自動車を購入する際に、通常のカーローンではなく「自社ローン」の選択肢があります。

自社ローンとは、その名のとおり販売店が自社で融資を行うローンのことで、一般的なローンに比べて審査に通りやすいと言われます。

近年では、他社のローン審査に通らなかった方向けに自社ローンを提供する中古車販売店も増えており、ローンが組めない人でも車を購入できる手段として注目されているのです。しかし、利用する前にその仕組みやメリット・デメリットをしっかり理解しておくことが大切です。

この記事では、自社ローンの仕組みや審査基準を詳しく解説し、通常のローンより審査が通りやすい理由やメリット・デメリット、さらに審査を通過するためのポイントも紹介します。

自社ローンの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

自社ローンの仕組みを把握したうえで利用を検討しよう!

自社ローンの仕組みを把握したうえで利用を検討しよう!
自社ローンを利用する際には、仕組みを把握しておくことが重要です。

販売店独自のローンの流れや特徴を理解したうえで、自身に適した購入方法かどうか判断しましょう。

自社ローンの仕組み

自社ローンの仕組み
自社ローンは、車の販売店が独自の基準で審査を行い、購入者に直接分割払いで融資を行う仕組みです。銀行や信販会社などの第三者の金融機関を介さず、販売店と購入者の間で分割払いの契約を結ぶ点が特徴となっています。

そのため、通常の自動車ローンに比べて審査に通りやすい傾向があります。販売店としては、自社の在庫車を販売するのが目的であり、多少リスクを負ってでも販売につなげたい思惑があるためです。

信用情報機関の記録に傷がある人や、過去に他社のローン審査に落ちてしまった人でも、自社ローンなら通過できる可能性があります。

また、自社ローンは金融商品ではなく販売店独自のサービスであるため、基本的に金利が0%です。分割払いの際に利息が発生しないため、購入時に提示された支払総額がそのまま実質的な支払い額となります。

ただし、金利がかからない代わりに保証料や手数料が発生するケースが多く、実際には車両本体価格にそれらの費用が上乗せされていることがあります。

とはいえ、毎月の支払額や総支払額が契約時点で明確に把握できる点は、利用者にとって安心材料と言えるでしょう。

自社ローン利用の流れ

自社ローンを利用する際の流れは、通常のマイカーローンに比べてシンプルです。一般的な自動車ローンでは、銀行や信販会社にローンの申し込みを行い、審査結果を待つ必要があります。自社ローンの場合、購入を希望する販売店で直接ローンの申し込みから契約手続きまですぐに完結します。

具体的には、以下のような流れです。

  1. 販売店で希望の車を選び、自社ローンでの購入を申し出る
  2. 販売店担当者と相談しながら、支払い回数(分割回数)や頭金の額を決め、申し込み手続きを行う
  3. 必要書類を提出して販売店が独自基準で審査を行う
  4. 審査に通ればそのまま契約する

銀行などを挟まない分、審査スピードが速く、即日で結果が出ることも珍しくありません。そのため、スムーズにいけば申し込み当日に契約・納車まで完了するケースもあります。

自社ローンは誰でも利用できますか?
結論から言えば、無職の方やアルバイト・パートの方でも利用可能な場合があります。販売店によって審査基準は異なりますが、一般的なローンでは難しいケースでも自社ローンなら受け付けてもらえることがあるのは事実です。
ただし、収入が全くない無職の状態だと審査は厳しくなりますし、アルバイトよりも安定した収入のある正社員の方が有利であることは言うまでもありません。
また、多くの場合で連帯保証人を立てることが求められるため、家族など保証人になってくれる人を用意できるかもポイントになります。

自社ローンを利用するメリット

自社ローンには、通常のローンにはないメリットがあります。

ここからは、自社ローンを利用する主なメリットを3つ紹介していきます。

①一般的なローンより審査に通りやすい

①一般的なローンより審査に通りやすい
自社ローンのメリットは、なんといっても審査に通りやすいことです。

銀行ローンやディーラーローンの場合、審査時に信用情報機関のデータが厳しくチェックされます。そのため、過去にクレジットカードやローンの延滞履歴がある方、自己破産など金融事故の経験がある方は審査で不利です。

