この記事では、カーリースのメンテナンス方法とその費用負担について徹底解説します。

リースプランは大きく分けると3つあるので、そのメリットや流れを紹介していきます。どのリースプランが自分にとって最適か理解しましょう。

また、メンテナンスにおける注意点や重要ポイントにも言及しているので、ぜひご覧ください。

法定点検と車検とは?

カーリースと言えど購入車と同じく、公道を安全に走るためには車のメンテナンスが欠かせません。その代表的なメンテナンスとなるのが「法定点検」と「車検」の2つです。

車を安全かつ快適に走らせるためには、最低でもこの2つのメンテナンスは欠かせません。

以下では、法定点検と車検はどのような目的を持ち、どのようなメンテナンスが実施されるのかを解説します。

法定点検の目的や内容

法定点検の目的や内容
法定点検は、本来の走行性能が維持できているか、故障や不具合がないかを確かめる検査です。

法定点検には、1年おきに受ける「12ヵ月点検」と2年おきに受ける「24ヵ月点検」の2つがあり、道路運送車両法第48条の定期点検整備において受検が義務付けられています。

検査される箇所は、以下において合計26項目があります。不備がある場合は修理や部品交換が施されます。

  • エンジンルーム
  • 足回り
  • 下回り
  • 外回り
  • 室内

後述する車検では分からない車の不備や故障を見つけられ、大きな不備に発展する前に問題を解消できます。

法定点検は受検しなくても罰則や罰金は発生しません。しかし、重大事故を未然に防ぐためにも、欠かせないメンテナンスです。

車検の目的や内容

車検の目的や内容
車検は、車が道路運送車両法で定められた保安基準を満たしているかを確かめる検査です。

初回車検は初度登録時から3年後、それ以降は2年に1度のペースで実施しなければなりません。

検査される箇所は、以下において合計56項目もあります。

  • 同一性の確認
  • 外観検査
  • サイドスリップ検査
  • スピードメーター検査
  • ヘッドライト検査
  • ブレーキ検査
  • 排気ガス検査
  • 下回り検査

これらの検査結果を元に総合的判断で、車検の合否が決定されます。

検査項目は多いものの、目的は保安基準に達しているかです。車の不備や故障を見つけるために実施する法定点検とは実施目的が異なる点を理解しておきましょう。

カーリースの契約プランは3つある

カーリースの契約プランは3つある
「カーリース」と一口に言っても、使用条件は契約形態によって異なります。

カーリースの主な契約プランは3つあります。それぞれ契約条件に固有の特徴があり、メンテナンス方法も異なります。どんな条件を契約に求めるかで、選ぶ種類は違ってくるでしょう。

ここからは、各契約プランの詳細を解説していきます。

①ファイナンスリース

ファイナンスリースは、車両代金全額と契約期間中に発生する税金などをもとに毎月のリース料金が算出されるカーリースです。「残価設定無し」と呼ばれるカーリースが該当します。

リース料金には以下の代金が含まれていないため、メンテナンスで発生した費用を支払うのは契約者になります。

  • 法定点検費用
  • 車検費用
  • 各種部品の交換費用
  • 故障に伴う修理費用

また、残価設定無しのファイナンスリースは以下の2つに分類されます。

所有権移転ファイナンスリース

リース契約の満了後に車の所有権がリース会社から契約者に移動する契約

所有権移転外ファイナンスリース

リース契約の満了後も車の所有権が契約者に移動しない契約

②オペレーティングリース

オペレーティングリースは、「残価設定あり」と呼ばれるカーリースです。残価設定とは、リース契約満了時の車の査定価格を指します。車両代金からその査定価格を差し引き、税金を加算した金額をもとに毎月のリース料金が算出されるカーリースです。

車両代金を全額支払うファイナンスリースよりも、リーズナブルな金額でカーリースを利用できる特徴があります。

契約期間がファイナンスリースより短期なのも特徴の1つです。3年以下のカーリースは、オペレーティングリースの可能性が高いと考えてもいいでしょう。

また、メンテナンス費用はリース料金には含まれていないため、ファイナンスリース同様、メンテナンス費用は全額契約者負担になります。

③メンテナンスリース

ここまで紹介したカーリースは、すべてメンテナンス費用が契約者負担でした。しかし、このメンテナンスリースに限っては、各種メンテナンス費用がリース料金に含まれています。そのため、リース契約中に発生する維持費は、ガソリン代と駐車場代などだけです。

