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車の点検には、ディーラー点検や法定点検、車検などがあります。あまり意識したことのない違いであり、ディーラー担当者からの案内通りに受けている人も少なくありません。
この記事では、法定点検の検査項目や費用相場、受けられる場所について解説します。また、カーリースを利用した場合でも点検を受けられるのか見ていきます。
車の法定点検は安全を確保するために欠かせない
点検には様々な種類がありますが、この記事では「法定点検」を取り上げます。
車の性能は日々進化しており、以前よりも壊れにくくなりました。とはいえ、ひとたび事故や故障が起こってしまうと、運転手だけでなく歩行者など周囲の人を巻き込む悲しい結果になることは少なくありません。致し方のない理由で起こることはあったとしても、整備不良による事故は避けるべく、各種点検は設けられています。
法定点検の意味や車検との違い、検査項目など、安全にドライブライフを満喫するために知っておくべき内容を学んでいきましょう。
車の法定点検とは?
法定点検とは、道路運送車両法にて定められている検査を指します。車の使用者は定期的に実施しなければならない点検整備であり義務です。
また、車検と同じように感じる人がいるかもしれませんが、似て非なるものです。車検は国が定めた基準に適合しているか確認すること、法定点検は故障やトラブルが発生する前に予防的に点検・整備することです。
安心して車を運転できるようにするためにも、自分の車が問題ない状態であることを確認しましょう。
前述の通り、検査・点検を受ける上では似たようなものであると思いがちですが、実施の目的が異なります。
車検は「自動車検査登録制度」の略称です。継続検査ともよばれており、車が国で定めた安全性や公害防止のための保安基準を満たしているかを確認します。
この確認作業を定期的に実施しますが、基準を満たしていることを確認するため、車検に通ったからといって次の車検までに故障しないことを保証するものではないことに注意しましょう。
一方で、法定点検は車が故障やトラブルに見舞われないように、事前に検査・点検し、整備まですることを指します。トラブルを防ぎ、車本来の性能を維持することが目的であるため、適合検査ではなくメンテナンスが最終ゴールです。
同じ法律で定められているものではあるものの、このような違いがあります。
車の法定点検を実施するタイミング
法定点検を受けるタイミングは、車の種類によって異なるため注意しましょう。
基本的には以下の4つに分れています。
- 法定3カ月点検
- 法定6カ月点検
- 法定12カ月点検(1年点検)
- 法定24カ月点検(2年点検)
どの車種がどのタイミングで受けるのかは、以下の内容を参考にしてください。
事業用の車両、つまりバスやトラック等が受けなければなりません。整備管理規定を定め、厳格に点検しなければなりません。具体的な車種は、バス・トラック・タクシー(事業用)、大型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車以外)、牽引自動車です。
自家用の中小型トラックや乗用車のレンタカーが受けなければなりません。3カ月点検と6カ月点検に共通している内容は「不特定多数の乗客を乗せる車」「大量の荷物を積載して走行する車」が対象になっていることです。
軽自動車含む自家用車、自家用の中小型トラック、レンタカー、事業用のバス・トラック・タクシー、自家用の大型トラックが該当します。
軽自動車を含む自家用車が該当します。
これらの点検は定められた期間ごとに定期的に受ける必要があることを覚えておきましょう。
法定点検を受けなくても罰則はない
定期的に定められている法定点検ですが、受けなかった場合の罰則はありません。車検は受けなかった場合に罰則が定められているため、この点でも車検と法定点検が違うものであると分かります。
コスト削減のために法定点検を受けたくないという人も出てくるかもしれませんが、法定点検を受けるメリットはあります。
車検とともに保管している検査ノートには、法定点検の実施歴が記載されています。この履歴は車を中古車として売却する際に高価買取の材料になるとされています。
検査実施率をあげるためにディーラーはキャンペーンを打ち出しているケースがあります。コストをおさえて点検を受けたい方は、各種キャンペーンを利用してみましょう。
法定点検での検査項目
ここからは、法定点検の検査項目について紹介します。
