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これから車を持つ選択肢として「カーリース」を検討している方の中には、リースにおいて「車の名義を自分の名前にできるのか」疑問を感じている方もいるでしょう。
この記事では、カーリース車における名義変更の可否についてしくみを交えながら解説していきます。
また、名義変更をする際に必要な書類や手続きの流れについても分かりやすく説明します。具体的な名義変更のシーンに合わせて解説を進めるため、動きの流れが分かるでしょう。
カーリースの車を名義変更する条件とは?
カーリースは原則として名義変更が認められていません。
ただし、結婚や離婚による氏名変更の場合は運転する本人そのものが変わるわけではないので「使用者」としての名義変更が可能です。
たとえ家族への譲渡や法人名義への変更、使用者が亡くなった時であっても名義変更は難しく、中途解約が主な選択肢になります。
中途解約をすると高額な違約金が発生してしまう恐れもあります。そのため、名義変更を含めた様々な変更がないようにカーリースでは計画的なプラン決定が大切です。
カーリースの仕組みを基本から解説
ここからは、カーリースの仕組みについて解説していきます。
カーリースは車種と利用期間を選び、期間中は毎月定額の料金で車を自由に利用できるサービスです。
そのメリットやデメリットについて詳しく紹介していきます。
カーリースは、車を一定期間利用するためのサービスで、利用者は固定の月額料金を支払います。料金は契約期間によって様々ですが、1万円前後から契約できるお得なプランも多く見られます。
料金には車体代金のほか、自賠責保険や車検費用、メンテナンス費用などが含まれます。
自分で車を購入し、保有する場合は車検費用の積立が必要ですが、リースの場合はほとんどの維持費が月額料金に含まれている点が特徴的です。
カーリース最大のメリットは、初期費用をかけずに新車に乗れることです。
通常、車を購入する場合は数十万~数百万円の車両代がかかります。ローンを組んだり、計画的に貯蓄を行って購入をするため、車を保有するのはハードルが高いでしょう。
しかし、リースの場合は月額料金に車体代金や自賠責保険料が含まれているため初期費用を抑えて新車に乗ることができます。
近年、車離れが叫ばれるなかでカーリースは注目され、実際に利用者が増えています。資金面から車の購入を躊躇する方や、自身でメンテナンスや金銭管理が苦手な方にとって、カーリースはメリットが豊富です。
また、法人や個人事業主の場合、カーリース料金は経費として計上できます。税金を抑える効果があったり、会計処理が簡略化されるメリットも見逃せません。
便利なリース契約ですが、途中解約や残価精算の可能性がデメリットとして挙げられます。
リース期間が終わり、車を返却する際はリース契約で設定された残価を精算する必要があります。
リース契約では、契約時に市場価値を鑑みて車の価値である「残価」が設定されます。しかし、実際の価値は市場状況や車の状態によって変動し、契約終了時に予想残価と異なる可能性が高いでしょう。
契約終了するときに車の価値が想定残価よりも低かった場合は、その差額を利用者が負担します。
また、カーリースは原則として途中解約が認められていないため、期間中に解約する場合は解約金が発生します。
さらに、リース契約では走行距離制限も設定されており、契約終了時に制限を超えて走行している場合、超過分の距離に応じて追加清算が必要です。
これらのデメリットは契約前に細かく確認し、自分の利用スタイルや予算に合ったプランを選択すると解消できます。
近年は個人事業主として活躍するハードルが下がり、その割合が増えつつあります。個人事業主で車を保有する場合は、「ビジネスリース」を検討しましょう。
本来、リースは個人よりもビジネスで広く使われるサービスだったため、現在も法人向けのリースが充実しています。
使用用途やシーンによって個人ないしはビジネスリースを選択しましょう。
個人リースが適しているケースとしては、個人事業主の契約者本人だけでなく、家族が運転したりプライベートでの使用が多い場合が挙げられます。
一方、ビジネスリースは法人や個人事業主が業務目的で車を利用し、予算に合わせて管理・税務上の優遇措置を受けたい場合に適しています。
法人でのカーリース利用が多い理由は、節税などのメリットが大きいためです。
それぞれの利用目的や予算、税務上のメリットを理解し、リース会社と相談して適切な選択を行いましょう。
カーリースの車を名義変更できる場面とは?
