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ローンの返済を延滞したり、カード支払いが滞ったり、自己破産したりすると「ブラックリスト」に登録されるといわれます。
ブラックリストとは、全国の金融機関で共有される信用情報事故者リストの別名です。事故情報が登録されると、「返済懸念あり」とみなされ、基本的に金融商品に申し込んでも契約できません。
しかし、事故情報があっても取り扱いできるローンを提供している事業者もあります。
この記事では、事故情報があっても申し込みできる「信用回復ローン」について解説します。商品の仕組みと、類似商品である自社ローンとの違いを理解しましょう。
信用回復ローンは事故登録がある人でも利用できる車購入時のローン

過去にローンの返済が約定通りにできなかったり、クレジットカードの支払いが滞ったりした経験があると、一般的には新たに金融機関などのローンが組めません。お金の貸し借りには信用が重要視され、過去の返済実績は申込人の信用力に大きく影響するためです。
しかし、金融商品の事故歴があっても審査に通りやすいローン商品があります。この記事で取り上げる信用回復ローンは、さらに約定通りの返済実績を積み重ねて完済することで過去の事故情報を挽回できます。
過去の事故情報に妨げられて新たにローンを組めずに悩んでいる人は、この記事を読んで新たな道を切り開いてください。
借入金の延滞情報が記録される信用情報

金融機関で取り扱っているローン商品は、通常信販会社の保証を得て取り扱います。審査にあたっては、信用情報という過去の金融商品の客観的な支払い実績が記録された個人情報を照会します。
信用情報は全国の金融機関で共有されている情報であるため、過去に契約したローンの取り扱い金融機関と別の会社で申し込んだとしても、信用情報は隠せません。
ほんの少しの油断でローンやクレジットカードの支払いを滞らせてしまうと、簡単には取り返しがつかないため、支払いは計画的に間違いなく履行するよう心がけておきましょう。
信用情報に記録された事故情報は永久ではありません。時間の経過により事故情報は消えるため、事故情報が記録されても二度とローンが組めなかったり、クレジットカードが契約できなくなったりするわけではありません。
時間の経過の他にもう一つ、「信用回復ローン」を申し込み、延滞なく完済することで信用スコアを改善する方法があります。信用回復ローンは事故情報があっても、現在の返済能力が認められれば審査に通る可能性があります。
さらに完済時には信用情報の事故情報を更新できるため、時間の経過を待たずに将来ローンなどの金融商品に申し込めるようになる可能性があるのです。
信用回復ローンと自社ローンの違い
ここからは、過去の履行遅滞により信用情報に事故情報があっても申し込みできる「信用回復ローン」について解説していきます。
同じく事故情報があっても申し込みできるローンの種類に「自社ローン」と呼ばれるローン商品があり、どちらも車の購入時に取り扱うローンです。両社の違いについて、それぞれの特徴と審査のしくみを解説します。
事故情報がある中どうしても車を購入したい人は、自分が置かれている境遇を考慮し、どちらを選ぶべきなのか比較できるようにしましょう。
信用回復ローンは、独立系の専門店が取り扱う金融商品です。申込人の信用情報に事故情報があることを確認したうえで、現在の収支状況を重視して審査します。
事故情報があることのみを理由に否認になることはなく、一般的な金融機関よりも柔軟な審査で取り扱いの可否が決められます。金利は高くなりがちですが、完済まで延滞なく返済を続ければ信用情報を上書きできる、再スタート支援型のローンです。
単に車を購入するためだけでなく、完済後には他のローンを組みやすくなるという付加価値があります。事故情報が完全に消えるわけではありませんが、生活の改善や返済への積極的な姿勢を示せるため、将来的に別のローンを利用したいと考えている人にとって、有力な選択肢となるでしょう。
自社ローンは自動車の販売店で取り扱うローン商品です。信販会社の保証を求めず、自社が貸し倒れのリスクを負って提供するローン商品であるため、自社ローンと呼ばれています。
信用回復ローンと違い、審査の際に信用情報を照会しないことが多く、当該自社ローンの返済履歴も信用情報に登録されません。審査のポイントは現在の「収支状況」「保証人」「頭金の有無」です。
自社でリスクを負う分高めの金利設定、もしくは車両価格に手数料相当額が上乗せされます。金利0%を謳う業者もありますが、自社ローンの運営会社は必ずどこかで利益をとっているはずです。本来の車両価格に対して総支払額がいくらになるのか注意を払いましょう。
信用回復ローンと自社ローンは信用情報に事故情報があっても審査に通る可能性がある商品という点で共通しています。しかし、審査の手法や商品の目的に違いがあり、申し込みを検討する際は自身のニーズに合致するのはどちらなのか精査が必要です。
金利の高さにも違いがあり、一般的には信用回復ローンの方がコストが高いといわれていますが、信用情報の改善という圧倒的な差別化ポイントがあります。将来のローン申し込み予定を軸に、審査のポイントや取り扱い条件など細かい違いも理解して適切な商品選択をしてください。
信用回復ローンのメリット

