カーリースの契約が終了したら車は返却することになります。その際に原状回復をすることが求められるため、追加で費用が発生するケースがあります。

なぜ原状回復が必要なのか知っておくことで、リース車をさらにうまく利用できるでしょう。

この記事では、リース車を返却する際に原状回復する理由や残価について詳しく解説していきます。

今後カーリースの契約を考えている方、既に利用している方は、ぜひ参考にしてください。

カーリースで車の原状回復が求められる理由

カーリースで車の原状回復が求められる理由
カーリースの契約が終了すると、基本的に乗っていた車は返却をすることになります。その際に原則として原状回復することが義務付けられています。

これは、リース車を返却する時に、契約時に設定した車の価値(残価)の状態になることが求められているからです。

そのため、改造や事故による改変や損傷等が合った場合は、必ず元通りにする必要があります。

リース会社によっては、修理の依頼先や費用に関して規定されていることがあります。そのため、契約内容に応じた対応をすることが求められます。

カーリースの契約タイプについて

車のリース契約におけるタイプは、大きく分けて「残価設定あり」と「残価設定なし」の2種類があります。

残価とは、リース契約が終了した時点での車の査定額を予想したものです。

残価設定ありの場合、車両価格に残価分を差し引いた金額が月額のリース料に反映されるため、自分で車を購入する時に比べて、安い金額で車を利用することができます。

残価設定なしの場合、残価を見積もらずにリース契約を行うため、車を返却する時に原状回復の費用がかかりません。残価設定ありのプランに比べるとリース代が高くなることが多いですが、長期間その車に乗りたいという方には適したプランになるでしょう。

原状回復の請求を受けるケースについて

原状回復の請求を受けるケースについて
リース車を利用している際に原状回復の請求を受けるケースは、どのような状態の時でしょうか?

原状回復をしなければならないケースを知っておくと、リース車を利用する際に注意することができます。

ここからは、原状回復の請求をされるケースについて詳しく解説していきます。

リース車に原状回復が必要なのは、どのようなケースですか?
基本的に残価が下がる要因があると原状回復する必要があります。そのため、車の損傷や車内の汚れ、改造などがあれば、原状回復して返却することが求められるでしょう。
①車に大きな損傷がある

リース契約に限らず、車に大きな傷や凹みがあれば査定額は下がってしまいます。そのため、返却する車に故障や破損があれば、原状回復するための修理費用がかかってしまいます。

小さな傷や凹みであれば修理費は少額で済みますが、部品交換が必要な場合は高額になる傾向があります。

程度にもよりますが、一般的にバンパーの修理費は3万円~、交換の場合は10万円程度が相場です。

また、エンジンなどが損傷を受けて交換するケースでは、50~100万円程度かかることもあります。(修理を依頼する工場によって価格は異なる)

もしリース車が故障や損傷した場合は、リース会社に連絡をして、その都度修理することが大切です。

②事故歴がある

返却する時に車の状態が想定していた残価を下回るケースでは、差額分を請求される場合があります。

もし事故などで車の安全面に関わるフレーム部分まで直した場合は修復歴車になりますので、大幅に査定額が下がります。そのため、差額分を請求される可能性が高いです。

残価を下回る差額分の支払いについては、リース車の契約時に説明を受けます。契約書にも記載されていますので、確認しておくようにしましょう。

事故歴があったとしても少しこすった程度の傷や凹みの場合は修復歴車にならないため、大きく残価を下回る可能性は低くなります。そのため、どれくらい差額分を請求されるかは、リース会社に確認することが大切です。

運転初心者であれば、事故を起こす確率が高くなる傾向がありますので、リース契約の際はそのリスクも考えて慎重に契約しましょう。

③車内のにおいや汚れが酷い

車内の使用状況が悪く、シミや汚れが多い場合はクリーニングして返却することになります。

特に車内でタバコを吸う方は注意が必要です。車内のシートに焼け焦げがあったり、天井にヤニが付着して黄ばんでいる状態になっていることもありますので、気をつけましょう。

ペットを同乗させる場合も、においや抜け毛などで車内が汚れることがあるため注意が必要です。

そもそも、リース契約では車内での喫煙やペットの同乗を禁止していることもあるので、最初に確認しておきましょう。

また、芳香剤の使用も人それぞれ好みがあるため、査定額に影響することがあります。使用する際は、あまり強いにおいがつかないよう気をつけましょう。

④車を改造して価値が変わってしまった

リース車を改造したりカスタマイズしたりすることは一般的に認められていません。もし返却時に改造した部分を元に戻したとしても、跡が残っていれば原状回復のための費用を請求される場合があります。