自社ローンでは、販売店独自の判断で融資を行うため、信用情報上のマイナス履歴があっても審査を通過できる可能性があります。「他社ローンに落ちてしまったが、自社ローンなら購入できた」というケースも珍しくありません。

ローン審査に不安がある方にとって、自社ローンは心強い選択肢となるでしょう。

②金利がなく支払総額が明確

自社ローンでは金利がかからないため、支払いの総額が初めから明確である点もメリットです。

通常のローンでは年利〇%といった形で利息が発生し、支払総額は借入額や返済期間によって大きく変動します。それに対して自社ローンでは、車両本体価格に諸費用を加えた金額がそのまま総支払額となり、月々の支払い額も契約時に確定します。

例えば、200万円の車を自社ローン(頭金なし、手数料込み)で購入する場合、総支払額が200万円であれば、仮に36回払いなら月々約5万5千円(200万円÷36回)を支払っていく計算です。

利息がない分、追加の費用を心配する必要がなく、最終的にいくら支払うことになるのかが契約前に明確にわかるのは利用者にとって安心できるポイントです。

③審査のスピードが速い

販売店自身が審査を行うため、銀行や信販会社に申し込みをして承認を待つ必要がなく、その場で判断が下されるケースが多くあります。書類に不備がなければ即日審査が完了も可能で、早ければその日のうちに契約手続きまで進められます。

遠方から車を買いにきた場合など、早く車を持ち帰りたいとの希望があるときに、自社ローンの迅速な対応は大きなメリットとなるでしょう。

また、審査が通ればすぐに納車の手配に進めるため、車を手に入れるまでの時間が短いことも魅力です。

自社ローンを利用するデメリット

メリットの多い自社ローンですが、注意すべきデメリットも存在します。利用後に後悔しないためにも、デメリットもしっかり理解したうえで検討しましょう。

ここからは、自社ローンを利用するデメリットを3つ紹介していきます。

①保証人や頭金が必要な場合がある

①保証人や頭金が必要な場合がある
自社ローンでは、申し込み時に連帯保証人や頭金の用意を求められる場合が多い点に注意が必要です。

信用情報に不安がある人にも門戸を開いている分、販売店としてはリスクを軽減するために、保証人の存在や頭金の支払いを条件とするケースが少なくありません。家族に保証人になってもらう、あるいは購入価格の一部を頭金として支払うことが求められることがあります。

保証人を立てられなかったり、頭金を全く用意できなかったりすると、審査が難航する可能性があります。

②金利の代わりに手数料が発生する

自社ローンには表向き金利が存在しませんが、その代わりに手数料や保証料といった形で事実上の金利相当分の費用がかかります。

販売店によって呼び方や金額はさまざまですが、一般的には「保証料」「分割手数料」などの名目で請求され、車両価格に上乗せされることが多いでしょう。

相場としては、車両本体価格の10~20%程度を保証料として加算する販売店が多く、この分月々の支払額が高くなります。結果的に、利息がないとはいえ総支払額は現金一括で購入する場合に比べて増える点には注意が必要です。

金利の形で明示されていないだけで実質的な負担は発生しているため、「金利0%だからお得」と安易に飛びつかず、トータルでいくら支払うことになるのか冷静に確認しましょう。

③利用上限額が低め

自社ローンは販売店自身がリスクを負ってお金を立て替える仕組み上、利用できる金額の上限が低めに設定されている傾向があります。高額な車を購入する場合や、多額の融資を必要とする場合には、自社ローンでは対応できないことがあるのです。

例えば、銀行のマイカーローンであれば数百万円単位の借り入れも可能ですが、自社ローンでは数十万円~せいぜい200万円程度が上限となっています。欲しい車の価格が自社ローンの上限額を超えている場合、頭金を増やして借入額を抑えるか、別のローンや方法を検討する必要があるでしょう。

また、自社ローンの対象は中古車に限られることが多く、新車購入では利用できない場合もあります。

自社ローンで頭金は必要ですか?
必ずしも頭金が必須ではない販売店もありますが、頭金を入れると借入額を減らせるため審査には有利です。頭金が多いほど販売店のリスクが小さくなるため、審査通過の可能性も高まる傾向にあります。
また、頭金を支払っておけば月々の返済額も抑えられるため、返済計画にも余裕が生まれるでしょう。
どうしても頭金を用意できない場合は、その分保証人をしっかり立てるなど、他の部分で信用を補完する必要があるかもしれません。

