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足りない分の学費を借り入れる「奨学金」という制度ですが、卒業後は長い期間をかけて返済する必要があります。
繰り上げ返済や短い返済期限により早期に返済を完了している場合は問題ありませんが、実際は毎月1万円〜2万円程度を15年〜20年かけて返済するケースがほとんどです。
そのため、22歳で大学を卒業してから少なくとも30歳を超える年齢までは、返済が続きます。いざ結婚したいと思ったときに両親の反対やパートナーの不安により結婚が破談してしまうかもしれません。
この記事では、奨学金と結婚の関係について解説します。
奨学金の返済があると結婚生活に影響がでる
奨学金の返済があると、結婚生活または結婚そのものに悪影響をおよぼす可能性があります。というのも、奨学金は多くの人が利用している制度であるものの、実際は「借金」であることに変わりはありません。
結婚後は結婚式・新婚旅行・出産といったライフイベントが続々と控えているため、奨学金の返済が残っていると費用を捻出しにくいのです。
奨学金の存在が結婚の障害になる理由
ここからは、奨学金の存在が結婚の障害になりえる理由について紹介します。
奨学金の借入金額は数百万円単位と決して少なくはありません。
多額の借金があると、結婚時の引っ越し・結婚式・新婚旅行・出産など、これから数年間で起こるイベントに対して、十分なお金をかけられるか心配に思ってしまうものです。
奨学金があると、結婚後の生活にかかるお金が確保できるか不安に思ってしまいます。
結婚後は、何にどれくらいお金がかかるの不透明なものです。そのため、奨学金の返済が生活の足かせにならないか心配してしまうのも無理はありません。
これから生計を共にする以上、万が一を考えてしまうのは当然といえるでしょう。
奨学金が結婚に与える影響は、自分たちの生活やライフイベントだけではありません。結婚する際はお互いの両親に挨拶に行くものですが、そのときに奨学金の存在を伝える方も多いでしょう。
両親の身としては、自分の子供が選んだ相手に奨学金があると、心配にならざるを得ないのです。「一定の収入があり、返済する分には全く問題ない」と相手の両親にきちんと伝えられなければ、結婚を反対される確率も高まってしまいます。
奨学金が抱えるリスク
ここからは、奨学金を借りることによって抱えるリスクについて紹介します。
近い将来、結婚や出産といったライフイベントを控えていると、奨学金の存在が大きなリスクとしてのしかかる場合があります。
奨学金は借金の1種である以上、返済は計画的に行わなければなりません。
奨学金の返済期間は平均で約14年といわれており、大学卒業後に完済できるのは30歳後半が目安です。もちろん、ボーナスや貯蓄による繰り上げ返済を行えば、もっと早い段階で返済はできるでしょう。
しかし、通常の返済額をそのまま続ける場合は30歳後半近くまで返済し続けなければなりません。収入がアップすれば返済に対する生活の負担も軽くなりますが、30歳までに転職や倒産など、なんらかの理由で収入が滞ってしまう可能性もあります。
奨学金は多くの学生が利用している制度ですが「奨学金を借りたことがない」「借り入れをしたことがない」といった方からすると、借金を抱えているという悪いイメージを持たれてしまいがちです。
特に結婚の場合、相手の両親が借金をしたことがない方なら、奨学金の返済自体を理解されないケースもあるでしょう。
相手の持つイメージは自身の説得によって覆すことが難しいため、奨学金を悪いものではないと説得をするよりも、誠心誠意返していく姿勢や返済が大きな負担にならないことを説得材料にする必要があります。
奨学金を返済している間は、基本的に働き続けなければなりません。収入が途絶えたときに十分な貯蓄があれば問題ありませんが、多くの場合は収入が途絶えると同時に返済を滞納してしまうでしょう。
結婚や出産と同時に職場を退職する方も珍しくないため、そういったときに残った分の奨学金をどうするのか、パートナーと話し合う必要があります。
結婚と同時、または結婚から数年後に住宅ローンやカーローンを組んで大きな買い物をすることもあるでしょう。
そんなとき、奨学金の存在があると住宅ローンやカーローンを組むと「多重債務」が起こるため、奨学金がない場合よりもローンの審査が厳しくなります。
出産して子供が大きくなると同時に、一軒家や分譲マンションなど広い部屋に引っ越す方も多いでしょう。また、移動の利便性を考えて車が必要な場合もあります。その際に奨学金の返済が続いていると購入できる物件や選べる車に制限が課されてしまうのです。