例えば、タイヤのホイールを変えた場合は、車の返却時に最初に装備されていたものに戻せば特に問題ないでしょう。しかし、純正ナビを社外品に変えた時は取り外しの跡が残ることもあるので、追加金を請求される可能性が高くなります。

改造の程度にもよりますが、高額な費用を請求される可能性があるので行わないようにしましょう。

⑤走行距離制限の超過

車の価値を決める項目として、走行距離が挙げられます。そのため、リース会社はあらかじめ走行距離に上限を設けており、超過した場合は追加で費用を請求されるのが一般的です。

リース会社は契約終了後にリース車を売却することもあります。その時、走行距離が多くなっている車は、年式が新しい状態であってもタイヤやエンジンが消耗するため買取価格が安くなります。これを回避するために、走行距離に上限を決めているのです。

走行距離の上限は、各リース会社の契約によって異なりますが、月1,000~2,000kmが上限になっています。

契約終了後に確認され、超過していればその分を精算します。実際の精算額は、超過分1kmあたり3~10円程度が相場です。そのため、大幅に走行距離を超過してしまうと追加費用が高くなってしまうので、気をつけましょう。

リース車を修理する方法について

リース車を修理する方法について
もしリース車で事故を起こしてしまって修理が必要になった場合は、どのように対処すればいいのでしょう?

もちろん修理工場に持っていくことになりますが、一般的に購入した車と違う点もあります。

ここからは、リース車を修理する方法について詳しく解説していきます。

リース車の修理はリース会社の指示を受けるのが前提

リース車の所有者はリース会社で、リース契約をしている運転者は使用者になります。そのため、まずはリース会社に連絡をして修理をしたいことを伝えましょう。その際、リース会社が提携先の修理工場を指定する場合もあります。

また、自分で判断して応急処置や修理を行うと契約違反になる可能性もあります。必ずリース会社の指示に従うようにしましょう。

全損事故の場合は強制解約になる場合も

もし車が全損するような事故を起こした場合は、契約解除になります。

しかし、リース車の契約に関しては月々のリース料が契約年数で決められているため、基本的に中途解約が認められていません。

全損などで車が使用不能になった時には強制解約となり、違約金を一括で支払うことになります。

月々定額で車を利用できるリース車ですが、このようなケースの時はまとまった金額が必要になるリスクも知っておくことが大切です。

リース車の修理費用について

リース車の修理費用について
自分が利用しているリース車の修理費用は、契約者が負担するのが一般的です。しかし、契約内容によってはリース料に含まれていることもあります。

ここからは、リース車の修理費用について、契約内容や任意保険も含めて詳しく解説していきます。

リース車の修理費用は自己負担になりますか?
一般的にリース車の場合は自己負担になるケースが大半です。しかし、契約内容によっては修理費を補填できる場合もあります。
契約内容によって自己負担額が変わる

リース契約には「メンテナンスリース」と「ファイナンスリース」の2種類があり、どちらを契約しているかによって自己負担となる費用も異なってきます。

メンテナンスリースとは、税金や自賠責保険に加えて、修理・車検・消耗費交換などの費用も料金に含まれている契約のことです。そのため、月額のリース料以外に契約者が負担するものは、燃料費や駐車場のみで済む場合が一般的です。

ファイナンスリースとは、修理や車検などのメンテナンス費用が含まれていない契約のことです。そのため、修理や車検、消耗品交換などの費用は自己負担になります。しかし、自己負担が多くなる分、月額のリース料は安くなる傾向があります。

車を修理する場合には、メンテナンスリースでも修理費用の補償範囲がリース会社や契約内容によって異なります。そのため、どのケースで補償を受けられるかなど、契約時に確認しておくことが大切です。

カーリース専用の任意保険に加入しておくと良い

リース車で事故を起こした場合、基本的にはリース契約の内容に関わらず事故の修理代は契約者負担になります。その際のリスクを回避するために、車両保険を含めた任意保険に加入しておくことが大切です。

