車には様々な種類のオイルが使用されており、それぞれに役割があります。そして、交換のタイミングも異なります。

その中でもエンジンオイルは交換頻度が高く、車検のタイミングのメンテナンスだけでは不十分です。しかし、エンジンオイルはボンネットを開けて作業する必要があり、「どうしたら良いか分からない」と面倒に感じてしまう方も多いでしょう。

この記事では、車に使われているオイルの種類や、メンテナンス時のエンジンオイルの規格・交換方法について紹介します。

車のメンテナンスでは各オイルのチェックと交換を行おう

車の状態を良く保つには、適正なメンテナンスが必要不可欠です。とくにオイル関係はメンテナンスの頻度が高いものもあり、怠ってしまうと思わぬトラブルを起こしてしまいます。

ここからは、車に使われているオイルの解説から、エンジンオイルの交換方法まで詳しく紹介します。

車に使われているオイルの種類

車に使われているオイルの種類
車のオイルと聞くと「エンジンオイル」を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、車にはエンジンオイルだけでなく、様々なオイルが使用されています。

愛車の適切なメンテナンスを行うには、オイルごとに異なる役割や交換目安を把握しておくことが重要です。

ここからは、車に使われているオイルの種類について紹介します。

エンジンオイル

エンジンオイルは、エンジンのパーツが擦れ合うとき、摩擦を軽減する役割があります。潤滑作用のほかにも、熱くなったエンジンを冷却したりエンジン内の汚れを取り除いたりと、エンジンの血液のような存在です。

古くなったエンジンオイルを使用していたり、オイル量が少なくなってしまったりすると、燃費が悪くなる影響のほかにも、エンジンが焼けついてしまう恐れもあります。

エンジンオイルの交換の目安は、3~6ヶ月か5,000km走行ごとです。使用状況によっても異なるので、期間か走行距離のどちらか早いタイミングで行いましょう。

ブレーキフルード

ブレーキフルード
ブレーキフルードは、その名の通りブレーキペダルを踏みこんだ力を伝達させる役割のあるメンテナンスオイルの一種です。「ブレーキオイル」と呼ばれることもあります。

ブレーキフルードの劣化の原因は、高い吸湿性をもつ性質です。空気中の水分を吸収しやすく、年月が経つにつれて劣化が進行してしまいます。

適切な交換時期を過ぎたまま使用していると、ブレーキの利きが悪くなり、ペダルタッチが悪化します。そのまま放置しているとブレーキが利かない「ベーパーロック現象」が起こりかねません。

新しいものに交換してから2年程度がメンテナンスの目安で、車検を受けるタイミングで交換を行う方が大半です。

クラッチフルード

クラッチフルードとは、油圧式のクラッチを使ったマニュアル車の場合に使われているオイルのことです。「クラッチオイル」とも呼ばれており、ギアチェンジをスムーズに行うための潤滑作用が役割です。

クラッチフルードは、ブレーキフルードと同様に吸湿性があり、空気中の水分を含むことで劣化してしまいます。

クラッチフルードが劣化すると、クラッチがつながりにくくなります。さらに状態が悪化すると、クラッチ操作ができなくなってしまい車を動かせません。

ブレーキフルードと同じように、車検のタイミングで定期的にメンテナンスを行うことをおすすめします。

ミッションオイル

ミッションオイルとは、エンジンの動きをタイヤに伝えるドライブトレーンのギアボックス(動力伝達系統)に使われているオイルです。潤滑作用が主な役割で、劣化することによって部品が摩擦を起こし、シフトチェンジがしにくくなってしまいます。

車の種類によってオイルにも違いがあり、それによって交換頻度も異なります。一般的なミッションオイルの交換目安は、5年または50,000km走行ごとです。

他のメンテナンスオイルに比べて長持ちするオイルですが、車検のタイミングで点検し、必要に応じて交換することが推奨されます。

パワーステアリングフルード

パワーステアリングフルードとは、油圧式のパワーステアリングを使用している車に使用されているオイルです。ステアリングホイールを動かしたときに、タイヤの向きを変える力を補助する役割があります。

