自社ローンで車を購入し、数回は順調に支払えていても、その後の予期しない出費や収入減などにより返済が難しくなる場面はあります。こうした状況が長引くと、車を返却しなければならなくなる可能性も否定できません。
この記事では、自社ローンを滞納したときに本当に車を返す必要があるのか、支払い遅延が発生する場合のリスクと対処法について詳しく解説します。自社ローンのメリットとデメリットも解説するため、利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
- 短期の遅延(数日~1ヶ月程度)であれば、即座に車の返却を求められることはないが、販売店への早期相談が不可欠です。
- 滞納が3ヶ月を超えると、販売店による車両の引き上げ措置やエンジン停止装置の作動といった強制手段が取られる可能性があります。
- 6ヶ月以上支払いが滞ると、債権が回収会社に移行し、より厳しい取り立てや法的措置に発展するおそれがあります。
- 10ヶ月以上の長期滞納では、裁判・差し押さえなどの強制執行に進み、車だけでなく財産全体に影響が及ぶ可能性があります。
- 車を守るためには、少しの遅延であっても誠意ある連絡と早期の支払い計画の見直しが重要です。
自社ローンの支払遅延により車を返すケースもある
自社ローンを組んだ場合、販売店独自の基準で契約を行いますが、支払遅延が続くと車を返すよう求められるおそれがあります。複数回の延滞を重ねると、法的手続きの段階に進むケースもあり、短期の滞納とは異なる深刻な状況です。
どの程度の遅延が発生すると車両回収や残額一括請求といった具体的な措置が実施されるかを下記で詳しく解説します。
早い段階で相談や対応をすることが、車を守るための大切なポイントです。
自社ローンの支払いが遅れたとき車は返す必要がある?
自社ローンの返済が遅れたとしても、すぐに車の返却を求められるわけではありません。ただし、延滞期間が長引くと販売店の判断で車両を回収する措置が検討されます。
自社ローンの支払いが遅れたときに車を返す必要があるかは、期間によって異なります。ここからは、短期の遅延と長期の滞納でどのような対処が取られるのかについて、具体的に紹介します。
支払いが3日ほど遅れた場合、販売店からの連絡手段は電話やメール、LINEなどの比較的ソフトな催促が中心です。この時点で車を引き上げられる可能性は低いものの、連絡を放置すると信用低下につながります。
何か事情がある場合は早めに販売店へ意向を伝えると、相手に誠意を示せます。期日を過ぎた後は、一度でも話し合いの場を設けて、返済日の目処を説明するのが重要です。
早い行動がトラブル拡大を防ぐカギです。支払いに遅れた場合は速やかに相談しましょう。
支払いが1ヶ月ほど滞る状況では、これまでの電話やメールによる催促に加え、残債の一括請求を検討される可能性が高まります。さらに悪化すると、弁護士や司法書士の介入によって法的手段へ進むリスクも出てくるでしょう。
一括請求を受けると短期間で多額の返済を求められ、車を使い続けることが難しくなるため、できるだけ早い段階で販売店と協議し、返済プランを見直す必要があります。
誠実な姿勢で相談するのが回収の回避につながることもあるでしょう。そのため、早めに相談しておくことがおすすめです。
3ヶ月ほど滞納が続くと、販売店は車両を回収するためにエンジン停止装置を遠隔操作で作動させる場合や直接引き上げる場合があります。たとえ生活や仕事に欠かせない車であっても、販売店としては回収措置を取らざるを得ないと判断する可能性が高まるのです。
ここまで遅延が長期化する状況は深刻とみなされるため、連絡を避けていると問題解決の糸口を失います。少しでも返済を見通せる段階で相談や交渉を行い、計画を再構築する必要があります。
支払いが6ヶ月にわたって行われない場合は、販売店が自社での債権回収を断念し、債権回収会社へ権利を譲渡する可能性があります。譲渡後は新たな債権者からより厳しい取り立てを受けることも想定され、分割払いを再度交渉する機会も限られるかもしれません。
長期滞納による信用低下は激しく、事態は深刻化します。支払い能力に不安がある段階で、早めに話し合いの場を持つことが、最悪のシナリオを避けるうえで大切になるでしょう。
