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自己破産してしまうと信用情報に一定期間記録が残り、クレジットカードを作ったり金融機関などでローンを組んだりできません。一方で、中古車販売店が独自の審査基準で判断する自社ローンは、自己破産後でも利用できる可能性があります。
この記事では、自己破産後に車を購入する時、どのような購入方法があるのか、再度ローンを組めるようにするためのポイントや自己破産前にやってはいけないことについて解説します。
- 自己破産後でも自社ローンなら車の購入が可能な場合があります。
- 自社ローンは現在の収入と支払い能力を重視します。
- 自己破産中は自社ローンも含めて新規ローン契約はできません。
- 自社ローン利用時は所有権留保に注意しましょう。
- 自社ローン以外にも現金一括購入やカーリースなどの選択肢があります。
- 自己破産の履歴が消えた後は通常ローンも再び利用できる可能性があります。
自社ローンは自己破産後でも組める場合がある
一般的に自己破産した場合、ローンを組もうとしても審査に通ることはありません。しかし、生活の足として自動車は便利な移動手段の1つです。自己破産後に自動車の購入が必要な場合、多額の費用の一括支払いが難しい場合は、中古車販売店などが独自に展開する「自社ローン」の活用を考えてみましょう。
ここでは、自己破産後でも利用できる可能性がある自社ローンと他のローンの違いについて説明します。
自己破産後はカーローンが組みづらくなる
自己破産後は金融機関や信販会社で一定期間ローンを組めません。それは「信用情報」がCICや全国銀行個人信用情報センターなどに登録されるためです。情報の登録がされる期間は各機関で異なり、5年から7年程度とされています。
金融機関や信販会社を利用したカーローンは、ローン審査時に信用情報の取得があるため、取得情報の中に「自己破産」が記録として入っていると審査が通らなくなってしまいます。
自己破産すると全ての借金返済義務がなくなりますが、一定期間はローンを組みづらくなるため、自己破産を申請するときは慎重な判断が必要です。
自社ローンは自己破産後でも審査に通る可能性がある
自社ローンの場合は銀行系や信販会社のカーローンと異なり、自己破産後でもローンを組める可能性があります。
自社ローンとは、中古車販売店が独自に展開する金利のかからない費用の分割支払いサービスです。銀行系や信販会社のカーローンと異なり、自社ローンの審査時は信用情報機関からの情報取得はほぼありません。販売店が独自に定める基準に基づき判断します。
銀行系や信販会社の審査では現在の収入と過去の金融履歴をもとに審査しますが、自社ローンの場合は現在の収入が安定していれば自己破産後でも利用できる可能性があります。
自己破産後のローン審査で通過するためのポイント
自己破産後にすぐにローンを組むことはできません。しかしながら、一定期間を経て信用情報に登録されている記録から自己破産が消えていれば、再度ローンを組むことは可能です。
ここからは、自己破産後にローンを組む時、審査を通過しやすくするためのポイントをご紹介します。
前述のとおり、銀行系や信販会社のカーローンの審査時、信用情報に「自己破産」の記録が残っているとローンは組めません。そのため、ローン審査を受ける前に信用情報機関で自身の信用情報について確認するのが良いでしょう。
自分の信用情報については、信用情報機関にインターネットで情報開示を申し込むことが可能です。例に挙げると、CICの場合は、公式サイトから6つのステップで簡単に情報開示を申し込めます。情報開示にかかる費用は消費税込みで500円です。
情報開示にかかる費用は各機関により異なりますが、確認は簡単にできます。
自己破産を申請した際、全ての借金返済がなくなるわけではありません。清算して残った債務に対しては支払いしなければなりませんが、裁判所から「免責許可決定」を受けると残った債務の支払いもなくなります。