ハンドリングに影響する重要なオイルで、劣化するとパワーステアリングが作動せずハンドルが重くなったり、パワーステアリングが故障したりします。

交換の目安は、2年か走行20,000kmごとです。しかし、運転環境もオイルの状態に影響するため、ステアリングに違和感を覚えたときや、極端にオイルが減少したときには目安時期を待たずに交換が必要です。

デフオイル

デフオイルは、車がカーブするとき、内側のタイヤと外側のタイヤの回転差を吸収するギアを潤滑する役割があります。デフオイルがあることによって、車がスムーズにカーブできます。

前輪駆動の車は、ギアがトランスミッションと一体になっている場合が多く、このようなケースではミッションオイルがデフオイルの役割を担う車も多い傾向です。

デフオイルが劣化するとハンドル操作をしてもうまく曲がれなかったり、ハンドルが振動したりします。

交換の目安は、基本的に2年または50,000km走行ごとです。ただし、カーブの多い場所を運転する機会が多いなど、走行環境によっても状態が異なります。

クーラント

クーラント
クーラントは、作動して高温になったエンジン内部を循環して熱を吸収し冷ますことが主な役割で、ほかにも冬場の凍結防止や防錆効果もある重要なパーツです。エンジンを通り高温になったクーラント液は、ラジエーターで再び冷やされエンジンを冷却しにいきます。

劣化したり減少したりすると、エンジンの熱を十分に下げられず、オーバーヒートを起こしてしまう可能性が高くなります。

交換の目安はおおよそ2年で、車検のタイミングで交換を行うことがおすすめです。補充だけであれば、クーラント液のタンクに目盛りがあり、セルフでも簡単に行えます。

オイル交換はどのくらいの頻度で行うべきですか?
オイル交換は、一般的に3,000~5,000km走行ごと、または3~6ヶ月ごとに行うのが目安です。しかし、使用環境や車種によっても異なるため、取扱説明書の記載を確認することが大切です。
エンジンオイルの状態の確認は、オイルレベルゲージを見ることでセルフでも簡単に行えます。基準値よりも少ない状態で走行を続けるのは危険であるため、自分で補充を行うか、業者に依頼しましょう。

エンジンオイルの役割

エンジンオイルの役割
エンジンオイルは、エンジン内部を循環する「エンジンの血液」ともいわれており、潤滑作用だけでなく大変重要な役割がいくつもあります。

エンジンオイルの役割を確認することで、車のメンテナンスに詳しくない方でも、エンジンオイルの重要性が理解できるでしょう。

ここからは、エンジンオイルの役割について詳しく紹介します。

潤滑

エンジンの中では、金属の部品が高速で動いています。エンジンオイルは、シャフトやピストンなど金属製のパーツをコーティングし、滑らかに動くようにすることが役割です。

もしエンジンオイルがないと、部品同士が直接擦れ合って摩擦を起こしてしまいます。油膜を張って摩耗を防ぐことで、エネルギーのロスが少なくなり、車の性能維持と燃費の向上にもつながるでしょう。

新しいエンジンオイルには粘り気がありますが、酸化が進むと粘度が下がり、潤滑作用が低下してしまいます。劣化したエンジンオイルを使用し続けることは、パーツの摩擦や、エンジンの焼きつきを招いてしまう危険性があるため注意が必要です。

清浄

エンジンを動かしていると、内部にガソリンが燃焼することによって発生する「スラッジ」という汚れが蓄積されます。汚れがそのままになっていると、エンジンにとって悪影響です。

エンジンオイルは、このスラッジを取り込み、エンジン内部を洗浄する役割もあります。エンジン内部の汚れを除去することで、車の性能維持に貢献していることがポイントです。

新しいエンジンオイルは透明度がありますが、エンジン内部の汚れを吸着することで透明度はなく黒くなります。劣化したエンジンオイルは洗浄効果も低下し、汚れを十分に取り切れなくなってしまうため定期的なお手入れが必要です。

密封

車を動かすためのエネルギーを生成する部品に、ピストンリングとシリンダーがあります。これらの部品の間には少しの隙間があり、作り出したガスが漏れるとエンジンの力が弱くなってしまいます。

