信用回復ローンは、申込人の現在の収支状況に重点を置いた金融商品です。信用情報の登録内容に傷があってもお金を借りられるだけでなく、完済時に信用情報が回復する利点があるため、市場には大きなニーズがあります。
決して怪しい商品ではなく、貸金業登録をしている事業者により提供されているれっきとした金融商品です。通常のローンと同様、厳格な本人確認と審査により貸し出しの可否が決定されます。
この記事では、信用回復ローンの仕組みと申込時の必要書類について解説します。また、類似商品に自社ローンと呼ばれる商品があるため、信用回復ローンとの違いについても触れていきます。
ローンの審査に通らなくて困っている人は、ぜひ参考にしてください。
信用回復ローンは申込人の信用情報を回復させられるローン

銀行系のローンやクレジットカードの申し込みをすると、取扱会社は申込人の「信用情報」を照会します。
信用情報は、ローンやクレジットカードを契約している人の返済や支払いの延滞履歴、破産や債務整理の情報などが登録されるもので、金融商品の取扱業者の間で共有されます。これらに事故情報があると、一般的には新たにローンを組むことはできません。
この記事で取り上げる「信用回復ローン」は、単にお金を借りられるだけでなく、約定通りの返済実績を積み重ねて完済することで過去の事故情報を挽回できます。過去の事故情報に妨げられて新たにローンを組めずに悩んでいる人にとって、人生を挽回できる可能性もある魅力的な商品です。
信用回復ローンの概要
信用回復ローンは、車購入資金として借りられるローンの一種です。単にお金を借りられるだけでなく、完済実績が信用情報に登録され、信用情報を更新できる商品です。
まずは信用回復ローンの概要を説明するために必要な知識となる信用情報について解説します。信用情報の仕組みがわかれば、信用回復ローンの審査の仕組みと他商品との差別化ポイント、さらに信用情報がどのように回復するのかが見えてきます。

信用情報とは、ローンやクレジットカードの金融商品の過去の取り扱い履歴が登録される個人情報です。金融機関や信販会社の間で共有されるものであり、各会社がそれぞれ申込人の同意のもと、同一の信用情報にアクセスできる仕組みになっています。
過去にローンで返済に遅延があったり、クレジットカードの支払いが滞ったりした実績があると事故情報として信用情報に傷が残ってしまいます。このことを「ブラックリスト」に登録されると呼ばれたりもします。
これらの情報は金融機関で共有されているため、事故情報が登録された業者と違う会社で新たに金融商品の申し込みをしようとしても事故情報は隠せません。支払い遅延とは想像以上に重い事象であり、簡単には取り返しがつかないため、日ごろから支払期限には十分注意しましょう。
信用回復ローンの審査では信用情報の照会がなされますが、事故情報が確認されても、その事実にのみ基づいて審査が否認とはなりません。事故情報があることを前提に現在の勤務先情報、勤続年数、収入、月々の支払い状況を精査し、現在の返済能力に重きを置いて審査されます。
信用回復ローンの取り扱い実績もまた信用情報に登録され、延滞なく完済したときにはその情報が最新の信用情報として上書きされるため、信用情報が回復できる仕組みです。ただし、過去の事故情報が消えるわけではないことに注意してください。
信用回復ローン申し込み時の必要書類

貸金事業者にとって、ローン審査は金銭の貸し借りを判断する非常に重要なプロセスです。収入状況を審査するための書類の他、厳格な本人確認のための各種証明書類が求められます。
信用回復ローンの申し込みもしくは契約時の必要書類は一般的なローン商品と基本的には同じです。ここでは必要書類について、それぞれなぜ必要なのか、どのように準備するのかを解説します。
申込時に最初に求められるものが本人確認書類です。個人が主体となる契約には大抵「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」など申込人の本人情報が確認できる書類を提出します。
しかし、ローンでは申し込みの段階から本人確認書類が求められます。信用情報は個人のデリケートな機微情報であるため、間違って別人の信用情報を照会することがあってはならないためです。
金融機関によっては顔写真付きの本人確認書類を求められることもあります。健康保険証など顔が確認できないものでは不十分とされるケースがあるため注意しましょう。