ここからは、信用回復ローンのメリットを見ていきましょう。具体的な内容を理解することで、他のローンとの違いが明確に見えてきます。
また、金利が高いというデメリットを踏まえたうえで、それを上回るメリットがあるかどうかを総合的に判断できるようにしましょう。
信用回復ローンの利用情報や返済状況は信用情報に登録されます。したがって、毎月滞ることなく完済までたどり着けば、その実績が最新の信用情報として金融機関に共有されます。
過去の事故情報が消えるわけではないものの、客観的な信用を回復する手段として有力です。
信用情報の回復は信用回復ローン最大のメリットであり、他の商品にはない信用回復ローンだけのストロングポイントと言えます。
銀行や自動車販売店で取り扱いのあるマイカーローンの返済期間は2~3年が一般的です。これに対し、信用回復ローンは最大10年(120回)までの長期間で取り扱いが可能です。
長期間の返済予定が設定できれば、毎月の返済額を少なく抑えられます。
通常のローンの返済期間では毎月の収入が少ない、もしくは生活費の支払いが多くて資金繰りが苦しくなることが想定されますが、毎月の返済額を抑えられるため余裕をもった返済計画を立てられます。
ただし、期間が長くなると、ローンの元金が長く残り続けることとなるため、金利の加算による総支払額が多くなることには注意しましょう。

信用回復ローンの借り手にとっては、審査が通りやすいことも大きなメリットです。前述の通り、信用情報に事故情報があってもその事実をもって審査が否認とはなりません。
信用回復ローンの審査でポイントとされるのは、借り手の現在の収支状況です。月々の収入と支出から返済原資をねん出できるかどうかを精査して取り扱いの可否が判断されます。
借り手の完済後にローンを組みやすくする「信用の創出」を独自性とする信用回復ローンは、過去よりも今に重きを置き、利用を終えた人の未来に寄り添う商品設計がなされています。
一般的なローンでは、返済懸念がある人や信用不安がある人に対して、購入商品に対する頭金や保証人の充当が条件とされることがあります。
信用回復ローンでは、審査において現在の収支状況に重きを置くため、その他の条件はかなり緩めに設定されています。
事故情報がある人は、保証人の当てがない人が多いため、保証人を用意できず借り入れを断念するケースも珍しくありません。生活を改善し客観的に無理なく返済できる余力が認められれば審査に通るため、条件面での審査のハードルが低い点も本商品の魅力です。
信用回復ローンのデメリット

「審査に通りやすい」「借り手の将来に良い影響をもたらしてくれる」「返済計画を立てやすい」など魅力がたくさんある信用回復ローンですが、利用にあたっては必ず知っておかなければいけない注意点も存在します。
自身が借り手になった時に得られるメリットとデメリットを総合的に比較して、本当に利用価値があるかどうかを判断できるようにしっかり覚えておきましょう。
信用回復ローンの金利は、一般的なマイカーローンと比較してかなり高めに設定されています。金利は貸金業者の利益となる部分であり、貸し倒れのリスクが高いほど利率は高くなります。
銀行系のローンでは、信用情報に事故情報があると信用不安があるとして審査に通りません。
しかし、信用回復ローンを提供する独立系の貸金業者は信用リスクの許容に加え、保証人などの人的担保も確保しないため、借り手の申し込み時の収支状況に返済原資を依存します。融資事業としてはかなりのリスクをとっており、回収コストや貸し倒れ時の損失を考慮した金利設定とするため、相対的に高金利となる点を理解しておきましょう。

