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年金生活の最中に車が動かなくなった場合、新しい車の購入を検討する必要があります。
しかし、ローン購入は年収や年齢上の審査がある以上「年金生活だとローンを組めないから一括購入するしかない」と思う人も珍しくありません。
今回は、これから車が要る年金生活の高齢者の方に向けて、カーローンを組む条件や購入以外の選択肢について解説します。
万が一、今の車が壊れたときに備えたい方はぜひ参考にしてださい。
年金生活でも車のローン審査は通る
年金生活を送っている高齢者の方でも、カーローンを組むことは可能です。
基本的にカーローンは条件さえ満たしていれば審査を受けられるため、高齢者の方でもローンで車を購入できます。ただし、年金を受給中の方は以下の点に注意しなければなりません。
- 購入できる車種が絞られる
- 比較的審査は厳しい
- 最終償還年齢(ローンを完済する年齢の設定上限)がある
- 月々の返済額が大きくなりがち
- ローンの種類やローン会社によって契約できる年齢の上限が異なる
ローン審査に通るには、収入や年齢から支払い能力があるかをローン会社に見られます。そのため、現役で働いていたときより収入が減る年金生活では、高額な車を購入するのは難しいでしょう。
また、ローン契約ができる場合でも、返済期間は現時点での年齢から最終償還年齢までです。例えば、最終償還年齢が65歳のローンを60歳で組んだ場合、5年間の間に車両代金を完済しなければなりません。
車のローンは3種類ある
ここからは、車のローンが組める「銀行ローン」「ディーラーローン」「自社ローン」の3つについて紹介していきます。
銀行ローンは、銀行や信用金庫など金融機関からお金を借り入れるタイプのローン契約です。
ローン契約を結べる金融機関は、主に以下が挙げられます。
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
- JA(農業協同組合)
- ネット銀行
- 損害保険会社
- 信販会社
銀行ローンの最大の特徴は金利が低いことです。金融機関によって金利は異なりますが、大半は年利1.5%〜3.0%で設定されています。
また、借り入れの対象は車両の購入代金だけでなく、車検費用やオプション購入(カーナビなど)にも適用できます。
その代わり、ディーラーローンや自社ローンより審査が厳しい傾向にあります。審査日数が長期化しやすい点にも注意しなければなりません。
ディーラーローンは、カーディーラーと信販会社が提携したタイプのローン契約です。主に新車購入した場合に選択できます。融資元は金融機関なため、ディーラーが仲介の役割を担ったローンとも言えるでしょう。
ディーラーローンは、銀行ローンに比べて審査が通りやすく、日数がかからない点が主なメリットです。これは、融資を受ける際、車を担保にしていることが理由として挙げられます。車の所有権はディーラーに帰属するため、返済中の売却や廃車手続きは原則としてできません。
また、ディーラーローンを組む際は主に「フルローン」と「残価設定ローン」の2つから選択できます。
フルローンとは、銀行ローンと同じく、車両代金の全額を分割して返済する契約です。ただし、車両本体価格のみ適用可能で、免許取得や車検などの取得にかかる諸費用には適用できません。
残価設定ローンとは、現在所有している車を下取りにだし、購入価格から売却価格を引いた残りの金額を分割して返済する契約です。頭金の代わりに車を差しだすローンともいえるでしょう。
ディーラーローンの金利は、およそ4.0%〜8%が相場といわれており、銀行ローンよりも高い点には注意が必要です。また、銀行ローンよりも返済期間の上限が短い傾向にあるため、月々の返済額は銀行ローンの長期契約よりも上がります。
自社ローンとは、主に中古車購入の際に販売店と結ぶローン契約です。他のローンタイプと違って金融機関と提携しておらず、審査は販売店独自の基準で行われます。そのため、審査が厳しい銀行ローンよりも比較的簡単に利用できます。
