ローンを新たに組もうとしたとき、信用情報がクリアであっても「総量規制」によって利用できない場合があります。

総量規制とは、年収に対していくらまでと借入れが制限されているもので、消費者が無理な借入れを行わないようにすることが目的です。

総量規制がかかりそうな方でも、自社ローンなら総量規制の対象外であるため利用が可能です。

この記事では、自社ローンと総量規制の関係について詳しく解説します。

ポイント
  • 総量規制とは、年収の3分の1の金額までしか借入れができない制度のことです。
  • 総量規制の借入れ上限が借入れ可能額というわけではなく、借入れ可能額はローンを提供する業者が判断します。
  • 自社ローンは中古車販売店が独自に提供する支払い方法のひとつであり、総量規制の適用外です。
  • 自社ローンは金融商品ではないことから、金利は発生せず、信用情報に不安があっても利用しやすいことがメリットです。
  • 金利はかからなくても、金利相当額の手数料が上乗せされることや、保証人を立てる必要がある可能性があることに気をつけましょう。
  • 自社ローンの審査に落ちてしまった場合にも、カーリースを選択肢に入れることで車を諦める必要がなくなります。

自社ローンは総量規制の対象外

自社ローンは総量規制の対象外
自社ローンは金融商品ではないため「総量規制」の対象外です。

総量規制とは、貸金業法によって定められたもので、年収の3分の1までの金額しか借りられない仕組みです。

自社ローンはこの総量規制の制限に関係なく利用できますが、無理のない返済計画を立てる必要があります。

総量規制とは?

ローンを組む際に、家のローンや他の車のローンなどもある場合、信用情報がクリアであっても総量規制に引っかかる可能性があります。

総量規制は、個人の年収に対して借入れ金額の上限が設けられている制度です。無理な借入れを防ぎ、国民の生活を保護することが目的です。

ここからは、総量規制について詳しく解説します。

借入金額は年収の3分の1が上限

総量規制とは、2010年の6月に施行された貸金業法によって定められている法律です。年収に対して3分の1までしか借入れが行えず、信用情報にトラブルがなくても総量規制に引っかかる場合は借入れができません。

例えば、年収が360万円だった場合、借入れの上限金額は120万円となります。この上限金額は総額であるため、複数のローンを組んでいる場合は注意が必要です。つまり、A社から70万円の借入れを行っている場合は、B社での借入れ上限は120万円ではなく50万円となります。

総量規制の適用は貸金業者からの借入れに限定

総量規制の対象は消費者金融やクレジット会社などの貸金業者のみであり、銀行は含まれません。そのため、銀行で住宅ローンを組んでいる方も、家のローンは対象外になる方が大半です。

銀行系ローンでマイカーローンを組める方は、総量規制の心配は要らないでしょう。クレジット会社でカードローンを組んでいる方や、消費者金融業者でマイカーローンを組んでいる方は、軽く総量規制に引っかかってしまう恐れもあるため注意が必要です。

借入状況は信用情報でチェック

貸金業者は、消費者がどのくらい借入れを行っているのか、総量規制に引っかからないかを信用情報機関を通した借入れ残高の調査から判断します。貸金業者は総量規制を遵守する必要があるため、この過程を行って融資判断がされています。

しかし、年収は信用情報機関に登録されていないため、給与明細や源泉徴収票から情報を得ている仕組みです。このようなことから、ローン申し込み時には、正確な情報の申請、書類の提出が求められます。

借入上限=借入可能額ではない理由

借入れ可能額を満額で借入れができるかどうかは、貸金業者によって異なります。総量規制の借入れ上限は、あくまでも法律による上限金額であるため、いくら融資を行うかは貸金業者の判断次第です。

借入れ可能額は、年収のほかに勤務年数や他のローンの有無など、支払い能力を加味して審査が行われます。総量規制の借入れ可能額に余裕があっても、借入れができない場合もあるため、「年収の3分の1に収まっているから大丈夫」と高を括ってしまわないよう気をつけましょう。

自社ローンの審査基準はどのようになっていますか?
自社ローンの審査基準は中古車販売店が独自に設けた基準であることから、販売店によって異なります。そのため、A社では審査に落ちてしまったけれど、B社なら審査通過できたという例もあります。
一般的には過去の延滞歴や金融トラブルの経歴よりも現在の支払い能力が重視されるため、支払い能力さえあれば審査通過できる可能性が高くなります。

自社ローンとは?

