車のローン返済を延滞すると信用機関のブラックリストに登録され、遅延損害金や差し押さえなどのリスクが発生します。
原則として、車のローン返済を1日でも延滞するとまず起こるのが、期日の翌日から発生する遅延損害金です。延滞が長期化すると信用機関のブラックリストに登録され、他のローン審査や不動産の賃貸契約にも影響し、日常の支払いに大きな制約を課されます。
延滞はデメリットが大きい行為なため、原則として避けなければなりません。
車のローン返済を延滞すると遅延損害金や差し押さえに発展する
車のローン返済は踏み倒しができないように仕組みが作られており、延滞を続けた場合のリスクが非常に大きい行為です。
ローン返済を延滞しそうな場合は事前になんらかの対処が可能なため、ローン返済において「延滞状態を維持すること」は避けなければなりません。
とくに連絡がつかないまま長期延滞におよぶと、裁判を起こされたり、ローン残高の一括で請求されたりするリスクもあります。
車のローン返済で起こるリスク
ここからは、車のローン返済を滞納することで起こるリスクについて紹介します。
これから車のローン契約を考えている方や、ローン返済が滞りそうな方は、以下のリスクについて注意した上で契約・返済に臨みましょう。
金融事故の登録とは、いわゆる「ブラックリスト」のことで、信用機関が保管する信用情報に金融事故が登録されることを意味します。登録される原因や基準は会社によって異なりますが、原則として支払いを2ヶ月以上滞納したり、短期の振替不能を繰り返すことによって登録されるパターンがほとんどです。
一度金融事故が登録されても原則として本人に通知が届かないため、いつの間にか金融事故のブラックリストに登録されていたというケースも珍しくありません。
一度金融事故のブラックリストに登録されると、今後の住宅ローン・不動産賃貸契約・クレジットカードの作成・分割払いの利用などにおいて制約を課されます。
とくに、これから住宅ローンの契約を考えている場合は審査に通らず住宅を購入できない可能性も高いため、生活に大きな障壁ができてしまうのです。
車のローン返済を滞納すると、滞納した翌日から滞納分の返済が完了するまで1日ごとに遅延損害金が発生します。
遅延損害金が発生すると通常の金利よりも高い金利が適用され、滞納分の返済が完了するまで永久的に続きます。
現時点の収支バランスでローン返済が難しい場合、遅延損害金まで発生すると返済がさらに困難になってしまいます。
カーローンの長期滞納におよぶと、車が引き上げられます。
原則として、ローン契約中の車の所有者はローン会社に帰属するため、ローンの返済が滞ると車を引き上げられるのです。そして車両を現時点の価値に換金し、返済分に充てられてしまいます。
多くの場合は3ヶ月以上の滞納で引き上げを実行されますが、その基準はローン会社によって異なります。引き上げには事前告知があるため、車を失いたくない場合は早急に返済しなければなりません。
ローン滞納の最終段階では、ローン残高を一括請求され、引き上げ後の残金から支払えない分に関しては財産の差し押さえによって未納分に充当されます。
これは車の引き上げによって車が競売にかけられ、その金額がローン返済額に満たない場合に発生します。
例えば200万円の車でローン契約し、その後車の引き上げによって売却された金額が160万円の場合は、残りの40万円分を支払わなければなりません。
この時、40万円の支払い能力がなければ差し押さえによって財産を差し押さえられ、未納分に充当されるのです。
遅延損害金(延滞金)の仕組み
ここからは、借り入れやローン契約における遅延損害金の仕組みについて紹介します。
遅延損害金の金利はローン会社や信用機関によって異なり、支払いが課される日数の目安も借り入れの種類によって異なります。
原則として、カーローンの場合は滞納の翌日から発生する場合がほとんどです。
奨学金やクレジットカードといった返済の場合、支払い期日の翌日から延滞金がかかることはありません。しかし、住宅ローンやカーローンの場合は、1日でも遅れると延滞金が発生します。
遅延損害金は元々の金利とは別の金利が適用され、基本的に元の金利よりも高い利率が適用されます。
遅延損害金の利率はローン会社や信用機関によって異なりますが、ほとんどの場合は年利14%から20%以内です。
日本の法律でローン金利は20%以下でなければならないと定められているため、基本的に20%を超える金利が適用されることはありません。
