車を購入する際に、多くの方はカーローンを利用するのではないでしょうか。その中でもよく耳にする「自社ローン」と「残価設定ローン」です。

この2つは仕組みの面で大きく異なります。どちらを選ぶべきかは、自分の置かれた状況や利用目的によって決まるため、両者の特徴や違いを正しく理解することが大切です。

この記事では、それぞれのローンがどのような仕組みになっているか、また、どのような方に適しているのかについて詳しく解説します。

ポイント
  • 自社ローンは信用情報を参照せず、販売店独自の基準で審査するため通りやすいといえます。
  • 自社ローンは連帯保証人や頭金を事前に用意しなければならない場合があります。
  • 残価設定ローンの大きなメリットとして、月々の支払いを抑えられる点が挙げられます。
  • 残価設定ローンは走行距離や車の状態に制約があるため、使い方には注意が必要です。
  • どちらのローンを選択するかは、それぞれのライフスタイルや支払い能力によります。

自社ローンと残価設定ローンの違いを理解しよう

自社ローンと残価設定ローンの違いを理解しよう
車を買う際には購入資金のやりくりが非常に大切ですが、多くの方は現金一括購入よりもローンによる購入を選択するのではないでしょうか。

カーローンの中でも、自社ローンと残価設定ローンはそれぞれ異なる特徴があります。その違いを理解することにより、自分に合った支払い方法を選択できるようになります。

自社ローンと残価設定ローンの違い

自社ローンと残価設定ローンは、どちらも月々の支払いで車を購入できるという点では共通していますが、審査基準や返済方式、車の所有権に関する取り扱いなどに違いがあります。

ここでは、自社ローンと残価設定ローンの仕組みや特徴について詳しく解説します。

自社ローンとは?

自社ローンとは?
銀行や信販会社などの金融機関を介さず、自動車販売店が独自に提供する分割払いシステムです。信用情報機関への照会を行わず、販売店が独自に収入状況や返済能力を審査して融資を決定します。

そのため、過去にローンやクレジットカードの延滞などのような履歴があっても、現在の収入や雇用状況に問題がなければ審査を通過できる可能性があるのが特徴です。

他のローンの審査に通りにくい方は、検討してみてはいかがでしょうか。

自社ローンは契約の柔軟性が高く金利がかからないというメリットがありますが、手数料や保証人が必要になることがあるため、事前に確認しておく必要があります。

残価設定ローンとは?

残価設定ローンとは?
ローンを契約する際に、将来の下取り価格(残価)をあらかじめ設定し、その残価を差し引いた金額を月々分割返済するローン方式です。

例えば、車両本体価格200万円の車を5年60回払いで購入する場合、5年後の残価が80万円に設定されたとします。車両価格から残価を差し引いた金額は120万円となり、それを60回で返済するため、月額は2万円となります。ただし、これは金利などを除いた単純なシミュレーションです。

上記のような仕組みにより、月々の返済負担を軽減できるメリットがあります。

契約が終了する際には、残価分を支払って車を買い取る、返却する、新しい車に乗り換えるといった選択肢があることも特徴です。

自社ローンの審査はどのように行われますか?
信用情報機関などへの照会は原則行われず、販売店が独自の基準に従って審査します。申込者の収入状況や雇用状況など、現在の返済能力をもとに判断するのが一般的です。そのため、過去に金融事故の履歴がある方や、他のローン審査に通らなかった方でも利用できる可能性があります。
ただし、販売店によっては頭金や保証人を求められる場合があるため、事前の確認が重要です。

自社ローンのメリット

車を購入する際にカーローンの利用を検討する方は少なくありませんが、審査に通るか不安だという気持ちを感じている方も多いのではないでしょうか。

自社ローンには、審査の柔軟性だけでなく様々なメリットがあります。その内容を理解しておくことでローン利用に対する不安を取り除くことにつながるでしょう。

ここでは、自社ローンの具体的なメリットについて紹介します。

信用情報に不安がある方でも審査に通りやすい

信用情報に不安がある方でも審査に通りやすい
自社ローンの大きな特徴の一つは、販売店が独自の基準で審査を行うことです。

一般的なカーローンでは、信用情報機関のデータをもとに過去の滞納履歴や金融事故などがないかを調べますが、自社ローンでは現在の収入や雇用の状況を重視します。そのため、信用情報の履歴に不安がある方でも、現在の返済能力次第では審査に通る可能性がある点が魅力です。

過去に自己破産や債務整理を経験した方などにとっても、有力な手段となります。また、勤続年数が短い方や非正規雇用の方であっても、安定した収入があれば柔軟に対応してもらえるケースが多いでしょう。

金利がかからず支払い総額が分かりやすい

自社ローンのメリットとして、金利が0%だという点も挙げられます。

自社ローンはローンですが金融商品ではなく、販売店と購入者との直接契約であるため、金利を設定する必要がありません。そのため、支払総額は車両価格と諸費用のみとなり、月々の支払金額が分かりやすくなる点がメリットです。

