私たちが生きていく上で、税金の支払いは避けて通れない道です。所得税・住民税・自動車税など、生活するには必ず税金がかかります。

基本的に税金の踏み倒しはできず、また債務整理によって税金をなくすこともできません。税金の滞納は「ブラックリストと関係ない」といわれていますが、だからといってリスクがないわけではありません。

税金の滞納には延滞税の発生や差し押さえなど、さまざまなリスクが伴います。

税金滞納はブラックリストと関係ないがリスクがある

結論として、税金の滞納は信用機関のブラックリストと関係がありません。

信用機関は民間企業の支払いに関する情報を取り扱っているため、政府や自治体が取り扱っている税金や公共料金の類は信用機関と関係がないのです。

そのため、税金を滞納した場合でも信用機関のブラックリストに登録はされず、住宅ローンや不動産契約など信用力の審査が必要な支払いに影響がでることもありません。

しかし、リスクは存在します。民間の返済や支払いが滞ったときに発生する遅延損害金や差し押さえのリスクなどと同じく、税金にも延滞税や差し押さえの仕組みが存在します。

税金を滞納するとどうなる?

税金を滞納するとどうなる?
ここからは、税金を滞納するとどういったことが起こるのかについて、滞納の初期段階から最終段階で順番に分けて紹介します。

税金を滞納すると、以下のリスクが起こる点にご注意ください。

1.督促状が届く

各種税金には支払い期日というものが存在し、期日を超えるとお住まいの地域の自治体や国から「税金を支払ってください」という旨の督促状が届きます。

督促状は基本的に書類によって送付されますが、自治体によっては同時に電話を実施することもあるそうです。

督促状は1回届いて終わりではなく、納付が完了しない限り何回かにわたって送られてきます。最初は柔らかい口調の文面が記載されていますが、財産の差し押さえにまで発展するレベルだと強い口調の文章で記載されます。

また、お住まいの地域によっては、督促状の色で催告の度合いを表すところもあるそうです。例えば、最終段階になると赤色の書類が届き、初期段階では青色の封筒が届くといった場合もあります。

この辺りは自治体によって様式が異なるため、督促状の回数や支払い催促の方法は異なってきます。

2.延滞税がかかる

各種税金の支払いが滞納されると、支払い期日の翌日から1日ごとに延滞税が発生します。

延滞税の利息は金融業者における遅延損害金の金利より低いものの、滞納している税額の元金や滞納期間によっては高額にのぼる可能性もあります。

原則として、延滞税や遅延損害金というものは年利が決まっており、元金に対する割合で発生するものです。固定額ということは基本的になく、必ず元金に対して◯%という形で請求されます。

3.財産を差し押さえられる

税金の納付が長期にわたって滞納されると、裁判所を通じて自身の財産にあたるものを押収されてしまいます。

このとき、資産価値のある財産はほとんど持っていかれますが、生活に必要不可欠とされるものに関しては押収を免除されます。例えば、最低限の衣服類や調理器具といった類は生活に必ず必要とみなされるため、押収の対象ではありません。

ただし、衣服類であっても高級ブランドのものや一定の資産価値があるもの、また必要最低限以上の衣服類に関しては差し押さえの対象です。

また、車に関しても「なければ生活できない」と認められない限り、押収されます。

差し押さえが執行されるまでの流れ

差し押さえが執行されるまでの流れ
ここからは、差し押さえにおける全体の流れについて解説します。

差し押さえは、ある日突然起こるものではなく事前に通知があります。そのため、税金の滞納者は差し押さえが発生するまでにある程度の猶予があると覚えておきましょう。

差し押さえは非常に強い力をもって公使される以上、行政や裁判所も所定の手続きを踏んだうえで行います。

差し押さえの流れは基本的に以下の通りです。

  1. 催告状の送付
  2. 財産調査
  3. 捜索
  4. 換価処分・競売

差し押さえが起こると家財のほとんどを失うため、できるのであれば差し押さえが発生する前になんらかの対処をしておかなければなりません。

1.催告状の通知

納税の滞納は初期段階で督促状により納税の意思を確認されますが、それでも支払いに応じなかった場合、催告状というものが届きます。

催告状は実質的な最終通告にあたるもので、催告状が送られてから一定期間を経た後に、差し押さえが執り行われます。

2.財産調査

差し押さえが発生する前に、裁判所や行政はまず滞納者がどれだけの財産を有しているのか「財産調査」を実施して調べ上げます。

財産調査では、銀行口座残高・身辺調査・資産の有無などが行われ、口座を開いている金融機関や職場に連絡が届く場合もあります。そのため、財産調査が行われる段階では高確率で職場に税金滞納の実態が知られてしまうのです。

基本的に滞納者がこれを拒否することはできず、行政は滞納者の身辺調査を行う権利があります。

3.差し押さえ

催告状から一定期間を経た後、裁判所によって差し押さえが行われます。このときの差し押さえの内容や順序にとくに決まりはありませんが、一般的には金融機関の口座の取引停止が真っ先に行われるそうです。