なお、遅延損害金の利率は事前にローン会社によって設定されています。これからローン契約を結ぶ方は、事前に遅延損害金の利率も確認しておくとよいでしょう。
例えば、ローン残高200万円で滞納期間が1ヶ月(30日)、遅延損害金利率が年利14%の場合の延滞金について計算してみましょう。
この時の計算式は以下のようになり、1日あたりの遅延損害金が算出できます。
200万円で利率14%の場合は「200万円×14%÷365日」で、1日あたりおよそ767円です。1ヶ月間滞納すると、およそ23,010円かかります。
1日あたりでは大した金額ではないと思われるかもしれませんが、遅延損害金は1日ごとに発生するため、仮に30日滞納した場合の金額は数千円〜数万円にも上ります。
通常の金利と比べると大幅に金額が上がるため、できる限り早急に返済しなければ取り返しがつかない事態に陥ります。
基本的に遅延損害金を含めた返済額は、ローン会社や信用機関から督促状という形で書類が届きます。
原則として書いてある金額を支払えば問題ありませんが、詳細な遅延損害金を算出したい場合は、上記の計算式を用いるとよいでしょう。
遅延損害金は年利で発生するため、元本が多いほど発生する遅延損害金も多くなります。
例えば、先ほどの計算の場合、元本が100万円と200万円では発生する遅延損害金の金額も2倍ほど変わります。そのため、カーローン契約で金額の大きい車を購入しているほど、遅延した時の損害金も高額です。
ローン契約を結ぶ際には、身の丈に合わない車を購入するのは避けた方がよいでしょう。
差し押さえとは?
ここからは、ローン滞納における差し押さえの詳細について紹介します。
差し押さえは返済の長期滞納における最終段階です。原則としてここまで来ると債務整理の選択肢も検討されますが、それ以外にも以下のリスクが発生する点にご注意ください。
差し押さえとは、ローン会社や信用機関が債務者に対して訴訟を起こすことで、裁判所を経由し財産を強制徴収することです。
差し押さえが発生すると、給与の天引きや家財の押収など、あらゆる手段で滞納分の金額へ充当されます。
基本的に差し押さえの前段階で車の引き上げを行いますが、引き上げ後の価値がローン残高におよばない場合、もしくは車の引き上げに応じなかった場合に差し押さえに発展します。
いずれの場合でも、差し押さえが発生すると車は引き上げられるため、車を失う点に変わりはありません。
ローン返済の滞納から財産の差し押さえにまで発展する期間は、およそ3ヶ月以上が目安といわれています。ただし、ローン会社によって判断基準が異なるため、必ずしも3ヶ月以上経たなければ差し押さえに発展しないとは限りません。
原則として、差し押さえに発展する前になんらかの手段を講じておく必要があります。一度、滞納し始めると対策も難しくなるため、滞納しそうと思ったら早急に行動するのをおすすめします。
差し押さえは事前に通告があった後に行われますが、基本的に債務者本人が差し押さえに対して拒否権を行使することはできません。
どうしても差し押さえを止めたい場合は、残っているローン残高を一括返済するか、債権者と相談するほかないのです。
ただし、差し押さえには事前に異議申し立てをすることで一定期間の猶予が設けられます。もし近いうちに何らかの収入が見込めて、かつ残金の一括返済が可能な場合は、申し出るとよいでしょう。
ただし生活上、車が必要不可欠と判断される場合は、車の差し押さえが免除されるかもしれません。
滞納しないためのカーローンの組み方
ここでは、返済における滞納を防ぐためのカーローンの組み方について解説します。
カーローンは手持ち金がなくても高価な車を購入できる手段ですが、借金であることに変わりはありません。カーローンを組む際は、自分の収入と毎月の返済額のバランスを考え、慎重に判断する必要があります。
カーローンを組む際は、借入金額の限界に近い額の車を購入したり、ローン契約の期間を無理に短縮してはいけません。
普段の生活には家賃や住宅ローン、その他の費用も毎月かかります。カーローンの契約を組む際は、毎月確実に支払える金額に設定する必要があります。
前述したように、カーローン契約の滞納は翌日から遅延損害金が発生するため、収支バランスがギリギリの状態で無理な契約をすると高確率で滞納して返済が滞ります。