例えば、車両価格が90万円で36回払いの場合、月々の支払額は総額を支払回数で割った2.5万円となり、総額も分かりやすいでしょう。

ただし、販売店によっては保証料や手数料がかかるため、支払総額がどの程度になるのか契約前によく確認しておく必要があります。

納車までが早い

自社ローンは、信販会社などを経由せず、販売店が直接審査を行うため、手続きが迅速に進む点が特徴です。審査結果が即日で分かる販売店も多く、ローン契約から納車までの期間もその分短縮されます。

特に、中古車の在庫豊富な販売店であれば、最短で即日納車が可能な場合もあるでしょう。そのため、急ぎで車を必要としている方や、仕事で車を使う必要がある方には大きなメリットです。

ただし、納車までどれくらいの時間がかかるかは販売店の在庫状況によっても異なるため、あらかじめ販売店に確認することをおすすめします。

自社ローンのデメリット

審査の柔軟性が高く利用しやすいメリットがありますが、注意すべき点もあります。デメリットも併せて理解しておくことにより、さらに安心して自社ローンを利用できるはずです。

ここでは、自社ローンを利用する際のデメリットとなり得る要素について紹介します。

ローン返済中の車の所有権は販売店にある

ローン返済中の車の所有権は販売店にある
まず理解しておかなければならないのが、ローンを完済するまでは、車の所有権が販売店側にあるということです。

これにより、購入者がローン途中で返済できなくなった場合に、販売店は車を回収することで貸し倒れリスクを軽減できます。

そのため、ローン返済中には購入者側が車を自由に売却できません。もちろん名義変更や譲渡にも制約が生じる点に注意が必要です。

また、販売店が倒産してしまった場合、車の所有権は販売店にあるため差し押さえられるリスクがあることも覚えておく必要があります。

連帯保証人が必要になることもある

信用情報に不安がある方でも利用しやすいというメリットがありますが、申込者の収入や雇用の状況によっては連帯保証人を求められる場合があります。

連帯保証人を求められた際に、適格な人物が見つからなかった場合には、ローンの利用が困難になる点がデメリットといえるでしょう。

柔軟な審査基準は魅力ですが、申込者の返済能力や返済計画に不安がある場合は、販売店がリスク分散のために連帯保証人を求めるのはやむを得ません。

学生や収入が不安定な方などは、特に保証人を求められやすいことは理解しておきましょう。

頭金の用意が必要なケースもある

独自の審査により融資の対象を判断するという性質上、販売店側は申込者の支払能力を確認しておかなければなりません。そのため、自社ローンを利用する際には頭金が求められる場合があることを理解しておきましょう。

頭金は、車両価格の一部をローン契約時に支払うことで、借入額を減らし月々の返済負担を軽減する目的があります。

これにより販売店は貸し倒れのリスクを抑えられ、申込者の返済意欲も推測できます。

頭金の金額や支払いの時期については、柔軟に対応してもらえる場合があるため、事前に販売店側と相談してみるのが良いでしょう。

残価設定ローンの月々の支払い額はどのように計算されますか?
残価設定ローンでは、車両価格から、契約時に設定した契約満了時の下取り価格(残価)を差し引いた金額を分割して支払います。これにより、通常のローンよりも月々の支払額が抑えられるのが特徴です。
契約終了時には残価を支払って車を買い取るか、返却するかを選択することができます。また、その段階で再度ローンを組んで新しい車に乗り換えるという選択肢もあります。

残価設定ローンのメリット

あらかじめ設定した残価を差し引いた金額を分割回数で割る残価設定ローンには、他のローンにはないメリットがあります。

通称「残クレ」とも呼ばれるこのローンを選ぶ割合は高く、メリットの大きさから収入や年齢を問わず幅広く利用されているのが特徴です。

ここでは、残価設定ローンの具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。

毎月の支払い負担を抑えられる

このタイプのローン最大のメリットとして、月々の支払負担を大きく抑えられるという点が挙げられます。

このメリットを生み出しているのが、車両価格から将来の下取り金額(残価)をあらかじめ差し引くという仕組みです。残価を最終支払回まで据え置くことで、通常のローンよりも月々の支払いが軽減されるため、ローン以外の支出に余裕を持たせられるでしょう。

そのため、月々の支払額は抑えたいけれども、好きな車種の新車に乗りたいという方にとって特におすすめです。また、契約満了時には、残価を支払って乗り続けたり、返却したり、新車に乗り換えたりと、柔軟な選択肢が用意されています。

最新モデルを乗り継げる

最新モデルを乗り継げる
残価設定ローンは契約期間が3〜5年と比較的短いため、定期的に新型モデルの車に乗り換える楽しみを味わえます。常に最新モデルの車に乗ることで、所有欲を満たせるだけでなく、最新の安全性能や燃費性能の恩恵も感じられるでしょう。

また、車検や大掛かりな整備が必要になる前に乗り換えることにより、カーライフをトータルで考えた場合の維持費も抑えることが可能です。

例えば、残クレを利用して3年ごとに新車に乗り換えることで、常にメーカー保証期間内で車を使用でき、予期せぬ故障やトラブルによる修理費用の発生を抑えられるでしょう。

売却時の価格が事前に分かる

残価は、ディーラーが車種やグレード、中古市場価格の推移、契約期間などをもとに算出した、将来の予想価格です。その残価があらかじめ設定されていることにより、契約満了時の売却価格が事前に把握でき、将来の資金計画が立てやすくなります。