また、自社ローンは購入代金から平均10%〜20%の料金が上乗せされる代わりに、金利が0%です。銀行ローンと自社ローン、どちらが安いのかは返済期間と購入金額によって異なるため、シミュレーションしてみるのがおすすめです。
ただし、返済期間が平均2〜3年と短いため、月々の返済額が大きい点には注意しましょう。
車のローン審査のポイント
ローンで車を購入するには、審査が通らなければなりません。年金生活だと現役で働いていたときより収入がダウンするため、金融機関の審査を受ける難易度は上がると思っておきましょう。
ここからは、年金生活で車のローンを組むうえで重要な要素について紹介します。
ローン審査を受ける場合、最も重視されるポイントは、現在と過去の収入です。
年金生活においては、厚生年金や私的年金など、国民年金に上乗せされる年金があるかが見られます。上乗せされる年金が多いほど支払い能力が高いと判断できるため、審査は通りやすいといえるでしょう。
また、過去の勤続年数・勤務先・年収も判断材料の1つとして扱われます。例えば、大手企業勤めや公務員なら支払っている厚生年金の額も多いため、現時点の年金受給額が見込めます。そのため、厚生年金を長年支払い続けた人ほど、審査においては有利です。
国民年金だけでも審査に通らないとは限りませんが、その場合は車両代金と年金受給額のバランスから判断される可能性があります。
ローン審査では、他に契約しているローンがないかも見られます。
例えば、住宅ローンや教育ローンが残っている場合は、厚生年金や企業年金の上乗せがあっても審査が通らないかもしれません。その理由は、収入が見込めてもカーローンに支払う余力がないことを危惧されるからです。
審査に通るには、収入と支出のバランスも判断材料として見られます。もし、現在のローン返済で審査が通りづらそうなら、頭金の用意や借り入れ金額を下げるといった対応が必要です。
信用情報とは、ローン契約者が過去に行った取引の情報のことです。ローン審査の判断材料として扱われる信用情報は、主に以下が挙げられます。
- 過去のローン返済記録やクレジットカードの利用情報
- 現在のローン状況やクレジットカードの借入残高
- 過去のローン契約を結んだ際の会社名や商品名
金融機関が上記を判断材料にする理由は、信用情報に滞納歴や事故歴がないかを確認するためです。もし、過去に何らかの支払いを滞納した経歴が確認された場合、たとえ収入が安定していて返済中のローンがなかったとしても審査が通らない可能性があります。
しかし、信用情報には保管期限があります。例えば、過去の滞納歴は支払い完了日から5年間保管されるといわれており、保管期間が経過した情報は残りません。そのため、保管期間を過ぎた信用情報は審査に影響しないと思っていいでしょう。
年金でローンが通るケースを紹介
ここからは、年金生活でローン審査が通るケースを3つ紹介します。
これから自動車の購入でローンを考えている方のうち、以下の内容に該当している場合は、比較的審査が通りやすいといえるでしょう。
ローン審査は、借入金額が少ないほど難易度が下がります。これは、借入金額を抑えるほど返済額も少なく、収入が限られていても完済できる可能性があるためです。
例えば、新車ではなく中古車に変更する、購入車のグレードを下げるといった措置を取れば、ローン審査の難易度は下がります。また、購入金額が高い車でも、頭金を用意することでローンを組める可能性があります。
頭金が用意できない場合は保証人を立てるのも有効です。この場合、保証人の支払い能力や信用情報も審査に含まれます。
厚生年金・企業年金・私的年金など、国民年金以外の年金を受給している場合、審査に有利です。
ローン審査は契約者の支払い能力を見られるため、顧問料や不労所得など、国民年金にプラスできる収入が多い人ほど有利です。
ただ、上乗せ分の年金は過去に厚生年金や個人年金を納めた方が受給できる制度です。現時点で国民年金のみの方が、これから別口の年金収入を得ることはできません。
もし国民年金のみの方が審査を通りやすくしたい場合は、頭金や保証人を用意するとよいでしょう。