法定点検は車の種類によって検査項目は異なります。そのため、検査のタイミングによっても重視すべきポイントは車種ごとに異なっており、検査項目も違います。
安心安全に運転するためにも、各種点検タイミングで実施される項目をおさえておきましょう。
法定3カ月点検の場合、事業用のバスやトラックに対して合計50項目ほどの点検を実施します。項目数が多いため、詳細な説明は省きますが自家用車に比べると仕事に使う車両である分、細かな部分まで点検していることがわかるでしょう。
12カ月点検に至ると検査項目は100項目にのぼります。また、牽引自動車の場合は36項目の点検を受けています。
法定6カ月点検の場合、自家用の中小型トラックや乗用車のレンタカーは22項目の検査を受けます。
12カ月点検ではおよそ83項目の点検を受けるようです。
法定12カ月点検では以下のような検査項目を計27項目受けます。
ブレーキペダルの踏みしろや踏み込み時の床板との隙間、パーキングブレーキや他ブレーキの利き具合 など
排気の状態、エア・クリーナー・エレメントの状態、オイル漏れの有無 など
タイヤの状態、ホイールやナットの緩み具合、ブレーキパッドの摩耗度合い など
マフラーやエグゾーストパイプの取り付けやゆるみ など
法定24カ月点検では法定12カ月点検の27項目へ、さらに30項目を追加した計57項目が検査対象です。具体的な検査項目は以下になります。
ハンドルの操作具合、ギヤ・ボックスの取り付けのゆるみ、ステアリング・リンケージのゆるみやがた、損傷 など
パワーステアリング装置のオイル漏れやオイル量、プロペラシャフト・ドライブユニットに関するユニバーサルジョイントのダスト・ブーツの亀裂と損傷 など
フロントホイール・ベアリングやリアホイール・ベアリングのがた、ブレーキディスクおよびパットのディスク摩耗および損傷 など
ブローバイ・ガス還元装置のメターリングバルブの状態や配管の損傷、燃料蒸発ガス排出装置抑制装置の配管等の損傷やチャコールキャニスターの詰まりと損傷 など
法定点検の目的は事故を起こさないように車の各所を点検・整備することです。この点検を怠れば、部品の消耗や摩耗、機器類の故障などに気づくタイミングを失うでしょう。
走行中に部品等が故障したことで事故を起こしてしまえば、運転手である自分自身だけでなく、周囲の人や物に損害を与えるかもしれません。自分の身や周囲の安全を守るためにも法定点検は受けましょう。
法定点検を行う場合は専門知識が必要
法定点検は基本的にディーラーで受けることが多いでしょう。また、ディーラー以外でもカー用品店やガソリンスタンドでも受けられます。
点検費用を節約したいからといって、自分で点検することは避けましょう。その理由は、専門知識が必要だからです。
法定12カ月点検程度の内容であれば自分で実施できそうな項目が多い印象を受けます。しかし、法定24カ月点検では車のリフトアップが必要であったり、ドライブシャフトやマフラーの機能チェックをしなければならなかったり、専門知識に加え専用の工具や設備が必要です。それらを準備するためのコストを考えると現実的ではありません。
また、自分で点検をすると「点検整備済みステッカー」を貼ることができません。これは法定点検の実施証明として、フロントガラスの助手席側上部へ貼りつける丸形のステッカーです。このステッカーには法定点検を実施した認証工場名が記載されています。つまり、国によって認証されたものしかステッカーを貼付できません。
法定点検を実施している場所
ここからは、法定点検を実施している専門業者について紹介します。
前述の通り、法定点検は個人で実施できません。そのため、国から認証を受けた専門業者に頼る以外の方法はないと覚えておきましょう。
各業者の特徴について紹介するため、業者選びの参考にしてみてください。
カー用品店も国の認証を受けている店舗であれば法定点検を受けられます。
とはいえ、利用者数も多いことから飛び入りで点検を依頼しても待つ可能性が高いでしょう。そのため、事前に電話やメールで予約しておくことをおすすめします。事前予約ができていればスムーズに検査を受けられるでしょう。
また、カー用品店では車検も受けられます。車検を受けると法定点検の割引券をもらえる店舗もあるようです。そのような場合においては、車関連の検査を多く受けられるため積極的に活用してみましょう。
ガソリンスタンドでも法定点検は受けられます。
