目次
軽快なエンジン音と燃料代金の安さが魅力的なディーゼル車は維持費が安い車として人気を博しています。一方で、ガソリン車と違い流通している車種も少ないことからメンテナンスをどうしたらよいか悩んでいる人も少なくないでしょう。
この記事では、ディーゼル車を所有している人に向けて、自分でできるチェック項目や点検にまつわる様々なポイントを解説します。解説内容を読めば、愛車の取り扱いに慣れ、さらに愛着が湧くでしょう。
ディーゼル車のメンテナンスってどうしたらいいの?
ディーゼル車はガソリン車と比べて所有している人が少なく、日ごろの点検をどうしたら良いか知っている人も少ないのではないでしょうか。自分の愛車だからこそ、大切に扱うためにもメンテナンス方法を知っておきたいところです。
まずは、ディーゼル車とガソリン車の違いから説明していきます。そして、具体的なメンテナンス方法を見ていきましょう。
ディーゼル車とは?
ディーゼル車とは、軽油を燃料としている車種を指します。車を動かすための燃料はハイオクガソリンやレギュラーガソリンなど軽油以外にも様々あり、精製する際の分離温度に違いがあります。
軽油は主に140℃から360℃の間で精製されるため、高温高圧の環境下において燃焼しやすい点が特徴です。そのため、優れた燃費性能を有しています。
また、空気のみを圧縮して高温高圧状態を作り出し、そこに燃料を噴射して自然着火させます。その結果、燃料が高圧縮の環境のもと効率的に燃焼されるため、低トルクから高トルクまで幅広く発生させる点も特徴です。
ディーゼル車とガソリン車のメリットとデメリット
多くの人が車を選ぶ際にガソリン車かディーゼル車のどちらかを選びます。そこで、どちらのエンジンタイプを選べば良いか悩む人も少なくないでしょう。
ここからは、それぞれのタイプにおけるメリットとデメリットを紹介します。これから車選びをする方は、ぜひ参考にしてみてください。
ディーゼル車のメリットは大きく分けて3つあります。
1つ目は燃費の良さです。一般的にガソリン車と比較すると、ディーゼル車のほうが優れているといわれています。その理由は、エンジンの燃焼機構に違いがあるためです。少ない燃料で自然着火できる仕組みになっているため、発生する熱効率が優れている結果、低燃費を実現しています。
2つ目は燃料費が安い点です。現時点でレギュラーガソリンと軽油を比較すると、1リットル当たりの金額が20円から30円ほど違います。この理由は税金が関係しており、軽油取引税とガソリン税の値差が金額の違いに影響しているためです。
3つ目は振動や音が静かである点です。この特徴は最近の車種に該当しますが、以前はカラカラと特有の音や振動が起こっていました。しかし、近年の技術改良の結果、ハイブリッド車に負けないほど静かな車も登場しています。
ディーゼル車のデメリットも大きく分けて3つあります。
1つ目は車両価格の高さです。新車価格を比較するとガソリン車よりも本体価格は高額に設定されています。その理由は、ディーゼルエンジン特有の高い圧縮比で燃焼させる仕組みには、強度や耐久性に優れたものが必要なためです。優れたエンジンの製造に伴うコストが金額に反映されています。
2つ目は発進時の加速や停止時の減速具合がガソリン車に比べて劣っている点です。都市部などの街中では発進と停車を繰り返します。短い間隔での加減速に関してはガソリン車に軍配が上がります。
3つ目は古い車種では音が気になる点です。前述の通り最新車種は静かになりましたが、古い車では音が大きめです。そのため、静かな車に乗りたい人には向いていないかもしれません。
ガソリン車のメリットは2つあります。
1つ目は発進における加速や停止時の減速具合が優れている点です。伸びのある加速が魅力なガソリン車は街中の運転でもスムーズ加減速できます。細かな停車と発進を繰り返すような場面においては乗りやすさを感じられるでしょう。
2つ目は車両価格が抑えられる点です。ガソリンエンジンの歴史は長く、多くのメーカーでは生産ラインが十分に設けられています。製造にかかるコストを抑えられるため、価格を低く抑えられます。
ガソリン車のデメリットは燃料費が高額である点です。
2025年からガソリン補助金の給付がストップし、今まで以上に負担する燃料費は高くなりました。場所によりますが、1リットル180円を超えるような地域もあるようです。
いくら燃費性能に優れた車であったとしても高い維持費は財布へ大きなダメージを与えるでしょう。ハイブリッド車であれば、さらに燃費が良く給油回数も減らせます。
ディーゼル車も燃料費が数十円安いため、長い目で見た時の維持費は安く抑えられます。
