交通事故によりリース車が全損し、修理不可となってしまう場合もあります。そうするとリース車は廃車扱いになるので、契約を継続させることはできません。

そのため、カーリース契約は解約となり、解約金の支払いを請求されてしまいます。そうなった場合、経済的な負担は大きくなります。

万一に備えて、任意の自動車保険に加入しておくことが大事です。任意保険ではどのような補償があるのか、また事故のリスクを減らすにはどうすればよいかなどを見ていきましょう。

カーリースで事故を起こした場合の対処

カーリースで事故を起こした場合の対処
カーリースでは、契約者に代わってリース会社が車を購入し、契約者が月々リース代を支払って車を使用するという形をとっています。

リース車に乗っていて交通事故に遭ってしまう可能性も十分あるので、事故時の対処について知っておかなければなりません。

まず、慌てて外に出ないで、車を安全な場所に停車させます。けが人がいるか確認して、救護を行ってください。そして、すぐに消防と警察に連絡します。

また、リース車の場合は所有者がカーリース会社になるので、事故に遭った際は必ずかーリース会社にも連絡しなければなりません。そして、カーリース会社の指示に従って、車を修理に出すことになるでしょう。

リース車が全損した場合、契約は強制解約となる

交通事故でリース車が全損して走行できない状態になる場合もあります。全損は、修理しても元通りに動かない状態のことを指すので、廃車扱いとなります。

カーリースでは、リース車を貸す代わりにリース代を支払ってもらうことで契約が成立しています。契約終了時には一般的にリース車を返却してもらうことになっているのに、もはやそれもできないでしょう。

カーリース契約の対象物であるリース車が存在しなくなれば、リース契約自体も継続させることはできません。その時点でカーリース契約が強制的に解約となります。

また、カーリース契約は原則として途中で解約することはできません。しかし、交通事故での全損はやむを得ない事情なので、自動的に解約されると契約の際の約款にも記載されているはずです。

全損で解約となると解約金の支払いが必要

全損で解約となると解約金の支払いが必要
リース契約は途中解約を想定しておらず、契約期間中に車両購入にかかる費用が返済できるようにリース代を設定しています。

たとえ交通事故による全損でやむを得ずに解約することになったとしても、車両購入費用が回収できないとカーリース会社が損をしてしまいます。

それではカーリース会社が困ることになるので、途中解約の場合は中途解約金を請求されます。約款にも解約金のことは記載されているので、きちんと確認しておいてください。

解約金は、主に残りのカーリース期間中に支払ってもらうはずであったリース代が含まれています。

解約金の計算方法

カーリースで途中解約となった場合の解約金は、「残りのカーリース期間のリース料」と「契約時に設定した残価の合計」となります。解約手続きにかかる「事務手数料」も加算されるでしょう。

それらの合算から、未経過分の税金やメンテナンスパックの場合は、まだ行っていない車検費用や部品交換費用などが差し引かれます。

残価というのは、カーリース契約終了時のリース車の価値を事前に予想して設定した価格です。リース契約終了時は「車を返却する」「残価を支払って買い取る」「再リース契約をする」などの選択肢があります。全損により車を返却できないので、残価を支払わなければなりません。

また、これまでに未払いのリース代があればその分のリース代や支払い遅延損害金などが含まれることもあります。

事故の過失割合によっては負担額が違ってくる

事故の過失割合によっては負担額が違ってくる
交通事故で相手方がいる場合は、双方の過失割合によって賠償額が変わってきます。

事故の主な原因がどちらにあるかによって決まるのが、過失割合です。道路状況や交通標識、道路交通法などによってどちらが過失があるか、割合はどうなるかを判断することになります。

例えば、信号待ちで停車中に後方車に追突された場合、ほぼ100%相手方の過失となります。双方走行中の衝突の場合は、一概には言えないでしょう。

相手方の過失が100%ならリース車が全損しても、解約金を請求できる可能性は残されています。

しかし、自身にも過失があれば解約金を負担しなければならないケースが多いとされています。裁判でもリース車の解約金の支払いを認めるという例はあまり見られません。

車の修理代や、事故が原因の損害による車の評価額の下落分は請求できる例もあります。しかし、リース契約による車の価値の下落や、中途解約による価値の下落に関してまでは、事故の相手方に責任を負わせにくいです。

そのため、事故の相手側に解約金まで支払ってもらうのは難しいと言えるでしょう。

一部破損で修理できるなら契約は継続可能

一部破損で修理できるなら契約は継続可能
交通事故によりリース車が一部破損していても、修理すれば走行できるというケースもあります。その場合はリース契約そのものには影響はありません。

破損したリース車を修理すればまた使えるので、リース契約自体は問題なく継続できます。ただ、車の骨格部分(フレーム)の一部を交換、補修した車は「修復歴あり」となります。

修復歴があると、契約終了時のリース車の査定額が下がるかもしれません。フレームは車の構造に関わる部位なので、安全に走行させるためには重要な箇所です。損傷を受ければ修復しても、安全性能に影響を与えるリスクが生じます。そのため、中古車市場でもマイナス要因として扱われます。

