの費用がかかるか算出が求められます。
参考までに、ガソリン代を計上する際に下記のような勘定科目を使用します。
- 車両費
- 旅費交通費
- 燃料費
- 消耗品費
厳密に決められていませんが、自社内でわかりやすい勘定科目を使いましょう。
社用車は会社だけで使用するのがおすすめです。
小さな会社では、社用車とマイカーを兼ねて購入やリース契約するケースが見られます。しかし、社用車としてだけでなくマイカーとしても利用する場合は、利用状況に応じて経費の割合が減ってしまいます。
例えば、社用車・マイカーにおける利用頻度が「50:50」の場合は、経費として認められる費用も半分です。全額計上は認められないため、個人での支払いが発生します。
なお、中古車の購入においても同様です。減価償却の費用が半分になるため、計算が難しくかつ経費としての恩恵を受けにくくなるでしょう。
カーリースを契約する場合は、減価償却が発生しない範囲で活用しましょう。
例えば、数ヶ月だけ社員が隣県に研修にいくために社用車が必要な場合は、1年未満のプランを選ぶと減価償却の対象外になり、該当年の一括計上のみで済みます。
また、リースの総額を300万円以内におさめた場合も、一括計上に該当するため減価償却の必要がありません。
なお、一括計上の場合は「賃借料」の科目を用いて仕訳を行います。期間や金額を範囲内におさめると上手に車を使えます。
社用車にリースを使う際の注意点
ここからは、社用車をリース契約する場合に知っておきたい注意点を紹介します。
カーリースは会社個人問わず契約前に審査があるため、会社の経営状態によっては難しい可能性があります。
また、契約年数が長い場合は、途中解約や違約金についてもリスク管理が求められるでしょう。
契約を検討する場合は、社内で使用年数やキャッシュフローの確認が欠かせません。
カーリースは契約前に審査があります。月額料金を支払う能力があるか確認され、具体的には下記の項目をチェックされるケースが多いでしょう。
- 経営状況や事業年数
- 事業内容
- 債務の残高
- 債務整理の履歴
これらの項目は法人であっても個人事業主であっても共通して確認される事柄です。
個人の場合は、クレジットカードの支払状況(滞納の有無)やローンの有無についても確認される可能性があります。
また、会社設立から間もない場合は、財務状況が判断できず複数台の契約が難しかったり、審査がおりなかったりする可能性もあります。
審査には様々な書類が必要で労力がかかるため、審査に通過するか不明な場合は、事前にリース会社に現状を説明して展望を確認することがおすすめです。
カーリースは原則として途中解約ができません。
リース契約は、契約期間内でリース会社が費用を回収でき、かつ利用者にとって最もお得な料金が設定されています。
もしも途中解約を許してしまえば、リース会社が不利益を被ったり既存のお客様に対して満足の行くサービスを提供できなくなったりします。
そのため、カーリースの途中契約はできないと理解しましょう。
なお、やむを得ない事情で契約を解除する場合は、違約金が発生します。残りの期間にもよりますが、金額は1台辺り十数万円〜100万円程度になる可能性もあるでしょう。
また、違約金の支払いは一括で請求されるケースがほとんどのため、まとまった金額の用意も欠かせません。
契約通りに活用すれば、お得に乗れる点がメリットのカーリースですが、途中解約はかえって出費がかさむため、契約期間の正確な設定が大切です。
カーリースの特徴として、中古車・新車問わず、走行距離に制限を設けている点が挙げられます。
リース契約中の走行距離が多くなると、相対的に車の価値が下がります。
具体的な走行距離は、リース会社やプランによって異なりますが、1ヶ月あたり1,000km〜2,000kmが相場です。
契約満了時に走行距離制限を超えている場合は、1kmごとに数円〜十数円の超過料金がかかるため、事前に意識しましょう。
特に、長距離走行が多い業界や業種は、月当たりの走行距離を確認してからの契約がおすすめです。具体的には、物流で商品の輸送や顧客への配達が多い場合や、毎日隣県の営業所まで行く用事がある仕事の場合などは走行距離の概算を出しましょう。
なお、リース会社やプランによっては走行距離に制限がないものもあります。ただし、月額費用がやや高くなるので注意してください。
まとめ
カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。