自動車税は毎年納税する必要があり、納めなければ催促されたり資産を差し押さえされたりとリスクがつきまといます。しかし、普段自動車に乗らず滞納期間が長くなるとどのように対処していいか分からなくなることもあるでしょう。

この記事では、自動車税を滞納した場合のリスクや滞納の結果、乗れなくなってしまった車の扱いについて紹介します。

現在あまり乗らず年式が経ってしまった車を持っている場合は、自動車税の滞納をせず廃車を検討しましょう。

自動車税を滞納している期間によっては廃車することができる

自動車税を滞納している期間によっては廃車することができる
結論として、自動車税を滞納していても期間によっては廃車手続きを行える場合があります。

自動車税を滞納してしまう理由には、大きく分けて2つのケースが考えらます。

  • 車にそもそも乗らず放置してしまっているケース
  • 支払う資金に余裕がなくやむを得ず払っていないケース

自動車を所有していても、普段は公共交通機関を使っている場合、車に対してどうしても無頓着になってしまい「納税を忘れていた」ということもあるでしょう。

また、仕事が多忙な場合、納税書や督促状に気づかず「気がついたら大きなトラブルに発展していた」という可能性も挙げられます。

自動車税の支払いは1万円から5万円など非常に高額なため「支払いに余裕がない」という可能性もあります。

特に、排気量が大きい車においては自動車税が5万円を超えることもあり、毎月の生活でゆとりがないと滞納してしまうこともあるでしょう。

なお、「自動車税を10年滞納したら…」といった文言が時折Web上で見られますが、自動車税を10年も未納というのは現実的ではありません。10年が経過する前に資産の差し押さえが行われ車を手放すことになるでしょう。

自動車税が未納でも廃車できる期間について

自動車税が未納でも廃車できる期間について
車を維持する能力がないと分かり「車を手放したい」と考えても、「納税していなければそもそも車を手放すことが不可能なのでは?」と悩む方もいるでしょう。

結論として、自動車税が未納でも期間が短ければ廃車できる可能性があります。具体的な期間は1年未満が基準です。

ここでは、自動車税が未納で廃車できる期間について解説します。

自動車税は毎年4月1日時点がポイント

自動車税を未納の状態で廃車手続きを行う際、ポイントとなる日は4月1日です。

自動車税は毎年4月1日時点で車を所有している方に納税書が送付されます。そのため、自動車税が未納な場合は3月までに廃車手続きを完了させましょう。

1年分の未納であれば廃車できる

自動車税を1年未満の期間納税していない場合、廃車できる可能性が高いでしょう。しかし、1年が経過すると自動車税において未納分の納付書が送付されたり、督促状が納付されたりと手続きが必要になります。

第一前提として、自動車税の滞納は行わないことを徹底しながらも、タイムリミットまでに「廃車にするか」「自動車税を支払うか」の判断を行いましょう。

自動車税が10年未納だとどうなる?

自動車税の10年の未納は認められません。そもそも10年が経過すると車が差し押さえられ、自分の手元に車がない状態になります。そのため、自分で廃車や納税の手続きを行えない状態になるでしょう。

2年以上たつと廃車にできない

一般的に自動車税の未納状態が2年を超えると「嘱託保存」という状態になり、車が差し押さえを受けます。

嘱託保存になると未納分の自動車税を全て支払うまで車が運輸局に差し押さえられ、所有権を移したり自由に手続きができなくなります。

なお、自分の車が未納状態で嘱託保存になっているか否かは「登録事項証明書」において確認が可能です。

登録事項説明書は、普通自動車の場合は運輸支局、軽自動車の場合は自動車検査登録事務所の窓口にて請求可能です。未納状態で自分の車がどうなっているか知りたい場合は確認しましょう。

車検に通っていないため乗れない

そもそも2年以上車の自動車税を支払っていない場合、車検に通過していない可能性が高いでしょう。

一般的に車検は2年に一度実施されます。(新車の場合は3年に一度)そのため、2年以上自動車税が未納状態の場合、車検通過に必要な「納税証明書」の発行がされておらず、公道を走ることができません。

車検の通っていない車で公道を走行すると罰せられるため、やはり自動車税の支払いが必要です。

車検に通っていない車に乗るとどうなりますか?
車検切れの車を行動で走らせた場合、道路運送車両法違反で下記の罰則が課せられます。
・6点の違反点加算
・30日間の運転免許停止
・6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
実際に各都道府県で無車検運行する車の取り締まりも行われています。

【まだ間に合う!】未納分の自動車税を納める方法

【まだ間に合う!】未納分の自動車税を納める方法
「今年の自動車税を滞納してしまっている…」と悩んでいる方に向けて、ここでは未納の自動車税を納める方法を紹介します。