ここからは、カーリース契約において、車の名義変更ができる場面はどんな時なのか紹介していきます。
リース期間が終了し、精算したのちに車を買い取る場合や新たなプランに加入する場合は名義変更が可能です。
リース契約が一度終了しており、契約を新しく取り合わすため新規での登録と認識しましょう。
リース期間での名義変更が認められないことから、厳しさを感じたり、リース側に有益な契約条件であると考えられますが、名義変更は使用車を守るためにも必要な取り決めです。
リース会社が不利益をこうむる点を防止するだけでなく、各種税金の手続きをリース会社が担うために車の名義はリース会社でなければいけません。
途中の名義変更ができず不自由さを感じますが、代わりに煩雑な手続きをリース会社が代行してくれています。
先述のとおり、カーリース契約中の名義変更は原則として不可能です。
カーリースでの車の所有権はリース会社が保持し、リース契約者は使用者として車に乗ります。そのため、使用者は法的な所有権を持ちません。
どうしても名義変更を行いたい場合は、途中解約をします。ただし、解約には違約金や手数料が発生する可能性があるため、慎重な選択が求められます。
【参考】リース会社が名義変更を断る理由
リース会社が契約途中での名義変更を断る理由は、サービスの特性に関係しています。
リース会社が車を保有し、使用者に必要な期間のみ貸し出して、かつ税務上の手続きや車検の段取りは全てリース会社主導で進めます。
そのため、名義がリース会社でなければ納税や書類作成の手続きが行えません。
一見、「リース会社が不利益を被るから名義変更ができないのでは?」と考えられますが、安心かつ一定料金で車を使用するために必要な仕組みなのです。
リース車における「使用者」の名義変更の手順
ここからは、リース車の契約者における名義変更ではなく、使用者の名義変更について解説していきます。
使用者の名義変更も原則として認められていませんが、下記の事由の場合は例外として認められる可能性があります。
- 使用者が結婚や離婚で姓が変わったとき
- 使用者が亡くなったとき
- 海外への転勤が決定したとき
姓が変わった場合は、本人が車を使うことに変わりないため変更が行えます。
しかし、使用者が亡くなったり、国内から離れたり車に乗れない状態の場合は、リース会社ごとに判断が異なります。
再審査や書類提出の手続きを踏んで変更できる場合や、中途解約する必要があったりなど様々です。
中途解約の場合は、残金の精算が求められます。本来乗るはずたった残りの期間や残価を元に不足分の支払いが発生するため説明を聞き、順をおって進めましょう。
名義変更の可否や方法は、リース会社の方針や条件によって異なる場合があります。そのため、名義変更を検討する場合は、まずリース会社に直接問い合わせて確認しましょう。
使用者の名義変更が可能な場合、リース会社は名義変更の手続きや必要な書類、手数料などについて詳細な情報を提供してくれます。
あわせて契約条件や制約の変化について確認すると後々のトラブルを防げます。
リース会社とのコミュニケーションを大切にし、手続き内容を把握しましょう。
名義変更の手続きには、一般的に以下の書類が必要です。
(リース会社ごとに提出書類が異なるため、問い合わせる際に確認しておきましょう)
- 申請書(リース会社から受け取る)
- 車検証
- 住民票
- 身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
- 車庫証明書
また、自治体やリース会社によっては「実印」や「印鑑登録証明書」も必要になります。
必要書類が多い上に、取得に手間がかかるものもあります。特に、住民票や印鑑登録証明書は自治体の窓口にいくか、マイナンバーを使ってコンビニで取得する必要があるため、早めの準備が肝心です。
リース会社を経由して使用者の名義変更を行う場合は書類の発行代金がかかります。
住民票や印鑑証明書は300〜400円程度です。なお、自治体によってはマイナンバーを使いコンビニのマルチコピー機で書類を発行するケースにおいて、窓口より100円程度安くなる場合もあります。
