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大学や専門学校などに通う際、学費を奨学金でまかなう方が多く見られます。奨学金は無利子のものと利子がつくものに分類されますが、いずれも学ぶ意欲をサポートする制度のため、欠かせない存在です。
しかし、奨学金は借りると必ず返済が求められることから、卒業後の様々なシーンにおいて支払いで悩むことも多くあります。特に、怪我や病気で無職になった際は不安を抱えるでしょう。
この記事では、奨学金の支払いが無職になり難しくなった場合の対処法や、滞納した場合のリスクなどを紹介します。
奨学金の支払いが無職で難しい場合は救済制度をチェックしよう
奨学金を借り、ゆくゆく確実に支払うつもりでいても、働けなくなったり生活が苦しくなったりして返済が難しくなることもゼロではありません。
特に、社会人になりたての場合は給与が低かったり、新しい職場で馴染めず転職を検討したりと収入が安定しない可能性が高いでしょう。
その場合は、奨学金の救済制度を活用して支払いの毎月の金額を減らしたり、期間を伸ばしたりする方法が有効です。
できる限り毎月支払いを行いたいものの、どうしても難しい場合は最終手段として救済制度の活用を検討しましょう。
奨学金とは?
まず、ここでは奨学金の概要について紹介します。
一般的な奨学金としては日本学生支援機構のものを指します。この奨学金には「給付型の奨学金」と「貸与型の奨学金」があります。
さらに、貸与型は利子がつかない「第一種奨学金」と、利子がつく「第二種奨学金」に分けられます。
第一種の奨学金については高校での評価が良い場合や世帯収入の基準を満たすことで活用できます。
第二種奨学金においては第一種よりも条件が緩和されており、借りやすい特徴があります。
なお、いずれも併用することが可能なため、第一種だけで足りない場合は第二種を借りることもあるでしょう。
奨学金を返済するタイミングは大学を卒業してすぐではありません。貸与が終了してから7ヶ月目に支払いが開始になります。
例えば、4年制の大学を3月に卒業した方の場合、同じ年の10月から返済が始まることになります。
返済の方法としては口座振替で行うものが主です。日本学生支援機構では、所定の金融機関口座から毎月27日に引き落とされることになります。
なお、奨学金の返還は貸与終了の6ヶ月前に所属する学校で返還説明会が開かれることがほとんどです。返還の手引きや貸与奨学金返還確認表そして口座振替の申し込み書などが配布されて、返還に必要な手続きを行います。
奨学金の返還方法は主に2種類
一口に奨学金の返済といっても日本学生支援機構の場合、2つの返済方法から選択します。
ここでは、定額返還方式と所得連動返還方式について解説します。
1つ目の定額返還方式は、自分が借りた金額に応じて毎月の返済金額が決まる方式です。毎月一定金額を返済していく形になります。
毎月支払う金額が明確であることから、月々の返済計画が立てやすいメリットがあります。
一方で、多く金額を借りている場合は毎月の支払いが高くなるため、働き始めたばかりの場合や転職して一時的に収入が減っている場合は支払いが困難になる可能性があります。
2つ目の所得連動返還方式は、前年度の課税所得にあわせて返済金額が変わる方法です。そのため、自分の収入が少ない場合は返済額が少なくなり、一方で収入が増えた場合は返済額が高くなるという仕組みになります。
自分の収入に応じて支払いが変動するため、収入が少ない場合も返済金額を抑えられる点がメリットです。
一方で、収入が少ない分毎月の支払い金額は少なくなることから返済期間が長くなってしまう可能性が考えられます。そのため、定額返還方式と比較して収入によっては「奨学金の支払いがなかなか終わらない」といった可能性が考えられます。
なお、返還月額は毎年10月に更新されるため注意が必要です。
日本学生支援機構のモデルケースによると、定額返還方式で5万円を4年間(240万円)借りた場合、月額約1万3333円を15年間支払うことになります。
一方で、所得連動返還方式の場合は年収300万円で月額8600円程度、年収450万円で月額1万5400円程度などと、支払う金額が大きく異なります。
なお、第2種奨学金は所得連動返還方式を利用できないため注意が必要です。
無職で奨学金の返還が滞っていると?