先の2つの契約プランにメンテナンス費用を含んだ形態を、メンテナンスリースと考えておきましょう。

メンテナンス費用を含む分、月額リース料は割高です。しかし、車検代や修理費などの高額費用を気にせず、毎月定額でカーリースを利用したい人にはおすすめの契約形態と言えます。

どこまでのメンテナンス費用がリース料金に含まれるかは、申し込むリース会社によって異なるため、必ず含まれる費用を確認しましょう。

カーリースのメンテナンスは誰が行うの?
カーリースのメンテナンスは基本的に契約者が実施しますが、近年多くのリース会社でメンテナンスリースの取り扱いが増えています。中にはオプションプランとして、メンテナンスリースを提供しているリース会社もあります。このリース形態を利用すれば、メンテナンス実施時に費用を支払う必要がありません。メンテナンスに出すのは契約者ですが、その際の費用支払いを回避できます。車検の高額費用を用意しにくい人にはメリットの高いサービスです。

メンテナンスリースのメリット

メンテナンスリースでも対象外のメンテナンスがある
メンテナンスリース利用で生まれる最大のメリットは、メンテナンスにかかる費用を都度負担する必要がない点です。

しかし、得られるメリットはこれだけではありません。他にもあるので、以下で詳しく紹介していきます。

経年劣化のタイミングに合わせて整備可能

車のパーツの中には車を使用してもしなくても、経年劣化して交換が必要なものが数多くあります。

  • エンジンオイル
  • オイルフィルターエレメント
  • バッテリー
  • ブレーキパッド
  • ブレーキフルード
  • タイヤ
  • AFT

これらのパーツはあくまで一部なので、車にどんなに詳しい人でも交換のタイミングを把握することは難しいです。完全にパーツが駄目になってはじめて、交換が必要だと気づく人も少なくありません。また、パーツ不良が原因で、事故に発展する危険性もあるでしょう。

メンテナンスリースなら、リース会社が適切なタイミングで点検してくれます。常に車の性能を維持したまま運転できるのは、使用者にとって大きなメリットと言えます。

日常点検が可能

メンテナンスリースなら法定点検に加えて、数ヶ月単位で定期的な日常点検が実施されます。これもメンテナンスリースのメリットの1つです。

点検回数は多ければ多いほど、車の性能と安全性が確保できます。いつどのような理由で車に不備が生じるか予測できないからです。

通常、点検が実施されるのは法定点検の時くらいですが、2年もしくは1年に1度の点検となるため、完全に車の性能と安全性が確保できるとは言い切れません。

メンテナンスリースならこの問題が解決でき、車の性能と安全性を確保できる可能性が高まります。

管理を一元化できる

車の管理を一元化できるのも、メンテナンスリースのメリットです。

車を購入すると、今までにない新たな処理が必要になります。それに伴い、問い合わせ窓口も増え、各種処理は面倒で複雑化してしまいます。

メンテナンスリースなら、すべての管理をリース会社にお任せできます。処理を一元化できるので面倒な手間を省けるのはメンテナンスリース独自のメリットの一つです。

費用が月額に含まれるため明瞭

メンテナンスリースは、車を維持するのに必要な経費が月額リース料に含まれます。

購入時には別々で管理しなければならない以下の費用を一本化することが可能です。

  • 車の本体価格
  • 初期費用
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 環境性能割
  • 自賠責保険料
  • サポート料金
  • 車検費用
  • 法定点検費用
  • 消耗品交換費用
  • 消耗品交換工賃
  • タイヤローテーション・調整

費用の一本化で車の維持にいくらかかっているかが明瞭な点も、メンテナンスリースのメリットです。

メンテナンスリースの費用は他のプランと比べてどれくらい高い?
メンテナンスリースにはメンテナンス費用が含まれるため、その分メンテナンス費用を含まない、ファイナンスリースやオペレーティングリースよりも月額料金は割高です。
しかし、支払うメンテナンス費用は割安になるケースが多い傾向にあります。リース会社は指定整備工場に契約車両を送り込むことで、整備や交換にかかるメンテナンス費用の値引きを実現しています。全てのリース会社がそうとは言えませんが、契約時には一度試算してみるといいでしょう。