もともとディーゼルエンジンは燃焼方式の特性から頑丈です。しかしながら、短い距離ばかり走行したり、停車・発進を細かく繰り返したりすることでエンジンにダメージが蓄積されます。エンジンが傷めば壊れやすくなるため、長く乗りたい場合は日ごろの運転方法を見直しましょう。
ディーゼル車のメンテナンス方法
ここからは、ディーゼル車のメンテナンス方法について解説します。
適切な点検とケアで長く乗り続けられる点がディーゼル車の魅力です。愛車に乗り続けるためにも、どのようなケアが必要か具体的に知っておくと良いでしょう。
紹介する項目の中には自分でできることも多々あります。できそうなものについては積極的にチャレンジしてみましょう。
オイル交換はエンジンタイプに限らず、車の性能を引き出すためにも重要なメンテナンス項目です。
ディーゼル車に関しては、交換時期がターボエンジンかノーターボエンジンかで変わる点に注意しましょう。一般的にターボありの場合は5,000kmごと、もしくは半年に1回の頻度が目安です。また、ターボなしの場合は10,000kmごと、もしくは1年に1回の頻度で交換しましょう。とはいえ、一般的な目安であるため走行条件(オフロードも走るのか、街乗りがメインか)で交換頻度は変わります。
交換費用については、オイルのグレードや量によって金額は異なります。とはいえ、おおむね3,000円から13,000円の間と見積もっておけば良いでしょう。
オイル交換は車体をジャッキアップしなければならないケースがあります。専用機材の準備が難しいため、業者に任せた方が良いでしょう。
アドブルーは「尿素SCRシステム」搭載車に必要な消耗品です。ディーゼルエンジンの排気ガスにアンモニアを吹き付けて有害ガスを浄化することで、環境に配慮しています。
主な成分は尿素です。しかし、アンモニアは有害かつ危険な物質であるため、取り扱いのしやすい尿素水として販売されています。個人でも購入できるため、自分で補充しても良いでしょう。
1,000kmで1リットル消費するため、積載量によって交換目安のタイミングは異なります。5リットルで3,000円が相場です。
ディーゼル車は乗り続けているとエンジン内部にカーボンが堆積します。堆積し続けると馬力や燃費が落ちてしまうため定期的に取り除きましょう。
除去のタイミングは50,000kmから100,000kmが目安です。
費用の目安は取り除きたいパーツによりますが、少なくとも5万円以上はかかるようです。また、複雑なパーツであれば10万円から30万円かかるケースもあります。
ディーラーに依頼した場合は40万円以上の見積もりが提示されるケースもあるようです。
DPFは「ディーゼル微粒子フィルター」と呼ばれる排出ガス対策装置の一つです。排気ガスに含まれる粒子状物質を捕まえて、空気中への排出量を減らします。
この装置を搭載している車は警告灯が点灯した際、エンジンに多めの燃料を吹いてDPF内の煤を燃焼させなければなりません。高速道路を運転している際に作動した場合は、運転にあまり影響はありませんが、街乗りがメインの場合は頻繁に燃焼させなければならず、運転のフィーリングが悪くなってしまいます。
DPFもカーボンが蓄積しやすいパーツであるため、定期的に洗浄しましょう。費用の目安は50,000円から200,000円と幅が広くなっています。
ディーゼル車は燃料フィルターに水が溜まってしまうと排出を促すための警告灯が点灯します。転倒した場合は速やかにディーラーか自動車整備工場で水を抜いてもらいましょう。故障の原因になり得るためです。
車種によっては取扱説明書に水抜き方法が記載されている場合もあるため、自分で対応できる場合もあります。作業を業者に依頼した場合は費用の差はあるものの、およそ数千円から10,000円程度が相場です。
ディーゼルエンジン向けに、燃料と一緒に燃料タンクへ投入する添加剤が販売されています。インジェクターの洗浄効果が期待できる添加剤などが販売されており、一定の効果は見られるものの、メーカーは推奨していません。
マツダに関しては純正部品でインジェクタークリーナーを用意しています。
商品の値段は数千円から1万円台と金額の幅があります。安い金額ではないものの、ディーゼルエンジンの寿命を延ばしたい場合に使ってみてはいかがでしょうか。
エアクリーナーはエンジンに取り込む空気からゴミや不純物を取り除くためにある部品です。余分なものが取り込まれてしまえば、エンジンの故障につながるため重要なパーツです。
交換時期の目安は排気ガスの色をチェックしましょう。黒い排気ガスが排出されていると交換時期です。