自社ローンとは?
自社ローンとは、中古車販売店が独自に提供している支払い方法のひとつで、分割払いができるサービスです。銀行ローンや信販ローンと違って金融商品ではないため、金利は発生しません。

また、審査基準は販売店が独自に設けた基準であるため、信用情報機関の照会は行われないことが大半です。通常のローンであれば、過去に金融事故があった場合、一定の期間はローンが組めませんが、自社ローンでは現在の支払い能力をより重視するため利用できる可能性があります。

信用情報に不安がある方や、非正規雇用で働いている方など、通常のローン審査に通りにくい方でも利用しやすいことが特徴です。

銀行系ローンとの違い

銀行系ローンは、メガバンクや地方銀行が提供するローンで、ほかのローンに比べて金利は1~4%と低いことが特徴です。金利が低いため支払い総額が少なく済むことや、安心感があることが銀行系ローンのメリットです。

しかし、審査基準が厳しい傾向があり、金融トラブルがあると基本的に利用できません。また、審査の申し込みを行ってから審査結果が出るまでに数日から数週間かかる場合もあり、急ぎで車を購入したい方にとっては不便に感じてしまうでしょう。

自社ローンと比べて、審査の厳しさや結果が出るまでの時間に違いがあります。

ディーラーローンとの違い

ディーラーローンとは、自動車販売店と提携するローン会社が提供するローンです。ディーラーローンは銀行系ローンよりも審査に通りやすい一方で、金利は4~10%と高い傾向があります。

自動車販売店と提携していることで、審査申し込みに必要な手続きを販売店スタッフがサポートしてくれることや、審査結果が出るまでの時間が短いことがメリットです。また、ローンの利用条件を満たすと、ナビやETCなどのプレゼントキャンペーンが適用されることもあります。

金利が高いと、車両価格は予算内であっても総支払額が高くついてしまう恐れがあるため注意が必要です。

自社ローンを利用するメリット

自社ローンは金融商品ではないことで、総裁規制の対象外であり、金利が発生しません。また、自社ローンを提供する業者独自の審査基準を設けられていることから、審査結果が出るまでの時間が短く、なるべく早く車を手に入れたいと考えている方にもおすすめです。

ここからは、自社ローンを利用するメリットについて詳しく解説します。

金利が発生しない

金利が発生しない
自社ローンは銀行ローンや信販ローンと異なり、金融商品ではありません。そのため、自社ローンでは金利がかからないことがメリットのひとつです。中古車販売店で「金利0円」と謳っているのは、これが理由です。

しかし、金利がかからないからといって、支払い総額がほかのローンを利用した場合よりも安くなるわけではなく、大半の業者では利益を出すために金利相当額の手数料が発生します。

なかには、手数料分の金額をあらかじめ車両本体価格に組み込んでいるケースもあるため、お得に車を購入するには相場を把握しておくことが重要です。

審査結果と納車スピードが早い

自社ローンでは、信用情報機関の照会が行われないため、審査結果が出るまでの時間が短く、スピーディーに納車できることが魅力です。

自社ローンの審査基準は業者によって異なり、それぞれの業者が独自に設けたものです。そのため、早ければ当日には審査結果が出て、契約を進められます。

なるべく早急に手続きを行いたい方は、給与明細や源泉徴収票などの年収が分かるものを持っておくと良いでしょう。

自社ローンを利用した車の購入は、急なライフスタイルの変化で車が必要になった方や、これまで乗っていた車が故障してしまった方にも適しています。

信用情報に不安があっても利用しやすい

信用情報に不安があっても利用しやすい
過去の金融トラブルや延滞歴などは、すべて信用情報機関に登録されています。銀行ローンや信販ローンでは審査時に信用情報機関の照会を行うため、信用情報がクリアでないと審査通過ができない可能性があります。

