新車を購入する時、カーローンを活用する方は多いでしょう。そうすれば大きな金額だとしても分割で支払えるため、まとまった資金の準備が不要です。
しかし、何かしらの理由で審査が通らなければ、車の購入を諦めたり、別の方法で車を利用する必要があります。
この記事では、カーローンの審査が通らない原因とその対策方法について解説します。また、カーリースを始めとしたローン以外の選択肢についても紹介します。
ローンの審査が通るか不安な場合は懸念点を明らかにして適切な対応を取りましょう。
車のローンが通らない場合は原因を知ろう
カーローンの審査が通らない原因は複数あり、審査が通らなければ原因を特定しなければなりません。
返済能力を不安視された場合には、不安視されるに至った原因を知り、適切な対処法を考えましょう。
車のローンが通らない5つの原因
ここからは、カーローンが通らない原因を5つ紹介します。
どの理由に対しても対策方法は存在します。まずは原因を正しく把握することが重要です。
1つ目の原因はローン審査を依頼した時点での年収が低いことです。
カーローンを組むと長期間の支払いが発生します。分割返済を円滑に進めていくためにも返済能力に問題ないことをローン会社や金融機関は重視します。
返済能力を測る基準はローン会社や金融機関によって異なりますが、一般的には「前年の年収が200万円以上」が一つの目安になるようです。購入前に一度、源泉徴収票を確認しておくと良いでしょう。
なお、個人事業主やフリーランスは年収ではなく所得金額が審査対象です。また、年金収入のみの方はカーローンを利用できないかもしれません。
2つ目の原因は、カーローンの借入金額が年収に見合っていない場合です。
借入金額が年収に対して高額過ぎるとローン審査に通らない可能性があります。それ以外にもローン会社や金融機関は、カーローン以外に住宅ローンやカードローン、クレジットカードのキャッシングなどがないかを確認しているようです。
また、金融機関によっては、借入金額について次のような条件を設けていることがあります。
ただし、カーローン審査は年収以外の項目も含めて総合的に判断するため、借入金額を低く抑えていたとしても審査に通らないパターンもあります。
3つ目の原因は信用情報に問題がある場合です。
信用情報とは、借り入れを申し込む人の自己破産の有無や返済状況、延滞の有無を記録している情報です。CIC(指定信用情報機関)やJICC(日本信用情報機関)に個人の信用情報が記録されています。
もし、過去の返済にて滞納していた、税金や公共料金の支払いが著しく滞ったなどの事実があると「事故情報」として信用情報機関に記録されてしまいます。
ローン審査時に、信販会社や金融機関は信用情報機関へ事故情報がないか問い合わせをし、事故情報が確認されれば審査が通りにくい傾向があります。
4つ目の原因は、カーローンを申し込む人の雇用形態が不安定であることです。
ローン審査には年収も重要視されますが、年収だけではなく雇用形態が非正規であったり、勤務歴が1年以内であったりと、収入が不安定になりうる背景情報も審査の判断材料として用いられます。
雇用形態に関しては、一定の収入があったとしても、自営業者や個人事業主、派遣社員やフリーターといった雇用形態は不安定であるとみなされがちです。また、勤務歴1年以内の就職・転職したばかりの方も審査に通りにくい傾向があります。
5つ目の原因は信販会社や金融機関に提出した申告内容に虚偽の情報が含まれていた場合です。
カーローンの審査にあたり、様々な申告を行いますが内容に虚偽の情報があった場合には契約を結べない可能性が高くなります。
例えば、勤務歴が1年に至っていないにも関わらず、入社年をごまかして申請した場合、所属する会社へ問い合わせされてしまえば虚偽であることは分かります。
車のローンが通らない場合の対処法
ここからは、カーローン審査が通らない場合の対処法について紹介します。
対処法の1つ目は、購入費用を下げることです。
高級車や格好いい車は総じて購入金額が高額になりがちです。そして前年の年収に対して借入金額が高すぎれば審査は通りません。そのため、車の購入費用を下げて借入金額を抑えることで、ローン審査が通る可能性は高くなります。
例えば、新車で購入するには借入金額が高額になるようであれば、同じ車種の中古車を検討することも必要です。
もし中古車を検討しても購入金額が高額になるようであれば、中古車の中でもグレードを落としてみたり、少し古い年式や走行距離の伸びている中古車を探してみたりと、妥協できるポイントを探ってみましょう。
2つ目は、頭金を用意することです。
