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車を購入すると、1年が経ったタイミングでメンテナンスの案内が届きます。車の調子が良いと「なぜ点検を受けなければならないの?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。
何気ない点検ですが、法律によって実施が義務付けられており重要な意味を持っています。
この記事では、12ヶ月点検の意味や他の検査との違いについて紹介します。また、具体的な検査項目についても解説するため、この記事を読めば点検の重要性について深く知れるでしょう。
車の安全性を高めるためにも12ヶ月点検を実施しよう!
車を購入してから1年後に案内が届く12ヶ月点検は、ディーラーが自主的に実施している検査ではありません。法律で定められている法定点検に該当します。
法定点検は車種によって実施タイミングや内容が決められていますが、目的は車の安全性を高めることです。点検を定期的に実施することで、安心して車に乗れるでしょう。
車の12ヶ月点検とは?
ここからは、車の12ヶ月点検について、他の検査との違いを紹介します。タイミング別に全部で4種類あり、自家用車用や業務用など車の用途や車種によって分れています。
12ヶ月点検は主に自家用車が対象です。定期的にメンテナンスを実施することで、異常が見つかったり、交換時期に達した部品が見つかったりした場合は適宜整備して部品を交換します。
車の整備不良によって事故に遭わない、起こさないためにも定められたタイミングで必ず受けましょう。
3ヶ月点検は主に事業用の車に義務付けられている点検です。バスやタクシー、トラック、レンタカーなど、不特定多数の人を乗せたり、重いものを積載して運行するような車が該当します。
事故による影響が大きいため、整備不良を起こさないよう配慮された結果かもしれません。このチェックを実施しない場合は法律違反となり罰金が科されます。
該当車種や罰則の規定が12ヶ月点検とは異なります。
6ヶ月点検は乗用のレンタカーや自家用の中小型トラックが対象に含まれています。自家用車に近いものの、比較的積載量が多い車や走行距離が長くなる傾向にある車が該当します。
このような車は、走行による車へのダメージが蓄積しやすく、相対的に故障しやすいといえるでしょう。そのため、半年ごとにこまめな点検が義務付けられています。
また、不特定多数の人を乗せがちでもあるため、事故が起きた際の影響は甚大です。ここでも事故に遭わない、起こさないための対策が講じられています。
該当車種が12ヶ月点検とは異なります。
24ヶ月点検は軽自動車を含めた自家用車が対象です。そのため、12ヶ月点検と対象車種は変わりませんが、検査項目数が異なります。
12ヶ月点検の検査項目数はおよそ26項目です。それに対して24ヶ月点検は56項目を実施します。その理由として、2年間走行しているとパーツの劣化が進むため、より詳細なチェックが求められることが挙げられます。
24ヶ月点検は車検と同じタイミングで実施するため、安全に公道を走るための義務と捉えておきましょう。
車検と同じタイミングで実施することもある法定点検は、車検とどのような点で異なるのでしょうか。
1つ目の違いは実施する目的です。法定点検は車の安全性を高めるためのメンテナンスです。一方で、車検は車が国の適合基準に合っているかどうかを確かめるために実施します。
そのため、基準に合致していることが確かめられれば、車検時にメンテナンスは必要ありません。また、車検に通ったからといって次の車検まで故障しないことを担保しているわけではない点に注意しましょう。
2つ目の違いは罰則の有無です。法定点検は未実施の場合でも罰則はありません。一方、車検を受けなければ罰則が科されます。この点は混同しがちなので意識しておきましょう。
12ヶ月点検は義務だが罰則はない
12ヶ月点検は道路運送車両法によって義務付けられており、車を所有していれば必ず実施しなければなりません。ただし、未実施だったとしても罰則は課されない点が特徴です。そのため、法定点検に義務はないと勘違いしないようにしましょう。
この点検はきちんと車の状態を整えることで安全な状況を維持することが目的です。24ヶ月点検であれば車検と同じタイミングで実施するため、検査が漏れることは少ないでしょう。
しかし、12ヶ月点検は車検と異なるタイミングで実施する検査です。未実施のまま走行している車も少なくありませんが、目的を理解して行動しましょう。
しかし、過走行気味の車など車体にダメージが蓄積しているような状態であれば、部品の交換が必要になります。日常点検をこまめに実施し、不具合があればすぐに修理しておくようにすると、特に負担にはならないでしょう。