連絡を無視し続けると、後々トラブルになる可能性もあるため、必ず誠実な対応を取りましょう。
10ヶ月以上の未払いが続いたときは、法的手段が本格化するおそれがあります。裁判所を通して支払い督促や訴訟に移行し、判決確定後は財産差し押さえのような強制執行に進む場合があります。その結果、金融機関の口座や給与、あるいは動産を差し押さえられ、返済以外の生活にも大きな制限が生じるでしょう。
手続きを放置していると一方的に不利な状況になりやすいため、遅延が長引く段階でも話し合いを完全に諦めず、何らかの方策を探ることが求められます。また、裁判になると裁判費用は自分持ちになるため、結果的に大きな出費につながります。
販売店や弁護士、債権回収会社からの連絡を無視し続けていると、裁判所から支払い督促や訴状が送達される段階に移行していくでしょう。この状況では、話し合いによる解決が難しくなるだけでなく、財産差し押さえを含む法的措置が進んでしまいます。
連絡が取れない相手を「返済の意思がない」とみなす可能性も高く、より深刻な対処をとられる原因です。少しの遅延であっても、誠意ある態度で販売店と連絡を取り続けることが回避策として重要です。
自社ローンを利用するメリット
自社ローンの活用において、審査が柔軟だったり、金利が設定されていなかったりする点が魅力といえるでしょう。
ここからは、自社ローンの特長をより詳しく解説し、どのようなメリットがあるかを解説します。
車を購入する際に一括払いを選択すると、車両本体価格や諸費用をまとめて支払うため、相応の資金が必要です。自社ローンであれば頭金を最小限に抑えることが可能であり、手元にまとまった現金がなくても中古車を入手しやすいメリットがあります。
生活費や他のローンへの負担を考慮しつつ、月々の支払いに振り分ける方式を選べるため、家計管理にもプラスに働くことが多くあるのです。販売店のプランによっては頭金ゼロも実施しているため、こまめに情報を集めておきましょう。
銀行や信販会社のローンでは、信用情報や年収、勤務先などを厳しく審査し、過去の金融事故があれば審査に通りにくい傾向があります。一方、自社ローンは販売店が独自に返済能力を判断するため、金融事故の履歴があっても契約の余地が残されています。
具体的には、定期収入や現在の家計状況を重視するケースが多くあるのです。過去の経歴よりも「今後の支払いに対する誠実さ」を重視する販売店もあります。そのため、他のローンが難しい方にとっては大変助かる選択肢といえるでしょう。
自社ローンでは金利が設定されていないケースが一般的です。販売店が車両代金を立て替え、購入者はその販売店に対して分割で返済します。銀行系ローンなどとは異なり、金利部分の支出が生じないため、総返済額を抑えられる可能性があります。
ただし、保証料や事務手数料を別途設定する販売店もあるため、最終的な支払い総額は事前に確認しましょう。利息がゼロであっても、見えないコストが含まれる場合があるため、見積もりを比較しておくと安心です。
自社ローンの審査は、銀行や信販会社を挟まない分だけスピーディに進む傾向があります。早い例では当日に審査結果が出て、必要な書類や納車準備が整えば、最短1週間程度で車に乗れることもあります。
急に車が必要になった場合や、現在の車が故障して買い替えを急いでいるときには、大きなメリットといえるでしょう。
販売店によっては、通常ローンと同等の速度がかかるところもあるため、事前に何が必要なのかを確認し、スムーズに手続きを進められるよう準備しておきましょう。
自社ローンを利用するデメリット
自社ローンには独自のメリットがある反面、利用者が理解しておくべきデメリットも存在します。
ここからは、自社ローン特有のリスクや制限、契約前に必ず把握しておきたい点を解説していきます。
自社ローンを提供する販売店は、貸し倒れリスクを低減するために販売価格の上限を設定する場合が多くあります。そのため、高級車や輸入車、希少車などは自社ローンの対象外です。
どうしても高額な車を希望する場合は、銀行系オートローンや信販会社のローンを検討したほうが選択肢が広がるでしょう。
自社ローンの対応金額は販売店によって異なるため、事前に問い合わせを行い、希望車種が契約可能かどうかを確認しておくと、無駄な手間を省けます。