しかし、自社ローンの場合は独自の審査基準を設けており、過去の信用情報よりも現在の支払い能力を重視していることから、信用情報に不安があっても利用しやすいことがメリットです。

一般的なローン審査に落ちてしまっても、自社ローンなら審査通過できるケースもあるため、キャッシュでの支払いが難しい方も車の購入を諦める前に一度、検討してみることをおすすめします。

自社ローンは新車にも利用できますか?
自社ローンを提供している大半の業者が中古車販売店であり、新車ディーラーでは基本的に利用できません。
自社ローンはリスク回避を目的に上限金額が低く、支払い回数も一般的なローンに比べて少ない傾向です。そのため、中古車よりも高くついてしまう新車を自社ローンで組むことは現実的ではありません。
自社ローンを提供している中古車販売店でも、自社ローンで購入できる車は限られている可能性があるため、注意が必要です。

自社ローン利用時に注意しておくこと

自社ローンは、早く車を手に入れたい方や、信用情報に不安を感じている方でも利用しやすいことが魅力ですが、一方で気を付けておくべきポイントもあります。

注意点を知らずに契約してしまうと、後悔するリスクが高くなってしまうため、事前のリサーチが重要です。

ここからは、自社ローン利用時の注意しておくべきことを紹介します。

主に中古車購入時に利用される

主に中古車購入時に利用される
自社ローンの提供を行っている業者は大半が中古車販売店であることから、基本的に自社ローンの対象は中古車に限定されます。自社ローンは借入れ金額や支払い回数に厳しい制限があり、新車や高級車では適用できないケースが大半です。

仮に170万円の新車を、自社ローンの一般的な支払い回数である24回払いにすると、車両本体価格だけでも1回の支払いが70,833円になってしまい現実的ではないことが分かります。

自社ローンは、一般的なローンを組めない方の救済措置として提供している一面もあります。高級な車の購入には利用できないため、注意が必要です。

保証人や保証会社が必要な場合がある

業者によっては、保証人や保証会社を立てなければいけないケースもあります。保証人・保証会社は、契約者本人が支払えない状況になった際に、契約者に代わって返済義務が生じるため、依頼する際はしっかりと詳細を伝えておくことが重要です。

保証人には配偶者や親になってもらうことが一般的ですが、収入がなかったり金融トラブルがあったりする方は保証人になれない可能性があります。

自社ローンを提供している業者のなかには、保証人不要で契約できるところもあるため、「保証人を依頼できる人がいない」「身内に迷惑・心配はかけたくない」という方は契約前に利用条件をよく確認しておきましょう。

自社ローンが使える販売店は限られている

中古車販売店は数多くありますが、そのすべての店舗で自社ローンが提供されているわけではありません。自社ローンを利用することが前提である場合、販売店の選択肢が狭くなってしまうため、注意が必要です。

また、提供している自社ローンの利用条件や審査基準などは販売店によって異なります。借入れ上限額や支払い回数、保証人の有無などにも違いがあるため、自分の希望条件に合った販売店を選ぶことが重要です。

中古車販売店は、店舗によって在庫が異なるため、欲しい中古車を見つけてもその店舗では自社ローンを提供していないケースもあることに気をつけましょう。

完済までは車の所有権が販売店に留保される

完済までは車の所有権が販売店に留保される
自社ローンでは、支払いが完了するまで車の所有権が販売店にあります。購入した車を担保に借入れを行うため、支払いが滞ってしまうと車を引き上げられてしまう恐れがあり注意が必要です。

車検証の名義が本人でない場合は、自分の好きなタイミングで車を売却したり、乗り換えたりできません。車を売りに出すには、完済してから名義を自分に移してもらう必要があります。

