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カーリースでは車の走行距離が制限されている場合が多く、走行距離の制限によってリース代も変わってきます。
走行距離に制限を設けている理由や超過した場合はどうなるかを知っておくと、利用する際に役立つでしょう。また、プランを選ぶ際に自分や家族のライフスタイルでは「どの程度の走行距離になるか」についても併せて紹介していくので参考にしてください。
そして、走行距離制限のないプランもあるので選択肢の一つとして考えてみましょう。
カーリースでは走行距離に制限がある
車の走行距離というのは車が実際に走った距離のことです。
カーリースでは通常、走行距離に上限が設けられています。カーリース契約時に車の走行距離の上限について取り決めがあるので、確認しておかなければなりません。
走行距離は車種が同じでも、利用者の日常生活の中で車を使う目的によって大きく異なります。自身や家族のライフスタイルに合わせて走行距離を予測し、どの位の走行距離にするかをよく考えて選ぶことが大事です。
車の走行距離は自分でもチェックできます。運転席前に走行距離を計測、表示する計器が備わっています。メーターは総走行距離が計測できる「オドメーター」と、区間距離が計測できる「トリップメーター」があります。
オドメーターは車が今までに走行した距離を測り続けるので、リセットはできません。トリップメーターは出発地から目的地までの距離を測ることができ、リセットも自由にできます。
運転席前のパネルに表示され、「ODOという表示は総走行距離」「TRIPという表示は区間距離」を示しているので確認してみましょう。
走行距離が制限されている理由
カーリースは、契約者の代わりにカーリース会社が車を購入します。契約者は毎月リース代を支払って車を一定期間借りて使うという仕組みです。
契約期間が終了すると一般的に車はカーリース会社に返却されます。その戻ってきた車は、中古車として売却されることが多いです。
中古車の価格は車種や年式などによって異なりますが、走行距離も大きく影響してきます。
走行距離が多いと、その分エンジンに負荷がかかっていることになります。部品の消耗度が通常よりも早くなり、故障のリスクが高まると考えられているからです。
年式が新しくても走行距離が多い車は中古車市場でもあまり人気がなく、敬遠されてしまうことが多いです。
そのため、カーリース会社では、返却されたリース車を中古車として売却することを考え、価値が下がらないようにするために走行距離に上限を設けているのです。
カーリースでの走行距離の目安
カーリースでは、リース車で「毎月どの位の距離を走行するか」によって、プランやリース料金が違ってきます。そのため、どの位の走行距離を上限に設定するかはプランを決める上でポイントとなります。
車の走行距離は、車を使う目的や頻度、目的地までの距離など個々のライフスタイルによって違ってくるでしょう。
例えば、車を使うのは買い物や駅までの送迎などでごく近距離に留まるケース、中長距離の通勤や通学に使うケースなど事情によって変わります。
また通勤通学は近場であっても、週末にレジャーでよく遠出をするという場合は、思いかけず走行距離がかさむ可能性があります。
リース車で走行距離の上限を決める際に、まずは「どういった目的で使うか」「その場合、月の走行距離はどの位になるか」を大まかに計算しておくことが大事です。
近場での移動だけれど、毎日のように頻繁にリース車を使う場合を見てみましょう。
「近所への買い物や病院への通院」「家族を最寄り駅へ送迎」「子供の塾や保育園への送迎」などが当てはまります。
例えば、1日に約10~15㎞走行するとします。1ヶ月(30日)で計算すると、月間の走行距離は約300~450㎞です。
意外に忘れやすい週末や長期の休みにレジャーに出かけることも、考慮しなければなりません。週末や休みで50~100㎞程使うとします。
そうなると、カーリースの走行距離をトータルで約500㎞を上限にすれば問題ないはずです。
比較的中距離の移動で、ほぼ毎日のようにリース車を使う場合を考えてみましょう。
「通勤通学」「病院への通院」「家族の少し遠くの駅までへの送迎」などが当てはまります。
平日に通勤、通学、駅まで送迎すると考えると月に約20日は車を使うことになります。目的地までは約15㎞、往復で移動すると仮定すれば1日に約30㎞の走行距離です。「月20日で計算すると約600㎞」になります。
また、通院が週に3~4日程度と考えて計算すると「月15日で約400~450㎞」です。さらに、週末や長期休みのレジャーなどで使う場合を考えると、走行距離はもう少し多めにしておいた方が安心です。
中距離で頻繁に車を使う場合は、走行距離を少なくとも月に1000㎞に設定しておくとよいでしょう。