この隙間に入り込み、密封することでエンジンの圧力をしっかりと保つことも、エンジンオイルの役割のひとつです。

長年乗り続けている車はパーツの摩耗が進行し、気密性が低下してしまいます。エンジンオイルがあることで、エンジン内部の気密性を保ち、エネルギーが外に逃げないよう効率的な生成を支えます。

劣化すると圧縮比のズレが生じ、適切にエネルギー生成ができなくなってしまうでしょう。

防錆

エンジンの部品は金属でできていますが、金属は水分に弱く、温度変化によって発生するエンジンの水分に反応して錆が発生してしまいます。

エンジンオイルは、パーツをコーティングすることでサビを防ぎ、劣化を抑える重要な役割を担っています。

とくに車の使用頻度が低く、普段あまり車を使わないといった場合には、サビが発生しやすいです。錆が生じてしまうと、重要なパーツを劣化させてしまい、メンテナンス費用が高額になってしまう恐れもあります。

エンジンオイルが古くなってくると、防錆効果も低下してしまうため、定期的にオイル交換を行うことが重要です。

冷却

エンジンが作動すると燃焼室の温度は3000度にまで達し、大変高温になってしまいます。そのままにしてしまうと、エンジンが焼きついたりオーバーヒートを起こしてしまったりする危険性が高くなってしまうため、冷却が必要です。

エンジンオイルには、エンジン内部の熱を吸収して外に逃がす「冷却」の作用もあります。走行中にエンジン内部を循環し、各パーツの熱を取ったあとオイルパンに蓄積されます。オイルパンで温度を下げ、再び熱を吸収する流れを繰り返しを行う仕組みです。

パーツの破損リスクを軽減するためにも、エンジンオイルの定期的なメンテナンスは重要といえるでしょう。

エンジンオイルの交換を怠ると、どんな問題が発生しますか?
エンジンオイルの交換を怠ると、本来もつ役割を果たせず燃費悪化や故障につながります。
エンジンオイルの交換は数千円程度で行えますが、オイル交換を怠ったことで他のパーツが故障してしまった場合の修理費用は何万円と高額になることが考えられるでしょう。メンテナンス費用を最小限に抑えるためにも、適切なタイミングでのオイル交換が重要です。

エンジンオイルには規格がある

エンジンオイルには規格がある
エンジンオイルには、品質や粘度によって規格が設けられています。

ホームセンターやカー用品店などには様々なエンジンオイルが販売されていますが、規格について知識を入れておくと、より自分の車に合ったエンジンオイルを選べるでしょう。

ここからは、日本国内で多く取り扱われているエンジンオイルの規格について紹介します。

API規格

API規格は、米国石油協会が定める規格で、試験をクリアしたエンジンオイルだけに付与されます。

ガソリンエンジン用には「S」、ディーゼルエンジン用は「C」から始まるアルファベットで表示されており、見分けが可能です。なお、ガソリンとディーゼルどちらにも対応している場合には、「S○/C○」と表示されています。

2020年に制定された「SP」は、過去に制定された「SN」に比べて燃費性能や洗浄性を強化した規定です。

ILSAC規格

欧州自動車工業協会による規格で、高性能エンジンに適したオイルを見分ける基準です。燃費向上や環境負荷の低減を重視した評価が追加されています。

ILSACの規格は「GF-○」と表記されており、○に入る数字が大きいほど性能が高い傾向です。

API規格とあわせて表記されることが多く、「GF-6」はAPI規格「SP」と同等のグレードであることを表しています。「GF-6」は、「GF-5」に比べて、エンジン保護性能や省燃費性能がより優れていることが特徴です。

JASO規格

JASO規格は公益社団法人自動車技術会が制定し、エンジンの種類に応じた詳細な規格が特徴です。ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン、2サイクル・4サイクルと細かく分類されています。

国産のクリーンディーゼルに使われるオイルの主流であり、規格は「DL」か「DH」から始まり、後ろに数字がつきます。2021年に制定された「DL-2」は、「DL-1」よりも性能が向上した規格であり、燃焼効率を重視したい方におすすめです。