ただし、事故での修理といってもフレームに関係のない箇所であれば、修復歴はつかないので査定額にさほど関係しない場合もあります。

修理代は契約者の負担になる

リース車が交通事故で破損し、修理をした場合にかかった費用は、毎月支払っているリース代には含まれていません。

リース車はリース会社の名義ですが、使用者である契約者が修理費を全て自己負担することになっています。修理費用は、事故による車の破損状況や依頼する業者によって違ってきます。

例えば、10cm四方のバンパーの損傷なら約12,000円、10cm四方のドアのボディパネルの損傷なら約18,000円です。

ディーラーだと技術料などが含まれる上に、部品交換には純正部品が使われるので料金が高くなるでしょう。

車の修理方法はカーリース契約で取り決めがあれば、それに従わなければなりません。特にない場合であっても、契約者の判断で勝手に修理を行ってしまうと、カーリース会社と後からトラブルになる可能性もあります。

特にメンテナンスがついたプランに入ってる場合、修理を行う整備工場などの指定されているケースが多いので、必ずリース会社に事前に問い合わせてみてください。

事故での全損、一部破損時に備えて任意保険に加入しておく

事故での全損、一部破損時に備えて任意保険に加入しておく
交通事故は自分が気を付けていても巻き込まれるケースもあるなど、いつ自分の身に降りかかるかわかりません。カーリースの契約中にリース車が事故で一部破損もしくは全損する可能性も十分あり得ます。

特に、全損した場合の経済的な負担は大きくなるでしょう。万一に備えるために、任意の自動車保険に加入しておくことが大事です。

カーリースでは、リース専用の自動車保険もあります。どのような補償内容になるのかをきちんと確認し、リース車やカーライフに合った保険に加入しておくと安心です。

任意保険とは?

車に関する保険は2つの種類があります。

1つは、法律で加入が義務付けられている「自賠責保険」です。未加入もしくは保険期限切れの車を公道で走行させると法律違反となり、罰せられます。また、車検を通すこともできません。

リース車の場合は既に契約時に加入済みになっており、リース代に自賠責保険料も含まれています。

自賠責保険は、事故の被害者が死亡もしくはケガを負った場合しか補償されません。その上補償額には上限が設けられており、損害を全てカバーできない場合もあります。

もう1つは、加入するか否かは自分で決めることができる「任意の自動車保険」です。こちらは未加入でも法律で罰せられることはありません。

任意保険は、事故の被害者への補償「対人補償」の額が無制限というプランがスタンダードになっています。相手の車や建物などへの損傷を補償する対物補償、事故の加害者が同乗者への補償、加害者の車の補償など自賠責保険ではカバーできない部分の補償を補ってくれます。

加入は自由ですが、リース車の場合は特に任意保険にはきちんと加入しておくのがベストだと言えるでしょう。

リース車の修理代が保険でカバーできる

リース車の修理代が保険でカバーできる
任意の自動車保険に加入し「車両保険」をつけることで、リース車が事故で破損した場合の修理代を自己負担せず、保険でカバーすることが可能です。

車両保険というのは、自分の車が損傷した場合の修理などを補償する保険です。交通事故のよる破損以外にも、いたずらや飛び石、盗難、水害や地震(特約を付加する必要あり)などの災害などによる破損にも適用することができます。

車両保険では「免責金額」といって、自己負担額を自分で設定することが可能です。

免責金額が少ないと、保険会社から支払われる補償額は多くなりますが自分が支払う保険料が上がってしまうという仕組みです。逆に免責金額をある程度決めておくと、保険料を抑えることができます。

また、車両保険には補償範囲によって主に2つのタイプに分けられます。

  • 自損事故や、いたずらなど車に損害を受けるあらゆるケースで補償される「一般型」
  • 自損事故や、当て逃げなど相手がいないもしくは分からない場合の事故だけは補償がきかない「限定型」

保険料は限定型の方が補償が狭い分安くなります。

加害者となっても相手へは保険で補償できる

交通事故の加害者になってしまった場合、被害者がケガをしたら治療費や休業中の補償、車両を破損したらその修理費などを賠償しなければなりません。

確かに自賠責保険からも保険金が下りますが、ケガの治療費にしても上限が決まっています。自賠責保険の補償が対象外になる車両の破損に関しては、全て自己負担となるでしょう。

相手が亡くなった場合は賠償金がかなりの額になる可能性が高く、経済的負担がかなり重くのしかかります。

任意保険では、対人賠償に関しては無制限になっている保険がほとんどなので、莫大な賠償金にも対応できます。また、対物補償に関しても無制限とするプランがあるので、自己負担もかなり減るため安心です。

カーリース専用任意保険は全損時の解約金をカバーできる

リース専用任意保険は全損時の解約金をカバー
リース会社では、カーリースの契約とセットで加入できる「カーリース専用任意保険」を準備している所も多いです。

カーリース専用任保険では、カーリースに特化した内容になっている点がポイントです。

交通事故によりリース車が全損した場合を例に挙げます。この場合、カーリース契約自体が自動解約となった上に、残りのリース代などを含む中途解約金の支払い義務が生じます。