自社ローンを利用すると、完済するまで車の所有権は販売店側に留保されます。
所有権留保とは、ローンの支払いが終わるまで名義が販売店名義のままになる仕組みです。完済前に自由に車を売却したり、下取りに出したりできないため、急に資金が必要となった際に車を現金化したい場合には不便です。
制約は自社ローンのリスクの一つでもあるため、無理のない支払い計画を立てることが重要になるでしょう。
ローン返済が何度も遅延し、そのまま放置していると、販売店は車を強制的に回収する可能性があります。所有権が販売店側にある仕組みのため、法律上も正当な行為となる場合が多くあるのです。
さらに、販売店が倒産した場合でも、契約内容次第では別の権利者が回収に乗り出すことがあります。引き上げられた後に残債が免除されるわけではないため、車を失ったうえで借金だけが残るリスクも否定できません。
自社ローンを取り扱う販売店は地域によって偏りがあり、全国どこでも簡単に契約できるとは限りません。大手チェーンの中古車販売店では通常のオートローンが中心で、自社ローンサービスを行わないところも多くあります。そのため、希望する車種や価格帯を扱っている店舗が自社ローンに対応しているかどうかを事前に調べる必要があります。
対応店舗が少ない地域では、オンラインで対応可能な販売店を探すなど、情報収集に手間をかけることも視野に入れるとよいでしょう。
自社ローンは、通常のオートローンと比べて返済期間が短めに設定される傾向があります。12回から24回程度で支払いを終える必要があるため、月々の支払い額が高くなる可能性があります。
返済総額が抑えられるメリットもありますが、月々の負担が大きくなると家計を圧迫しやすいでしょう。十分な収入や貯蓄がないまま短期間での返済に追われると、滞納のリスクが高まり、最終的に車を失うリスクが高くなります。
家計状況を踏まえ、余裕ある計画を組むことが肝心です。
自社ローンでは信用情報機関への照会が省略される分、販売店はリスクヘッジのために保証人や保証会社を要求する場合が多くあります。家族や友人に保証人を頼むには相応の信頼関係が必要であり、拒まれれば契約自体が難しくなる場合もあるのです。
保証会社を利用する場合は、別途保証料が発生するため、結果的に支払い総額が増えることも想定されます。契約時に必要となる書類や費用を確認しておくと、後になってトラブルになるリスクを抑えられます。
自社ローンは金利がない代わりに、保証料や事務手数料などを上乗せする販売店が珍しくありません。利息としては表示されないものの、これらの費用を含めた合計金額で見ると、場合によっては銀行や信販会社のローンと大差がない、あるいは高くなることもあります。
契約前に総額をチェックして、本当に自社ローンが得なのかを見極める必要があります。見せかけの利息ゼロの言葉に惑わされず、細部まで確認する姿勢が大切です。
車を利用するならカーリースも検討しよう
自社ローンによる車の購入を検討する場合でも、カーリースを視野に入れることで、出費や管理面でのメリットを得られる可能性があります。
ここからは、カーリースを選択肢に加えるメリットを紹介します。
カーリースでは、多くの国産メーカーの新車を取り扱っており、グレード選択やボディカラー、オプション装備など、幅広くカスタマイズしやすいのが特長です。
中古車市場で好みの車を見つけられない場合でも、新車リースなら在庫状況に左右されにくく、一定のリードタイムを経て希望の車を手にできます。
自社ローンの中古車購入と比較すると、購入時の整備状況などを心配する必要が少なく、車の品質面に対する安心感が得やすくなります。
カーリースでは、毎月支払う定額の料金に税金やメンテナンス費用が含まれるプランが多く、車を維持するために必要な費用を明確に把握できる点がメリットです。
急な修理費や車検費用に頭を悩ませる場面が少なく、家計を安定させたい方にとっては魅力的です。
自社ローンで中古車を購入する場合は、購入後すぐに部品交換や修理が必要になる可能性があるため、予想外の出費が発生する場合があります。一定のコストで新車に乗れるカーリースは、ローン購入と比べてリスク分散につながるでしょう。
まとめ

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。