販売店によっては、支払いを滞納すると遠隔操作でエンジンを止められてしまう恐れもありますが、返済を守っていれば心配はいりません。完済までは所有権が自分にないことに気をつけましょう。

自社ローンの審査に落ちた場合、他の選択肢はありますか?
自社ローンの審査に落ちてしまった場合は、キャッシュでの支払いかカーリースを検討すると良いでしょう。
キャッシュでの支払いができる場合は、自分名義の車が手に入れられますが、貯金を切り崩してしまうと家計に負担をかけてしまう恐れがあります。
カーリースは車を「購入」するのではありませんが、まとまった支出を抑えて車を手に入れられます。しかし、契約期間を終えたら車を返却する必要があり、自分のものにはなりません。
それぞれのメリット・デメリットを把握して、自分に合った選択を行いましょう。

カーリースも総量規制の対象外で利用しやすい!

カーリースも総量規制の対象外で利用しやすい!
カーリースは借入れを行って車を手に入れるわけではないため、総量規制の対象外です。お金を借りるのではなく、車を借りる仕組みで、審査も通りやすいことが特徴です。

自社ローンよりも月々の支払額を押さえられますが、完済しても所有権が自分に移ることはありません。

ここからは、自社ローンとはまた違う、カーリースの仕組みなどについて紹介します。

カーリースは車そのものを貸しているため審査に通りやすい

カーリースは、お金を借りるのではなく車を借りる仕組みであるため、百数万円借りるローンよりも比較的審査に通りやすいとされています。支払い総額も残価を設定して残りの金額を利用期間で分割して支払うことから、ローンで車を購入するよりも安いことが理由です。

また、毎月の料金も安いことから、支払い能力もそこまで高くなくても利用しやすいと判断されることも審査に通りやすい理由のひとつでしょう。

カーリースも提供している業者によって、審査基準や通りやすさが異なります。信用情報に不安のある方は、「金融トラブルの経歴があっても利用可能」と謳っている業者を選ぶと良いでしょう。

残価設定により月々の支払い額が抑えられる

残価設定により月々の支払い額が抑えられる
カーリースでは残価を差し引いた価格で月額料金が設定されることから、月々の支払い額を抑えられることが魅力です。

自社ローンだと、支払い総額を12~36回程度で分割して支払うため、ひと月の支払い額が高額になってしまいがちです。

カーリースだと、車両の利用料金を抑えられるほかにも、車検や税金の支払いも月額料金に含まれているケースもあり、維持費の面でも計画を立てやすいでしょう。カーリースの月額料金には車両代金のほかにも、メンテナンス費なども含まれています。

このように、消費者にとって負担が少ないことも、支払い滞納のリスクが低く利用の審査に通りやすいポイントです。

カーリース中の車が担保となるため審査に通りやすい

カーリースの利用期間は車が担保となるため、契約期間中でも支払いが滞ってしまった際にカーリース業者は車の引き上げが可能です。自社ローンと異なり、カーリースで用いられる車は新車の場合も多く、市場価値の高いものが多い傾向があります。

「車を担保に入れている」「市場価値の高い車が使用されている」ことなどが、審査に通りやすくなる要因といえるでしょう。

自社ローン同様に車を担保に入れられていますが、滞納することなく計画的に支払いを続けていれば心配のいらないポイントです。

快適なカーライフがおくれるよう、支払い計画は無理のない範囲で行いましょう。

まとめ

①総量規制とは、貸金業法によって定められた法律で、年収に対して3分の1までしか借入れが行えない制度
②総量規制の借入れ上限=借入れ可能額ではなく、実際に借入れができる金額は貸金業者の判断による
③自社ローンは中古車販売店が独自に提供する分割払いのサービスであり、総量規制の対象外
④自社ローンは金融商品ではないため、金利の概念がなく信用情報に不安があっても利用しやすい
⑤自社ローンの審査に落ちてしまった場合は、カーリースも検討してみることがおすすめ

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。