一般的な任意保険の場合、この中途解約金までは補償でカバーできないことがほとんどです。しかしカーリース専用任意保険の場合、中途解約金を保険で補償してもらえることが多いです。

リース車であっても加入できる任意保険はありますが、カーリースならではのリスクに対応してくれる保険の方が、利用する側にとってはより安心できるでしょう。

全損事故以外にも盗難などの解約金もカバーされる

リース車であっても盗難に遭うケースがあります。盗難に遭えば、リース契約の対象物がなくなってしまうので、事故で廃車になった場合と同じ状況です。

いつ自分のもとに返ってくるのかも分からず、最悪返却されない場合も考えられます。そのため、交通事故による全損の場合と同様に、カーリース契約自体も自動解約となる場合がほとんどです。

そうなると、中途解約金の支払い義務が生じてしまうのは否めません。リース専用の任意保険では、盗難の場合の解約金がカバーできるものもあります。

さらに、大雨など水害による車の水没なども、修理不能で廃車になってしまう場合があります。こういったときの中途解約金も、リース専用の任意保険では補償されるものがあります。

保険契約期間がカーリース契約期間に合わせられる

保険契約期間がリース契約期間に合わせられる
通常、任意の自動車保険の保険期間は1年で、期限満了までに更新する形をとります。

例えば、交通違反があったり、交通事故を起こして保険を使えば更新時に保険料が高くなったりする可能性があります。逆に何もなければ少しずつ保険料が下がる場合もあるでしょう。

カーリース専用の任意保険では、カーリースの契約期間と保険期間が合わせて設定している場合がほとんどです。つまり、更新はないということになります。

3年契約のカーリースなら任意保険期間も3年で自動的に満期ということです。

任意保険料は、リース代とは別途支払うことになりますが、リース代に含めることも可能です。予め長期間契約することで、保険料が安くなるというメリットがあります。

事故があっても保険料が上がらない

一般的な任意の自動車保険には「等級」といって保険料の増割引率を決める区分があります。

等級は、1~20まで区分されており、等級の数字が上がると割引率が高くなり、下がると割増率が高くなるという仕組みになっています。

通常交通事故などで保険を使うと翌年等級が下がって保険料が高くなるというシステムです。カーリースでは、この等級により保険料の増減に左右されることはありません。

カーリース期間中に交通事故などで保険を使っても、保険料が上がることはないということです。その代わり無事故でも等級は上がって保険料は割引になるということはなく、基本的には定額となります。

メンテナンスをきちんとしておく

メンテナンスをきちんとしておく
交通事故よるリース車の全損を少しでも防ぐためには、日頃の車のメンテナンスも重要となります。車はメンテナンスを怠ると、故障や交通事故を誘発する可能性もあり得るからです。

例えば、エンジンオイルの交換を怠ると、エンジンが不調となることもあるでしょう。タイヤ交換を怠るとタイヤが摩耗して走行中にスリップやバーストし、ハンドルが効かなくなり事故を起こすリスクも高まります。

そのため、エンジンオイルやタイヤ交換、タイヤの空気圧の調節などは定期的に行っておく必要があります。

また、法定点検も車検と違って受けなくても罰則がないからいいと思わずに、きちんと受けて車を整備しておくことが大事です。部品の劣化や摩耗にも気づきやすく、早期にメンテナンスができるのでより安全性が高まると言えます。

日頃の運転の仕方や周囲の状況に注意する

日頃の運転の仕方や周囲の状況に注意する
交通事故を防ぐには普段の車の運転の仕方、心持ちなども大きく影響してくるので、今一度振り返ってみてください。

例えば、前を走る車との車間距離を十分とることで、追突を回避できる確率も高まります。

前車や並走車、対向車が急に右左折する、自車の前に割り込んでくるというケースもよくあります。いつも周囲の状況に注意し、停車できるように準備しておくことが大事です。

そして、法定速度を守ることも心がけましょう。速度超過は法律違反である以前に、急に飛び出しがあってもブレーキが間に合わない場合もあります。そのため、適度な速度をキープしましょう。

また、霧がかった日や夕暮れは早めにライトを点灯させる、右左折の際はウインカーをきちんと早めに出すなど自分の車の動きや存在を周囲に知らせることも、交通事故を回避するために必要なことです。

まとめ

①交通事故によりリース車が全損すると、自動解約となり解約金を支払わなければならない
②解約金は「残りのカーリース期間のリース代」「残価」「事務手数料」などが含まれる
③リース車の一部破損で修理可能なら契約は継続されますが、修理代は全て契約者の負担となる
④リース車の全損に備えて任意保険に加入しておくと安心
⑤カーリース専用の任意保険なら解約金が補償されるなどメリットが多い
⑥事故や故障により全損しないためにも、定期的なメンテナンスと日頃の安全運転などが重要

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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