奨学金は毎月返済する必要がありますが、急に仕事を辞めてしまったり、怪我や病気で働けなくなったりした場合は支払いが困難になることもあるでしょう。しかし、返済が滞ってしまうと様々なリスクを抱えることになります。
ここでは奨学金の返済が無職になり滞った場合のリスクを紹介します。
奨学金の振替不能が2回続くと延滞金が発生します。
1月分の振替ができなかった場合は翌月に2ヶ月分をまとめて支払うことで対応可能です。しかし、2回目の振替もできなかった場合は延滞金が発生するため注意が必要です。
例えば、10月と11月の2ヶ月分の返還ができなかった場合、12月27日の3回目にまとめて振り替えが行われます。この際に、延滞金が追加されることになります。
延滞金については第一種と第二種で異なります。
第一種の場合、延滞している割賦金の金額に対して返済期日の翌日から返還した日までの日数に応じ365日あたり3%の割合を乗じて延滞金が発生します。なお、こちらは令和2年3月28日以降のもののため、それ以前の場合は5%から10%などの割合で延滞金が発生します。
第二種の場合は口座振替の手続きを行って返還している人は、365日あたり3%の割合を乗じた額が延滞金として発生します。こちらについても、令和2年3月28日以前は5%から10%での延滞金が発生します。
自分がどの利率に当てはまるかは事前に確認しておきたいポイントです。
振替ができず延滞金が発生するのとあわせて、返済の催促も行われます。
2ヶ月にわたり返還がされなかった場合は、返還している本人や連帯保証人に催促の電話が来ます。そして、それ以降は返還者や口座の名義人に奨学金返還の振替不能通知が発送されます。
自分だけでなく、連帯保証人に対しても連絡が行くため、早めの支払いが求められます。
自分のところに返還の催促通知が来ているにもかかわらず、支払いを行わない場合、連帯保証人に連絡が来ます。この段階になると自分だけでなく周囲を巻き込んだ大きなトラブルになるでしょう。
特に、親族に連帯保証人を依頼していた場合「生活は大丈夫なのか」と心配をかけることになります。
しかし、万が一無職の状態で奨学金が支払えない場合、自分での支払いは困難になります。その際は保証人の力を借りて返還を行うことも検討しましょう。
通知が来ても支払いを済ませない場合、日本学生支援機構が業務委託している債券回収会社から督促が行われることになります。
この際に返還がどうしても難しい場合は早めに「減額返還制度」や「返還期限の猶予制度」などの活用を検討しましょう。
債券回収会社からの催告があると周囲の人から不審に思われたり、自分自身もストレスを抱えたりします。
延滞金が発生したり、返還の催促が来ても支払いを行わなかった場合、やがて個人情報信用機関に登録がなされます。こちらは信用情報に傷がつくいわゆる「ブラックリスト」に載ってしまう状態になります。
返還を3ヶ月以上滞納するとブラックリストに載ってしまうため、できる限り早めの支払いが求められます。
信用情報に傷がついてしまうと今後、カーローンや住宅ローンなどローンを組めなくなるほか、携帯電話の分割払いやクレジットカードの登録や使用などができなくなるため日常生活に支障をきたします。
近年はクレジットカードを使った買い物が当たり前になっていることから、クレジットカードが使えないと生活で困難を抱えます。
また、車がどうしても必要な地域に住んでいる場合は車を購入することができず、働くことが難しくなる可能性もあるでしょう。その場合、車を購入するだけでなく、レンタカーやカーリースといった別の使用方法を検討することになります。
奨学金の滞納によりカーリースの審査にも通らない可能性がある
奨学金の支払いを行わず、信用情報に傷がつくと日常生活の様々な支払いで困難を抱えます。特に、車においては現金で一括購入する、もしくはカーリースの契約という選択肢になるでしょう。
しかし、奨学金を滞納してブラックリストに入ってしまうと車のローンだけでなくカーリースの審査に通らない可能性もあります。
カーリースも毎月一定金額を支払う信用が求められるため、車を購入できない、さらにリースも使用できないという結果になる可能性も考えられます。
また、無職の場合は収入が安定していないことから、カーリースを始めとした様々な審査に通りにくい懸念点もあります。仕事を早めに見つけることもあわせて検討しましょう。
返還が難しい場合に利用できる救済制度
ここからは、奨学金の返済が困難な場合に利用できる救済制度を3つ紹介します。
どうしても返済が難しくなった場合に利用を検討しましょう。
減額返済制度は、月々の返済を少なくできるため、毎月の支払いが難しい場合に有効です。
例えば、災害や疾病など経済的な理由で奨学金の返還が難しい場合に利用できます。しかし、こちらの制度を使用するには所定の要件を満たす必要があります。
必ずしも利用できるわけではありませんが、現在返済が難しい場合は日本学生支援機構の申請ページの確認がおすすめです。
