車を所有している限り支払う必要があるものに「自動車税」があります。これは、毎年4月1日時点に登録がある車に対して課せられる税金で、自動車の種類によって金額が異なります。

しかし、いずれも税金を納めなければ延滞金が発生したり、督促状が届きます。それでも支払いを済ませなければ、やがて車や様々な資産が差し押さえられてしまうでしょう。

この記事では、自動車税の滞納と差し押さえまでの期間、起こりうるリスクについて紹介します。

現在、自動車税の納税でトラブルを抱えている場合は注意が必要です。

自動車税を滞納すると財産が差し押さえられてしまう

自動車税を滞納すると財産が差し押さえられてしまう
自動車税を滞納すると、まず延滞金が発生します。その後に督促状が届き、それでも支払わなかった場合、財産の差し押さえに発展します。

給与や銀行口座の預貯金など差し押さえが行われると日常生活に支障をきたし、さらに家庭内不和や職場での信頼関係の悪化などにつながる可能性もあります。

そのため、自動車税は毎年納税期限の間に済ませることをおすすめします。

自動車税を滞納した際の流れ

自動車税を滞納した際の流れ
ここからは、自動車税を滞納した際に起こり得ることと、その流れを紹介します。

自動車税の納税は期日を過ぎると延滞金が発生し、そして督促状が届き差し押さえと進みます。

1.延滞金が発生する

まず、自動車税を期日までに支払わなければ延滞金が発生します。

延滞金は納付期限の翌日から1ヶ月以内に納税した場合は年2.4%、それ以降になると年8.7%の利率で日割り計算で請求されます。

なお、延滞金は1,000円以下の場合切り捨てになりますが、日数が経過するうちに1,000円を超えてしまい、延滞金を支払うことになる可能性もあるでしょう。

2.車検に通らなくなる

自動車税を滞納すると延滞金が発生するだけでなく、車検が切れて車に乗れなくなってしまう可能性もあります。

例えば、今年の8月に車検を迎える車の場合、それまでに納税を行い納税証明書を用意する必要があります。しかし、自動車税を支払っていなければ「自動車税納付証明書」を持っていないため、車検に通過することができません。

車検に車が通らなければ行動を走らせることができないため、実質車の使用が不可能です。お金のトラブルだけでなく、そもそも車に乗れないといった事態が発生します。

車検切れの車で公道を走行すると罰則の対象です。6点の違反金加算や、30日間の運転免許停止、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金などが課されるため、車検切れでの走行は絶対に避けましょう。

3.督促状が届く

5月末の自動車税納付期限を過ぎても、まだ自動車税の滞納を続けると督促状が届きます。督促状が届き納税指定の事実に気づいたのであれば、すぐに支払いを済ませましょう。

督促状には納税書も同封されているため、ここで支払いを済ませれば差し押さえを避けられます。しかし、督促状が届いても未納の状態が続くと差し押さえに発展します。

なお、差し押さえまでの期間としては地方税法第331条第1項が参考になります。この項目には「徴税吏員(賦課徴収事務に従事する人)は督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに納税を行わない場合、滞納者の財産を差し押えなければならない。」との旨が記載されています。

そのため、督促状の発行されてから10日程度で支払いを済ませなければ、財産を差し押さえられる可能性があるでしょう。

4.差し押さえ予告通知書が届く

督促状が届いても無視をし、支払いを済ませていなかった場合、財産の差し押さえ予告通知書が自治体から届きます。

差し押さえ予告通知書は最終宣告にあたるもので、内容としては「この期日までに納付しなければ財産を調査して差し押さえが実行されます」といったものが記されています。

5.財産差し押さえが実行される

最終宣告である差し押さえ予告通知書が届いた後、何も行動を取らなかった場合は差し押さえが実行されます。この時に銀行口座や給料、自動車などの使用に制限がかかるでしょう。

なお、差し押さえのタイミングで「自宅にいなければ問題ないのでは」と考える方もいるでしょう。しかし、本人が不在の場合においても警察官の立ち会いや自治体の担当者たちへのもとで差し押さえを行います。

自動車税を滞納してから差し押さえまでの期間はどれくらいですか?
差し押さえまでの期間は自治体により異なりますが、法律上では督促状の送付から10日程度で差し押さえ可能との記載があります。そのため、督促状が届いたらすぐに自動車税の支払いが必要です。

自動車税の滞納で差し押さえられるもの

自動車税の滞納で差し押さえられるもの
ここからは、自動車税を滞納した結果、差し押さえられてしまうものを紹介します。

一般的に差し押さえはお金が対象のイメージですが、それ以外にも資産となりうるものが差し押さえられる可能性があります。

給料

まずは給料の差し押さえが行われます。ただし、全額を差し押さえられるわけではありません。生活に必要な分を残し、滞納でかかった費用を分割で支払うことになります。

そのため、差し押さえられたからといって、急に生活に困ることはないでしょう。

銀行口座にある財産

差し押さえは給与だけでなく、銀行口座にある預貯金も対象です。そのため、預貯金から滞納分の支払いが行われることもあるでしょう。

ただし、差し押さえは銀行口座そのものが使用不可になるわけではありません。そのため、銀行口座で設定している公共料金や保険料など様々な支払いは継続して行われます。

自動車

給料や銀行口座の預貯金で支払いが不十分な場合、自動車の差し押さえも考えられます。

自動車の差し押さえ方法は様々ですが、多くはタイヤロックによる差し押さえです。差し押さえ対象の自動車に保管命令を行った後、運用や使用を規制するためタイヤロックにより車輪止めを行います。