滞納が長引くと遅延損害金により支払いがさらに難しくなるため、無茶な金額で契約すると最終的に差し押さえにまで発展してしまうのです。
購入する車は背伸びせずに身の丈に合ったものを選びましょう。
カーローンの金利は銀行ローンとディーラーローンで異なります。数値上はたったの0.1%の違いでも、数百万円の車の購入だと、0.1%の金利も無視できません。
基本的にカーローンは銀行ローンが低く、ディーラーローンが高い傾向にあります。その代わり、銀行ローンは審査内容が厳しく、ディーラーローンは審査の難易度が低いものです。
カーローン審査に通る場合は、銀行ローンを契約して少しでも金利を下げておくとよいでしょう。
ローン契約に臨む際に注意したいのが、ほかのローン契約や支払いと重複する「多重債務」の状態に陥ることです。
例えば、カーローン契約を組む前から住宅ローン契約を結んでいる・クレジットカードローンを借り入れている・奨学金の支払いが残っているといった場合が該当します。
ほかのローンと掛け持ちしながらカーローンを組むと、なんらかのトラブルが生じて収入が減少、または失業に陥った場合にローン残金を返済できなくなる恐れがあります。
最終的にカーローンだけでなく、住宅ローンやカードローンの支払いも滞るため、すべての財産を失ってしまうのです。
自己資金に余裕がある場合は、カーローン契約を結ぶ際にできるだけ多くの頭金を用意しておくとよいでしょう。元金が少ないほど滞納時のリスクも小さくなります。
基本的に頭金の支払いに限度はありませんが、支払額の20%から30%ほどを目安に用意しておくとよいでしょう。
カーローンの場合、毎月かかる負担額はローンの返済額だけでなく、ガソリン代や駐車場代、その他自動車税の費用も考慮しなければなりません。
また、事故を起こした場合には修理費用がかかりますし、万が一の事故に備える場合は毎月の保険料もかかります。
数年に一度は車検や自動車税の支払いも発生するため、一定期間ごとにまとまった支出が発生する点も忘れてはなりません。
購入後の維持費を考えずにカーローン契約に臨むと、毎月の維持費によってローン返済額の支払いが滞ります。
今後も返済が難しいときの対処法
ここからは、カーローン返済を滞納しそうな場合の対処法について解説します。
現状でカーローン返済が滞納しそう、もしくは現在進行形で滞納中の場合は、以下の対処法を講じましょう。
カーローンをはじめとしたローン契約は、リスケジュールやローンの借り換えによって毎月の負担額を軽減することが可能です。
リスケジュールとは、ローン契約をそのままに返済期間を調整することです。
例えば、2年返済のローンを3年や4年と引き延ばすことが可能です。返済期間を伸ばすと最終的な総返済額は増えますが、毎月の負担額は下げられます。
また、現状の金利が高い場合はローンの借り換えを行うことで金利を改善し、総支払額を減らすことも可能です。
ただし、リスケジュールやローンの借り換えは、原則として現時点で滞納していないことが適用の条件です。また適用には審査があるため、過去に滞納を繰り返していたり、ブラックリストに登録されていると適用できない場合があります。
現状の収支バランスで車の維持が難しい場合は、いっそのこと車を売却し、カーリースやレンタカーといった別の交通手段に切り替えるのも1つの手段です。
カーリースの場合は自家用車よりも総コストは高くなるものの、毎月一定額で車を持ち続けられます。
また、車に乗る機会がごくわずかな場合、スポットで使えるレンタカーの方がコストパフォーマンスは高いといえます。
近隣エリアにバスや電車といった公共の交通機関が多い場合、車を手放してそちらを利用するのもよいでしょう。公共の交通機関であれば維持費もかからず格安で移動できるため、生活費を大幅に削減できます。
カーローンをはじめとしたローン契約の滞納は、滞納期間が長くなるほど遅延損害金やブラックリスト登録などのリスクが大きくなります。
そのため、現状で返済が難しい場合は、両親に相談して一時的にお金を立て替えてもらうことも候補として挙げられます。
ローン契約としては返済分さえ一度支払ってしまえば、滞納金や差し押さえには発展しません。親にお金を返す必要はありますが、滞納のリスクを回避できるため、近い将来住宅ローンや賃貸契約を結ぶときに不利を被る心配がなくなります。
まとめ
カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。