「頭金を多く用意する」「保証人を立てる」「収入基準より下の物件や車を選ぶ」など、なんらかの対策をする必要があります。
奨学金がある男性と結婚する際の懸念点
ここからは、奨学金がある男性と結婚する際の注意点について解説します。
これから男性のパートナーと結婚を考えている女性の方は、以下の点にご注意ください。
両親が自分に対して向ける目と、結婚予定の相手へ向ける目は異なります。
両親の世代や考え方によっては「男は稼ぎが必要」と捉えている場合も多く、男性よりも女性側の両親の方が反対しやすい確率は高いといえます。
奨学金の存在を両親に伏せておくという選択肢もありますが、万が一バレてしまうと大きなトラブルに発展するかもしれません。また、滞納によって両親に立て替えをお願いする可能性もゼロではないため、話さないよりは話しておいたほうがよいでしょう。
自分の両親にパートナーを連れて挨拶するときは突然、奨学金の話を切り出すのではなく、挨拶の前の段階から少しずつ両親に事情を話しておいて、ソフトランディングを目指すのが無難といえます。
パートナーによっては、結婚する直前まで奨学金の存在を隠している可能性があります。
女性よりも男性の方がプライドが高い傾向にあるため「奨学金のことを話したくない」「奨学金のことを話すと結婚ができないかもしれない」と危惧している男性も珍しくないでしょう。
結婚前に突然借金の存在が判明すると、現在組んでいるライフプランも崩れてしまう可能性があります。結婚を考えている場合は、改めてパートナーと話し合い、奨学金やそのほかの借金の存在がないか確認しておくとよいでしょう。
奨学金がある女性と結婚する際の懸念点
ここからは、奨学金がある女性と結婚する際の懸念点について紹介します。
先ほど男性の懸念点を解説しましたが、女性の場合は見るべき点が異なります。奨学金がある女性と結婚する場合は、以下の点にご注意ください。
結婚または出産と同時に、パートナーの就業形態が変わることは珍しくありません。独身時代は会社員だったものの、結婚後に専業主婦に変わる方もいるでしょう。
しかし、奨学金を抱えた状態で専業主婦に転向すると、パートナー分の奨学金は自分が支払わなければなりません。自身も奨学金を借りている場合は2人分の奨学金の返済を1人の収入で賄わなければならないため、男性側に相当な収入がない限り、2人分の返済を続けるのは難しいでしょう。
今後のライフプランで出産も考えている場合は、奨学金の返済額や返済の残り期間に応じて、どのタイミングで出産すべきか、収支バランスを見極めた上で判断する必要があります。
出産や育児中はパートナーも働きに出ることが難しくなります。子供が大きくなって保育園や幼稚園に預けられるようになれば問題ありませんが、サービスの利用料はかかりますし、お子様の分だけ生活費もかかります。
また、子供が大きくなると学費や食費も大きくかかってくるため、早い段階から貯蓄をして備えなければなりません。そういったときに奨学金の返済は大きな重荷になってしまうでしょう。
結婚から出産までのライフプランを考える場合は、毎月の奨学金の返済額と今後どのタイミングでどれくらいのお金がいるのかをあらかじめ試算した上で計画を立てる必要があります。
また、両親に挨拶するときは奨学金の存在を隠さず、正直に話して返済に向けて努力していることをアピールしましょう。生活費不足や奨学金の滞納が起こる可能性もゼロではないため、協力してくれる人は1人でも多いほうがよいでしょう。
奨学金を理由に結婚を反対されないためにできること
ここからは、奨学金を理由に結婚を反対されないためにこれからできることを紹介します。
奨学金を借りている方だと、パートナーまたは相手の両親から結婚を反対される、もしくは結婚を心配されることもあります。そういったときに備えるには、以下の取り組みがおすすめです。
返済のために、またはパートナーに負担をかけないために収入を伸ばす工夫をしていると、パートナーや相手両親への説得材料にできます。
例えば、不労所得により安定した収入がある、副業分だけで返済額分を賄えているといった事実は説得材料になり得ます。
毎月の収入やボーナスから貯蓄をするのも大切ですが、奨学金を借りている場合は繰り上げ返済をして早期完済を目指しましょう。
奨学金は繰り上げ返済が認められています。ボーナスや臨時収入が入れば、一部を貯蓄に回してもう一部を奨学金の繰り上げ返済に使っておくと、30歳を超えないうちに奨学金を返せる可能性があります。
