車をリースする際、契約書の内容をしっかり理解することが大切です。
契約書には、契約内容やトラブル発生時の責任の所在などについて詳しく書いてあります。しかし、契約書の内容を隅々まで確認する方は少ないかもしれません。
ここでは、カーリースの契約書にはどのような事柄が記載されているのか、その主な内容と注意点について解説します。
また、契約書と「約款」の違いや連帯保証人を求められるケースについても説明していきます。
カーリースの契約書の内容は?
契約書や約款のような長文の説明書きは、読むのを敬遠してしまう方もいるでしょう。しかし、書かれている内容を把握しておくに越したことはありません。
ここでは、カーリースの契約書には主にどのようなことが書かれているのかを解説します。
カーリース契約の流れについて
最初に、カーリース契約はどのような流れで結ばれるのかを大まかに見ていきましょう。
契約書に署名押印すれば契約は成立しますが、そこまでに至る前段階や、契約後の納車の手続きなども踏まえておく必要があります。
カーリースは、まず自分が乗りたい車を探すところからスタートします。新車に中古車、国産車や輸入車など幅広い車種を選ぶことができます。さらに、グレードなどもあわせて検討するといいでしょう。
リースしたい車が決まったら、リース会社に見積もりを依頼します。カーリースの料金体系は独特なので、リース料、契約期間、走行距離制限、解約条件などをチェックして、自分に合ったプランを選ぶようにしてください。
カーリースは、ローンなどと同じ貸借契約にあたることから、利用時には必ず審査を受けなければなりません。そして審査に合格するためには、信用情報に問題がないこと、年収や勤続年数が安定している必要があります。
特に注意したいのが、クレジットカードやローン利用状況などの信用情報です。これらの情報をもとに、リース会社は利用者がリース料をきちんと支払えるかを判断します。
例えば、自己破産したことがある方は5年~10年間は審査に通らないとされています。
リースする車選びと見積もり内容のチェック、審査が済んだら、次はリース会社と契約を交わすことになります。
契約書の具体的な内容の説明は後述しますが、一般的には契約期間やリース料の支払次項などが詳しく記されています。
特に、禁止事項や中途解約の禁止に関する項目、また事故などのトラブル発生時の対応などはきちんと確認しておきましょう。契約違反にあたることを知らずに行ってしまうと、損害賠償に発展することもあります。
カーリース契約を締結したら、リース会社から車が納車されます。
契約締結から納車までの期間がどのくらいかかるかはリース会社によって異なりますが、契約後1~2か月後が一般的です。また、納車する場所が遠方にあると、運搬のための時間がさらにかかることが考えられます。
先に使用している車がある場合は、スムーズにリース車に乗り換えられるよう、リース会社としっかり打ち合わせて納車のタイミングを見計らいましょう。
契約書の主な内容について
次に、カーリース契約時に交わされる契約書の主な内容を解説します。
項目の並びはリース会社によって異なるものの、内容的にはほぼ同じです。大まかにでも覚えておけば、どのリース会社と契約する場合でもスムーズに手続きを進められるでしょう。
カーリースの契約書には、一番最初に契約の趣旨が記されています。
リース会社がリース契約者に対して自動車を貸し出す賃貸契約である、そしてこのリース契約は基本的に途中で解約することができないという内容になっています。
契約書の第2条には、車の引き渡し、あるいは納車に関するルールが記載されています。
その内容は、車が納車される段階になったらリース契約者はそれに応じて車を受け取り、受領書に署名捺印をしてくださいというものです。
単なる納車の手続きで、ここまで厳格にルールを取り決める必要があるのかと疑問に思う方もいるでしょう。しかし、リース契約者の都合で納車がスムーズにいかないケースは珍しくありません。
これによりリース会社が損害を被ると、損害金の請求に発展することもあります。
契約書の第3条には、車のリース期間に関する事柄が書かれています。
見出しにはっきり書かれていることもあれば車の使用や保存に関する項目と一緒になっていることもあるので、確認する際は注意が必要です。
この項目では、リース期間の満了日が細かく書かれています。気になる場合は、車検証の有効期間とあわせてチェックするといいでしょう。
リース期間中は、責任を持って車両を管理しなければならない旨も記載されています。
多くの場合、契約書の第4条はリース料の支払いに関する項目となっています。
具体的には、リース料を毎月何日に口座振替などで支払うことになるか、また約束手形を使って支払う場合はどのようになるかという事柄まで書かれています。