返還期限猶予は、一定期間奨学金の返還を先送りできる制度です。上限は通算で10年との設定があります。
例えば、無職になってしまって一時的に収入がない場合に、猶予期間を設け、就職が決まり収入が安定したら再び返還を開始するといった方法があります。
ただし、猶予期間を活用した分だけ、返還にかかる期間が延びる点に注意が必要です。
奨学金の返還支援は日本学生支援機構だけでなく、各自治体でも行われています。自治体によって種類は様々ですが、一定期間特定の場所で働いたり条件を満たしたりすることで奨学金の返還を支援してもらえるものが多く見られます。
例えば、東京都の場合は「介護職員奨学金返済育成支援事業」として、在学中に奨学金の貸与を受けた人に対して、返済金相当額を手当として支給するものがあります。
自分が住んでいる自治体で奨学金返還支援が受けられるかどうか確認してみるのも一つの手です。
奨学金の支払いを遅延しないための節約方法
ここからは、奨学金の支払いを遅延しないための節約方法を3つ紹介します。
奨学金は毎月支払いが求められるため、自身の収支バランスを見直したり削れる予算を削ったりといった方法が有効です。自分がいくら収入があり、いくら使っているかを明確にしたり、固定費を見直したりと遅延しない仕組みづくりを整えましょう。
まずは家計簿をつけて自分の収支バランスを確認しましょう。
家計簿は紙のものでもアプリでも問題ありません。自分が毎日つけやすいものを選択しましょう。家計簿には固定費はもちろん、毎日使った細々とした金額も記載していきます。
記載する中で自分がいくらお金を使っているか確認できるのはもちろん、無駄遣いにも気づけるため奨学金の支払い遅延防止以外にもメリットが豊富です。
家計簿をつけて収支バランスを確認できたら次は見直しを行います。
まずは金額が大きい固定費の見直しがおすすめです。家賃は収入に見合っているか、サブスクリプションを使用している場合は「本当に使用するのか」といった観点で確認していきましょう。
生活費の中でも大きな割合を占める固定費は確実に奨学金を支払うためだけでなく、貯金を確保する際にも重要です。
毎月の支払い方法をクレジットカードにまとめることも家計の見直しと合わせておすすめです。
クレジットカードで支払いを全て行うと、支出を把握しやすくなります。またクレジットカードによってはポイントの還元を受けられるため、生活がお得になるといったメリットもあります。
奨学金の返済が滞り信用情報に傷がつくとクレジットカードを使えなくなります。クレジットカードを有効活用するためにもやはり奨学金の支払いは確実に行いましょう。
奨学金の支払いを遅延しないために事前にできること
奨学金の支払いが滞ってしまうと、まとまった金額を用意する必要があったり信用情報に傷がついたりと大きなトラブルに発展します。そのため、事前に遅延しないための心がけが欠かせません。
ここからは、奨学金の支払いを遅延しないために行いたい、2つの取り組みを紹介します。
まずは奨学金を借りた際や、貸与が始まったタイミングで返済の目処を立てておきましょう。
毎月の返済金額がわかったら自分の収入と照らし合わせます。具体的には、奨学金の支払いを念頭において収支バランスを確認します。
例えば、奨学金の支払いが月に1万5000円発生するのであれば、給与からあらかじめ予算として確保しておきましょう。その上で、固定費や食費、娯楽費などを計画していくと奨学金の返済を確実に行えます。
事前に奨学金の返済金額を避けておかなければ「お金をあるだけ使ってしまった」という可能性も考えられます。まずは必要なお金を確保しておくという考え方が大切です。
お金に余裕があるときは、奨学金の繰り上げ返済をする方法もおすすめです。
奨学金は長い間支払うことになるため、結婚や出産など様々なタイミングで支払いが難しくなる可能性もあるでしょう。また、病気や怪我などで無職になり、一時的に奨学金が支払えなくなった際も事前に繰り上げ返済しておくと期間を延長したり金額を減らしたりしても、その後が少し楽になります。
奨学金や各種ローンは余裕がある時に繰り上げ返済を行うことで、自分のその後に備えられます。独身時代にボーナスをもらった際やまとまった収入を得た際に繰り上げ返済を検討しましょう。
なお、奨学金の繰り上げ返済は「繰り上げ返還」という手続きを行います。申し込み方法はスカラネットパーソナルから申し込みを行います。こちらは土日祝日も活用できるため、忙しい方でも申請ができるでしょう。
繰り上げ返還は一部の金額だけでなく、全額の繰り上げ返還も可能です。ボーナスがある場合は数回分貯蓄しておいて奨学金をまとめて返すといった方法も良いでしょう。
特に、第二種の場合は利子が発生することから繰り上げ返還がおすすめです。
まとめ
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