カーリースでは、リース会社から車を借りますが、その車をさらに第三者に貸す転貸(いわゆる又貸し)は認められるのでしょうか?

一般的なルールや会社ごとの特殊なルール、カーローンやレンタカーとの違いなどを解説します。

カーリースでの転貸(又貸し)について知ろう!

ここでは、カーリース契約を結んでリースした車を、契約者以外の第三者に転貸(又貸し)することは認められるのかを解説します。

厳密にはこうした転貸は認められませんが、家族や友人同士で一時的に共有する分には問題ありません。

カーリースの契約者以外への転貸について

カーリースの契約者以外への転貸について
最初に、リースした車を契約者以外の人に転貸することについての原則とその例外、そしてリース会社ごとのルールの微妙な違いなどについて解説します。

カーローンを組んでいる車、レンタカー、カーシェアリングの場合との比較も行っていきます。

リース車を契約者以外の人に転貸してもいいですか?
マイカーを家族で共同使用する程度の転貸は、リース車の場合でも特に問題にはなりません。
しかし、最初から他人への転貸を目的としたリース契約は違法です。中には「転貸は家族に限る」とルールを明文化しているリース会社もあります。
カーリースの契約者は車の使用者のこと

まず押さえておきたいのは、カーリース契約において、リース車の正式な持ち主(名義人)はあくまでもリース会社だということです。

カーリースは、リース会社が車を購入し、契約者が毎月リース料を支払うことでその車を使えるという仕組みです。

契約者は車を借りて使用している借受人に過ぎないので、名義人としての権限は持っていません。このことは、車検証でも確認ができ、リース車の所有者はリース会社であり、使用者は契約者であることが記載されています。

転貸は基本的に認められていない

カーリースの契約では、契約者がリース車を他の人に貸し出すことは原則的に認められません。

前項で説明した通り、リース契約では、契約者がリース車の主な使用者であることが基本原則なので、契約者が全く運転せずに他人に転貸するのは契約違反です。

ただし、そのように契約者以外の人がリース車両を運転することを禁止するルールは存在しません。リース会社によっては明確にルールを定めていることもありますが、ゆるい意味での共同使用については問題がない場合がほとんどです。

これは、程度問題だと言えるでしょう。

リース契約を結ぶ時点で最初から他人に転貸することを前提としていたら違法となります。しかし、一台の車を家族間でシェアしたり、ドライブ中に同乗者が少しの間だけ運転を代わったりする程度のことは問題にはなりません。

注意すべきなのは事故が起きた場合です。きちんとした補償を受けるためにも、自動車保険(任意保険)の補償範囲内の人が運転することが望ましいと言えます。

マイカーと同程度の共同使用は問題ない

カーリースにおけるリース車の転貸については、一般的な範囲での共同使用なら特に問題はないと説明しました。この場合の一般的な範囲での使用とは、家族同士での車のシェアやドライブ中に運転を交代するといったことを指します。

現実的に考えて、家族や友人が少しの間車を借りたからと言って、スピード違反のように取り締まりの対象になるわけでもありません。また、転貸を禁止する統一ルールも存在しないので、常識の範囲内での共同使用なら大丈夫です。

しかし、リース会社によっては転貸禁止のルールが個別に設けられていることがあります。また、共同使用した中で事故が発生した場合、その車をきちんと修理できるかどうかがリース契約上も問題になるので気を付けましょう。

リース車両には残価が設定されており、返却時の車の価値が残価を下回っていると、追加料金を請求されることがあります。そのため、事故で車が故障しても保険金で修理できるよう、自動車保険の補償範囲内の人が運転するのが望ましいです。

家族に限り転貸を認めるケースも

リース会社によっては、「家族に限り転貸を認める」とルールを明文化していることがあります。そのような場合、家族以外の友人などに少しの間運転を代わってもらう時は特に注意しましょう。

もちろん、契約者以外が少し運転しただけでそれがリース会社にすぐにばれて問題視されるような事態はまず考えられません。

ただし、それが常態化したり、他人の運転によって事故を起こされたりして「目に余る」と判断されれば、強制解約となることもあります。

これはリース車に限りませんが、事故や違反、故障などのトラブルが起こった場合、責任を誰が負うかが問題になります。車の名義人・使用者以外の人が運転する場合は、トラブルを起こさないよう注意しましょう。

カーローンの場合は?

では、カーローンを組んでいる車を他人に転貸する場合はどのような問題が考えられるでしょうか?

一般的に、カーローン契約者以外の人が車を運転したとしても、一般常識の範囲内での共用であれば、即座に問題視されてペナルティを課されることはほとんどないとされています。

その点はカーリースと同じですが、車を他人に貸し出すことのリスクは存在します。

カーローンで特に注意が必要なのは、最初から車を他人に貸す前提でローンを組んだり、車を他人に転貸している状態が常態化したりすると「名義貸し」とみなされる恐れがあることです。

名義貸しは、他人名義でローン契約を結んだりすることを言い、明確な違法行為です。名義を貸している側の人にとっても、他のローンの借り入れができなくなる、延滞するとブラックリストに載る、事故発生時の責任を負わされる可能性があるといったリスクがあります。

レンタカーやカーシェアリングの場合は?