免責許可決定を受けた場合、支払い義務はなくなりますが、以前に利用したローン会社には利用履歴などの情報は残っているでしょう。そのため、ローン審査時に信用情報から自己破産の記録が消えていても免責対象になったローン会社で再度ローンを組むのは審査に通りにくい可能性があります。
ローンを申し込むとその情報は各信用情報機関に登録されます。短期間のうちに複数のローンに申し込みをしてしまうと、「家計が破綻しているのではないか?」「借金を借金で返そうとしているのでは?」などの印象を抱かせるため信用が下がるリスクがあります。
信用が下がってしまうと、ローン審査に通りにくくなるため、注意が必要です。一般的に1~3か月間に3社以上のローンを申し込むと、その後、6か月間から1年間は審査が通りにくくなってしまうため、ローンの申し込みは慎重にしましょう。
自己破産後に再度ローンを組む必要があるとき、まず免責対象になったローン会社などは避けましょう。新規のローン会社を利用するか、中古車販売店が展開する自社ローンを利用するかの2択でしょう。
自社ローンの場合は信用情報が不要なことが多く、販売店独自の基準で審査されるため、銀行系や信販会社のカーローンより審査が通りやすいといえます。
ローンの取引実績が多いディーラーや販売店はローン会社との関係性も良好でしょう。また、さまざまなケースのお客様に対応しており、ローン審査前にポジティブなアドバイスも期待できます。
その他、規模が大きい販売店は販売に関するフローがマニュアル化されており、スムーズな契約手続きを受けられるでしょう。
母体企業の決算期によりますが、3月・9月に決算期を迎える企業は多いため、そのタイミングでローンの申し込みを行えば、他の時期より審査のハードルが下がって通りやすい可能性があります。
また、販売店側は1台でも多く販売したいため、通常時より値引き交渉に応じてくれやすいでしょう。購入金額が下がれば、借入申込金額も減るため、急ぎの購入でないならば、購入時期を決算期やボーナス期に合わせてみましょう。
自己破産を申請すると、残っている債務の清算に持っている財産を充てるため、手元に残るのは最低限の生活に必要なものだけです。生活に自動車が必要で、再度購入する場合は、今の自分の収入に見合った車種を選びましょう。
また、自動車は買ったら終わりではありません。日々のメンテナンスにかかる費用や自動車税の支払いもあるため、先々の自分の生活にかかるお金を考えた上で、本当に購入しなければならないのか、購入する場合は収入に見合ったものかを検討するのがポイントです。
自動車の購入に必要な頭金は、一般的に車本体代金の20~30%といわれています。
例えば、車本体代金が100万円の場合、20万円から30万円の頭金を用意する必要があります。そこに上乗せして頭金を用意できれば、その後の借入金額を抑えられ、月々の返済負担も軽減できるでしょう。
また、まとまった頭金を用意できることは、ディーラーや中古車販売店側に購入者の支払い能力あることを示す方法の1つです。
自己破産後は所有しているクレジットカードは使えなくなります。ただし、クレジットカードも信用情報の自己破産記録が消えれば再発行は可能です。
再発行後、クレジットカードを使って毎月のガス代や水道代、スマホ代などを支払い、カードでの返済実績を作ることで信用情報に新たなクレジットヒストリーを積み重ねましょう。
クレジットヒストリーが蓄積されていくことで、カード所有者の返済などへの信用力は高まっていきます。
安定した雇用形態の職に就ければ、収入も安定するため、ローン審査時に有利に働くといえます。アルバイトや非正規雇用の人は景気が不況になり、企業が経営不振の時、契約継続が厳しい場合もあるでしょう。
一方で、正社員として働き、勤続年数も長くなってくると、より安定した収入が得られていると見られ、これも審査時に有利に働くでしょう。
自社ローンの実態は分割支払いのため、現状の収入が安定していれば審査は通るかもしれませんが、新たに車を購入できる余地があるならば、それは借金の返済に充てなければなりません。
自己破産後も利用できる「自社ローン」とは?