口座から必要な金額を徴収し、それでも納税額に足りなければ勤務先の給与から天引きされます。

それでも足りない場合は自宅に執行官が訪問し、財産を差し押さえられるのです。

4.財産の換価・競売

口座や給料からの天引きの場合は現金であるため、滞納分の税金や延滞税にそのまま充当されます。しかし、家財の差し押さえの場合は差し押さえたものを一度お金に変換しなければなりません。

こういった場合に行われるのが「換価」「競売」と呼ばれるもので、差し押さえられた資産を国税局や地方公共団体が売却を行い、現金に換金します。

そのため、滞納分を支払わない限り、押収された家財が返ってくることはありません。

5.差し押さえした分の売却金を税金へ充当

差し押さえによって押収された財産は、全額が未納分の税金および延滞税に充当されます。

このとき、押収した財産次第では換価および競売によって納税分以上の金額が発生する場合があります。家財は必要最低限を除きすべて押収されますが、売却後のお金に関しては余った分が返ってくるのでご安心ください。

換価・競売の価格ってどれくらいですか?
換価や競売は「公売」と呼ばれる入札形式で売却されるため、最終的な価格は不安定です。公売には「高価有利な売却」の原則により価値を最大限にしなければなりませんが、実際は安く売りたたかれる場合のほうが多いそうです。例えば、住宅の場合は相場の6割程度ともいわれています。

税金を納付できないときの対処法

税金を納付できないときの対処法
ここでは、税金を納付できない場合の対処法について紹介します。

税金は債務整理によって解消できない支払いの1種です。そのため、税金を納付できない可能性が浮上した場合は、滞納する前から早急に市役所や税務署に相談するのをおすすめします。

連絡して支払いを猶予してもらう

各種税金の支払いは、事前に市役所や税務署に連絡しておけば、ある程度の猶予が可能です。

滞納による延滞税の発生や差し押さえは基本的に長期滞納で発生するものですが、連絡がつかない場合は最短期間で差し押さえが発生します。

事前に連絡さえしておけば、差し押さえを完全には回避できないものの、連絡がつかない場合よりは長い猶予をもらえます。

分割納付を申し出る

滞納中の税金や延滞税の支払いは、原則として一括納付です。しかし、やむを得ない事情で一括納付が無理でも、分割であれば支払えることがあります。

そんな方のために、市役所や税務署に相談し事情を認めてもらえた場合は、分割納付も可能です。

実際に分割納付が認められるかどうかは滞納の状況や自治体によって判断が異なるため、まずは相談することが大切です。

両親に立て替えてもらう

税金の支払いを滞納すると延滞税や差し押さえが発生します。しかしどんな形であれ、支払いさえしておけば問題はありません。

どうしても支払いが難しい場合は、親族や両親に相談して立て替えてもらうことも1つの方法といえます。そうすることで、差し押さえや延滞税といったもろもろのリスクが発生しません。

滞納は長期にわたるほどリスクが大きくなるため、延滞税で支払額が大きくなる前に両親に相談するとよいでしょう。

税金は債務整理で減額や免除はできますか?
税金は「非免責債権」に分類されるため、債務整理で支払いを免除することはできません。
民間の借金であれば自己破産や任意整理などの債務整理を行うことで、利息分・遅延損害金・元本の支払いを減額または免除することが可能です。しかし、税金の場合はたとえ債務整理を行っても税金を解消できず、延滞税や納税額の減額にも応じてもらえません。
なお、非免責債権は税金だけでなく、損害賠償や離婚時の養育費も該当します。

滞納に注意すべき支払い

滞納に注意すべき支払い
長期滞納によって大きなリスクを背負う支払いは税金だけではありません。

ここでは、滞納に注意すべき日常生活の支払いについて紹介します。

国民年金

国民年金は税金と同じく、日本国内に住んでいる場合は必ず発生する費用です。将来的に「基礎年金」という形でお金が返ってくるものの、受給開始時期である65歳までは支払いを続けなければなりません。

国民年金を滞納すると、将来受け取れる年金の額が少なくなり、万が一の事故や怪我による遺族年金や障害年金も受け取れなくなります。

また、国民年金の長期滞納は税金と同じく差し押さえに発展する可能性もあります。

国民年金は低収入または滞納分を支払う余裕がない場合、特例として免除や猶予の申請が可能です。税金と同じく支払えないと判断した場合は、早急に日本年金機構に問い合わせて猶予の手続きを済ませましょう。

住宅ローン・家賃

滞納のリスクがとくに大きいのは住宅ローンや家賃です。

住宅ローンの場合は滞納によって遅延損害金および差し押さえのリスクだけでなく、信用機関のブラックリストに登録されるリスクも存在します。

また、住宅ローンを長期滞納すると、財産の差し押さえが行われる前の段階で自宅が競売にかけられます。自宅を競売にかけられると家を失うだけでなく、相場よりも安い金額で自宅を売却しなければなりません。

