個人事業主の方で業務上、車が必要な方もいるでしょう。この場合、マイカーを購入する他にカーリースを利用するという選択肢もあります。

実は、個人事業主はカーリースにすると節税効果が期待できる可能性があります。使い勝手がいいなどのメリットも出てくるでしょう。一方で、デメリットもいくつか考えられます。

ここでは個人事業主がカーリースを利用するメリットとデメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

個人事業主がカーリースを利用するメリット

まずは、個人事業主がカーリースサービスを利用するメリットについてみていきましょう。

マイカーを購入した場合とカーリースサービスを利用した場合では、経費の計上の仕方が異なります。また、メンテナンスという部分でも車購入と比較して楽になります。車購入と比べると、特に初期費用に関する支出を圧縮できるのも魅力です。

メリット①購入とカーリースでは経費の計上の仕方が異なる

メリット①購入とカーリースでは経費の計上の仕方が異なる
もし業務目的でカーリースを利用する場合、リース料は経費として計上できます。マイカーも同じ目的で購入した場合でも経費計上できますが、その処理の方法が異なります。

車を購入した場合は「資産」となるため、減価償却で数年かけて経費計上しなければなりません。しかし、リースの場合はリース料の全額を1年間の経費として計上できるのが大きな違いです。

車購入の経費は減価償却になる

業務目的でマイカーを購入した場合、それは経費として計上できます。しかし、車は100,000円を超える価格のものがほとんどです。

青色申告している個人事業主の場合、300,000円を超える経費は一括で計上できない決まりになっています。数年かけて経費として計上する形になり、これが減価償却です。

車両のほとんどが300,000円を超えてくるため、何年かかけてその費用を経費として計上しなければなりません。

ちなみに新車を購入した場合は6年間、減価償却する必要があります。全額経費計上できないので余計な税金を支払う必要が出てくるかもしれませんし、会計処理上も手間がかかります。

カーリースなら全額経費で落とせる

カーリース契約を結んで車を利用する場合、毎月リース料を支払うことになります。このリース料は一括で経費計上することができます。

カーリースの場合、車を所有するのではなく一時的に借りるということになります。つまり、車は自分が使用していても、所有者はリース会社となります。

車を保有することにこだわる方は、所有者が自分ではないという部分に引っかかるかもしれません。しかし、そこにこだわりがなければ、車に関する費用を全額経費にできるのは大きいです。

また、全額経費にできると節税効果が期待できます。購入するのと比較して出費を抑制できるので、資金繰りの側面から見ても大きなメリットが期待できます。

メリット②車のメンテナンスが楽になる

メリット②車のメンテナンスが楽になる
カーリースのサービスを見てみると、車両に長く乗り続けるために必要なメンテナンスもカーリース会社がやってくれるものが多いです。それは「メンテナンスリース」と呼ばれるコースで提供されています。

メンテナンスリースは、車検をはじめとしたメンテナンスの時期が来ると、リース会社から連絡がきます。そして決められた場所に車両を持っていくと、あとはリース会社の方で点検や整備などを行ってくれるのです。

車検や点検、整備の費用については、月々負担しているリース料金に含まれます。整備しても追加料金が発生することもありません。

このようにメンテナンスに関して、何もする必要がないのはリース契約するメリットの一つです。手間が省ける分、本業に専念できるわけです。

メリット③車の乗り換えが楽

車を購入して乗り換える場合、買い取りや下取りをして現在保有している車両を手放さないといけません。その上で次の車を購入する必要があります。

また、自動車ローンを組んでいる場合、ローン残債を売却価格で処理できれば御の字です。しかし、残債よりも低い金額で売却してしまうと、車を手放してもローンを引き続き返済する必要があります。

カーリースの場合、車を所有しているわけではないため、売却手続きをする必要は一切ありません。今乗っている車をカーリース会社に返却します。その上で新しい車で再度リース契約を結ぶだけなので、手間を省くことができます。

また、カーリースの場合は車両を購入するときに発生する初期費用もかかりません。まとまった金額の支出がないので、気軽に乗り換えられるのもメリットの一つです。

メリット④「わ」ナンバーにならない

メリット④「わ」ナンバーにならない
マイカーを購入するのではなく借りるのであれば、カーリースの他にもレンタカーやカーシェアリングという他の選択肢もあります。しかし、レンタカーやカーシェアリングの場合、車のナンバーは「わ」ナンバーになります。

つまり、ナンバーを見れば、その車が借り物であるとすぐにバレてしまいます。

カーリースの場合「わ」ナンバーではないので、一見するとマイカーと同じに見えるところもメリットです。

個人事業主が業務目的で車に乗る場合、顧客からの信頼はビジネスを進める上で重要です。借り物の車と見られると「経済的な基盤が弱いのでは?」と顧客に思われてしまうかもしれません。

