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車の安全を維持し、小さな異常をいち早く察知するためには、定期的な点検が不可欠です。特に日常的に行う点検は、車両の不具合を早めに発見し、大きなトラブルに発展することを防ぐうえで重要な役割を果たします。
しかし、どれくらいの頻度で点検を行えば良いのか、どのような箇所を確認すれば良いのかなど、車の点検に関するさまざまな疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、車を定期的に点検することの重要性を明らかにし、具体的な点検頻度や点検方法などについて詳しく解説します。
日常点検は最低でも月1回は必ず行う
車を日常的に点検することの重要性を分かっていながらも、実際には日頃からの点検を実施していないという方は多いのではないでしょうか。
しかし、日常点検を怠ると、突然のバッテリー上がりや走行トラブルなど、思わぬリスクが高まってしまいます。車の使用状況にもよりますが、最低でも月に1回の日常点検を必ず行うようにしましょう。
車の点検の主な種類
車の点検をする場合、大きく分けると「定期点検」と「日常点検」の2つがあります。それぞれの点検を適切に行うことにより、車の性能や安全性を保ち、事故や故障のリスクを抑えることが可能です。
ここからは、定期点検と日常点検の違いや、それぞれの重要性について考えていきましょう。
定期点検は法定点検とも呼ばれ、法律で定期的に行うことが義務付けられている点検を指します。実施する時期や点検項目が定められており、自家用車では1年ごとに29項目を、2年ごとに60項目の点検が必要です。
これらの点検には専門的な知識と技術が必要なため、ほとんどのケースで認証を受けた整備工場に依頼します。
また、定期点検と車検は混同されることが多いのですが別物です。車検は、その車両が公道を走行する基準を満たしているかどうかを検査するものです。一方、定期点検は車が故障せずに安全に走行できるかを検査するものです。
日常点検は、車のユーザーが自分で簡易的に行う、日常的な車両点検のことです。エンジンオイルや冷却水の量、タイヤの空気圧や残っている溝の深さ、ブレーキの効き具合、ライトの点灯状態などを、目視や実際の操作により確認していきます。
日常点検も、道路運送車両法により実施することが求められていますが、具体的な頻度まで明確に規定されているわけではありません。そのため、車の使用状況に応じて適切なタイミングで点検することが推奨されています。
日常点検を行う目的
日常点検を行う主な目的は、自動車の状態を確認して車両の不具合を早期に発見することです。
日々の使用で徐々に劣化や摩耗している部品を日常的に確認し、その状態を把握しておくことの重要性を軽視しないようにしましょう。特に「異常を感じないから、まだ大丈夫だろう」という理由で日常点検を怠ると、思わぬ故障や事故につながる可能性があります。
基本的な点検は、特別な知識や技術がなくても可能です。安全に車を運転できるよう、日常点検を習慣化することを心がけてください。
日常点検は使用者の義務
道路運送車両法第47条により、自動車の使用者は走行距離や運行状況に応じて、ライトやブレーキなどを目視で点検することが義務付けられています。
この日常点検を怠ったこと自体に対して、直接的な罰則はありません。しかし、整備不良が原因で事故を起こした場合には、違反点数や罰金が科せられる可能性があるため、日常的な点検を心がけることが大切です。
簡易的な点検を行うだけでも大きな不具合が防ぎやすくなり、安全への意識も高まるでしょう。
適切な車の日常点検の頻度
車を安全な状態に保つためには、適切な頻度で日常点検を行うことが重要です。しかし、そのうち点検しようと考えて、先送りになってしまうことも少なくありません。
ここからは、適切な日常点検の頻度をわかりやすく解説していきます。
タイヤの摩耗や空気圧の低下、バッテリー液の減少、エンジンオイルの劣化などの進行具合を考慮すると、最低でも1ヶ月に1回の点検を実施するのが適切です。
車の定期点検(法定点検)は、12ヶ月または24ヶ月ごとに行われますが、その間の期間は適切に自己管理する必要があります。もしも日常点検の間隔があきすぎると、次の定期点検までの間に部品の劣化や消耗が進み、安全性が低下するかもしれません。
そのため、定期点検の間を埋めるように、月1回の日常点検を行うことをおすすめします。
月に1回は日常点検を実施するのが基本ですが、それ以外でも追加で点検を行った方が良い場面もあります。
例えば、長距離運転や高速道路の走行前には、エンジンルームやタイヤの状態をチェックしておくことが重要です。月1回の点検の時期でないとしても、このような特定の状況に当てはまる場合には、簡易的にでも点検を行いましょう。