現在の収入を客観的に証明できる書類のことを収入証明書といいます。申込人に対する貸出金の返済原資を検証するために必要な書類です。
収入証明書は、給与所得者であれば「源泉徴収票」や「給与明細」などの書類です。
貸金業者からすれば安定・継続的な返済が可能であることを確認する必要があります。したがって、営業成績などにより毎月の給与の変動が大きい職種の場合、給与明細は3ヶ月分程度を要求されることもあります。
ローン商品の基本的な対象者は給与所得者です。しかし、要件を満たせば個人事業主でも申し込みできる場合があります。個人事業主は収入証明書として「確定申告書」を提出しましょう。
住民票は、公式に申込人の住所を証明する書類で、在住の市町村が発行します。本人確認書類に記載されている住所と住民票の情報が違うと受付されないため、提出する書類の情報が一致していることの確認は必ずしてください。
証明書には発行日が記載されます。一般的には契約日から3ヶ月以内に発行されたものが要求されるため、古い日付のものは使えません。
以前は営業時間中に市町村役場まで取りに行かなければいけませんでしたが、現在はコンビニで取得できるようになったため、気軽に準備できるようになりました。取得には数百円の費用が発生するので注意しましょう。

印鑑証明書は、申込書や契約書に押印する印鑑が本人のものであることを公式に証明する書類です。
特に契約書は、約定通りの返済を法的に督促するために、間違いなく本人が契約したことの記録が必要です。印鑑証明書を契約書とセットで保管することにより、契約時点で押印された印鑑が間違いなく本人のものであることを後から証明できます。したがって貸金業者からは必ず印鑑証明書の提出が求められます。
印鑑証明書も住民票と同様に発行日付が記載されており、同じく3ヶ月以内のものが必要となるため、発行日付には注意してください。
また、現在はコンビニで取得でき、数百円費用がかかる点も住民票と同様です。
在籍証明書は給与所得者が申込書に記載した勤務先に、現在も間違いなく所属していることを証明する書類です。同時に提出する収入証明書の信ぴょう性を補完する意味合いも含まれます。
在籍証明書は勤務先の人事担当に依頼すれば発行されます。社印が捺印されていることを確認してローン業者に提出してください。
上記紹介した書類が信用回復ローンを含め、一般的なローンの申し込みと契約に必要な書類です。
もともと自分で所有しているものは本人確認書類と収入証明書ぐらいで、あとは時間を見つけてそれぞれ手配する必要があります。収入証明書も、過去の分を整理保管していないと、勤務先に再発行を依頼しなければなりません。
1日で全てを揃えるのは難しいため、あらかじめ申し込みと契約時に必要な書類をチェックし、スムーズに手続きを進められるようにしておきましょう。
ローンでは、契約時に印鑑証明書があれば良い場合があるため、審査に通らなかったときは印鑑証明書が無駄になってしまいます。別のローンの契約で使えますが、その場合は3ヶ月の有効期限に間に合うように手続きするよう気を付けてください。
信用回復ローンのメリット

一般的なローンと比較した信用回復ローンのメリットを見ていきましょう。
具体的なメリットを細かく知っておき、数ある商品の中から本当に自分に合っているか判断できるようにしてください。
銀行系のローンでは、収支状況に懸念がなくても、事故情報がある場合はほぼ審査に通りません。信用情報は時間の経過で消えますが、事故情報の内容により5年~10年の時間を要します。
信用回復ローンは時間の経過を待たずに車購入資金の借り入れニーズのある顧客をターゲットとしており、過去の情報よりも現在の収入や生活状況に重きを置いて審査します。
現在は十分に経済的余力がある生活をしているのに、過去の事故情報が足を引っ張って経済対策が制限されている人にとっては大変ありがたい商品です。
信用回復ローン自体の利用情報や返済状況も信用情報に登録されます。したがって、毎月滞ることなく完済までたどり着けば、その実績が最新の信用情報として上書き登録されます。
過去の事故情報が消えるわけではありませんが、事故情報の後に完済した履歴を残せることは、客観的な信用を回復する手段として有力です。
車購入のための資金手当てと同時に将来のための信用の創出ができるのは、他の商品にはない、信用回復ローンだけがもつ最大の差別化ポイントです。
自動車購入のための一般的なマイカーローンの返済期間は2年~3年です。これに対し信用回復ローンは最大10年(120回)までの長期間で取り扱いが可能です。
返済期間は長くなるほど毎月の返済額を少なく抑えられるため、月々の資金繰り計画が立てやすくなります。通常のローンの返済期間では生活が苦しくなりそうでも、柔軟に選択肢を模索できます。
信用回復ローンは審査の通りやすさと信用の回復が魅力として印象的ですが、返済期間の柔軟性も忘れてはいけないメリットです。
ただし、期間が長くなると、ローンの元金が長く残り続けることとなるため、金利負担と合わせた総支払額は事前にしっかりとシミュレーションしておきましょう。
信用回復ローンのデメリット