メンテナンスリースの利用が向いている人

メンテナンスリースの利用が向いている人
様々なメリットがあるメンテナンスリースですが、本章ではその利用が適しているタイプを紹介します。

該当する項目がある方は、ぜひメンテナンスリースの利用を検討してみましょう。

家計管理の手間を省きたい人

手間なく車の家計管理をしたいなら、メンテナンスリースがおすすめです。

参考までに、車を所有すると新たに以下の費用管理が発生します。

  • 月額ローン費用
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 車検費用
  • 法定点検費用
  • 消耗品交換費用
  • 消耗品交換工賃
  • 整備・調整費用
  • 修理代金

各種費用は積み立てが必要な上、メンテナンスのタイミングが重なると高額で家計を圧迫する可能性もあります。

メンテナンスリースなら各種費用が月額リース料として一本化でき、わざわざ費用を捻出する必要がありません。

カーリースを安全に利用したい人

カーリースを安全に利用したいなら、メンテナンスリースがおすすめです。

メンテナンス費用が含まれない他のカーリースでは、日常の定期点検といえば法定点検くらいでしょう。

また、法定点検を受検しなくても、罰則や罰金が発生するわけではありません。そのため、車に何かしらの不備が生じるか、車検を迎えるまで一切点検をしないという人も多く見られます。

これでは車の性能を維持して、安全な運転ができなくなるケースも出てくるでしょう。

メンテナンスリースなら、日常点検に加え、経年劣化するタイミングで部品交換を実施してもらえます。

マネープランを分かりやすくしたい人

将来のマネープランを立てやすくしたいなら、メンテナンスリースがおすすめです。

先述したように、車を維持すると車検や修理で高額出費が必要なタイミングが発生します。しかし、これら費用を月額料金に含んでしまえば、車にかかる維持費用の均一化が可能です。突然の出費に慌てることもなくなります。

  • 子どもの養育費などまとまった支出が発生した時
  • 給与の変動が多い職場に勤めている時
  • 転職を考えている時

上記のような場合に収入や貯蓄だけでは心もとなくなるようなケースでは、高額出費が発生しないメンテナンスリースがおすすめです。

メンテナンスリースの流れ

メンテナンスリースの流れ
メンテナンスリースは定期点検のメンテナンスが受けられます。しかし、どのようにして点検を受ければいいのか分からない方もいるでしょう。

ここからは、メンテナンスを受ける際の流れ、各工程の概要と注意点を順追って解説します。

カーリース会社から定期点検のお知らせが届く

メンテナンスリースで受けられる、主な点検作業は以下の3つです。

  • 車検
  • 法定点検
  • 日常点検

どの点検でも、1ヵ月前くらいに実施日時の通知がハガキで届きます。

車検を受検しなければ公道の走行はできません。もし車検を受けずに走行してしまうと罰則や罰金が科されることになります。

しかし、他の点検作業は行わなくても、罰則や罰金が科されることはありません。しかし、長期にわたり車の性能を維持するためにも、通知が届いたら定期的な点検を受けましょう。

入庫日時を決めて予約する

案内された点検を受検する際は、その旨をリース会社に連絡してください。

連絡後にメンテナンスを実施する整備工場から、実施日時の予定を決める連絡が入ります。ここで、点検を実施する日時を予約しましょう。

点検作業時には契約者の立会いが必要です。確実にスケジュールが取れる日にちを確認して、予定を組むようにしてください。

希望日時に他の作業予約が入っているケースもあるので、あらかじめ立会いできる日を何日か決めておくといいでしょう。

入庫日に整備工場へ車を持っていく

点検作業の当日には、整備工場へ車を自ら持っていく必要があります。

通常なら車を取りに来てもらい、点検後に持ってきてもらうことも可能ですが、メンテナンスリースは自ら持ち込んで立会います。

また、法定点検は車検証さえあれば問題ありませんが、車検の場合は車検証に加えて「納税証明書」と「継続検査申請書」が必要です。

この2つの書類はリース会社から整備工場に郵送されるのが一般的なので、自ら用意する必要はありません。

リース車のメンテナンスはどこの店舗でも受けられますか?
メンテナンスの実施店舗は、リース会社の提携店舗になります。場合によっては、メンテナンスのために遠出が必要になることもあるでしょう。また、引っ越しをした場合はメンテナンスの実施店舗を変更してもらえるケースもあります。