通常の任意保険だと、リース車を全損した時に発生する違約金の補償が不十分な場合があります。そのため、カーリース専用の任意保険に加入することをおすすめします。

カーリース専用の任意保険の特徴として、以下の項目が挙げられます。

  • 保険契約期間がリース契約期間になる
  • 契約期間中に事故を起こしても保険料が上がらない
  • リースカー車両費用保険特約がある

一般的な任意保険は1年で更新され、無事故で保険を使わなければ更新時に保険料が安くなります。しかし、カーリース専の保険は「リース契約期間=保険契約期間」になります。

長期契約を前提にするので全体の保険料が低くなり、月々の支払額が抑えられます。さらに、契約期間中に事故を起こして保険を使ったとしても、契約期間がリース契約と同じであるため保険料が高くなることはなく、条件変更なしで保険契約が継続される点もメリットです。

また、リース車は中途解約できませんが、事故で全損した場合は解約が例外的に認められています。その際は、解約金や違約金を支払う必要がありますが、「リースカー車両費用保険特約」をつけておくと、全損事故のケースでは、リース期間中の中途解約費用を限度に車両保険金が支払われます。

一般的な車両保険では、中途解約時の解約金や違約金は十分に補償されず、自己負担がある場合が大半です。それに対して、リースカー車両費用保険特約は、解約金や違約金の補償も受けられるので、自己負担をしなくて済みます。

リース契約でトラブルを回避するためには?

リース契約でトラブルを回避するためには?
車のリース契約で起こりやすいトラブルとは、どのようなものなのでしょうか?

ここからは、リース契約におけるトラブルと回避するための方法について詳しく解説していきます。

車のリース契約で特に気をつけることはありますか?
車のリース契約は「残価」がポイントになります。そのため。月々の費用も大事ですが、返却時のことも考慮して契約しましょう。特にクローズドエンド方式にしておくと返却時の精算が抑えられます。
①走行距離に制限がないリース車を選ぶ

一般的にリース会社は、残価を担保するために月ごとの走行距離を設定しています。そのため、契約終了時に実際の平均走行距離が超過していると追加料金を請求されるケースがあります。

走行距離にこだわらずに運転をしたいという方は、走行距離に制限がないリース車を利用することで、トラブルを回避できるでしょう。

②クローズドエンド方式のリース車を選ぶ

クローズエンド方式とは、残価設定がない契約のことを指します。そのため、契約終了時の査定額が低くなったとしても、残価設定をしていないため、差額分を支払うリスクが回避できます。

もちろん月額料金を安く抑えたい場合はオープンエンド方式(残価設定あり)のほうが金額面では安くなりますが、差額分を支払うリスクも考えなければいけません。

トラブルを回避することをメインにするのであれば、クローズドエンド方式を採用しているリース会社を選ぶといいでしょう。

③自分に適した契約期間を選ぶ

もし契約期間中に解約したいと思っても、高額の違約金を一括で支払わなければなりません。そのため、契約の際は将来的にどのように車を利用するかを明確にしてから、契約期間を決める必要があります。

安易に契約年数を決めるのではなく、今後のライフプランも考えた上で契約するようにしましょう。

④改造やカスタマイズできるリース車もある

車の改造やカスタマイズをすることは、リース車では基本的に禁止されています。

しかし、リース契約の終了時に車をもらえる契約をしておくと、改造やカスタマイズができるリース車もあります。

そのため、リース車で改造やカスタマイズを楽しみたいのであれば、車をもらえる契約ができるリース会社を選択するのも一つの手です。

⑤リース契約の満了後に車をもらえる契約もある

リース車の契約は、基本的に車を返却することを前提に貸し出しているため、使い方によっては原状回復が必要になります。

しかし、契約終了後に車をもらえるようにしていれば、原状回復を行わずに済みます。

長くその車に乗りたいと考えているのであれば、車をもらえる契約をしておくとリスク回避にもつながるでしょう。

まとめ

①リース車は契約満了時の「残価」をもとに契約しているため、原状回復させることが必要となる
②原状回復は「車の損傷や故障」「車内の汚れやにおい」「車の改造」に関して行うことが多い
③残価が下がる要因としては、走行距離の超過があるため、超過した分を請求されることがある
④利用しているリース車の修理費は、契約者が負担するのが一般的
⑤リース契約は、月額が安いだけで決めるのではなく、返却時のことも考えた契約内容にするとよい
⑥原状回復や追加金の支払いを抑えるには、残価設定なしのリース契約を行う方法もある

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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