また、極端に暑い日や寒い日にも車の不具合は発生しやすいため、天候に応じて点検を行う習慣をつけることも大切です。
エンジンルームの日常点検
車を安全に走らせるためには、エンジンルームの日常点検は欠かせません。しかし、自分で点検するのは難しそうだと考えて、エンジンルームを開けたことがないという方も多いのではないでしょうか。
エンジンルームの点検と言っても難しく考える必要はありません。基本的には目視で確認できるため、ここではエンジンルームの主な点検項目と方法についてわかりやすく解説します。
エンジンオイルは、エンジン内部の潤滑や冷却などの役割を担っています。エンジンオイルの量が少なくなりすぎると、エンジンの性能低下やエンジン内部の摩耗、燃費悪化などの原因となるため、日常的にチェックして適切なタイミングでオイル交換を行うことが重要です。
エンジンオイルの確認は、以下のような手順で行います。
- 車を平坦な場所に停車してエンジンを停止する
- エンジンが冷えたら、エンジンルーム内のオイルレベルゲージを見つける
- オイルレベルゲージを引き抜き、ゲージに付着したオイルを拭き取り、元の位置に戻す
- 再度ゲージを引き抜き、オイル付着位置が上限(HIGHやFULL)と下限(LOW)のマークの間にあるかを確認する
もしオイル量が少なすぎる場合は、適切な種類のエンジンオイルを補充してください。また、オイルが黒く汚れている場合は、オイル交換を検討しましょう。
ブレーキ液には、運転者がブレーキペダルを踏んだときに、その力をブレーキに伝える重要な役割があります。
ブレーキ液の量が適切に保たれていないと、制動力が低下したり、ブレーキの効きが悪くなったりする可能性があるため、日常点検で減り具合をチェックすることが重要です。
ブレーキ液の量を確認するには、まずエンジンルーム内のブレーキ液リザーバータンクを見つけ、タンク側面に記してある上限(MAX)と下限(MIN)の目盛りを見つけてください。ブレーキ液の液面が、この範囲内に収まっていれば適切な量と言えます。
冷却水の主な役割は、エンジンを冷やして適切な温度を維持することです。冷却水が不足していると、エンジンのオーバーヒートを起こし、大きな故障につながる可能性があるため日常点検のチェック項目に入れておきましょう。
点検する際は、エンジンが完全に冷えていることを確認し、エンジンルーム内のラジエータリザーバータンクを見つけます。タンク側面に書かれた上限(FULL)と下限(LOW)の目盛りの間に、冷却水の液面があるかを目視で確認してください。
また、運転中に水温計に異常がある場合は冷却水不足や冷却系統に問題が生じている可能性があるため、早急に点検を行いましょう。
車のバッテリーの中にはバッテリー液が入っており、バッテリー内での化学反応によって放電・充電を行うための役割を担っています。そのため、バッテリーの液量が少なくなると、バッテリー上がりや劣化の原因となるため日常的に点検を行い、適量を保つことが大切です。
点検する際はエンジンルームを開け、バッテリーの液面が側面にある上限(UPPER LEVEL)と下限(LOWER LEVEL)の範囲内にあるかを確認してください。
バッテリー液は人体にとって有害なため、皮膚や衣服につかないよう注意しましょう。
ウインドウォッシャー液は、ワイパーのレバーを引くことで噴射される液体で、フロントガラスやリアガラスについた砂や汚れを除去する役割を果たしています。
エンジンルームを開けてウォッシャー液のタンクを見つけたら、タンクの外側から液面を確認し、十分な液量があるかどうかを目視しましょう。液量が少ない場合は、適切なウォッシャー液を補充してください。
車両周りの日常点検
車の日常点検では、タイヤやランプ類など、走行の安全性に直接影響を与える、車両周りの点検を行うことが重要です。
それでは、具体的にはどの部分をどのように点検すればいいのでしょうか。ここでは、車両周りの主要な点検項目とその方法について詳しく解説します。
タイヤに亀裂や損傷があると、走行中にかかる負荷により事故のリスクが高まってしまうため、定期的な点検で不具合を早期発見することが重要です。
点検の際は、まずタイヤ側面やトレッド面に亀裂や破損がないかを目視で確認しましょう。その際に異物が刺さっていないか、細部まで見ることが大切です。
また、タイヤのサイドウォールに変形や膨らみがないかも確認してください。
タイヤの溝は、走行距離が伸びていくと次第に磨耗していき、だんだんと浅くなってしまいます。