信用回復ローンを利用して購入した車にはGPSが付けられる可能性があります。これは返済原資を補完する担保的な意味合いです。
担保には返済が滞った時に代わりに返済に充てられるものを提供する「物的担保」と、代わりに返済する人を提供する「人的担保」があります。
購入車にGPSを搭載するのは物的担保に近い意味合いがあり、遠隔制御でエンジンが動かなくなるものもあります。もしも返済が滞ってしまった時にはそれ以上車を使わせないようにするため、貸金業者に管理されることを許容しなければいけません。
本来、担保契約には抵当権や保証契約など契約が必要ですが、GPS管理は契約を伴うものではなく、事実上の物的担保として運用がなされているものです。健全な返済を続けていればGPSが機能することはありませんが、借り手にとっては心理的な負担になるため、人によっては大きなデメリットとなってしまいます。
信用回復ローンは貸金業者にとって、貸し倒れリスクの高いローン商品であるため、取り扱いにあたり借り手の購入車種を限定しているケースがあります。
金利やGPS管理と同様に借り手の信用力が低いことに対する補完策の一つであり、貸金業者にとってはもしもの時の返済原資となり得るものです。
リセールの高いものなど、特定の在庫車の中からしか選べないことがあるため注意が必要です。
どちらも金利だけでなく、購入する車とローンにかかる総費用を比較して検討しましょう。
信用回復ローンの利用に向いている人
事故情報があっても利用できるという点で、信用回復ローンと自社ローンは競合します。それぞれ差別化ポイントを有していますが、信用回復ローンの利用に向いている人の特徴を紹介します。
前述したメリット・デメリットをしっかりと理解したうえでどちらを選べばいいかを判断できるようにしてください。
借り入れ時点で車を購入するためだけでなく、近い将来にもローンを組む願望がある人は信用回復ローンの利用がおすすめです。
特に家庭をもったばかりなのに事故情報があることに懸念を感じている人にとっては大いに価値のある商品といえるでしょう。
車の次は住宅ローンやリフォームローンを組んで住まいを確保したい人にとって、時間の経過を待たずに信用情報が回復するのは、自社ローンでは得られない大きなメリットです。
ローンはパッケージ商品であるため、申し込みの要件や条件が決められています。例えば、勤続年数3年以上の給与所得者に限定されていたり、年収が一定以下の場合は保証人条件が定められていたりする条件です。
銀行系のマイカーローンでは、当然過去数年以内に事故情報がないことも条件に含まれているため、通常のローン商品では申し込み条件に合わない人でも、信用回復ローンであれば申し込みでき、審査に通る可能性があります。
返済期間を長くとりたい人にとっても有力な選択肢となりますが、高金利と相まって総支払額が高くなってしまうため、契約前にはシミュレーションを細かく精査してください。
信用回復ローンでは購入車がGPS管理されます。順調に返済を続けていれば影響はないものですが、常に居所を貸金業者に追跡されているという事実が気になる人にとっては心理的に負担です。
貸金業者はもしもの時の返済原資と、借り手に対する返済への意識づけのためにGPSを付けています。完済までの辛抱であると割り切れる人にとっては大したデメリットにならず信用回復ローンの利用に向いているといえるでしょう。
信用回復ローンを契約する前に知っておくべきポイント
メリット・デメリットを的確に理解し、自身のニーズに合っていると感じた人は、ぜひとも信用回復ローンを活用しましょう。ただし、申し込みにあたっては事前に知っておくべきポイントがあります。
総支払額が高くなるなど、借り手にとってもリスクが大きい状況で、できる限り有利な環境でローンを利用できるよう、留意事項を押さえておきましょう。

信用回復ローンは、属性が悪くて一般的なローンの申し込みができない顧客をターゲットとする商品です。独立系の貸金業者の中には、立場の弱い人の足元を見る悪質な事業者も存在するため、事業者選びは非常に重要です。
事業者の選定においては以下の点を確認してください。
- 貸金業登録番号を明示している
- 金利・手数料が明確になっている
- 契約内容の説明が丁寧になされる
- 過度な宣伝がない
- 口コミや世間の評判が良好
ローンの申し込みでは、職業や収入など虚偽の申告は絶対にしてはいけません。虚偽の申告が発覚すると、信頼関係が損なわれるだけでなく、契約上の法律的な問題にまで発展する可能性があります。
正確なデータ提供はもちろん、誠実な受け答えは審査担当者に良い印象を与えられるため、契約後も支払いを続けやすい環境をつくれます。不利になりそうな事実も下手に隠そうとせず、ありのまま伝えることを心がけましょう。
まとめ
カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。