長距離の移動を日々行う、休みの日は頻繁に遠出するという方の場合、さらに走行距離が違ってくるので見ていきましょう。
通勤通学のために1ヶ月のうち平日20日間でリース車を使うとします。目的地までの距離が長くなって約30㎞、往復での移動となると1日に約60㎞となる場合で計算してみます。通勤通学だけで月に約1200㎞の走行距離です。
さらに、週末や長期の休みはドライブやキャンプなどで遠出するならざっと約300㎞は車を使うと考えます。
そうなると、月の走行距離の上限は少なくとも1,500㎞に設定しておくとよいでしょう。
カーリース会社によっては走行距離の上限がもう少し多いプランもあります。2,000㎞や多くても2,500㎞までが上限のプランもあるので、遠距離での使用が多く、走行距離が超過する可能性がある場合は検討してみてください。
車の年間走行距離の平均
車の走行距離に関しては、「自分ではあまり意識したことがない」という方もいます。
では、一般的にどの位の月間走行距離が一番多いのでしょうか。参考までに見ていきましょう。
2019年ある社団法人が行った車の走行距離に関する調査結果が発表されています。
月間走行距離が約300㎞が全体の約6割で、約600㎞までが約2割、それ以上が残りの2割となっていました。平均すると一般的な走行距離は大体「月に400㎞程」になります。
もちろん公共交通機関が発達した都市部では、車を使わない方も多いので一概には言えません。車が主な交通手段となっている地方で、割合が変わってくる可能性もあります。
事情があって遠距離通勤、通学をしている方は当てはまらないですが、年間でいうと車の走行距離は約10,000㎞以内に収まるのが平均的だとされています。
年間10,000㎞を超える場合は、車の走行距離がやや多く部品の消耗も早いと考えられています。
走行距離制限は契約途中で変更できない
カーリースの契約では、始めに走行距離の上限をどのプランにするかを決めます。
カーリース会社によって走行距離の上限は異なりますが、月に500㎞、1,000㎞、1,500㎞というように区切って設定している所が多いです。他にも上限が2,000㎞、2,500㎞程度まではプランがあります。
ただし、一度走行距離の上限を決めて契約したら、契約の途中で上限を増やしたり、減らすなどの変更はできません。それは、走行距離の上限によって、設定されているプランごとにリース代が異なるからです。
あらかじめ契約時に月のリース代が算出されており、途中で変更となると月々のリース代を計算し直さなければなりません。
そうなると、カーリース会社の負担は大きく、車の残価も走行距離によって変わるので残価も変更しなければならず大幅に手間がかかってしまいます。場合によっては計算できないこともあるので、途中での変更は不可となっているのです。
カーリース契約期間中に、契約当初とはライフスタイルが変わることもあるかもしれません。
例えば「契約当初は近距離でしか車を使わなかったのに、急に遠距離通勤しなければならなくなった」といったことや「遠距離通勤していたのに転勤で電車通勤になり車が不要になった」などがあります。
そうなると、選んだ走行距離の制限を大幅に超える可能性が出てきます。逆に週末くらいしか車を使わないので、走行距離の上限を下げたいというケースもあるでしょう。
結果的に、車は不要だとカーリース契約自体を解約したいと考える方もいるかもしれません。しかし、カーリースでは途中解約は原則としてNGとなっています。
もしやむを得ずに途中解約をするとなると、解約金を支払わなければなりません。解約金には、残りのカーリース期間におけるリース代や残価などが含まれるので、ある程度まとまったお金が必要となります。
もしカーリース契約で設定した走行距離の上限を超えたしまった場合、どうなるのかも知っておくべきです。
走行距離を超過すると、「超過分1㎞に付きいくら」という形で追加金を支払うことになっています。
1㎞あたりの追加金の価格は平均5~10円です。超過分の距離に単価をかければ追加金が計算できます。
例えば、100㎞超過で500~1,000円ということになります。追加金だけを見ていると、さほど大きい金額ではないので安心するかもしれません。
ただし、あまりに超過しすぎると今度は車の価値にも関係してくるので注意が必要です。走行距離の多い車は、中古車としての価値が下がる可能性があります。
契約時には契約終了時の車の価値を予想し、残価を算出して車両本体価格から差し引かれています。契約終了時に車を返却する際、査定が行われて査定額が出されますが、残価よりも査定額が下がると差額が生じます。
この差額分も支払わなければならないことも、覚えておきましょう。
カーリースでは走行距離の上限によって、リースプランは分けられています。走行距離が少ないプランほどリース代も安くなります。