溝の深さは、路面とのグリップ力に直結しており、浅くなると雨天時などにスリップしやすくなるため、大変危険です。そのため、定期的なチェックを実施し、適切なタイミングでタイヤ交換をすることで安全性を維持しましょう。
点検の際は、タイヤのトレッド面にあるスリップサインを確認することが重要です。これは、タイヤの溝の中にある小さな突起で、タイヤがすり減っていない状態では溝の中に隠れて見えにくいのですが、タイヤの摩耗が進むとトレッド面の表面に出て見えやすく露出してきます。
タイヤの空気圧は、燃費やタイヤの寿命と関係があり、適切な空気圧が保たれていないとさまざまな不具合が生じるため注意が必要です。
例えば、空気圧が低すぎると燃費が悪化し、タイヤの摩耗が早まりますが、高すぎると路面との接地面積が小さくなりグリップ力が低下します。
点検には、タイヤの空気圧測定用のゲージを使用してください。また、ガソリンスタンドでスタッフにお願いすると、その場で空気圧を調べて調節してくれるため、気軽に利用してみてはいかがでしょうか。
車のランプ類は、夜間の視認性や路上の他者への合図など、安全運転に欠かせない役割を果たしています。
ランプ類を点検する場合は、ヘッドライトやブレーキランプ、ウインカー、ハザードランプなど、すべてのランプが正常に点灯・点滅するかを確認してください。
ミラーや壁などを利用しても確認しにくい場合は、誰か他の人に見てもらうのが良いでしょう。
運転席からの日常点検
運転席は車の異常を察知しやすい場所であるため、日常点検をする際には最適な場所であると言えます。走行に関する異常の多くは、運転席から確認できる場合が少なくありません。
ここでは、運転席から簡単にできる点検箇所について解説します。
エンジンがスムーズにかからない、エンジン始動時や走行時に異音がするなどの症状が感じられた場合は、高い確率で問題が発生しています。
これらは、バッテリーの劣化やエンジンの異常が原因である場合が多く、放置しているとさらに悪化する可能性があります。そのため、早めに整備工場などで本格的な点検を受けましょう。
ウォッシャー液が適切に噴射されているかどうかは、実際にワイパーのレバーを引いて確認することが可能です。
フロントガラスやリアガラスが汚れていなければ、しばらくウォッシャー液を使用していない場合もあります。いざ使いたいときにウインドウォッシャーが噴射しないという状況に陥らないために、運転前に正常な動作をするかどうか確認する習慣をつけましょう。
ワイパーのゴムが劣化すると、拭き取りがうまくいかず、運転中のストレスの原因になってしまいます。雨天時の視界が悪くなり、事故リスクも高まるため、定期的に状態を確認することが重要です。
ワイパーを作動させてみて、異音やワイパーアームの不調などがあれば、修理や交換などを検討してください。
ブレーキペダルの感触は、車の制動力を判断する重要なポイントであり、運転席からすぐに確認できる点検項目でもあります。
踏み込んだ感触が軽すぎる、または、重すぎる場合は修理が必要です。ブレーキは命に関わる部分であるため、少しでも異常を感じたら専門の業者に見せるよう心がけましょう。
駐車ブレーキも、通常のブレーキと同じく重要なポイントです。駐車ブレーキの効きが甘いと、駐車時に車が動き出し、重大な事故につながる可能性があるため、日頃から動作を確認する習慣をつけましょう。
駐車ブレーキを作動させた際に、普段と違う挙動や感触がある場合は、整備工場などで見てもらうことをおすすめします。
エンジンの回転数が不安定であったり、加速の鈍さが感じられたりする場合は、燃料系や点火系の機構に異常が生じている可能性があります。
エンジンの吹け上がりの悪さや、加速時のもたつきを感じる場合にも、何らかの故障が発生する予兆かもしれません。早めに整備工場に持ち込むのが良いでしょう。
カーリースであれば点検が含まれたプランを選べる
安全に車を利用するためには、日常点検や定期点検が欠かせません。しかし、エンジンルームを開けてさまざまな液量を確認したり、タイヤやブレーキの状態を確認したりするのは手間がかかるだけでなく、専門的な知識や技術を要する場合もあります。
そこで、点検付きのプランがあるカーリースを利用するというのも、ひとつの選択肢です。契約プランの中に定期点検やメンテナンスがセットになったカーリースは多く、ユーザーの手間や時間のロスを防いでくれます。
点検作業に負担を感じる方は、ぜひ点検付きプランのカーリースの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
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カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。