自社ローンの審査基準

自社ローンの審査は通常のローンと比べて通りやすい傾向にありますが、まったく審査がないわけではありません。販売店も確実に返済してもらうために、独自の視点で申込者の信用力をチェックしています。

ここからは、自社ローン利用時に見られる主な審査基準について紹介します。

本人確認

本人確認
基本として行われるのが本人確認です。運転免許証や健康保険証など、公的な身分証明書の提示が求められます。

また、多くの場合で現住所を確認するために住民票や公共料金の領収証などの提出も必要です。これらの書類によって、申込者が確かに実在し連絡が取れる人物であること、現在の住所に居住していることを証明します。

虚偽申請や成りすましを防ぐ意味でも、本人確認は欠かせない審査項目となっています。

勤務状況

次に重視されるのが申込者の勤務状況です。主に職業や雇用形態、勤続年数などを指します。

正社員で長く勤務している人は安定した収入が見込めるため信用度が高くなります。逆に、アルバイトや契約社員の場合は収入が不安定と見なされやすく、勤務期間が極端に短い場合も審査上不利です。

ただし、自社ローンの場合は、パートやアルバイトでも申し込み自体は可能なケースもあります。その場合でも、少なくとも現在働いて収入を得ていることが重要です。

短期間でころころ転職を繰り返しているようだと、「今後継続して返済できるか」との点で不安視されるため注意しましょう。

収入状況

収入状況
申込者の収入状況も審査で確認されます。具体的には、源泉徴収票や給与明細、あるいは確定申告書など、年間の収入がわかる資料の提出を求められることがあります。

年収が高いほど返済能力があると判断されやすいのは言うまでもありませんが、自社ローンでは高収入でなくても審査に通る可能性はあるでしょう。「毎月の返済を継続できるだけの安定した収入があるかどうか」が重要です。

年収が低めでも、実家暮らしで生活コストがかからない方や、副業などで安定した収入を得ている方であれば、十分返済可能とみなされるケースもあります。そのため、申込時にはできるだけ正確な収入状況を伝え、必要に応じて証明書類を用意しておくことが大切です。

支払能力

収入状況と関連しますが、実際に支払能力があるかどうかも総合的に判断されます。

支払能力とは、収入から生活費や既存の借入返済などを差し引いて、毎月のローン返済ができるか余力のことです。

年収が高くても、他に多額の借金があったり家族が多く生活費がかさんでいたりすれば、返済の余裕がないと判断される場合もあります。販売店によっては、毎月の返済額が月収の何割以内かといった基準を設けていることもあります。

無理なく返済できる範囲の申し込みであるかが問われるため、事前に自身の家計状況を見直し、本当に支払っていける額かを確認しておくことも大切です。

自社ローンを利用する際の注意点は?
自社ローンでは金利こそかかりませんが、保証会社を利用する場合は保証料が発生し、実質的な利息のような役割を果たします。保証料はローン契約時に一括で支払うか、月々の支払いに組み込まれる形となります。
また、保証人が必要な場合は契約者本人だけでなく保証人にも契約内容の説明や署名が必要です。家族に保証人を頼む場合は、事前にしっかり相談して了承を得ておきましょう。
さらに、毎月の返済を滞りなく行うことは当然ですが、万が一支払いが遅れるとペナルティや車両の引き上げ(リポセッション)といったリスクもあります。自社ローンだからといって返済が免除されたり、甘く見てもらえたりするわけではありません。契約内容(支払期限や延滞時の対応)をよく読み、計画的に返済していくことが大切です。

自社ローンの審査を通過するためのポイント

自社ローンは通常のローンより審査が緩やかとはいえ、確実に通過したいならいくつか押さえておくべきポイントがあります。

ここからは、自社ローンの審査を通過するためのポイントについて紹介します。

申し込みの前に転職しない

申し込みの前に転職しない
自社ローンの申し込みを検討しているなら、申し込み直前に転職しないようにしましょう。

審査では勤務先や勤続年数が考慮されるため、転職直後だと「収入が安定しているか」「試用期間中ではないか」など不確定要素が増えてしまいます。できれば少なくとも数ヶ月以上、今の職場で働いてから申し込む方が印象は良くなります。