値段は比較的安価に抑えられています。点検時には汚れ具合や走行距離を目安に定期的な交換がおすすめです。
前述の通り排気ガスが黒くなった場合は、エアクリーナーの交換を検討しますが、交換しても改善しない場合は噴射ポンプをチェックしましょう。
噴射ポンプはポンプの圧力を利用して、エンジン内部のシリンダー内に燃料を高圧で送り出す装置です。経年劣化の場合、エンジンの動作に不具合が生じるため注意しましょう。
とはいえ、噴射ポンプは比較的高額です。全て交換しなければならない場合では修理代金が高額になるため、新車への買い替えも検討して良いかもしれません。
ディーゼル車の車検
ここからは、ディーゼル車の車検について解説します。
車検項目もディーゼル車ならではの項目があります。エンジンが異なるため重視しているポイントも違います。また、長く乗り続けた場合の車検費用や地域ごとに実施する有無が変わる検査方法などのポイントについても詳細に紹介します。
ディーゼル車特有の検査項目に「黒煙検査」や「オパシメーター検査」があります。
黒煙検査は従来の検査方法でしたが、年々基準が厳格化された結果、オパシメーター検査に置き換えられています。そのため、現在はオパシメーター検査で青煙を測定することが主流になりました。
ディーラーや車検工場で検査を受ける場合は気にするポイントではないものの、ユーザー車検の利用を検討している方は覚えておきましょう。
新車登録後11年を経過すると車検費用は大きく変わります。また、経過年数に応じて車検代金以外にも自動車税や自動車重量税といった税金の徴収額も増額されます。
例えば、自動車税は11年目を境に15%の値上がりが。ガソリン車は13年を基準に増額されるため2年も早く税金を多めに払い始めなければなりません。自動車重量税については13年経過すると39%重課、18年以降になると53%重課されます。
税金の増額理由は環境への配慮のためです。
長い年月を乗り続けると車検代を含めた税金関連が値上がりするため注意しましょう。
自動車NOx・PM法とは1992年に制定された特別措置法です。環境への配慮から、ディーゼル車から排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の基準値が定められています。
しかし、この法律の適用地域が異なっていることに注意しましょう。引っ越し前は問題なく車検に合格していたにも関わらず、別の地域に引っ越したところ不合格になるケースがあります。
また、引っ越しに伴って車検証の住所変更をしただけで法律に不適合とされるケースもあり、そのような場合においては判明したタイミングで車に乗れなくなってしまいます。
ディーゼル車を携えて引っ越しする場合は、環境省のホームページで適用地域を調べましょう。
オイル交換時には種類に注意しましょう。ディーゼル車は専用のエンジンオイルを使用しなければなりません。
軽油は燃焼するとエンジン内部が腐食しやすい特徴があります。その原因物質である硫黄酸化物を中和するため、アルカリ分が添加されたオイルでなければなりません。
さらに、ディーゼル車によっても使えるオイルが以下のように異なる場合があります。
- 乗用ディーゼル車用のDL(ディーゼルライト)
- 大型ディーゼル車用のDH(ディーゼルヘビー)
特に乗用ディーゼル車用のDL(ディーゼルライト)は、環境に配慮されたクリーンディーゼル車で使われます。業者へ交換を依頼したとしても、正しい知識をもった業者に依頼しましょう。
ディーゼル車はガソリン車と違い「排気ガス検査」はしません。
排気ガス検査とは、テスターを用いてマフラーから出る一酸化炭素と炭化水素の濃度を測定します。
一方で、ディーゼル車では前述の「黒煙検査」あるいは「オパシメーター検査」のいずれかが行われます。このような検査方法の違いは、代替の検査方法が確立されているためです。
メンテナンス費用が含まれているカーリースの利用もおすすめ!
ディーゼル車はガソリン車と比べてメンテナンスをしっかりしなければなりません。そのため、メンテナンス費用を不安に感じる人も少なくないでしょう。
そのような場合においては、メンテナンス費用が含まれているカーリースがおすすめです。
カーリースはリース会社から車をリースしてもらい、月額費用を支払って乗り続けるサービスを指します。メンテナンス費用が含まれたパックプランを利用すれば、車検や税金だけでなく、部品交換や点検費用も含まれます。そのため、急な出費が生じる心配はないでしょう。
まとめ

カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。