また、新しい使用者が任意保険に入っておらず新たに加入する場合は別途費用がかかります。任意保険はカーリース会社で紹介を受けられるケースもあります。
参考までに、普通車かつ契約者における名義変更手続きを自分で行った場合の事務費用は、4,000〜5,000円程度です。
内訳は、移転登録手数料(印紙代)が約500円、車庫証明書の取得費用が2,000円前後、管轄地域が変わり、ナンバープレートの変更まで行う場合は1500円前後必要です。
行政書士に名義変更書類の作成を代行してもらう場合は、上記費用に代行手数料が加わるでしょう。
使用者の名義変更をする際に知っておきたい注意点
カーリースで使用者の名義変更をしたあとは、下記の2つに注意しましょう。
- 新しい氏名の契約書と旧契約書をあわせて保管する
- 任意保険に加入している場合はあわせて名義変更をする
新しい契約書や変更完了の書類が手に入ると、旧書類を処分してしまいがちですが、必ず一緒に保管しておきましょう。トラブルがあったときや、契約終了時に必要になった時に役立ちます。
また、任意保険に加入している場合は必ず名義変更を行います。カーリースの場合、自賠責保険の扱いはリースプランの中に含まれていますが、任意保険は対象外です。
任意保険の名義が変更されていない状態で事故や車の故障が起こった場合、十分な補償を受けられない可能性があります。
使用者の名義変更を行う場合、リース契約、任意保険、そして免許証の3つの手続きを必ず行いましょう。
具体例で理解しよう!名義変更のよくあるシーン
ここからは、カーリースでなく、車を保有する際によくある名義変更の事例を紹介します。
カーリースの場合、契約者の名義変更は行えませんが、将来的にリース車を買い取ったり、自分で車を購入した際は名義変更への理解が欠かせません。
様々なシーンを想定し、必要な時に動き出せるよう知識をつけておきましょう。
結婚や離婚による姓の変更では、まず婚姻届や変更届を提出して姓の変更手続きを行います。同時に免許証の氏名・住所変更も行います。
姓が変わる場合は、その他にも銀行や会社の手続きなど様々な変更作業がありますので、あわせて車の名義変更も行いましょう。
契約者が亡くなった場合や免許を返納した場合も車の名義変更が必要です。
遺族や相続人は遺産相続手続きとあわせて、名義変更を行い、「車の所有者を変更するか」もしくは「売却するか」を適切に対処する必要があります。
残された家族は様々な手続きに終われ、車は後回しになりがちですが、早めの対処で任意保険の支払いを必要最低限に抑えられます。
また、契約者が免許を返納した場合も同様に名義変更手続きが必要です。運転免許証の返納に必要な書類や手続き方法を確認し、スムーズに手続きを進めてください。
なお、リース契約の場合は使用者が亡くなっても、原則として名義変更ができません。途中解約になるため注意が必要です。
所持者が転勤で車を使わなくなった場合、売却するか家族や知人に譲り渡す方法があります。いずれも契約者の名義変更が必要です。
名義を変更せずに譲り渡すと、徴税されたりトラブルがあった時に不利益を被る可能性があります。
車を売却する際は、車の価値を複数業者に査定してもらい適正価格を理解してから決定しましょう。一社では相場が分からず買い叩かれる可能性もあるため、複数の買取業者と交渉しましょう。
海外転勤で車をそのまま置いておく方法はおすすめできません。不在中にイタズラされたり、盗難被害に遭う可能性があります。
数年単位で自宅を離れる場合は、一度車を売却して不安がない状態で転勤準備を進めましょう。
また、書類を早めに準備しておくことも大切です。車検証、身分証明書、印鑑登録証明書など、要件に応じた書類が必要とされることがあります。
リース契約の場合で名義変更に関して疑問点や不明点がある場合は、リース会社に相談することが適切です。適切なアドバイスを得ることでスムーズな手続きができます。
まとめ
カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。