カーリースは車を所有する方法として人気ですが、契約期間中は中途解約が原則的に認められない点に注意が必要です。やむをえず中途解約が認められたとしても、違約金の支払いを求められる場合がほとんどです。
この記事では、カーリースの中途解約が認められていない理由や、例外的に認められるケースなどについて解説します。また、いざ中途解約することになった場合の手続方法についても見ていきましょう。
カーリースで中途解約をする場合は要注意!
カーリースは、まとまった資金がなくても好きな車を利用できる便利なサービスですが、一度契約すると契約期間が終了するまで中途解約ができません。
以下では、その理由や中途解約を防ぐための対策などを解説します。
カーリースの中途解約について
最初に、カーリースの中途解約が原則的に認められていないことについて解説します。
契約キャンセルはできるのか、クーリングオフは適用されるのか、契約途中での車の乗り換えはできるのか、といった疑問について詳しく説明していきます。
また、契約途中でリース車を変更するいわゆる「乗り換え」もできません。
カーリースの契約を結ぶと、原則的に中途解約はできません。これは、契約を締結する際にリース会社から送られてくる「約款」にもきちんと記されています。
例外的に解約が認められるケースもあるものの、違約金を請求されることがほとんどです。
カーリースでは、車両本体価格から最終的な設定残価をマイナスしたものと諸費用を合計し、それをリース月数で割ったものを毎月支払います。途中で解約すると料金が支払われなくなるため、解約はできないこととなっています。
カーリース契約を辞めることについて、「契約キャンセル」という言い方をすることもあります。これも、契約期間中にカーリースを辞めるということであれば、前述の「中途解約」と意味は同じで、やはり原則的に認められていません。
しかし、カーリース契約を正式に締結する前であれば「中途解約」にはならず、「契約することをキャンセルする」のは可能です。契約書に署名捺印する前であれば、キャンセルしても違約金を請求されることはないでしょう。
カーリース契約では、クーリングオフ制度が適用されません。車に関する商取引は熟慮した上で契約するものなので、「後で考え直す」ことが想定されていないからです。
カーリース契約をクーリングオフしたいという場合は結局、中途解約となるので違約金が発生するのが一般的です。
違約金の計算方法はカーリース会社ごとに異なりますが、残りの契約期間が長ければ高額になる傾向があります。
後述しますが、中途解約が例外的に認められる場合もあります。しかし、解約が認められたから違約金が発生しない、ということはありません。
「リースしている車に乗り飽きたから乗り換えたい」などの単純な理由では解約は認められないので注意しましょう。
リース車に乗り飽きたなどの理由で別の車に変更したくなっても、それは認められません。このようなリース車の「乗り換え」もまた中途解約と同じことになります。
そのため、後で車を変更しなくてもいいように、最初の車選びの段階で注意する必要があります。
カーリースで、契約者が車の変更を希望するケースは珍しくありません。家族が増えた、あるいは減ったなどの理由でボディサイズが合わなくなるという事例があるので、リース期間中にこうした生活状況の変化が予想できる場合は、それを踏まえてリース車両を選ぶようにしましょう。
例外的に中途解約が認められるケースについて
ここまでで、カーリース契約は中途解約・契約キャンセル・クーリングオフ・乗り換えのいずれも原則的に認められていないことを説明しました。しかし、例外的に認められることもあります。
以下では、中途解約ができるのはどんな場合なのかを見ていきましょう。
違約金は、契約解除時に支払う解約金の中に含まれます。
解約金は、中途解約の手続きとしてリース車を返還した際、車の残存価値を査定することで算出されるでしょう。そこには事務手数料なども含まれています。
また、この時点での車の価値がリース契約時に設定された残価を下回っている場合は、追加料金が加わることもあります。
カーリース契約では、通常は契約後の中途解約は認められません。契約者が病気や怪我による長期入院を余儀なくされた場合などは例外的に中途解約が認められることもありますが、違約金の請求が免除されるわけではないため注意が必要です。
こうした事態を避けるには、日ごろから怪我に注意することはもちろん、リース期間中に入院予定がある場合は事前に考慮するなどの予防策を講じることが重要です。