前述したように、奨学金に対して悪いイメージを持っている方は一定数いるため、たとえ貯蓄額が多少乏しくても「借金」というイメージを相手に与えずに済みます。
奨学金を滞納すると、信用機関のブラックリスト登録や遅延損害金の発生など、様々なデメリットが生じます。
特に信用機関のブラックリストに登録されると、住宅ローンやカーローンなどローン契約または不動産契約の審査に通りにくくなってしまいます。
家族が増えて大きな家に引っ越そうとしても、審査に通らないために今の物件に住み続けなければならないため、パートナーや相手両親からの不満を買ってしまうかもしれません。
奨学金を滞納するデメリット
ここからは、奨学金を滞納するデメリットについて紹介します。
前述したように、奨学金は滞納することで様々なデメリットが生じます。どのデメリットも決して小さくはないため、奨学金の滞納は極力避けなければなりません。
奨学金の返済は信用機関が関わっており、3ヶ月以上滞納するとブラックリストに登録されます。
信用機関のブラックリストに登録されると、「ローンの審査に通りにくい」「クレジットカードが作成できない」「分割払いが利用できない」など、生活上のハンデを背負ってしまいます。
正確には「ブラックリスト」ではなく、信用機関では「金融事故」が正しい名称です。金融事故の情報は信用機関によっておよそ5年程度保管され、期間を過ぎるまで登録が消えることはありません。
また、こちらから申し出て登録を抹消してもらうのも不可能なため、一度登録されると期間が終わるのを待つほかありません。
なお、インターネット上には「ブラックリストの登録抹消を代行します」と謳う業者の広告もありますが、これらはすべて詐欺です。第三者が介入してもブラックリストの取り消しはできません。
遅延損害金とは、返済期限の翌日から1日ごとに発生する延滞料のことです。遅延損害金は年利1.5%〜3%が適用され、元本が多いほど遅延損害金の額も大きくなります。
奨学金における遅延損害金は振替不能の2回目以降に発生するため、最初の段階で振替不能が起こったとしても遅延損害金が発生することはありません。ただし、滞納分が完済するまで遅延損害金は継続します。
奨学金の返済を長期間滞納すると、最終的に裁判所から差し押さえが行われ、「口座残高」「給与」「家財」といった財産を押収されます。
差し押さえは基本的に口座残高→給与の順に押収されますが、それでも返済額に足りない場合は自宅の家財を押収されます。このとき、衣類や調理器具など生活に必要最低限なもの以外はすべて押収され、債務者側で対象物を取捨選択することはできません。
特に結婚していると、パートナーの持っている財産も対象に含まれるため、大切にしている品も失います。そのため、自分の滞納が原因で差し押さえまで発展すると、パートナーや両親の信頼を失ってしまうでしょう。
奨学金が返済できないときの救済制度
ここからは、奨学金が返済できないときの救済制度である「返還期限猶予制度」と「減額返還制度」の2つを紹介します。
奨学金には、何らかの理由で収入が途絶えたり、返済が難しくなったりしたときに、ある程度融通を利かせてもらえる制度が存在します。
現時点で奨学金の返済が厳しい場合は、以下の制度を活用しましょう。
返還期限猶予制度とは、なんらかの事情で奨学金の返済が困難になった場合、最大10年まで返済期限に空白期間を設けてもらえる制度です。
仮に本制度により10年の猶予をもらえた場合、その10年間は奨学金を返済する必要がなくなります。
金利が適用される第二種奨学金の場合も、猶予をもらっている期間中は金利の対象外です。そのため、本制度を利用しても最終的な支払額が増えることはありません。
本制度はケガや病気または、家庭の事情で職を失った方に向いています。利用せずに返済を滞納するとデメリットしかないため、必要に迫られた場合は早急に申請しましょう。
減額返還制度とは、奨学金の支払い期間を延長し、毎月の奨学金の返済額を減らす制度です。
本制度の適用は1年単位で最大15年まで継続でき、返済期間が伸びることによって総支払額が増えることはありません。金利の影響を受けずに負担額を減らせるため「現在よりも少額であれば返済が可能」という方に向いています。
ただし、返済期限が延びる分、返済完了の年齢が上がる点には注意が必要です。
まとめ
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