運転席側やドアミラー部分に財産差押公示書を装着し、周囲から見ても差し押さえられていることが分かるようになっています。

しかし、自動車を差し押さえても納税が済まない場合は自動車を引き上げて売却し、税金の支払いにあてられることもあります。

なお、タイヤロックを無理に外そうとした場合は別途処罰の対象になるため避けましょう。

金融資産

現金や預貯金だけでなく、株や不動産など金融資産も差し押さえの対象です。

現金での差し押さえが難しい場合は金融資産にも対象が広がります。金融資産をお持ちの場合は自動車税がきっかけでコツコツ積み重ねてきたものを売却しなければならなくなり、大きな影響を及ぼすでしょう。

貴金属類

時計や指輪など贅沢品も差し押さえの対象になります。

参考までに、贅沢品と混同されやすい下記については差し押さえ対処ではないため手元に置いておけます。

  • 生活に必要な衣類や寝具
  • 家具や家電
  • 仏壇や位牌 など
自動車税の滞納で差し押さえになった場合、銀行口座は凍結されますか?
差し押さえにおいて、口座の凍結は行われません。口座そのものの使用は可能です。ただし、口座内の預貯金から滞納した分の自動車税は引かれるので注意しましょう。

自動車税の滞納で起こりうるリスク

ここからは、自動車税の滞納で起こりうるリスクを2つ紹介します。

自動車税の滞納は金銭的に不都合が生じるだけでなく、様々な人間関係に支障をきたします。自動車税の未納が、職場や家族との関係性悪化につながるかもしれません。

会社に滞納がばれてしまう

自動車税を滞納し給料が差し押さえられると会社に通知が行きます。そのため、社内の一部には「あの人は税金を滞納している」とばれてしまいます。

滞納が知られると、人からの信頼が低下し退職に追い込まれずとも、社内における印象低下が懸念されます。

比較的規模が大きい企業やお金について厳しく取り決めている企業の場合、今後の進退に関わる可能性もゼロではありません。

家族に滞納がばれてしまう

自動車税の滞納は差し押さえが行われ家族にもばれてしまいます。

例えば、家計の管理をパートナーに任せているのであれば、これまで見られなかったお金が引かれていることから差し押さえの事実が発覚し、家庭内不和につながる可能性もあるでしょう。また、督促状が届いた時点で発覚する可能性もあります。

家族が自動車税の滞納について知らない場合「なぜ自動車税を支払わなかったのか」といった疑問や不信感を抱かれる可能性もあります。お金に関するわだかまりは家庭内の信頼関係悪化につながるため、回避したい問題です。

自動車税を滞納しそうな場合の対処法

自動車税を滞納しそうな場合の対処法
ここでは、自動車税の滞納を避けるために「自動車税を滞納してしまいそう」と不安を抱えた場合の対処法を3つ紹介します。

自分で対処できない場合は各機関に相談したり、家族に支援を依頼したりがおすすめです。

もっとも不適切な対応は「支払えないまま放置する」ことです。難しい、自分では解決できないと感じたら、まずは相談に踏み出しましょう。

都道府県税事務所に相談する

自動車税の支払いが難しいと分かったら、都道府県税事務所に相談しましょう。

都道府県税事務所は各都道府県において税金の管理を行う機関です。税務署は国の税金を扱っている役所のため、扱う税金の種類が異なります。

自動車税は車を所有している限り支払い義務が発生しますが、支払いに対する前向きなアドバイスを受けられます。

どこにも連絡せず、ただ滞納するのではなくまずは相談がおすすめです。

家族や親戚に相談する

自動車税の支払いが困難な場合、家族や親戚に相談する方法も検討しましょう。一時的な資金難であればお金を借りる形で対応できる可能性があります。

しかし、家族や親戚にお金を借りた場合、必ず返すことを約束しましょう。不誠実な対応をしては後々の人間関係に影響を及ぼします。

可能であれば借用書を用意し「何にお金を使うか」「どれぐらいの金額を借りるか」を残しておくと後々トラブルを防げます。

また、お金を借りる場合は今後の資金計画についての説明も欠かせません。「今回はお金を借りることになったけれど来年の自動車税についてはこれから貯蓄を行い必ず支払えるようにする」と説明すると、お金を貸してもらうことができるでしょう。

資金の捻出を検討する

家族や親戚に借り入れの申し出を断られた場合、自身で資金の捻出を検討しましょう。

例えば、娯楽費で今後使う予定だったお金を自動車税の支払いにあてる、預貯金を切り崩すといった方法です。

しかし、自動車税の金額によっては資金の捻出が難しいこともあるでしょう。軽自動車の場合は1万円程度のため、資金の捻出は比較的容易かもしれません。しかし、5万円や6万円程度かかる場合は物の売却で資金を捻出する必要があるかもしれません。