ちなみにカーリース契約は、仮に中途解約したとしても料金の支払いは最後まで免れません。リース車が事故などで乗れない状態になっても同様です。こういった内容も載っているので、チェックしておきましょう。
契約書の第5条以降はリース会社によって項目の順序が異なりますが、禁止事項について記載されているケースが多いです。
カーリースの契約期間中に契約者が行ってはいけない行為として、リースしている車両を無断で売却することなどが挙げられています。
その他にも、リース車を海外へ持ち出すことや、カスタマイズすることも禁止事項です。ただし、軽微なカスタマイズであれば契約内容によっては認められていたりするので、細かい内容を確認しておきましょう。
カーリースの契約書には、リース期間中に車両にトラブルが発生した際の報告義務についても記載されています。
例えば、契約者が事故を起こした・あるいは事故に巻き込まれてリース車が損傷した場合は、速やかにリース会社へ報告しなければなりません。
これは、その車の正式な持ち主はリース会社であり、車はあくまでも「借り物」だからです。
このような事態になったにも関わらず、報告を怠ると契約違反と見なされ、リース期間が満了する前でも精算金が必要になることがあります。
車をリースした場合、任意保険の加入手続きは基本的に契約者が自分で行う必要があります。
自賠責保険は全ての車が強制加入なのに対し、任意保険への加入は自由であるという原則はカーリースの場合でも変わりません。
しかし、カーリース契約の中には「任意保険込みのプラン」もあります。このプランを利用する場合、契約書には任意保険の補償内容や保険料の金額などについて詳しく書かれているので、きちんと確認しておきましょう。
購入した商品に欠陥があり、買主にとって「契約内容と合致していない」と言える場合、法的には売主が契約不適合責任を負います。これは、かつて瑕疵担保責任と呼ばれていたものです。
そのため、商品の欠陥によって生じた損害を、売主が埋め合わせるのが一般的です。
しかし、カーリースでは、リース会社はこの契約不適合責任を負いません。少しややこしいのですが、リース車に欠陥があれば、リース会社に車を提供した自動車販売会社などに契約者が自分で直接責任を追及してください、という内容になっています。
もちろん、リース会社もその責任追及の流れの中である程度の関わりは持ちます。しかし、カーリース契約における契約不適合責任の内容は専門的でややこしいため、契約書の内容を確認しておかないと契約者が後で不利になる可能性もあるので注意しましょう。
カーリース契約者がリース車両で事故を起こし、車が損傷したり人を負傷させたりした場合、その損害賠償責任はリース契約者が全て負います。この旨も契約書にしっかり書いてあるので、確認しておいてください。
リース車両の正式な持ち主(名義人)は、契約者ではなくリース会社です。しかし、一般的に友人知人などに貸した車で事故を起こした場合、その車の持ち主も責任を負うことがあります。
こうした事態を防ぐために、あらかじめ損害賠償責任について取り決められているのです。
前項までの内容からも分かる通り、カーリース契約において何らかのトラブルがあっても、リース会社は基本的に責任を負いません。リース車両に欠陥があった場合、リース車で事故を起こして損害賠償を起こした場合も同様です。
これは、事故を起こして車が損傷した場合も同じで、修理費用は契約者が負います。また、車が全損して使えなくなった場合や盗難にあって滅失した場合は、リース契約は強制解約となり、費用面での全ての責任は契約者が負うことになります。
カーリース契約は、原則として契約期間中に中途解約することはできず、そのルールは契約書にも記載されています。
契約者側の事情によっては例外的に解約が認められることもありますが、自己破産などの理由による場合を除いて、大抵は解約金を請求されることになるでしょう。
ただし、カーリース契約の解約が認められないというのは、あくまでも契約者側が希望した場合の話です。
例えば、契約者に契約違反にあたる行為が認められれば、一方的にリース会社側から契約を解除することは可能です。
契約違反にあたるケースとしては、先述したように「トラブル発生時にすぐ報告しなければならないのを怠った」「事故や盗難でリース車両が完全に失われてしまった」という場合が挙げられます。こういった内容も、契約時にきちんと確認しておいてください。
なお、契約を解除された場合、リース車両は返還しなければなりません。また、契約者都合による中途解約が認められた場合と同様に、解約金も請求されることになるでしょう。
カーリース契約の基本的な約束事として、リース料金の支払いが遅れてはいけない、というものがあります。