カーリースのメンテナンスで注意すること

カーリースのメンテナンスで注意すること
カーリースはメンテナンスリースを契約していない場合、メンテナンスにかかる費用はその都度自己負担です。

また、残価設定ありのオペレーティングリースは、返却時に原状回復が必要です。複雑な事態を避けるためにも、カーリースを利用する時は以下の2点に注意してください。

①カーリースの故障を放置してはいけない

残価設定ありのオペレーティングリースは、返却時に原状回復することが条件です。そのため、故障や破損のある車を返却すると、追加料金を請求される可能性があります。

故障や破損があれば車の査定評価が下がり、予定していた残価設定を割り込む可能性も出てきます。

この場合、残価設定を割り込んだ金額が追加料金として請求されるのです。そのため、オペレーティングリースした車の故障や破損は放置しないようにしましょう。

故障や破損が発生した時は、速やかにリース会社に連絡して、指示を仰ぐようにしてください。

②契約前にメンテナンス費用を確認しておく

カーリースで注意してほしいのは、契約中に発生するメンテナンス費用です。

メンテナンスリース以外は、これらの費用はすべて自己負担になります。そのため、リース契約中に発生するメンテナンス費用がいくらになるか、事前に確認しておきましょう。

主なメンテナンス費用は以下のとおりです。

  • 車検費用
  • 法定点検費用
  • 消耗品交換費用
  • 消耗品交換工賃
  • 整備・調整費用
  • 修理代金

これらの費用は自己負担するよりも、メンテナンスリースの方が割安になる可能性もあります。まずはインターネットで概算を出し、メンテナンスリースと比較してみましょう。

メンテナンスリースでも対象外のメンテナンスがある

メンテナンスリースでも対象外のメンテナンスがある
メンテナンス費用の大半をリース料金に含められるメンテナンスリースが利用できたとしても、全てのメンテナンス費用を網羅しているとは限りません。

ここからは、リース契約とメンテナンス内容の確認方法について解説します。

契約にない修理方法は把握しておこう

メンテナンスリースの対象範囲は、リース会社によって異なります。

主なメンテナンスは以下のものが挙げられますが、契約時にはどのメンテナンスが対象外となっているかの確認が必要です。

  • 車検費用
  • 法定点検費用
  • 消耗品交換費用
  • 消耗品交換工賃
  • 整備・調整費用
  • 修理代金

メンテナンスの対象外となるものは、その都度、費用支払いが発生します。いざというときに慌てないためにも、対象外の内容は把握しておきましょう。

修理費用の自己負担額を把握しておこう

メンテナンス費用の中で、最も高額になる可能性があるのが修理費用です。基本的に修理代金は全額自己負担で、「自己資金」もしくは「任意保険の車両保険の補償」のどちらかで支払わなければなりません。

今は修理代金を補償するメンテナンスリースも出ています。リース料金は割高になりますが、補償限度額によっては利用する価値は十分あるでしょう。

まずは、修理費用の自己負担額がどれくらいになるのかを把握した上で、最適だと思うリースプランを選択してください。

まとめ

①法定点検や車検は公道を安全に走行するために欠かせないメンテナンス
②カーリースの契約には主に「ファイナンス」「オペレーティング」「メンテナンスリース」の3つが用意されている
③メンテナンスリースは費用が明瞭で経年劣化のタイミングに合わせてメンテナンスできる
④メンテナンスリースは提携店舗が決められているため整備場所までの距離に注意する
⑤リース車のメンテナンスは必ずプラン内容に従って行う

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グーネット定額乗りマガジン編集部
グーネット定額乗りマガジン編集部

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。