頭金を多く用意する必要はなく、少しでも用意できれば購入金額は下がります。購入金額が下がれば借入金額も下がるため、ローン審査が通る可能性は高くなるでしょう。
すでに乗っている車があれば下取りや買取を検討してみるのも良いでしょう。査定額で購入金額のすべてをまかなうことは難しいですが、頭金に活用する方法もあります。
業者によって査定額は大きく変わるため、複数社に査定を依頼し、最も高額な査定額を提示した業者を選択すると、頭金として利用できる金額は増えます。
3つ目は、カーローンを組む際に保証人を立てることです。
保証人を立てると年収の低さや雇用形態の不安定さを補える可能性があります。単独でのローン契約が難しくても、保証人付きのカーローンを組むと審査に通過できるかもしれません。
保証人は、カーローン契約者が返済できなくなった場合に代わりに返済義務を負う人を指します。一般的に配偶者や親、同居している親族などに依頼することが多いようです。
一方で、保証人にも返済能力を求められる点には注意が必要です。また、返済が滞れば保証人からの信用を失う可能性もあるため、より一層支払期日には注意を払わなければなりません。
4つ目は、別のカーローン商品に変えて審査に出すことです。
ローン商品の変更とは、金融機関のローンが通らなかった場合にディーラーローンなどの商品に変更することです。
一つのカーローンが利用できなかったからと言って、全てのカーローンを利用できないわけではありません。
銀行系のカーローンよりディーラーローンや消費者金融系のカーローンは通過しやすい傾向があります。
しかし、ローンの審査が通過しやすい信販会社や金融機関の金利は高く設定されているため、総返済金額は高額になりがちな点に注意が必要です。
車のローンは3つある
ここからは、カーローンの種類とその内容について紹介します。
カーローンは大きく3つに分かれており、それぞれに特徴があります。自分の状況とカーローンの特徴をふまえて申し込みましょう。
ディーラーローンは、ディーラーと提携している信販会社などを介して契約するカーローンです。このローンの特徴は次の通りです。
・金利
4~8%(やや高め)
・メリット
審査が比較的通りやすい
審査期間が短い
・デメリット
対象が車体価格やオプションの購入費用に限定されている
「残価設定ローン」と呼ばれているものもディーラーローンの一種です。
残価設定ローンは車の返却を前提にしており、ローン契約時に将来の下取り査定額である「残価」を設定します。支払う返済額は、車体価格から残価を差し引いた金額です。
残価分の金額が本来の返済額から差し引かれている分、月々の支払額も低く抑えられるのが特徴です。
金融機関のカーローンは、銀行や信用金庫の金融機関と直接契約します。このローンの特徴は次の通りです。
・金利
1~4%(低めの設定)
・メリット
返済期間中の車の所有権はローン契約者(自分)であること
車両価格以外にも車検や修理など幅広い用途に使えること
・デメリット
審査の難度が高く、審査機関も比較的長い(数日から1週間程度要する)
金融機関のカーローンは、住宅ローンやカードローンなど、他のローンを利用していたとしても借入額に影響がないため、他ローンを利用していても契約ができます。
消費者金融会社のローンは、貸金業者や銀行などの金融機関が提供する用途が自由なカードローンです。このローンの特徴は次の通りです。
・金利
3~18%(高め)
・メリット
金融機関やディーラーのカーローンより審査のハードルは低い
カードローンなので車の購入以外にも利用できる
・デメリット
金利が高いため利息を含めた返済総額が高額
審査はスムーズだったとしても返済利率が高いため、一般的に車のような高額商品の購入には不向きです。
【ブラックリストとは?】信用情報機関を紹介
ここからは、信販会社や金融機関が購入者の信用情報を問い合わせる、信用情報機関を紹介します。
カードローンの返済や公共料金の支払いに延滞もしくは未払いがあった場合、「ブラックリストに載る」と言われます。このブラックリストが信用情報機関にある「事故情報」です。
株式会社CICは、クレジット会社が共同出資して昭和59年に設立されました。消費者のクレジットおよび消費者ローンに関する信用情報(支払い状況や残債額など)を加盟店である信販会社から収集し、その信用情報を信販会社からの照会に応じて情報提供しています。
カーローンを申込するとCICに加盟している信販会社から「無理のない契約か」「支払い能力はあるか」をCICへ紹介依頼します。CICは各信販会社から収集した信用情報をもとに、信販会社からの問い合わせに回答します。
また、信用情報の保有期間は次の通りです。
・申し込み情報
照会日より6カ月間
・クレジット情報