契約書にはリース料金の支払方法に関する項目が設けられていますが、それとは別に支払いが遅れた場合の遅延損害金についての項目もあります。
遅延損害金は、リース料の支払いに遅れが生じた時に発生するものです。利率の割合はリース会社によってさまざまなので、万が一に備えて確認しておきましょう。
カーリースでは、リース期間が満了すると使用していた車を返却しなければなりません。これはどのリース会社でも共通のルールで、カーリースが残価精算という仕組みで成り立っている以上は当然です。
契約書には、この車両の返還についてのルールも記載されています。
カーリース契約期間の終了や契約解除となった場合、リース車両は速やかに返還しなければならず、その際に契約者は車を原状に回復させる義務を負っています。
つまり、故障や破損があれば、きちんと修理した上で返還しなければならないということです。その修理費用や返還にともなう運搬・移動費用は契約者が負担しなければならず、もしも返還が遅れれば遅延損害金が発生することもあります。
ただし、契約時のプランによっては、契約期間が完了してからそれまでリースしていた車をもらえることもあります。その場合は、別途リース会社が定めたルールに従って車両が譲渡されることになりますので、確認しておきましょう。
契約時の注意点について
ここまでで、カーリースの契約書はどのようなものなのか、その内容について見てきました。
リース契約を結ぶ際は、契約書の内容によく目を通さなければいけないことが分かったでしょう。
ここからは、それ以外に覚えておきたい契約書の注意点について解説していきます。
ここまでで、カーリース契約を結ぶ際の「契約書」について解説してきました。
厳密に言えば、契約時に提示される長々とした文章は「約款」といいます。契約条件や規定を明確にするための文書で、平たく言えばカーリース契約の「説明書」のようなものです。
実際には約款は契約書と一緒になっていることが多いため、ここまではひとくくりに全て「契約書」として解説しました。
しかし、実際には約款にきちんと目を通した上で契約書にサインをするというのが正式な流れです。
契約の際にこうした約款が交付されるのはごく一般的なことですが、特に日本では、契約者の側でこうした長文の約款に目を通すことを省略しがちです。また、契約される側もそれを前提としているようなところがあるので、注意しましょう。
ここまで見てきたことから分かる通り、約款にはトラブルの際に誰が責任を負うかについても詳しく書かれています。最初から最後まで全てをチェックするのは困難でも、大まかな内容程度は把握しておくとよいでしょう。
カーリース契約を結ぶにあたり、連帯保証人を求められることがあります。
契約前には必ず審査が行われますが、この時に収入状況などから契約を結ぶのが難しいと判断されても、連帯保証人をつければ契約できることがあります。
連帯保証人がついていれば、万が一リース料の支払いが未払いになってしまった場合でも、その支払い分をカバーしてもらうことが可能です。
例えば、未成年がカーリース契約を結ぶ場合は、ほとんどの場合この連帯保証人を求められるでしょう。
他にも連帯保証人が必要になるケースとして、契約者がアルバイトやパートなどの非正規雇用である場合や、会社の勤務年数が短い場合などが挙げられます。また、ローンなどで自己破産した経歴があっても同様です。
自分がいずれかに該当し、カーリース契約を結ぶのが難しい気がするのであれば、連帯保証人になってくれそうな人を前もって探しておくとよいでしょう。特定の人を連帯保証人に登録するには、印鑑証明書などの書類も必要になります。
カーリース契約の手続きは、リース会社の担当者と直接相対して進められることもありますが、郵送でなされることもあります。リース会社から届いた契約書に署名押印し、返送することで契約が成立するという流れです。
しかし、この場合はどの時点で正式に契約が成立したと言えるのか疑問に思うかもしれません。
例えば、契約書に署名押印して返送したものの、リース会社に届く前に契約者の側に何らかの理由で契約を解除しなければならない理由が発生した場合はどうなるのでしょう。
こうした問題について、民法では「到達主義」の立場を採っています。つまり、契約書がリース会社に「到達」すなわち届いた時点で契約が成立するという考え方です。
カーリース契約を中途解約する場合は、ほとんどの場合、違約金を請求されます。そのため、上記のようなケースでは、契約書が先方に「到達」していなければ契約をキャンセルしても中途解約にはならないと考えることができるでしょう。
まとめ
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