例えば、残価が80万円と設定されている場合、契約終了時にその金額で車を買い取る準備ができるだけでなく、返却して別の車に乗り換える準備もしやすいでしょう。将来の売却価格が明確であるため、計画的に資金を運用することが可能です。

ただし、走行距離や車両の状態によっては追加費用が発生する場合もあるため、契約内容を十分に把握し、車両を適切に管理する必要があります。

残価設定ローンのデメリット

残価設定ローンは、月々の支払いを抑えながら新車に乗りやすい選択肢ですが、契約内容や使い方によっては予期せぬ制約が生じる場合もあります。

ここからは、残価設定ローンの契約前に押さえておきたいポイントを紹介します。

走行距離に制限がある

走行距離に制限がある
残価設定ローンでは、契約する際に走行距離の上限を設定するのが一般的です。通常使用の範囲であれば問題ありませんが、この制限を超過して走行するとその分は追加費用としての支払いが発生する可能性があります。

また、走行距離のみでなく、車両の状態やカスタマイズの有無なども契約満了時の査定に影響を与えるため注意が必要です。

日常的に長距離運転が多くなりがちな方や、旅行や出張などに車を使う頻度が高い方は、走行距離を考慮して契約内容を慎重に検討する必要があるでしょう。

他メーカーの車に乗り換えづらい

契約満了時に車の乗り換えを選択できますが、その場合は同一メーカーの車への乗り換えを前提としたプランが用意されていることが多いでしょう。

そのため、他メーカーの車に乗り換える際には手続きが煩雑化する可能性があり、結果として他メーカー車に乗り換えづらいという点が気になるかもしれません。

また、ディーラーによっては、そもそも他メーカーへの乗り換えに対応していないケースもあります。その場合は、車を返却するか残価を支払って買取りしたあとで、他メーカー車を購入するという流れになるため、残クレのメリットが打ち消されてしまうでしょう。

途中解約は基本的にできない

原則として途中解約ができないという点にも注意する必要があります。

もしも途中で解約する場合、残債の一括返済が求められることが一般的であり、車の査定額が残価を下回っていた場合にはその差額も支払わなくてはなりません。

残債や差額の追加支払いが生じると、その分は自己負担となるため、思いがけない出費が家計を圧迫する可能性があります。

契約内容によっては違約金や手数料もかかる場合があるため、基本的には途中解約をしないよう計画的に利用することが重要です。

自社ローンの利用に連帯保証人は必要ですか?
自社ローンを利用する際には、販売店や申込者の状況によって連帯保証人が必要になる場合があります。特に、収入や雇用が安定していない場合や、申込者が学生の場合には保証人を求められるケースが多いでしょう。連帯保証人が必要ない販売店もありますが、頭金の準備が必要になるなど、別の条件が追加される可能性があります。

自社ローンの利用に向いている人

自社ローンの利用に向いている人
信販会社を間に立てず、販売店が独自に提供する分割払いシステムであるため、過去に金融事故の履歴が残っている方のように、信用情報に不安がある場合でも利用しやすいのが特徴です。

また、現在勤めている会社での勤続年数が短い方や非正規雇用の方、学生など、通常のローン審査に通りにくい方にも向いています。

頭金が不要であるケースも多く、まとまった資金は用意できないが、できるだけ早急に車を購入したい方などにもおすすめです。

ただし、申込者の状況や販売店によっては連帯保証人が必要になる場合もあるため、契約前に明確な条件を確認しておく必要があります。

残価設定ローンの利用に向いている人

残価設定ローンの利用に向いている人
残価設定ローンは、車両価格の一部を支払最終回に据え置くことで、月々の支払いを抑えられる仕組みです。そのため、とにかく月々の支払い負担を減らしたいという方に向いています。

また、契約期間が比較的短いため、ライフスタイルの変化に応じて車を乗り換えていきたい方にとっても適した選択肢です。

契約時に将来の車の価値(残価)が設定されるため、契約満了時の売却価格を予想しやすく、資金管理を計画的に行えるでしょう。ただし、走行距離や車の状態によっては追加料金が発生する場合があるため、思わぬ出費にならないように車を利用することが求められます。

まとめ

①自社ローンは信用情報に不安がある方でも利用しやすく、残価設置ローンは月々の支払いを抑えたい方に向いている
②自社ローンは審査に通りやすく、金利ゼロで納車までが早い点がメリット
③自社ローンのデメリットは、所有権が販売店にあり頭金や連帯保証人を求められる場合があること
④残価設定ローンには、月額負担が軽い、車を短期間で乗り換えやすい、売却価格を予想しやすいというメリットがある
⑤残価設定ローンのデメリットは、走行距離や車の状態に制限があり、他メーカーへの乗り換えや途中解約に制約がある点が挙げられる

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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