ここまで、カーリースとカーローンの車を転貸・共用する場合の考え方を説明しました。では、レンタカーやカーシェアリングの場合はどうかというと、これも基本的に車を運転できるのは契約者のみです。

しかし、家族や友人間といった一般常識の範囲内での共用なら問題になることはほとんどないでしょう。

ただ、契約者以外が運転して事故を起こした場合は「契約違反」となり、保険金が支払われない場合があることは覚えておいてください。

カーリースで転貸する場合の注意点について

カーリースで転貸する場合の注意点について
次に、リース車を他人に転貸する際、どのような点に注意すべきかを見ていきましょう。

リース車を契約者以外の人に転貸する際の注意点は何ですか?
リース車はあくまでもリース会社からの借り物なので、契約者以外の人が使用する場合は車を丁寧に扱い、走行距離制限にも留意する必要があります。また、事故を起こしても任意保険の契約内容によっては補償されないことがあるので確認しておきましょう。
任意保険の保証内容に注意する

リース車を他人に転貸する場合、任意保険の内容に注意が必要です。

リース契約者以外の人がリース車を運転して事故が発生した場合、保険金が支払われない可能性があります。

任意保険には運転者の範囲に関する特約があり、補償範囲が異なることがあります。リース契約者以外の人がリース車を運転する場合は念のため自分が加入している保険の内容を確認し、万が一の際にも補償が受けられるようにしておきましょう。

利用料金はあくまでも契約者が支払う

リース車を家族や友人知人に転貸あるいは共用することがあるとしても、その車のリース料を支払うのはあくまでもリース契約者です。

契約者氏名と、リース料支払いのための銀行口座の名義は一致している必要があります。

車の汚損・破損には気を付ける

リース車を他人が運転する場合は、車を汚損・破損されることがないよう気を付けましょう。

車を運転する方の中には、日常的に乱暴な運転をする方もいますし、他人の車だと思って雑に扱う方もいます。

リース車が汚損・破損したり故障したりすると、最後の残価精算時に車の価値が予定残価よりも下がってしまい、追加料金を請求されることがあります。

車内に煙草の匂いやシートの焦げ、食べこぼしのシミなどがついても車の価値は下がるので注意が必要です。

走行距離に気を付ける

家族や友人知人にリース車を転貸する場合、カーリース契約で設定されている走行距離制限の数値にも気を付けましょう。

走行距離が長い車ほど劣化が進み、車の価値が低くなることから、リース会社では走行距離に制限を設けていることが多いです。

リース車の走行距離が長くなってしまい、制限値を超えていると、やはり最後の残価精算時に追加料金を請求される恐れがあります。

普通に使用している分には走行距離制限を超過することはあまりありませんが、他人が使うとなると注意が必要です。

カーリース契約での使用者の変更について

カーリース契約での使用者の変更について
次に、もしもリース車を長期間、第三者に運転してもらう必要などが生じて、どうしても使用者の変更をしたい場合は認められるのかどうかを見ていきましょう。

リース車の「使用者」を変更することはできますか?
リース車は名義人・使用者ともに変更することはできません。ただし、リース料金を支払い終えれば変更可能となります。
また、使用者が死亡した場合や海外移住などで、契約上の使用者がその車を使えない状況になれば、特別に変更が認められることもあります。
カーリースでは名義人・使用者ともに変更は不可

リース車を長期間、他の人に運転してもらう必要が生じて、契約者が使用者の変更を希望したとしても、カーリース契約では基本的にリース期間中の名義人・使用者の変更はできないこととなっています。

リース車は、名義人であるリース会社が契約者(使用者)に代わって車を購入したもので、契約者はその車を借りながらお金を返済している状態です。

そのため、契約者はその車の使用者としてお金の返済義務があります。そして、車の名義人・使用者の変更は、その車の名義人にしかできません。

つまり、車の本来の持ち主であるリース会社が認めない限りそうした変更の手続きはできないため、リース期間中の使用者変更は不可能だとされています。

ただし、残価を精算した後でリース車を買い取る契約になっている場合は、買い取り後に名義変更ができます。それまでリースしていた車が使用者の「マイカー」になれば、後は使用者変更も譲渡も自由にできるということです。