車の12ヶ月点検を受けるタイミング
1年ごとに実施する法定点検ですが、具体的なタイミングはいつでしょうか。
新車で購入した場合、乗り始めてから1年後が目安です。ディーラーから購入するケースが多いため、多くの人は事前に点検のアナウンスが届くでしょう。
その後、定期的な点検を実施するタイミングはフロントガラスに貼られた「点検証明証」を確認すると分かります。前回の点検日が記載されているため、目安にしましょう。
車の12ヶ月点検を受ける際に必要なもの
ここからは、点検を受ける際に必要なものについて紹介します。
車検とは別ではあるものの、似たようなものを用意しなければなりません。準備のためのハードルはそれほど高くないものばかりであるため、時期が近づいている人は手元にあるか確認しておきましょう。
自動車検査証(車検証)は、車を運転していれば常に携帯しておかなければなりません。多くの人はダッシュボードに保管しているのではないでしょうか。
また、任意ではあるものの整備記録や整備ステッカーがあれば持参すると良いでしょう。前回の点検内容がわかるため、スムーズに進みます。
点検費用も用意しておかなければなりません。おおよその費用は10,000円~20,000円程度と覚えておきましょう。とはいえ、点検を受ける場所によって金額は前後します。
例えば、ディーラーの場合、点検費用は比較的高めに設定されているようです。サービス内容はもちろんのこと、メーカーから直接、点検内容や方法を指導されているため、高品質な点検を受けることができるからです。
一方で、カー用品店やガソリンスタンドはディーラーよりも安い価格が設定されています。とはいえ、専用部品がない場合は取り寄せしなければならないケースもあるため、費用対効果を検討したうえで業者を決めると良いでしょう。
コスト面では自分で行うことが望ましいですが、安全を担保するためには業者に依頼したほうが確実です。
12ヶ月点検で実施する点検項目
ここからは、12ヶ月点検で実施する項目について紹介します。
どういった項目を確認していれば安全に車に乗れるのかが分かるでしょう。そのため、個人で行う日常点検に役立ちます。
快適なドライブライフを送るためにも、ぜひ参考にしてください。
ベルトの緩みと損傷具合を確認します。
ブーリー間のベルトのたわみ具合が規定の範囲にあるかをスケールを使って点検するとともに、ベルトを全体的に点検し、内側や側面に著しい摩耗や損傷、亀裂がないかを確かめます。
ブレーキはペダルの遊びや踏み込んだときの床との隙間、利き具合を確かめます。
ブレーキペダルを数回踏み、ブースター内の気圧を調節してから抵抗を感じるまで押し込みます。ペダルの遊びの量が規定の範囲に収まっていれば問題ありません。
次にエンジンをかけた状態でブレーキペダルを強く踏み込みます。ペダルと床の隙間が規定の範囲内かがポイントです。また、踏みごたえからブレーキラインにエアの混入がないかも確かめます。
ブレーキの利き具合については、適切な制動力が得られ、進行方向に対してまっすぐに止まれれば問題ありません。機器を利用する場合は各タイヤの制動力の総和および左右差が規定値にあるかを点検します。
パーキングレバーの引きしろ(踏みしろ)やブレーキの利き具合を確認します。
パーキングブレーキレバーやペダルを規定の力で操作したとき、引きしろ(踏みしろ)が規定の範囲内にあるか、開放時に走行位置に保持されているかがポイントです。
また、ブレーキの利き具合については、ドライ路面の急坂(20%勾配)で停止状態が保持できるかを点検します。機器を用いて点検する場合は制動力が規定値以上あることが重要です。
部品からの漏れや損傷および取付状態を確かめます。
ブレーキホースやパイプ、その接続部の液漏れや損傷の有無が点検内容です。
また、走行時の振動やハンドル操作により各パーツが車体などその他の部分と干渉していないかを確認します。さらに、接続部分やクランプに緩みがないか点検します。
マスターシリンダーやホイールシリンダー、ディスクキャリパーから液漏れしていないか確かめます。
ブレーキの機構によって点検方法は異なり、ドラムブレーキであればブレーキドラムを取り外して、ディスクブレーキであればホイールを取り外して、液漏れがないか点検します。
液漏れしていなければ問題ありません。
ブレーキドラムとブレーキシューでは、各パーツのバランスや消耗度合いを確かめます。
まず、ドラムブレーキではブレーキペダルもしくはパーキングブレーキレバーを数回操作しブレーキシューを安定させることから始めます。その後、タイヤを手で回したときに引きずりがないことが重要です。
さらに、ブレーキドラムはライニングの残量を点検しなければなりません。また、ライニングの端面に亀裂、剥離の損傷がないかも確認します。さらに、ブレーキの引きずりやライニングの厚み、リベットやボルトの緩み、アンカピンの摩耗、スプリングのへたりもチェックしましょう。