自動車税は納税を行わないと最終的に財産の差し押さえに発展します。しかし、気づいた時点ですぐに対処することで最悪のケースを避けられるでしょう。

自動車税事務所に連絡する

「自動車税を支払おう」と考えた場合、まずは自治体の自動車税事務所に連絡し指示を仰ぎましょう。

自動車税事務所は各県に問い合わせ窓口があり、県によっては何箇所も設置されています。自分の所有する車のナンバーの管轄を国土交通省の公式サイトから確認し、問い合わせを行いましょう。

なお、軽自動車税の場合はお住まいの市町村区の税務課に相談します。所定の期間に相談すると場合によっては分割払いなど提案を受けられる可能性があります。

未納のまま放置するのではなく、まずは相談してみましょう。

手元に納税書がある場合は支払える可能性もある

手元に納税書があって期限を過ぎている場合は、その書類を持って一度納税を行いましょう。タイミングによっては納税できる可能性があります。

しかし、納付書の期限が切れており支払いもできなくなっている場合は納付書の再発行や窓口での納付が必要になります。

なお、納付期限から一定の期間を超えると督促状が送られてきます。督促状には納付書があわせて添付されているため、そちらを使用して自動車税を支払う方法もあります。

廃車手続きの基本を紹介

廃車手続きの基本を紹介
ここからは、廃車手続きについて紹介していきます。

自動車税が1年未満であれば廃車手続きを行えますが、手続きには「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2つがあるため自分に適した選択が欠かせません。

一時抹消登録

一時抹消登録は車の登録を一時的に解除し、公道を走れなくする手続きです。例えば、今資金にゆとりがなく税金の発生だけを抑えたい場合に適しています。

一時抹消登録では車は手元に残るものの、公道で走らせることはできません。そのため、自宅や駐車場などで保管するだけの状態になるでしょう。

一時抹消登録の手続きに必要な書類は下記の通りです。

  • 自動車検査証(車検証)
  • ナンバープレート2枚
  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 印鑑証明書の印鑑
  • 申請手数料
  • 申請書(手続きの際に取得可能)

所有者や使用者の条件によっては他に書類が必要になる可能性もあるため、陸運支局や自治体などに問い合わせてから申請手続きを行いましょう。

なお、一時抹消登録を行った車であっても、「中古新規登録」を行うと再び走行できるようになります。そのため、資金にゆとりができ、今後車に乗る可能性が少しでもある場合は一時抹消登録を選択しましょう。

一時抹消登録で車を保管する場合は、カーカバーをかけたり屋根がある場所で保管したりして車の劣化を防ぎましょう。

永久抹消登録

永久抹消登録は車を解体し、2度と乗れなくする手続きを指します。

一時抹消登録では公道を走れないものの車は残りましたが、永久抹消登録では車そのものがなくなります。そのため、今後車に全く乗らない場合に行う手続きと考えましょう。

永久抹消登録の手続きに必要な書類は下記の通りです。

  • 印鑑証明書
  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 車の解体報告記録がなされた日や移動報告番号
  • 自動車検査証
  • ナンバープレート
  • 申請書

永久抹消登録は車を解体業者で解体した後に手続きを行います。そのため、解体時にわかる「移動報告番号等」を必ず控えておきましょう。

なお、自動車の解体は個人で行うと罰せられるため、必ず解体業者など専門家に依頼しましょう。

廃車手続きの手段は3つ

廃車手続きは車の解体依頼を行ったり、複雑な書類の申請が必要だったりします。そのため、具体的な手続き方法が分からなかったり、働きながら各機関に行くのが難しかったりして悩む方も多く見られます。

ここでは、廃車手続きの手段を3つ紹介します。自分で難しい場合は専門家への依頼も検討しましょう。

自分で行う

自分で全ての手続きを行う場合は、解体業者に車の解体を依頼し、必要な書類を集める必要があります。

今回紹介する中で最も費用を抑えられるものの、印鑑証明書や解体にかかる様々な書類を手配し、陸運支局に持っていく必要があるため働きながら行うのは難しいでしょう。

特に、陸運支局は平日のみの開庁であることから仕事の休み時間を使って手続きが求められます。

行政書士に依頼する

廃車手続きは行政書士に依頼することも可能です。行政書士に依頼する場合、費用がかかる点がデメリットではあるものの、確実に手続きを進められます。

参考までに、行政書士に廃車手続きの依頼を行う場合、費用は8,000円~1万円程度が目安です。また別途、書類の取り寄せが必要な場合は3,000円~5,000円程度の費用もかかるでしょう。

手続きを自分で行う時間が全くないといった方におすすめの選択肢です。

なお、行政書士には車の登録や車庫証明なども依頼可能です。

廃車専門業者に依頼する

自分で廃車手続きができないものの「できる限り費用を抑えたい」と考える場合は、廃車専門業者の依頼もおすすめです。

廃車専門業者であれば解体手続きから書類の手続きまで一貫して対応してもらえます。また、費用も行政書士と比較して安く済ませられるでしょう。

廃車専門業者への依頼は費用が様々ですが、無料で行えるところから1万円以内で行えるところなど、多く見られます。ただし、料金は大きく差があるため事前に問い合わせたほうが安心です。