カーリースであれば、自家用車と同じナンバーです。顧客も懸念材料を抱くことがなくなるため、ビジネスがいい方向に進んでいくでしょう。

メリット⑤初期費用を圧縮できる

車を購入する場合、車両本体の費用だけでなく、諸費用も負担しなければなりません。

諸費用とは?
税金や自賠責保険、任意保険に加入する場合その保険料などです。

カーリースの場合、月々のリース料金に諸費用が含まれています。つまり、まとまった初期費用を負担する必要がなくなるわけです。

車を購入するにあたって一括で費用を捻出できない場合、自動車ローンを組むことになるでしょう。その場合でも、頭金などある程度まとまった費用が必要です。カーリースの場合、その頭金を準備する必要もありません。

業務上車は必要だが初期費用をできるだけ抑制したいと思っているのであれば、カーリースはおすすめです。

個人事業主がカーリースを利用するデメリット

個人事業主がカーリースを利用するデメリット
個人事業主は、業務用でカーリースを利用することでいろいろなメリットが期待できます。一方で、デメリットや注意すべきポイントもいくつかあります。

カーリースの契約を交わすにあたって、利用上いくつか制約の伴う可能性があります。どのようなところに注意すべきか以下にまとめましたので、参考にしてみてください。

デメリット①中途解約は認められない

カーリースの契約をした場合、原則中途解約が認められない点は注意してください。これは、カーリースの仕組みが大きく関係しています。

カーリースは、使用者に代わって車両をリース会社が購入する形をとっていて、リース料金は契約年数を元にして算定しています。もし中途解約されると、それ以降のリース料金が回収できなくなりリース会社は損害を被ってしまうわけです。

解約は可能ですが、残価分を一括で支払うように請求されたり、高額の違約金を負担したりする必要が生じます。

事故など不可抗力でやむを得ない場合には解約できますが、それ以外での解約は難しいので、長期にわたって乗りたいと思えるような車両を選択しましょう。

デメリット②個人事業主のカーリース利用は走行距離の制限がある

デメリット②個人事業主のカーリース利用は走行距離の制限がある
カーリースの場合、1カ月の間に運転できる距離に制約が伴います。カーリース会社によって異なりますが、大体1カ月当たり1,000~2,000kmです。

もし走行距離の上限を超えて運転してしまった場合、超過分を追加料金として請求される可能性があります。よく運転する予定であれば、走行距離の上限はチェックしておくべきです。

ただし、普通に運転している分には1カ月に1,000kmを超えることはまずないでしょう。自宅と仕事場の行き来がメインの方なら、オーバーする可能性は低いです。

一方、遠方に得意先があって、高速道路をしばしば利用するような方の場合、上限を超えるかもしれません。普段どのくらい運転しているのか、見直してからカーリースの契約をすべきか判断してください。

また、1カ月の走行距離という表記がされますが、車は毎月決まった距離を走行するわけではありません。例えば、1カ月2,000kmで5年間のカーリース契約をした場合、契約満了時に120,000kmを超えていなければ問題ないということになります。

デメリット③カーリースを個人事業主が利用する場合審査がある

カーリースに申し込むと誰でもリース契約できるかというと、実は違います。申し込むとリース会社の方で審査が実施され、問題ないと判断されて初めて契約という流れです。

では、カーリースの審査はどのような部分を見られるのでしょう。それは、個人と事業者としての両面の信用力について審査されると思ってください。

事業の実績

まずは、事業者としての実績に関することです。何といっても重視されるのは経営状況です。

カーリースに申し込む場合、直近3年間の決算書を提出するように言われます。赤字決算、黒字でもその収益が少ない場合は経済力に問題ありとされ、審査が不利になるかもしれません。

安定・継続的な収入があるかも、カーリース会社は審査の際に重視します。そのため、業歴も重視されます。たとえ黒字でもまだ事業を始めて日が浅いと厳しめの審査になるかもしれません。

業種も審査の際にチェックされます。貸金業者や風俗業の場合、利用不可にされる可能性がありますので注意しましょう。

債務整理の有無

個人として信用力があるかどうかも、審査では考慮されます。それは信用情報もチェックされるということです。

いわゆる事故情報が記録されていると、カーリースの契約するのは難しくなると思ってください。自己破産や任意整理をしているのであれば、カーリースの契約は諦めた方がいいでしょう。

また、クレジットカードやローンの支払いを滞納しているのであれば、審査落ちする可能性があります。

1度や2度の延滞であれば、うっかりミスとして審査でマイナスになることは極めて低いです。しかし、何度も延滞情報が記録されていると「期日までに料金を支払ってくれないのでは?」と懸念されるかもしれません。

カードやローンを利用しているのであれば、期日通りの支払いを意識してください。

カーリースの経費と項目

カーリースの経費と項目
カーリースを利用した際、リース料は経費として計上できます。

経費計上する場合、どのように処理すればいいかわからないという方もいるでしょう。

そこで、ここではカーリースの仕訳や項目について、解説していきます。

個人事業主のカーリースの仕訳について

カーリースにはいくつか契約の種類があります。どのような取り引きを選択するかで、処理の仕方も変わってきます。

ここでは、カーリース契約の主要な種類とどう処理するかについて解説しましょう。

種類によって契約内容も変わってくるので、自分たちに合った形でカーリースの契約を結んでください。

所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合

まず、所有権移転外ファイナンス・リース取り引きという契約形態です。

ファイナンス・リース取引とは?
中途解約が認められない契約のことです。

ファイナンス・リースの中でも「所有権移転外」とは、カーリースの契約が満了になるとリースされていた車両は利用者のものにならない契約のことになります。日本のカーリースのほとんどが、この契約形態をとっていると思っていいでしょう。