個人事業主で国民年金の支給のみの方は、金融機関との関係性で審査が通る可能性があります。これは、ローン契約する金融機関と過去に取引がある場合に信用力があると判断されるためです。
例えば、以下のケースにあてはまる場合、審査の基準を満たさなくてもローン契約を結べる可能性があります。
- ローン契約する金融機関の口座を家族全員が長年使用している
- ローン契約する金融機関で定期預金を利用している
- ローン契約する金融機関で住宅ローンを組んだ過去がある
- ローン契約する金融機関の口座を給与振り込みに利用していた
対象の金融機関との付き合いが長いほど、審査上で有利に働きます。今まで使っていた主要な金融機関がある場合、そちらでローン審査を受けるのがよいでしょう。
ただし、一括購入は所持金が大きく減少する点には気をつけましょう。近いうちに大きなお金を使うライフイベントが控えている場合や、万が一の事故や病気に備えるなら、ローン返済にして所持金に余裕を持たせておいたほうが安心です。
年金生活になったら考えたい車の所有方法
年金生活で車を持つには、購入がベストとは限りません。ここからは、年金生活で車を所有する場合の選択肢について紹介します。
自宅の近くにバス停や駅など公共の交通機関がある場合、そちらをメインの移動手段にするのもおすすめです。
国内の市町村の多くでは、65歳以上または70歳以上の方を対象とした電車やバスの割引制度が存在します。通常料金より安いコストで遠くまで移動できるため、積極的に活用しましょう。
また、公共交通機関は移動が安全に行えるのが大きなメリットです。近年は高齢者が交通事故を起こす事例も少なくありません。運転に自信がない場合や、万が一の事故を考慮するなら、公共の交通機関を利用しましょう。
シルバータクシーとは、一部の自治体が実施している福祉タクシーの1種です。本来、福祉タクシーは身体障害のある高齢者の方しか利用できませんが、シルバータクシーなら運転に不安のある方でも利用できます。
利用する際は自宅まで迎えにきてくれますし、ドライバーが車の乗り降りを補助してくれます。
ただし、シルバータクシーは全国の自治体で導入されているわけではありません。利用を検討する場合は、お住まいの自治体でシルバータクシー制度が存在するか、事前に確認しましょう。
また、自治体によっては「オンデマンドバス」や「ライドシェア」といった類似の乗り合い送迎サービスも存在します。
シルバータクシーはなくても上記のサービスなら実施している可能性もあるため、気になる方は市役所の窓口で聞いてみるとよいでしょう。
車を使う機会が少ない場合、レンタカーのスポット利用を検討しましょう。
レンタカーには高齢者向けの割引サービスを実施しているところもあり、通常よりも安い価格で利用できます。基本的に60歳または65歳以上で利用でき、割引以外にオプション特典の付与も可能です。
レンタカーを利用した場合の1日あたりの相場は、およそ7,000円〜8,000円といわれています。しかし、これは大手レンタカーを24時間で借りた場合であって、格安レンタカーを利用すれば、1日相場はおよそ4,000円〜5,000円です。
また、会社によっては車を自宅へ配車してくれるところも存在します。自宅からレンタカー営業所までの距離が遠い場合は、配車サービスがあるところがないか探してみましょう。ただし、配車料金がかかる点には注意が必要です。
通院や習い事など、数カ月〜数年間だけ継続的に車を運転する場合、カーリースを利用するのもおすすめです。
カーリースとは、一定期間だけ車を自家用車として借りられるサービスで、1日あたりの実質負担額は単発で利用するレンタカーより低価格です。
カーリースは「残価設定」と呼ばれる仕組みによって、購入よりも低コストで車を所有できます。期間が終了すれば車は返却しなければなりませんが、ガソリン代以外の維持コストや車両の廃棄にかかる事務手続きが原則として一切かかりません。
カーリースの仕組み
ここからは、先ほど触れたカーリースの詳細と、料金の仕組みについて紹介します。