自己破産申請中はもちろんのこと、自己破産後にローンを組むことは金融機関や信販会社では難しいでしょう。一方で、自己破産後でも利用できるローンはあり、それが「自社ローン」です。自社ローンはディーラーや中古車販売店が独自に展開するサービスの1つです。
ここからは、自社ローンの基本と特徴についてご紹介します。
自社ローンは銀行系や信販会社のカーローンと異なり、実態は販売店が車の購入代金を立て替えてくれる分割支払いです。販売店で独自の審査基準を設けており、重視するポイントは「今の収入状況」や「今後の支払い能力」です。
自社ローンの魅力は販売店による独自の審査基準が銀行系や信販会社の審査基準よりハードルが低い点でしょう。また、審査にかかる時間も短いため、自己破産後に車が生活に欠かせないとなった時に、早く購入したい人におすすめの方法の1つです。
自社ローンは販売店独自の審査基準をもとに審査を実施します。多くの場合は信用情報機関へ信用情報を照会することはありません。前述のとおり、自社ローンの場合は過去の金融履歴よりも現在の収入や今後の支払い能力が重視されます。
銀行系や信販会社のカーローンは審査時に信用情報を取得されるため、記録されている自己破産が消えない限り、審査を通ることは難しいでしょう。そのため、自己破産後に車の購入を検討する場合は、現金一括購入、自社ローンで購入するといった方法が有効です。
自己破産後に車に乗るための方法
自己破産してしまったからといって、車を使えないわけではありません。現代社会は価値観の変化もあり、モノに対して「所有する」からサブスクリプションサービスなどの類で「利用する」といったように考え方も変わってきています。
ここからは、自己破産後に車に乗るための方法をご紹介します。
自己破産後すぐは債務整理や弁護士への支払いに多額の費用がかかり現実的な方法ではないでしょう。しかしながら、破産手続開始決定後に得た給料や築いた財産は全て自分の財産扱いになるため、まとまったお金を用意できれば現金一括での購入も1つの方法です。
気を付けたい点は、車は買って終わりではありません。安全に乗るための定期的なメンテナンス費や点検代、自動車税の支払いも毎年あります。先々の支払いまで見据えて、今の自分の収入に見合った車を選んで購入しましょう。
自己破産申請しても自動車免許は没収されることはないため、車を借りて乗ることは可能です。現在はさまざまな企業からレンタカーやカーシェアリングのサービスが提供されており、車が必要な時だけサービスを利用することで、車にかかる費用を抑えられます。
注意したいのは、多くのカーシェアリングサービスでは支払い方法がクレジットカード決済に限られている点です。自己破産後はクレジットカードを作成することも一定期間は難しいため、クレジットカード決済以外の支払い方法があるサービスを選ぶなど、利用時には支払い方法について事前に確認しましょう。
カーリースは必要な保険料なども月の利用料に含めた定額で提供され車に乗ることが可能です。毎月の車にかかる費用が把握しやすく、費用も抑えられるため、自己破産後に車に乗る方法として有効でしょう。
ただし、カーリース契約時も会社によっては信用情報を取得するため、過去の金融履歴が契約に影響する可能性も否めません。信用情報を取得しない自社リースを展開するところであれば、審査が通ってリース契約できる可能性はあります。
信用情報に掲載される自己破産記録が消滅するまで自己破産した本人が金融機関などでローンを組むことはできません。一方で、自己破産の対象は個人であり、そのパートナーや家族は自己破産による影響はないため、本人に代わってローンを組むことが可能です。
ただし、契約者が車を使わない「名義貸し」になってしまうと違法になるため、家族間で車を共用することが前提です。
・車の価値が20万円以上と判断できる
・初年度登録から4年以内
この他にも高級車の場合は、これらに当てはまらなくても車としての市場価値が高いことが多いため、没収される可能性があります。
自己破産の前にやってはいけないこと
ここまでは、自己破産後にローンを組む時の審査を通過するために、やっておいたほうが良いことや破産後に車を使用するための方法についてご紹介しました。一方で、自己破産申請前にやってはいけないことがあります。
ここからは、自己破産申請前にやってはいけない3つのことについてご紹介します。
自己破産申請前に車の所有者を自分から家族などに変えてしまうと財産隠しと見なされてしまい、詐欺破産罪に当たります。
また、自己破産申請後に債務整理して残った残債については支払い義務がありますが、それをゼロにする措置が裁判所から出される免責許可決定です。
しかしながら、財産隠しのようなことをしてしまうと、免責不許可事由に該当し破産申請を申し立てても免責が認められなくなるため注意しましょう。
自己破産手続きにおいては、全ての債権者に対して平等でなければなりません。一部のローンだけを返済するような「偏頗弁済」も破産法上、違法であり、車の名義人を変更するのと同じよう免責不許可事由に当たります。
また、刑法にも触れて刑事罰が科される可能性もあるため、車のローンだけを優先して返済するなどの偏った対応は避けましょう。
自己破産の手続きを進める中で、財産処分は債権者に対して破産管財人により平等に行われます。没収された財産は破産管財人が預かり管理するため、指示のない状態で勝手に車を処分してはなりません。
従わなかった場合、破産法違反になり免責が認められなくなったり、刑事罰が科されたりするため、破産管財人に従って手続きを進めましょう。
まとめ

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。