中古車販売店やディーラーで廃車手続きしてもらうことはできますか?
中古車販売店やディーラーでも廃車手続きは担当してもらえます。しかし、次に車を購入しない場合は廃車専門業者の利用がおすすめです。
廃車専門業者と比較して中古車販売店やディーラーの手続きは費用が割高に設定されています。次に車を購入する場合はキャッシュバックを受けられる可能性もありますが、その予定がない場合は利用をおすすめできません。

長期の自動車税の滞納は財産差し押さえの可能性も

長期の自動車税の滞納は財産差し押さえの可能性も
廃車を行わず、自動車税を滞納し続けると車を自由には使えないだけでなく、財産の差し押さえで生活が困窮してしまう可能性もあります。

ここでは、自動車税が払えなかった場合のリスクについて解説します。

差し押さえとは?

差し押さえとは、お金を支払う義務があるにもかかわらず支払いをしなかった場合に家や土地、預貯金などの資産を差し押さえ、未払い分の支払いに充てることを指します。

車の場合、自動車税を納付しなければ給与や預貯金の一部などを差し押さえられるでしょう。自動車税を始めとした支払い義務のあるものは踏み倒すことができず、何らかの形で必ず支払う必要があります。

差し押さえられる資産の種類

差し押さえられる資産は一般的に給与や銀行口座にある預貯金などがイメージとして挙げられるでしょう。

しかし、差し押さえにおいてはそれらだけでなく、車や不動産、有価証券なども該当します。また、それらでも未払金が回収できない場合は指輪や時計など贅沢品も対象になる可能性があります。

参考までに、差し押さえは基準が定められており、給与が全て差し押さえられるといったことがありません。生活できる範囲で支払いが終わるまで続くと考えましょう。

差し押さえで起こるリスク

自動車税が未納状態で差し押さえが行われると、様々なリスクが想定されます。最も顕著なものとして「給与の差し押さえが会社に発覚し、会社での立ち位置を失う」ことが挙げられます。

給与を差し押さえられると会社に対して通知が行くため、社内の関係者に差し押さえの事実がばれてしまいます。そのため、直接業務に影響が出ないものの「お金の管理がなっていない人だ」とネガティブな印象を与えるでしょう。

また、家族に差し押さえがばれてしまうと家庭内不和の原因にもなり得ます。差し押さえによって預貯金や給与が減ると、生活に支障をきたし家族にも影響を与えます。

会社や家族など自分の属する場所に影響を及ぼさないためにも、自動車税は必ず支払いましょう。

自動車税が払えない場合の車の所有方法

自動車税が払えない場合の車の所有方法
ここからは、毎年の自動車税の支払いが難しい方で車を所有する必要がある場合の対策法を2つ紹介します。

自動車税をはじめとした車の維持費の捻出が難しい場合、車を手放して公共交通機関を利用する方法が有効です。しかし、どうしても車が必要な場合はこれから紹介する2つの方法を検討しましょう。

使用時のみレンタル

車をスポットでしか使っていない場合は使用時のみレンタカーを活用しましょう。

例えば、「休日や連休中だけ家族で出かけるのに車を使う」といった場合は1日や2日など短日でレンタルします。

レンタルの場合、数千円から数万円程度で車を使用できるため、ランニングコストを抑えられるでしょう。ただし、レンタルの期間が数ヶ月に及ぶと割高になる傾向があります。

旅行は車だけでなく、公共交通機関を活用する方法もあります。遠方の旅行であれば飛行機や新幹線で現地に行き、その場でレンタカーを借りる方法も検討しましょう。

カーリース

車を日常的に使用する必要がある場合、カーリースを検討しましょう。

カーリースは月額料金で車を使えるため、自動車税や車検など追加費用の心配がありません。月額料金の中に様々な費用が含まれているため、自動車税の支払いに向けてお金を貯める必要もないでしょう。

ただし、カーリースの場合ミニバンやSUVなど、金額の高いものは月額料金も高めに設定されています。特に、高級ミニバンに分類されるものになると月額10万円程度の費用がかかるため、車種の選択には注意しましょう。

カーリースはどれくらいの期間借りられますか?
カーリースは期間の設定が自由で3年や5年7年など様々です。一般的に、契約期間が長くなれば毎月の料金も抑えられる傾向にあります。できる限り月額料金を抑えたい場合は契約年月の長いものや軽自動車などを選ぶとコストを抑えられるでしょう。軽自動車の場合、自動車によっては月々1万円以下で契約できるものも見られます。

まとめ

①自動車税を10年滞納するというのは不可能
②自動車税を未納状態で廃車手続きできるのは1年未満である
③自動車税を2年以上滞納すると車を差し押さえられてしまう
④自動車税を支払う余裕がない時は車を廃車し手放す方法も検討する
⑤車を手放しても使用する必要がある場合は、レンタカーやカーリースを検討する

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
カーリースってどんなクルマが選べるの?
グーネット定額乗りマガジン編集部
グーネット定額乗りマガジン編集部

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。