また、怪我をした時の治療費を捻出できるよう、任意保険を含む医療保険などの契約内容にも注意を払うようにしましょう。
契約者のライフスタイルが大きく変わった場合も、カーリース契約の中途解約が例外的に認められることがあります。
例えば、海外転勤することになったというケースや家族構成の変化によりもっと大型の車が必要になったというケースが該当します。
ただし、前項と同様に解約が認められたとしても違約金が発生しないわけではないので注意しましょう。
契約者が死亡した場合は、カーリース契約の中途解約が認められます。
解約のための手続きを行う際は、死亡した契約者の死亡診断書や遺族の身分証明書などの書類が必要となるでしょう。
違約金は契約者が亡くなっているので免除されるのでは?と思うかもしれませんが、実際には相続人が支払い義務を負うことになります。
このような事態を防ぐために、遺族がリース車を引き続き使用することも可能です。その場合、遺族はリース会社に対して契約者変更の申請を行うことになります。
カーリース契約では、基本的にクーリングオフ制度は適用されません。そもそもクーリングオフ制度は、訪問販売などの取引で商品の売買契約を結んだ場合に、一定期間内であれば契約を解除できるという制度です。
これはあくまでも消費者を保護するためのものであり、事業者には通常適用されません。しかし、例外もあります。
商取引に不慣れな事業者やフリーランスを狙った悪質な業者から守るために、経済産業省は、事業者名で契約していても個人や家庭用に使うものであればクーリングオフが可能という見解を示しているのです。
このことから、事業者がリース契約を結んだ場合でも、個別のケースによってクーリングオフが適用されることがあります。
基本的に中途解約もクーリングオフも認められていないカーリースにおいて、これは例外中の例外だと言えるでしょう。
事故などでリース車両が運転不能になった場合も、中途解約が認められることがあります。このような場合、リース会社によっては中途解約の手続きや相談に対応してくれるサポートデスクが設置されていることもあるので、相談してみましょう。
事故で車が動かなくなったら、加入している任意保険の補償が受けられるかについても確認してください。
カーリース契約では、事故などのトラブルが発生した際、速やかにリース会社へ連絡しなければいけないと定められています。まずは、リース会社に連絡をすることが第一です。
カーリースの中途解約の手続きについて
ここまでで、カーリースの中途解約は原則不可であるものの、一定の条件下であれば認められることを説明しました。(ただし違約金の支払いは必要)
次に、カーリース契約を中途解約する際の手続きについて解説します。
カーリース契約を中途解約した際、最初に車を返却する必要があります。車検証など納車時に受け取った書類を用意して、リース会社が指定した場所へ車を持ち込むようにしましょう。
リース契約者には原状回復の義務があるので、返却する前に車を清掃し、傷やへこみがあれば可能な範囲で修理することが大切です。
また、走行距離が制限値を超えている場合は、中途解約の違約金に加えて追加料金を請求されることもあるので注意しましょう。
返却されたリース車両は、まずリース会社による査定を受け、その上で残価精算が行われます。
査定では、車の価値が原状と比較してどれくらい下落しているかが判定され、その残存価値が算出されます。
カーリース契約を中途解約する際に発生する解約金は、車の査定結果を考慮して算出されます。
傷・汚れ・へこみ・走行距離の制限値オーバーなどの要素が見られた場合、車の価値が原状から大きく下落していると見なされて追加費用が発生する可能性が高くなるでしょう。
解約金の計算方法はリース会社によって異なりますが、返却時の車の状態によっては追加料金を請求されることをあらかじめ見越しておいてください。
解約金には、このほかにも残存期間分の月額使用料や中途解約による違約金、事務手数料なども含まれます。中途解約を検討する時点で、解約金の金額は事前に確認しておきましょう。
なお、カーリース契約の契約方式には種類がいくつかあります。契約期間が短いプランや走行距離の上限がないプランでは解約金が発生しないこともありますので、自分の加入しているプランを確認しておくことも大切です。
カーリース契約を中途解約する際も、準備しなければならない書類があります。
残りの契約期間に支払うはずだったリース料金や車の残価などを基に解約金額が確定したら、改めて中途解約する意思に変わりがないか確認されます。