なお、一時的に資金を捻出できたとしても、本質的な問題解決に向けて来年度の自動車税確保の方法も模索しましょう。

滞納しないために資金を捻出する方法には何がありますか?
資金の具体的な捻出方法としては貯金を切り崩す、一時的に外食や娯楽費を削減し支払いにあてるといった方法があります。それでも難しい場合は不用品で価値がありそうなものの売却も検討しましょう。

自動車税の滞納や差し押さえを予防する方法

自動車税の滞納や差し押さえを予防する方法
ここからは、今後自動車税の滞納や差し押さえを予防するための方法を3つ紹介します。

自動車税は車を所有する限り発生するもののため、収支バランスの見直しやお金の使い方から改める必要があるでしょう。

家計の見直しを行う

はじめに家計の見直しを行いましょう。月々の収支バランスを確認し、自動車税を確実に捻出できるよう支払いプランを定めます。

自動車税をまとめて用意するのが難しい場合、毎月数千円ずつ積立する方法があります。

例えば、3万6,000円の自動車税が発生する車であれば、1年間に換算すると1ヶ月あたり3,000円程度の積立で貯められます。毎月不要な3000円程度の支出がある場合は、その項目を自動車税の支払いにあてましょう。

支出を確認するには、一度家計簿をつけて「無駄な出費がないか」を把握しましょう。家計簿は紙媒体でなくスマートフォンのアプリでもつけられます。

お金に関する意識を高める習慣を身につけましょう。

ローンがある場合は見直しを行う

現在、カーローンや住宅ローンがあり、家計を圧迫している場合は借り換えや支払い金額の見直しなどを行いましょう。

住宅ローンの期間を短縮するあまり毎月高い金額を支払っていると返済で他の支払いにお金が回らないといった状態になり得ます。その場合は一度、金融機関でローンについて相談するのがおすすめです。

また、車にこだわりがあり高いローンを組んで購入した場合も家計に合わせて見直しが必要です。車のローンが終わった後、新しい車を購入する際に価格を抑えたり、現金で購入したり、借り入れに無理がない状態を作りましょう。

車の保有を見直す

自動車税の支払いが難しい場合、車の保有について見直す方法もあります。自動車税は車を所有する限り発生するもののため、思い切って手放すことも検討しましょう。

また、車は自動車税以外にも様々な維持費がかかります。2年に一度10万円程度の車検代や毎月のガソリン代、備品の交換代などお金がかかります。そのため、普段車をあまり使用しない場合は売却を検討しましょう。

通勤や通学に公共交通機関を使えるのであれば、車を使う機会を減らせます。万が一、車が必要になった場合はレンタカーを借りてスポットで使用するのも良いでしょう。

カーリースを検討する

どうしても車が必要な場合、車を所有するのではなくリースという選択肢もあります。

カーリースの場合は月額使用料のみで車を利用できるため、自動車税や車検代などがまとめて発生することを防げます。また、メンテナンスが含まれたプランに加入すると月々の支払いは月額料金とガソリン代に抑えられ、支出に見通しを持ちやすいでしょう。

子どもの送迎や通勤通学でどうしても車が必要な場合に検討しましょう。

カーリースのメリット・デメリット

カーリースのメリット・デメリット
車の保有方法を見直すのであれば、カーリースの選択肢もおすすめです。

カーリースのメリットは下記の通りです。

  • 頭金不要で初期費用を抑えられる
  • 月額料金で支払いに見通しが持てる
  • 自動車税や車検代金をまとめて支払う必要がない

カーリースは月額料金で車に乗れるサービスのため、車を購入する時のように初期費用が数百万円と発生しません。

また、月額料金で支払いに見通しが持て、かつ各種税金もリース料に含まれています。改めてまとまった資金を用意する必要がないので安心です。

一方で、カーリースは下記のデメリットも併せ持っています。

  • 途中解約すると違約金が発生する可能性がある
  • 総支払額が高くなる可能性がある
  • 車のカスタマイズができない

カーリースは期間を決めて契約するため、期間内で解約したい場合、違約金が発生する可能性があります。また、原則として途中解約は認められていないことがほとんどです。

カーリースの月額料金の中には車本体の代金以外の料金も含まれています。そのため、車を現金で購入するよりも総支払額が割高になる可能性があります。

そして、リースはあくまで借り物のため車のカスタマイズが行えないことにも注意が必要です。

メリットだけでなくデメリットも把握した上で、カーリースを検討しましょう。

まとめ

①自動車税を滞納すると最終的に財産の差し押さえにあう
②差し押さえまでの期間は様々だが、法律では「督促状が届いてから10日」との文言がある
③差し押さえが行われるまでには延滞金の発生や督促状の送付などが発生する
④財産の差し押さえは給与や銀行口座の預貯金、金融資産などが対象になる
⑤自動車税の支払いが難しい場合は家計のスリム化や車の保有方法について考え直すことも大切である

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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