例えば、月間500㎞、1,000㎞、1,500㎞というプランを提供しているカーリース会社におけるプランごとの料金を見てみましょう。
3年契約のプランの場合以下のようになります。
月間500㎞のプランの料金から「プラス1,210円」月のリース代が高くなっています。
月間500㎞のプランの料金から「プラス2,090円」月のリース代が高くなっています。
契約年数が長くなると、プラスされる金額は減っていきますが、走行距離が少ないプランの方が値段自体は安くなります。
また走行距離が少ない車は、同じ車種、年式の車で中古車市場でも価値が高くなります。そのため、リース契約時の残価もやや高めに設定できる可能性が出てきます。
車両本体価格から差し引ける残価が多くなるので、月々のリース代もさらに安くできるというメリットがあると言えるでしょう。
カーリースの契約期間は基本的に年単位の長期間になっています。
リース会社によっては、契約期間が1年~であったり、1年ごとに契約期間を決められるプランなどもあります。
しかし、ほとんどのリース会社では短くて3年、他は5年や7年、9年といったプランが主流です。中には11年という長期プランを提供する所もあります。
リース契約期間中に、結婚や出産、転居などでライフスタイルが大きく変わるといった方も少なくないでしょう。すると、遠距離通勤になり「車の走行距離が増えてしまった」「家族が増えたので大きな車にしたい」など、車の乗り換えを希望する可能性もあります。
しかし、カーリースでは原則として途中解約ができないので乗り換えも難しいです。ただし、一定期間が経過すれば乗り換えが自由にできるというリースプランもあります。
ライフプランの変化をある程度想定して、カーリースを利用することは大事ですが、乗り換えができるプランを選ぶという選択肢もあることを覚えておきましょう。
走行距離が無制限のリースプランもある
走行距離制限がないリースプランを提供しているリース会社もあります。
「遠距離通勤や通学をしている」「普段から遠出する機会が多い」という方にとっては、魅力的なプランだと言えるでしょう。
また契約の途中でライフスタイルが変わり、急に走行距離が増えるという事態も起こりえます。そうなると、通常であれば契約終了時に超過分の精算が必要になりますが、走行距離無制限のプランなら精算金を気にせずに乗ることができます。
しかし、走行距離無制限のプランであっても、車の返却時に原状回復費用を請求されるかもしれません。
走行距離が多くなると、エンジンへの負荷が大きくなり、部品が著しく消耗、劣化している可能性が高いと考えられます。それだけ故障リスクも上がるため、返却後のリース車を中古車として売却する際に価格が下がる可能性があるからです。
車の返却時に、修理代や部品交換代を請求されることあるので、出費がかさむかもしれない点についても頭に入れておく必要があります。
車がもらえるプランなら走行距離を気にしなくてもよい
リース契約終了時に車がもらえるというプランもあります。
リース契約時に通常であれば残価を設定し、車両本体価格から残価は差し引かれますが、車をもらえるプランは「残価なし」の場合が多いです。さらに、走行距離に関しても、上限が設けていない場合が多いです。
つまり、リース契約期間中は走行距離を気にしないで車を使うことができることになります。また、契約終了時にリース車を返却しないで、そのまま名義変更手続きをすれば自分の車として乗ることができます。
リース期間中に走行距離が思いのほか多くなり、部品の消耗が進んで交換が必要になるかもしれません。しかし、車を返却する必要がないから契約終了時に部品交換や修理をしなくてもよくなります。結果的にリース会社から原状回復費用を請求されることもありません。
ただし、車両購入費用をリース期間中に全て返済することになるので、リース代が高めに設定されている場合が多いでしょう。
将来のカーライフを予測してプランを考えよう
カーリースは基本的に中途解約できないことになっています。途中でどうしても解約するとなると、解約金を支払わなければなりません。
そのため、カーリース契約中に起こりうるライフイベントをある程度は想定しておくことが大事です。
例えば、結婚して家族が増えると、車の大きさや使い方に変化が生じるでしょう。また、職場が変わって遠距離通勤となると車の走行距離も増えることになります。
近い将来ライフスタイルに変化がある可能性が高い場合、変化後の車の使い方もできる限り予想しておくことが大事です。
カーリースを上手に活用するには、ライフプランを踏まえた上で、車の走行距離を考えてプランを選ぶ必要があります。
まとめ
カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。