オイル交換の際にフィルターも交換する必要がありますか?
オイル交換の2回に1回のペースでフィルターも交換しておくことが理想です。オイルフィルターには、エンジンオイルをろ過してスラッジや金属片などの汚れを取り除き、オイルの状態を保つ役割があります。
オイルを新しいものに交換しても、フィルターが劣化した状態では十分に効果を発揮できません。より良い状態を保つためにも、オイルフィルターも定期的に交換することをおすすめします。

メンテナンス時のエンジンオイルの交換方法

メンテナンス時のエンジンオイルの交換方法
エンジンオイルは、カー用品店で手軽に入手でき、交換作業も自分で行うことが可能です。

エンジンオイルの交換方法には、2つの種類があります。どのようにして行うのか、上抜きと下抜きの違いについて確認しておくことで、自分に合った方法で行えるでしょう。

ここからは、メンテナンス時のエンジンオイルの交換方法について紹介します。

上抜きの場合

オイルチェンジャーを使い、簡単に古いオイルを抜き取る方法です。

オイルタンクのフタ(オイルレベルゲージ)を引き抜き、そこにオイルチェンジャーのホースを差し込んで古いオイルを吸い出します。

車のジャッキアップを行わずに作業ができるため、セルフでオイル交換を行う場合は上抜きの方法で行うことが一般的です。必要な道具が少なく、低コストでオイル交換ができることがメリットです。

しかし、車種によってはオイルチェンジャーのホースが入らず、上抜きに対応していません。上抜きができない車種は、下抜きでオイル交換を行いましょう。

下抜きの場合

車をジャッキアップして、車体の底のあるドレンボルトからオイルを抜きます。どの車種でも対応している方法で、業者にオイル交換を依頼した場合は大半がこの作業方法で行われます。

古くなったエンジンオイルだけでなく細かい金属片も除去しやすいことが下抜きのメリットです。

セルフで下抜きをしようとした場合、ジャッキアップするための道具を買い揃える必要があり、コストや手間がかかってしまうことがデメリットです。

ジャッキアップは正しく行わないと事故につながってしまう恐れがあることから、不慣れな方は業者に依頼することをおすすめします。

カーリースのメンテナンスプランがおすすめ!

カーリースのメンテナンスプランがおすすめ!
車は購入したら終わりではなく、定期的にメンテナンスを行う必要があります。とくにオイル交換は車検のタイミングだけでは不十分であり、車の寿命を延ばすためにもこまめなメンテナンスが重要です。

メンテナンスには都度費用がかかってしまうため、車に関する出費が読みにくく不便に感じてしまう方も多いでしょう。そういった方には、カーリースのメンテナンスプランがおすすめです。

ここからは、カーリースのメンテナンスプランについて紹介します。

オイル交換にかかる費用も月額料金でまかなえる

カーリースのメンテナンスプランは、車本体の料金だけでなく、車検やオイル交換など車を所有していると発生するメンテナンス費用をはじめから月額料金に含めていることが特徴です。

思わぬ出費を防げて、毎月の生計を立てやすいことがメリットですが、車両本体価格だけで組まれたリースプランに比べると、毎月の支払料金は高額であることがデメリットだといえるでしょう。

適切なメンテナンスを受けながら、急な出費は抑えたい方におすすめのプランです。

まとめ

①車には様々なメンテナンスオイルが使用されており、種類によって交換時期が異なる
②エンジンオイルには潤滑作用だけでなく、洗浄や防錆など多くの役割がある
③エンジンオイルには規格があり、規格を基準にオイルを探すことで自分の車に合ったオイルが見極められる
④オイル交換には、セルフでも手軽にできる「上抜き」と、細かい金属片も除去しやすい「下抜き」の2種類の方法がある
⑤オイル交換はこまめに行う必要があり、都度の出費が気になる方にはカーリースのメンテナンスプランがおすすめ!

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グーネット定額乗りマガジン編集部
グーネット定額乗りマガジン編集部

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