そして、中途解約に変更がなければ、解約金の金額と費用負担について説明を受けてから各種書類を準備しましょう。
必要になるのは、以下の3つです。
- カーリースの契約書
- 車検証
- 印鑑
手続きが遅くならないよう、早めに用意してください。
こうして、カーリース契約の中途解約手続きを進めていったら、最終的に解約金を支払うことで一連の手続きは完了となります。
精算することになったら、リース会社から中途解約の合意書が送られてくるので、それに記入して返送しましょう。
解約金の支払いは多くの場合、銀行振込で行われますので、口座の残高や振込手数料の金額なども確認した上で処理してください。
あまりないことですが、現金など違う方法で支払いたい場合はリース会社に相談してみましょう。
カーリースの中途解約を防ぐ方法について
ここまでで、カーリース契約を中途解約する場合の条件や手続きの流れについて確認しました。
最後に、カーリースを中途解約しなくても済むように、契約を締結する時点でどういった対策を立てておくといいのかを解説します。
将来的なライフスタイルの変化に伴い、車を変更する必要が生じないか考えておくことも大切です。
カーリースの中途解約が原則的に認められないことは、契約時に交付される契約書に書いてあります。厳密には、契約内容が細かく長い文章で書かれている部分は「約款」といい、カーリースの具体的な内容から禁止事項まで記されています。
中途解約を防ぐためには、まず約款を読んで、カーリースの禁止事項や認められていないことが何なのかをしっかり理解しておくことが大切です。
特に日本ではこうした契約書の長文は読み飛ばされる傾向がありますが、カーリースの約款の文章は比較的短いので、契約を結ぶ前に一度は目を通しておきましょう。
カーリースの中途解約を防ぐために、任意保険をうまく活用するとよいでしょう。
例えば、車の故障修理代をカバーできる車両保険を利用すれば、「車がもう動かない」という理由で中途解約するような事態を避けることができます。
このような事態になってリース車を中途解約すると、違約金に加えて返却した車の修理代も追加料金として請求されるかもしれません。いざという時のために、車両保険にしっかり加入しておくことが大切です。
また、人身傷害保険に加入しておけば、万が一自分が自動車事故の加害者になって怪我をしてしまったとしても、治療費が保険で下ります。そうすれば経済的負担も少なく治療できますし、カーリースを解約することなく再びリース車を利用できるでしょう。
また、違約金の補償などをカバーするリース車専用の保険も存在します。この保険は、リース期間と同じ期間だけ加入できるのに加えて契約更新手続きも不要です。
事故に遭遇しても等級が落ちることがないため、保険に加入する際の一つの選択肢として、検討することをおすすめします。
カーリース契約の中途解約を防ぐために、将来的なライフスタイルの変化をきちんと見越しておくことも大切です。
家族や仕事の状況、生活環境などが変わることで車を乗り換える必要が生じることもあります。
近いうちに子供が生まれる予定があるなら、妊婦が乗り降りしやすく、チャイルドシートが装着しやすい車両を前もって選んでおくとよいでしょう。
また反対に、進学や就職で家族が遠隔地に引っ越すというケースもあるかもしれません。
遠隔地に引っ越した家族のところに会いに行くために、荷物を積むことができて、長距離を走りやすい車を選ぶのもよいでしょう。ただし、リース車両には走行距離制限もあるので、長距離を走るとなるとプランの見直しも必要になります。
これはほんの一例ですが、こうした将来的な変化に合わせて、ちょうどいいタイミングで乗り換えができるようにリース期間を短くするのも一つの手です。
契約期間中にリース車を変更するとなると中途解約扱いとなるので、どのような車にするのかきちんと検討してから決めましょう。
カーリースの利用時に、これから車の必要性が変わる場合に備えて「乗り換え」が可能なリース会社を選ぶ方法もあります。
契約プランによって異なりますが、一定期間が経過すると車を乗り換えられるサービスを提供している会社もあります。このプランに加入しておけば、近いうちに家族が増えるといった場合に便利です。
あるいは、最初から契約期間を短くするなど、自分に合ったプランを選びましょう。
まとめ
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