車に乗る期間が短い場合や、車両の購入・維持にかかる費用が負担に感じる場合はカーリースの利用がおすすめです。
カーリースは、車を一定期間だけ自家用車として扱えるサービスです。運転免許を所有している人なら、年齢に関係なく誰でも利用できます。
契約可能期間はリース会社によって異なりますが、数カ月〜数年間の短いスパンで契約可能です。
カーリースの利用料金を伝えるうえでは「残価設定」と呼ばれる料金体制について知る必要があります。
残価設定とは、契約時の車両価値から契約終了時の車両価値を差し引いた残りの金額を、利用月数で分割して支払う制度です。
同じ車種でも新車より中古車のほうが安いように、自動車の価値は走行距離や使用年数によって価値が減少します。カーリースの残価設定では、車両の価値が減った分を補填する形で料金が決まるのです。そのため、購入するよりも安い価格で車を利用できます。
カーリースをおすすめする理由の1つとして、メンテナンス費用がかからないことが挙げられます。
例えば、車検費用や故障時のオイル交換、各種税金は原則として不要です。これらの手続きもリース会社が代わりに行うため、車の維持に手間をかけず運転できます。
ただし、ガソリン代や事故を起こした場合の修理費用は自己負担です。また、メンテナンス費用もあらかじめリース料金に含まれているため、実質的な負担額は変わらない点は留意しましょう。
年齢を重ねた際に注意したい運転
ここからは、高齢者の免許保有者に必要な手続きや免許返納の基準について紹介します。
70歳を過ぎた免許保有者は、道路交通法にもとづき、運転免許試験場または自動車教習所にて高齢者教習を受ける必要があります。本講習の主な内容は、以下の通りです。
- 講義の受講
- 検査機材を使った動体視力および夜間視力の測定
- 実車始動
高齢者講習は自身の運転能力や安全運転を続けるうえで重要な知識を理解するために実施されます。加齢に伴う運転能力の変化を認識できるため、免許返納のきっかけや運転に対する意識改革につながるでしょう。
免許の更新期間満了時の年齢が75歳を過ぎる免許保有者の方は、問題なく運転できる認知機能を有しているか確かめるために、認知機能検査を受けなければなりません。
検査項目は「手がかり再生」と「時間の見当識」が実施されます。
手がかり再生とは、一定のイラストを記憶し、別の課題を行った後に再度イラストを思いだせるかを見る検査です。
時間の見当識とは、検査時の年月日・曜日・時間を回答します。
上記2つの点数に応じて、認知症のおそれがあるかが判定されます。
もし「認知症のおそれがある」と判定された場合、臨時適性検査または診断書提出命令による認知症検査を受診しなければなりません。
ここで認知症と診断されると、免許の取り消しまたは停止の措置が講じられます。
臨時機能検査とは、75歳以上の方が車の運転で特定の違反行為をした場合に義務付けられている検査です。
ここでいう違反行為とは、信号無視や安全運転義務違反など、道路運転上のルールを破った場合のことです。基本的に警察から指摘を受ける違反行為はほとんど対象といってよいでしょう。
臨時機能検査の内容や結果後の対応措置は、認知機能検査とほとんど同じです。警察から通知を受けた日から1カ月以内に検査を受けないと、免許取り消しまたは停止の処分が下されます。
認知機能検査や臨時機能検査で大丈夫だったからといって、今後の運転で事故を起こさないとは限りません。もし運転に自信がない、運転が困難だと自分で判断した場合は、お住まい地域の警察署へ免許を返納しに行くのをおすすめします。
しかし、高齢者の方の中には車がなければ生活ができないという方も少なくありません。このような実情を抱える場合は、各自治体が実施する支援制度を利用しましょう。
例えば、群馬県館林市では70歳以上の方が免許を返納した場合、12,000円のタクシー券と、6カ月分の路線バス無料定期券が交付されます。サービス内容は自治体によって異なりますが、返納後はなんらかの支援を受けられると見てよいでしょう。
まとめ
カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。