ディスクとパッドの隙間やパッドの摩耗を確認します。
タイヤを手で回したときにブレーキに異状な引きずりがなければ問題ありません。また、ホイールを取り外してキャリパーの点検孔からパッドの厚みを点検します。
タイヤの状態やホイールナットおよびホイールボルトの緩みを確かめます。
タイヤゲージを用いて空気圧が規定値であるかを点検します。また、タイヤの全周にわたり亀裂や損傷がないか、異物が刺さっていないか、偏摩耗がないかを確かめていきます。さらにタイヤのスリップサインや接地面の溝の深さが規定値以上あるかも重要なポイントです。
また、ホイールナット、ホイールボルトに緩みがないかを点検しています。
クラッチペダルの遊びや切れたときの床との隙間を確認します。
ペダルを手で抵抗を感じるまで押し、遊びの量が規定の範囲にあるかを点検します。また、レリーズフォークの先端を手で動かし、遊びの量が規定の範囲にあるか確かめています。さらに、クラッチがつながる直前のクラッチペダルと床板との隙間も対象範囲です。
トランスミッション・トランスファーは、オイル漏れやオイル量を確かめます。
各パーツの本体周辺(ケースの合わせ目など)や、オイルシール部が点検時のポイントです。
ミッション車はトランスミッションおよびトランスファーのフィラープラグを取り外してオイル量を点検します。
オートマ車はシフトレバーをゆっくり各レンジにシフトした後、Pレンジに戻すことでオイル量を点検します。
プロペラシャフトやドライブシャフトの連結部の緩み具合を確認します。
プロぺラシャフトのジョイントフランジヨーク取付ボルト、ナット、センターベアリングブラケット取付ボルト、そしてドライブシャフトの取付ナットに緩みがないかを点検します。
点火プラグ(スパークプラグ)の状態や点火時期、ディストリビューターのキャップの状態を点検します。
スパークプラグは取り外し、電極に汚れ、損傷や摩耗の有無、絶縁碍子の焼損の有無が対象項目です。また、中心電極と接地電極との隙間(プラグキャップ)が規定の範囲にあるか確かめます。
点火時期は規定のアイドリング回転数で、タイミングライトを用いて点火時期が適切であるかをクランクプーリーなどの合わせマークを見て点検します。
ディストリビューターを備えるエンジンの場合であれば、キャップおよびローターに汚れがないかなど正常に働くかどうかがポイントです。
バッテリーはターミナル部の接続状態が重要です。バッテリーのターミナル部が緩みや腐食によって接続不良になっていないかを点検します。
エンジン本体は排気の状態やエアクリーナーエレメントの状態がポイントです。
ガソリンエンジンは、タコメーターなどを用いてアイドリング回転数が規定の範囲にあるかを確認した後、排気ガスの色を目視で確かめます。
また、アイドリング時のCO(一酸化炭素)およびHC(炭化水素)の排出濃度をテスターで計測します。ディーゼルエンジンについては異状な黒煙の有無がチェックポイントです。
エアクリーナーエレメントの状態は、エレメントを取り外して、汚れ、詰まり、損傷がないかを点検します。
潤滑装置のオイル漏れの有無を確認します。
シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ドレンプラグなどからオイル漏れがないか、またオイルクーラーのホースなどに劣化によるふくらみや亀裂、損傷がないかを点検します。
冷却装置はファンベルトの緩みと損傷具合がチェックポイントです。プーリー間のたわみ具合が規定の範囲内かを確かめます。
エキゾーストパイプとマフラーについては、取付の緩みと損傷具合が点検対象です。
エキゾーストパイプおよびマフラーの取付部、接続部など、各部に緩みがないかを確かめます。
また、エンジンを始動して接続部などから排気ガスが漏れていないか点検します。
カーリースなら12ヶ月点検の費用を月額料金に含められるプランもある
安心安全に走行するために必要な法定点検ですが、点検するタイミングなどの管理、点検の手配や予約など、多くのことを対応しなければなりません。また、費用に関しても時期に合わせて用意しておく必要があります。
そこで、メンテナンスプランを用意しているカーリースの利用をおすすめします。
カーリースでは月額利用料を支払うことで、リース会社から車をリースして、手軽に車に乗れるサービスです。様々なプランが用意されていますが、メンテナンスプランを利用すると、点検費用は月額利用料に含まれ、時期が近づくとアナウンスしてもらえたり、点検業者を用意してもらえたりと充実したサービスを受けられます。
まとめ

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。