車が購入でき、返済期間も長めにとれて、信用情報も回復するなど事故情報の保有者に寄り添った商品設計となっている信用回復ローンですが、得られるメリット相応のリスクも存在します。
貸金業者も商売として運営しているため、顧客に提供するサービスにかかるコストに見合った商品設計としています。このことを念頭に、メリットとデメリットを十分に比較して借り入れを検討してください。
信用回復ローンの金利は、銀行系や自動車販売店のマイカーローンと比較して高めの金利設定とされています。
貸金業者は貸し倒れのリスクが高くなるほど高めの金利を設定します。これは、貸し倒れ分を補完する利益と債権回収にかかる費用を回収する必要があるからです。
信用回復ローンは過去の金融事故者に対する貸し出しを許容するほか、原則として保証人や担保を要求しません。したがって、貸し倒れリスクと貸し倒れ時の損失が大きく、これに見合った金利設定をしています。
購入したい自動車と信用回復のメリットが、金利分を含めた支払額に見合う投資かどうか検討しましょう。
信用回復ローンでは貸し出し金に対する担保を取りません。ただし、購入した車にはGPSが付けられる可能性があります。
購入車にGPSを搭載するのは担保の意味合いが強く、もしも返済が滞ってしまったときにはそれ以上車を使わせないようにし、その時点で車を回収することで、それ以上の損失を防ぐ目的があります。
本来、担保契約には抵当権や保証契約など契約が必要ですが、GPS管理は契約を伴うものではなく、事実上の担保として顧客と合意しているものです。信用回復ローンの契約では、貸金業者に車をGPS管理されることを許容しなければなりません。
借り手にとっては心理的な負担になりますが、健全な返済を続けていればGPSが機能することはありませんので、約定通りの返済を心がけましょう。
自社ローンとの共通点と違い

信用回復ローンの他に、もう一つ事故情報があっても審査に通る可能性があるのが「自社ローン」という商品です。信用回復ローンとは違う仕組みをとっており、両社はよく比較されます。
ここでは、信用回復ローンと自社ローンの違いについて解説します。申し込みを検討する人は、それぞれの特徴を理解し、どちらが自分の状況に合致しているのか判断できるようにしてください。
信用回復ローンが独立系の貸金事業者が運営しているのに対し、自社ローンは車の販売店が信販会社を通さずに運営していることから、その名で呼ばれています。
金融機関の商品ではないため、審査においては信用情報を照会せず、自社ローンの情報自体も信用情報に登録されません。
自社ローンも申込人の収支状況を重要視しますが、返済できなかったときの補完策として、車の頭金や保証人を求められることがあります。
収支状況だけでは審査に通らない可能性があるため、自社ローンを利用したい場合は高額な車を全額フルローンで契約することは難しいでしょう。車購入時には頭金の準備、もしくは頼める保証人を見つけておくことが必要です。
信用回復ローンと自社ローンの共通点は以下の通りです。
- 事故情報があっても審査に通る可能性がある
- 金利が高い
自社ローンでは「金利ゼロ」を謳う業者がありますが、金利相当分が車両価格に上乗せされているため、総支払額をしっかりと確認しましょう。
信用回復ローンと自社ローンの違いは以下の通りです。
- 信用回復ローンは信用情報に完済実績が登録されるが、自社ローンは登録されない
- 信用回復ローンは返済期間が長くとれるが、自社ローンは短い傾向にある
- 信用回復ローンは頭金や保証人が不要だが、自社ローンは条件として頭金や保証人を求められることがある
信用回復ローンは借り入れ条件もやさしいため、保証人のあてが無い人にとっても選択肢となります。
一方で金利は信用回復ローンの方が高いことが多いため、車の購入に重きを置く人にとっては自社ローンの方がいいでしょう。他にも、柔軟な返済期間の設定や、頭金・保証人が要らない点に魅力を感じれば、信用回復ローンを選びましょう。
まとめ
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