売却後のお金は残った住宅ローンの残額や遅延損害金などの各種支払いに充てられますが、残った分は分割ではなく一括請求されます。

住宅のローン元金は数千万円単位にのぼるため、一括請求で支払える可能性は低いといえるでしょう。競売によってある程度ローン残高から相殺できるものの、残りの金額も決して低いわけではありません。

そのため、住宅のローンの長期滞納は高確率で債務整理につながります。

賃貸契約の場合は長期の家賃滞納によって物件のオーナーが契約を解除し、強制退去を命じられます。滞納者は住んでいる物件から出て行かなければなりませんが、信用機関のブラックリストに登録されているため、新しい賃貸契約審査において不利です。

以前住んでいた物件よりも条件の悪い物件でしか契約できない可能性が高いため、生活水準の低下が予想されます。

マイカーローン

マイカーローンは、車の購入時に結ぶローン契約です。

マイカーローンを滞納すると、住宅ローンの場合と同じく、初期段階では遅延損害金やブラックリスト登録が起こります。その後、数ヶ月にわたって滞納が続くと、差し押さえの前に車の引き上げが行われます。

基本的にマイカーローンを組んでいる間は車の所有権がローン会社に帰属するため、車を半強制的に引き上げられてしまうのです。

引き上げられた車は競売にかけられた後に換金され、ローンの遅延損害金や返済額に充てられます。このとき、住宅ローンの場合と同じくローンの分割払いが再び始まるのではなく、ローンの契約自体が無効とされているため、ローン残高を一括請求されます。

また、車の引き上げには原則として同意を必要としますが、同意を拒否した場合はそのまま財産の差し押さえに発展します。そのため、車の引き上げがない場合でも滞納を続ければ、どのみち車を失うことに変わりありません。

公共料金

水道・ガス・電気といったライフラインと呼ばれる公共料金は、長期滞納することで供給が停止されます。供給の停止までの期間は契約している会社によって異なりますが、大体は数か月程度です。

また、税金やローン契約の滞納と同じく、公共料金の支払いを滞納すると遅延損害金が発生します。ライフラインの供給停止は支払いに応じることで再開してもらえますが、言い換えれば支払われない限りライフラインの供給は再開しません。

ライフラインの中でもとくに気をつけたいのが「電気」です。水道やガスはその都度使うことが多く、供給が停止された場合でも1〜2日程度であればなんとかなる場合もあります。

しかし、食品を保存している冷蔵庫には電気が使われているため、供給が停止されると食品類がすべて保存できなくなります。また、電気が止まると給湯器も使えないため、実質的にガスが停止されるのと同義です。

公共料金は信用機関と関係がないため、滞納してもブラックリストに登録されることはありません。ただし、公共料金の支払いにクレジットカードを使用している場合は別です。

公共料金の支払い分のクレジットカード払いを滞納すると、信用機関のブラックリストに登録されます。

奨学金

学費の借り入れを行う奨学金は、滞納すると遅延損害金の発生・ブラックリストの登録・財産の差し押さえが発生します。

奨学金は公的な支払いのように見えますが、母体は民間です。そのため、信用機関が借り入れに関わっており、滞納することでブラックリストに登録されます。

基本的にブラックリスト登録というものは基準が明記されていない場合がほとんどです。しかし奨学金の場合は例外で、滞納が3ヶ月連続だと信用機関に事故情報が登録されると明記されています。

奨学金には「返還期限猶予」や「減額返還制度」といった救済制度があり、申請し承認されることで返済期間の猶予を設けてもらったり、毎月の返済額を調整してもらえたりします。

ただし、これらの制度は基本的に滞納していないことが前提条件として含まれているため、滞納する前に行動しなければなりません。

クレジットカード

クレジットカードの支払いを滞納すると、遅延損害金・ブラックリストの登録・差し押さえのリスクが発生します。

税金やローンの支払いは支払期限日の翌日から遅延損害金が発生しますが、クレジットカードの場合は翌日〜1週間程度の間に支払えば遅延損害金がかかりません。そのため、ほかの返済や支払いよりは、いくぶんか滞納に寛容だといえます。

ただし、一定期間以上滞納を続けると、遅延損害金が発生する点に変わりはありません。

カーリース

カーリースとは、毎月一定額の費用で車をレンタルできる契約です。

カーローンの場合はローンの返済後に車をそのまま自家用車として所有できますが、カーリースの場合は契約期間が終われば車をリース会社に返却しなければなりません。

カーリース契約の支払いを滞納すると、リース会社から契約を強制的に解約されます。

法人税はブラックリストと関係ありますか?
法人税を滞納しても信用機関のブラックリストに登録されることはありませんが、差し押さえにまで発展すると、その事実が銀行などの金融機関に知れ渡るため、融資を受けたい場合でも断られる可能性が高くなります。

まとめ

①税金滞納はブラックリストに関係はないものの大きなリスクを伴う
②税金を滞納した場合、滞納税と呼ばれる利率を加算して納税しなければならない
③差し押さえは、銀行口座・給与・家財を押収される
④税金は非免責債権に含まれるため債務整理で減額・免除できない
⑤滞納は税金以外の支払いや返済でもリスクが高い

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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