日々利用するガソリンスタンドで法定点検が受けられれば、店舗へのアクセスもしやすく点検へのハードルも下がるでしょう。点検以外にも給油やタイヤ交換と合わせて利用すれば、一度の訪問でいくつかの用事を済ませられます。
特に、新車登録から期間のあいていない部品交換が少なさそうな車両で利用してみるのもよいでしょう。可能性は低いものの、廃盤した部品等があれば点検時に交換ができないかもしれないためです。
ディーラーは車検、法定点検ともに点検・整備を受けやすい場所の代表格です。メーカーから取り扱い車種について整備講習を受けており、質の高い点検や整備を実施できる点がディーラーの強みです。
また、リコール情報や部品調達にも長けているため安心感も強いでしょう。メーカー独自の専用工具や設備を有しており、自社で販売したユーザー管理にも力を入れているため、紹介する専門業者の中で最も信頼できる業者といえます。
整備工場は国の認証を受けている場所であれば法定点検を受けられます。個人の整備工場でも条件は同じです。
修理や車検も併せて受け入れている工場は多々あります。ただし、予約の混み具合や点検対象の車種によって受け入れが難しいケースが想定されます。そのため、事前に点検時間や費用はもちろんのこと、受け入れの可否も確認しておくとよいでしょう。
法定点検にかかる費用の相場
法定点検における費用の相場は実施する専門業者にもよりますが、車種によっても価格は変動します。そのため、一概に金額を言い切ることはできません。
ここでは、ディーラーでの点検・整備の値段を参考価格として紹介します。また、検査項目は法定12カ月点検を想定しています。
- 軽自動車…およそ9,000円~14,000円
- 排気量1,000~1,500ccクラスの普通自動車…およそ10,000円~16,000円
- 排気量1,800~2,000ccクラスの普通自動車…およそ10,000円~17,000円
- 排気量2,000cc~3,000ccクラスの普通自動車…11,000円~20,000円程
- 3000ccを超えるクラス…12,000円~26,000円程
実際に点検整備を受ける場合には、受けようと考えている業者へ費用を事前に問い合わせておきましょう。
カーリースでは法定点検費用が含まれたプランもある!
ここからは、カーリースを利用したときのプランについて紹介します。
カーリースはリース会社から車をリースして利用するサービスです。月々の利用料金の支払いだけで車に乗れるため、ランニングコストを把握しやすく、お得に車に乗れる点が特徴です。
法定点検が費用に含まれたプランを利用すれば、より維持費が明確に管理できるでしょう。また、その他のメリットについても紹介します。
法定点検の費用が含まれたリースプランを利用すると、適切なタイミングでメンテナンスを受けられます。
カーリースのメリットは検査関連のアナウンスをしてもらえる点です。
車を購入した場合、ディーラー経由で購入すれば同じようなサービスを受けられますが、それ以外の業者から購入した場合、点検のタイミングは自分で把握・管理しなければなりません。日々忙しく生活していると、スケジュール管理が難しく、タイミングを逃してしまうこともあるでしょう。
その点、カーリースを利用していればリース会社にタイミングを管理してもらえるため、わずらわしさから解放されます。
法定点検や車検など、法律で定められた検査は義務です。しかし、それら以外にも日常点検もドライバーには義務として課されていることはご存知でしょうか。
とはいえ、車の知識が少ないと何を確認したらよいか分からない人も少なくないでしょう。そこでリース会社へ点検依頼することをおすすめします。
法定点検の費用などが含まれている、メンテナンスプランを契約している場合、日常点検もお任せできます。不具合による事故を回避するためにも積極的に活用してみましょう。
カーリースでメンテナンスプランを契約している場合、法定点検に関する費用は月額利用料に含まれています。そのため、別途支払う手間はありません。
カーローンを利用して購入した場合、月々の返済額以外の費用は都度支払わなければなりません。そのため、返済額ばかりに意識が向いていると点検費用などは水面下に隠れており、意識していないと思いがけない出費につながります。
各種点検費用を含めたメンテナンスプランは、他の通常プランと比較して割高ではあるものの、思いがけない出費は無くなります。支払いの手間を省くためにもおすすめのプランといえるでしょう。
まとめ

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。