名義変更が認められるケース

リース車は、基本的にリース期間が終了して残価精算が済んでからでないと、使用者がその車を所有することはできません。

ただし、これには例外もあり、車検証上の氏名だけが変わるのであれば変更可能です。また、海外へ引っ越すためリース車を運転する機会がなくなるという場合も同様です。

ここからは、名義変更が可能となる、よくある3つのケースを説明していきます。

①名前が変わった

リース車の使用者は変わらないものの、その使用者の氏名が変わるということがあります。例えば、結婚や離婚した場合などです。

これは、車検証などの書類上の人名表記が変わるだけなので、問題なく手続きできます。

ただし、氏名だけが変わると言っても、念のためリース会社に確認しながら手続きを進めたほうがよいでしょう。

②使用者が死亡した

リース契約の契約者(使用者)が亡くなった場合や、長期入院することになったため車にほとんど乗れなくなった場合などは契約者の変更が認められることがあります。

ただし、リース会社によって条件は異なり、強制解約となるケースもあるので確認したほうがよいでしょう。

もしも使用者変更が認められても再審査が必要となるため、手続きは簡単ではありません。カーリース契約を組む場合は、契約者の健康状態なども踏まえて、できる限り将来的なことを考慮するようにしましょう。

③海外へ引っ越す

リース契約者が海外赴任や遠方への転勤などが決まった場合も、やはり契約者を別の人にすることが認められる場合があります。

これもリース会社によって条件が違い、場合によっては中途解約を促されることになるので注意しましょう。

使用者の変更が認められたとしても、やはり再審査が行われる点は同じです。

仕事の関係で遠方へ転勤する可能性がある場合は、契約期間を短めに設定しておき、状況が変わった場合にすぐ対応できるようにしておくのが得策です。

車の転貸に関するルールについて

車の転貸に関するルールについて
最後に、リース車の転貸に関するルールについて、ペナルティの内容も含めて解説します。

最初から転貸を前提にするのは違法

カーリース契約で、他人への転貸を前提としてリース契約を結ぶことを「名義貸し」と呼びます。

名義貸しは、いわゆるブラックリスト入りしてお金を借りられない人が依頼することがありますが、明白な違法行為です。

カーリース契約は、「契約者=使用者」となることが前提で、一般常識の範囲内での転貸や共用は大きな問題にはなりません。しかし、度を越した又貸しの状態が常態化すれば、犯罪行為である名義貸しと区別がつかなくなる恐れがあります。

カーローンでも、ローンを組めない人が他人の自動車ローンを利用しようと名義貸しを目論むことがあります。やはりこれも違法であり、詐欺罪に問われることになるので、絶対に加担しないようにしましょう。

リース車を長期間、他人が運転せざるをえないような状況になったら、それは契約違反です。後は解約金や違約金を支払って中途解約し、可能ならその車をもらってマイカーとして使用者変更を行いましょう。

事業者による「又貸し」はある

ここまで説明してきた通り、一般的に個人がリース契約した車両を転貸することは認められません。しかし、レンタカー会社などの業者が事業として車の転貸を行うことはあります。

例えば、ある大企業では事業者間の又貸し方式を採用しています。これは、業務提携先のリース会社がリース契約した車両を顧客に転貸することで、リース会社の負担が軽減するというものです。

いわばレンタカー会社が、個人のみならず業者に対しても車をレンタルするというやり方です。

この場合、一台の車両に二つのリース契約が発生するため、契約書は契約ごとに作成します。業務提携先であるリース会社が行う煩雑な業務をレンタカー会社がバックアップすることで、リース会社の負担が減る点は大きなメリットです。

また、車のリース事業には多額の資金が必要ですが、このやり方ならリース業者の資金調達が楽になる点も魅力です。ただし、あくまでもこれはレンタカー会社が事業として行っているもので、個人を対象にしたものではありません。

転貸により強制解約になるケースもある

カーリース契約は、リース車両を第三者に無断で転貸することで強制解約されることもあります。

リース会社の約款には、こうした転貸を禁止する旨が記載されていることが多いので、きちんと確認しておきましょう。

何度も述べた通り、一般常識の範囲内で家族や友人知人と車両を共有するのは問題ありません。しかし、その範囲を逸脱する転貸をしたり約款に違反する形での転貸を行ったりすれば、契約が強制解除となり違約金も発生することがあります。

リース契約は中途解約をしない前提となっているため、中途解約する場合は違約金が発生することが多いです。違約金の金額の算出方法はリース会社によって異なりますが、ほとんどの場合で現金一括払いとなるので、まとまったお金がないと支払いが難しいこともあるでしょう。

このように、リース契約に違反する転貸を行うと、その車に乗れなくなるだけでなく、違約金の支払いなどの大きなペナルティを負うことになります。

そのため、他人とリース車を共有する際は注意しましょう。

まとめ

①カーリース契約での「転貸」は基本的に認められていない
②ただし、一般的なマイカーと同程度の共同使用なら問題ない
③リース会社によっては、家族間の転貸のみ認めると明文化していることもある
④レンタカーやカーシェアリングでも転貸は禁止されている
⑤リース車を共有する場合は、任意保険の内容にも注意
⑥リース車の名義人・使用者の変更は、一定の条件を満たさないとできない
⑦リース車の転貸によって強制解約になるケースもある

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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