この場合、契約時の仕訳は以下のようになります。
「リース資産/リース債務」

リース料を支払った際には以下のように仕訳ます。
「リース債務/現金」

決算時には以下のように処理します。
「減価償却費/リース資産」

ちなみに、契約時はリース契約した車両を一括で購入した場合の金額を入力してください。そして、決算仕訳の際には「現金購入した場合の車両価格÷リース回数×年度内の月数」で算出します。

所有権移転ファイナンス・リース取引の場合

所有権移転ファイナンス・リース取引もファイナンス・リース契約の一形態です。ただ、所有権移転外とは異なり、契約が満了するとリースしている車は利用者の所有になる契約のことです。

この場合の処理は、借金をして資産を購入した場合と同じ形になります。最終的に使用者の所有物になることが前提のリース契約だからです。

まず、契約時は以下のような勘定科目で処理します。
「リース資産/リース債務」

リース料金を支払った際には以下のように処理しましょう。
「リース債務/現金・支払利息」

そして、決算時には以下のように処理をしていきます。
「減価償却/車両運搬費」

車を購入したのと基本的には同じと思ってください。

オペレーティング・リース取引の場合

リース契約の中には、オペレーティング・リース取引もあります。これは車両はあくまでもレンタルしている形で、契約満了すればリース会社に返却するという流れの契約です。

この場合、車両を入手したとはみなされません。そのため、月々に発生するリース料金だけを仕訳すればよくなります。リース料金を支払ったときだけ記帳すればいいだけです。

その場合の仕訳ですが、以下のように処理します。
「リース料/現金」

金額については実際に支払ったリース料金をそのまま記載するだけです。そのため、オペレーティング・リース取引が経費計上するにあたって、最もシンプルな処理になるでしょう。

個人事業主のカーリースと家事按分

個人事業主の場合、完全に業務オンリーでリース車を利用する方は少ないでしょう。業務用とプライベート用の兼用で車両を利用する方も多いはずです。

もしプライベートでも車両を利用した場合、全額経費として計上できません。このように業務とプライベート両方で利用する場合は「家事按分」をする必要があります。

家事按分とは?
事業とプライベートで使用した分を切り離して、事業用の部分だけを経費として計上することです。

分け方はいくつか考えられます。走行距離でもいいですし、1週間のうち何日事業用で利用しているかで分けても構いません。

例えば、事業とプライベート半々の場合、リース料の半分を経費として計上します。合理的に説明できれば、分け方は何でもいいということになります。

個人事業主でカーリースがおすすめな人とそうでない人

カーリースには、ここまで見てきたようにメリットとデメリットの両面があります。そのため、人によってカーリースがおすすめな方とそうではない方に分類されます。

そこで、ここではカーリースがおすすめな方についてまとめました。自分に当てはまるものがどのくらいあるかチェックしてから、カーリースの契約を検討しましょう。

カーリースがおすすめな個人事業主

カーリースがおすすめな個人事業主
カーリースの場合、リース料金だけで税金や保険などの初期費用がかかりません。そのため、できるだけ出費を抑えたいと思っている方にはおすすめです。

また、車を購入する場合、自賠責保険など事務手続きをいろいろとしなければなりません。カーリース契約の場合、面倒な手続きから解放されます。

車を購入すると減価償却で毎年少しずつ経費を計上しなければなりません。会計ソフトなどを使って、自分で経理を行っている方もいるでしょう。

この場合、減価償却の処理はなかなか面倒です。もし経費の処理をなるべくシンプルにして、経理の負担を軽減したいと思っている個人事業主にはおすすめです。

カーリースがおすすめできない個人事業主

カーリースがおすすめできない個人事業主
カーリースに向いていないのは、運転が荒い人です。「過去何度か車をぶつけてしまった」「事故を起こしたことがある」といった方はカーリースの契約を交わすのは慎重になった方がいいかもしれません。

もし事故などでカーリースされた車に傷を付けたり、へこませたりした場合、現状回復が求められます。修理費用が上乗せされるので、余計な出費を強いられてしまうでしょう。

しかも、交通事故を起こして車両が全損になった場合、強制解約という形も考えられます。このような場合、残り期間のリース料金を一括で支払うように求められるかもしれません。

運転の荒い人、免許を取って間もなく運転に自信がない人は、カーリースを利用しない方が無難です。

まとめ

①カーリースのリース料は全額経費として計上できる
②車のメンテナンスもカーリース会社に任せられる
③中途解約は基本的には不可。やむを得ず解約する場合は契約金を支払う必要がある
④走行距離の上限が設けられている
⑤カーリースの契約によって経費処理の方法が異なる
⑥プライベートでも利用するなら家事按分が必要
カーリースってどんなクルマが選べるの?
グーネット定額乗りマガジン編集部
グーネット定額乗りマガジン編集部

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。