契約期間中および契約終了後5年以内
・利用記録
照会日より6カ月以内
・申し込み情報
登録日より5年以内
・クレジット情報
登録日より5年以内
・利用記録
電話帳に記載された年月より2年半以内
株式会社日本信用情報機構(JICC)は、1972年に消費者金融系信用情報機関の出資を皮切りに複数の信用情報会社が統廃合して設立した企業です。
JICCを介した信用情報の確認手順に関してはCICと同様で、金融会社からの問い合わせに対して信用情報を提供します。
また、ローンやクレジットの契約締結後に、ローンやクレジットの利用・支払いについては、利用・支払が確認でき次第金融会社を介してJICCに登録されます。
信用情報の保有期間は次の通りです。
・申し込み情報
照会日より6カ月間
・本人を特定する情報(氏名、生年月日等)
契約内容に関する情報等が登録されている期間
・契約内容に関する情報(登録会員名、契約の種類等)
契約日が2019年9月30日以前:契約継続期間中および完済日から5年を超えない期間
契約日が2019年9月30日以降:契約継続期間中および契約終了後5年以内
・返済状況に関する情報(入金日、入金予定日等)
契約日が2019年9月30日以前:契約継続期間中および完済日から5年を超えない期間(ただし、延滞情報は延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報は事実があった日から1年を超えない期間)
契約日が2019年9月30日以降:契約継続期間中および契約終了後5年以内
・取引事実に関する情報(債権回収、債務整理等)
契約日が2019年9月30日以前:当該事実の発生日から5年を超えない期間(債権譲渡に関する情報は、事実があった日から1年を超えない期間)
契約日が2019年9月30日以降:契約継続期間中および契約終了後5年以内(債権譲渡に関する情報は、事実があった日から1年以内)
JBA(一般社団法人全国銀行協会)は、明治10年に創立された日本最古の信用情報機関であり、JBAが運営する全国銀行個人信用情報センターが信用情報機関として活動しています。
JBAは個人の信用情報を前述のCICやJICCと提携して収集しており、全国銀行協会に加盟している金融機関からの問い合わせに応じています。
JBAが保有している信用情報の保有期間は次の通りです。
・取引情報(ローンやクレジットカード等の契約内容とその返済状況の履歴)
契約継続期間中および完済日から5年を超えない期間
・照会記録情報(会員がセンターを利用した日、ローンやクレジットカードの申し込み・契約内容等)
当該利用日から、本人開示の対象は1年を超えない期間、会員への提供は6カ月を超えない期間
・官報情報(官報に公開された破産・民事再生手続き開始決定)
当該決定日から7年を超えない期間
・本人申告情報(本人確認資料の紛失・盗難、同姓同名別人の可能性など、本人からの申告内容)
登録日から5年を超えない期間
・貸付自粛情報(浪費の習癖やギャンブル等依存症など、自らを自粛対象者として申し出た内容)
申告日から5年を超えない期間
車のローンに通らない場合の選択は3つ
ここからは、車のローンに通らない場合の選択肢について3つ紹介していきます。
1つ目は、車を購入するためにコツコツ積み立て貯金することです。
車に毎日乗らない場合や別の通勤通学手段がある場合、車は必需品とは言えません。そのため、購入金額を貯金してから検討しても遅くないでしょう。
2つ目は、車を買取に出して資金を準備することです。
頭金を投入することで借入金額を減額できますが、頭金を貯金する代わりに現在の車を買取査定に出し、買取金額がつけばその金額を頭金にする方法もあります。
1社のみに査定依頼した場合、査定額が低額になる可能性もあるため複数業者へ査定を依頼することをおすすめします。
3つ目は、カーリースを活用することです。
カーリースを活用するメリットは、車を所有する必要がないことです。車をリースするため、面倒な車検や保険契約、自動車税の支払いなどを気にすることなく、好きな車を月額料金で利用できます。
ガソリン代以外の諸費用は月額料金に組み込まれているため、月々の支払いが把握しやすくなっています。
一方で、車の所有権はリース会社であるため、車の改造はできないこと、何かしらの修理が発生したときはリース会社が提携している修理工場しか利用できないこと、といったデメリットもあります。
しかし、これらのデメリットがあってなお、高額な車をローンの申し込みをせずに手軽に利用できる点は他にはないメリットと言えます。
まとめ
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