転職を予定している場合でも、ローン契約が完了するまで待つか、あるいは転職後しばらく勤務してから再度申し込む方が無難です。

年収と申込額のバランスを考慮する

年収に対して無理のない金額を申し込むことも大切です。

年収300万円の方が、諸費用込みで300万円近いローンを組もうとすると、返済負担が大きすぎると判断されるかもしれません。自社ローンでは明確な収入基準が公表されているわけではありませんが、常識的に考えて返済が難しそうな額だと審査通過は厳しくなります。

一般的な目安として、年間のローン返済総額が年収の20~30%以内に収まるようにすると安全と言われます。

購入したい車の価格と自分の年収を照らし合わせ、必要に応じて頭金を増やすか車の予算を下げるなどしてバランスを取ることを検討しましょう。

頭金を用意する

頭金を用意する
可能であれば頭金を用意してから申し込むことをおすすめします。頭金があると借入額が減り、販売店にとってはリスク軽減につながるため審査で有利になります。

目安として、車両価格の2割程度を頭金として支払えると理想的です。仮に200万円の車であれば40万円を頭金で払えば、借入は160万円に減るため返済負担も軽くなります。

頭金を入れると月々の支払額も減り、自身の家計にも余裕が生まれます。無理なく用意できる範囲で良いため、少しでも頭金を用意しておくと良いでしょう。

情報に虚偽を含めない

ローンの申し込み時には、勤務先や年収、負債状況など様々な情報を申告しますが、決して虚偽の情報を記載しないことが肝心です。

審査を通りたいからといって年収を実際より多く申告したり、勤務先を偽ったりするのは厳禁です。

販売店は場合によって在籍確認や収入証明の提出を求めることがありますし、嘘が発覚すればその時点で信用を失い、審査落ちとなります。一度信用を失うと二度とその販売店でローンを組めなくなる可能性もあるため、正直に情報を開示しましょう。

誠実に情報提供する姿勢自体も信用につながります。

連帯保証人を立てる

連帯保証人を立てる
自社ローンでは保証人が必要となるケースは多いですが、任意の場合でも信頼できる連帯保証人を立てることで審査通過の確率が上がります。

保証人がいれば、万一返済が滞ったときでも代わりに支払いをしてもらえるため、販売店にとってリスクが減ります。親族などで安定した収入がある方にお願いできるなら協力を仰ぎましょう。

保証人には契約上大きな責任が伴うため簡単に頼みにくい面もありますが、その分保証人付きで申し込む人は少なく、販売店側からすると「確実に返してもらえそうな申込者」として優先的に通してくれる可能性もあります。

どうしても審査に不安がある場合は、初めから保証人を用意して申し込むのも一つの手です。

費用を抑えて新車を利用するならカーリースも視野に入れよう

費用を抑えて新車を利用するならカーリースも視野に入れよう
「本当は新車に乗りたいが、ローンの審査に通るか不安」「できるだけ月々の費用を抑えたい」という方は、カーリースの利用も検討してみましょう。

カーリースとは、月々定額のリース料金を支払って車を利用するサービスです。リース料金には税金や保険料なども含まれており、頭金も基本的に不要です。

リース会社での審査はありますが、車両の所有権がリース会社にある分、ローンを組むより審査のハードルが低い場合があります。

また、カーリースでは契約終了時に車の返却を前提に残価設定(将来の下取り予想額)がなされているため、その分購入するよりも月々の負担が軽くなります。

手元にまとまった資金がなくても新車に乗れる方法として、カーリースは有力な選択肢と言えるでしょう。

まとめ

①自社ローンは販売店が独自に融資を行う仕組みで、銀行を介さない分審査が通りやすく手続きも速い
②自社ローンは金利0%をうたっており、利息がないため支払総額が明確だが、その分保証料や手数料が上乗せされ実質的な費用負担が発生する
③自社ローンのメリットは審査通過率の高さや審査スピードの速さで、過去に他のローンに通らなかった人でも車を購入できる可能性がある
④デメリットとして、保証人や頭金が必要になるケースが多く、利用できる金額にも上限がある。中古車が中心で、高額な新車購入には向かない場合がある
⑤審査に通過するには、転職を控える・年収と借入額のバランスを取る・頭金の準備・正確な情報提供・保証人の用意などを心掛け、場合によってはカーリースの活用も検討する

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グーネット定額乗りマガジン編集部
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