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仕事の移動に便利な乗り物として、自家用車や営業車が挙げられますが、車のローンを検討する場合、職種や雇用条件によっては審査の通りやすさが異なるようです。特に個人事業主のような雇用されていない職種はローン審査が通りにくいとされています。
この記事では、個人事業主として働いている方に向けて、ローン審査が通りにくい理由や対処法、ローン以外の選択肢となるカーリースについて紹介していきます。
個人事業主は車のローンに通りにくい
個人事業主は法人を立ち上げずに継続的な事業所得を得ている職種です。会社をはじめとした雇用主に雇用されず働いているため、フリーランスや自営業者と同じ非雇用者に分類されます。
一般的に、個人事業主は車のローンが通りにくいとされており、主な理由は被雇用者とは違い定期的な収入が見込めないため、収入面での不安定さがあるとみなされるためでしょう。
また、事業を継続するために、住宅や医療ローン以外の借り入れがある点も指摘されています。
個人事業主が車のローンに通らない理由
個人事業主が車のローンを借りられない理由は複数あります。
審査に通るための対策を立てるためにも、ここからは審査に通らない理由を紹介します。
事業に関する何かしらの借入や融資を金融機関から受けている場合、車のローン審査に通りにくい可能性があります。
ローンに関する審査において、事業主は事業所得に対する借入金額の比率を確認されます。所得に対する借入金額の比率が高い、つまり借入や融資に対する返済比率が高ければ、車のローンを返済する負担が大きすぎるため、継続した返済は難しいのではないかとみなされるようです。
車のローンは車両価格の全額をカバーするため、高額になりがちです。貸し出した金額を全て回収するためにも、すでに借入がある場合は新たにローンを組むことは難しいかもしれません。
個人事業主は自分で案件を獲得して売り上げに転換しなければならない分、被雇用者と比べて収入が不安定になりがちです。そのような場合、車のローン審査は通りにくいかもしれません。
車のローン金額は高くなる傾向にあるため、月々の返済額も大きな金額になるでしょう。さらに、返済期間も長期にわたりやすいため安定的に収入があった方が返済しやすいでしょう。
金融機関や信販会社は安定した支払い能力を重視するため、収入が不安定であれば審査を通さない傾向があります。また、車のローン審査には収入額の基準が定められており、一般的には年収200万円以上を求められるようです。
ローン審査には返済能力や収入の他に、事業の継続年数が短いことで審査に通らないことがあります。
事業の継続期間が短ければ、売り上げが不安定な可能性が高く、また返済に充てられるほど十分な額を得られていない状況が多々あるでしょう。
被雇用者であっても、転職したばかりで勤続年数が1年に満たなければ、ローン審査に通りにくい傾向があるように、個人事業主も事業の継続年数が短ければローン審査に通りにくいと考えられます。
個人事業主が使える車のローン
ここからは、個人事業主が利用できる車のローンを3つ紹介します。
それぞれの特徴をおさえて、自分にとって最適なローンを選びましょう。
ディーラーローンは、ディーラーで新車や認定中古車を購入する際に利用できます。とはいっても、ディーラーが直接資金の貸し付けをするわけではなく、ディーラーと提携している信販会社に手続きを委託しています。
銀行などの金融機関系のローンと比べると審査が通りやすい傾向があり、車の購入と同時にローン手続きを進められるため、ローンに関する手続きが簡単です。
しかし、金利は4~5%に設定されていることが多く、金融機関系のローンと比較すると金利が高くなっています。また、返済期間は他ローンと比べると短期間に設定されているため、月々の返済額は高額になる可能性があります。
さらに、ローン完済までの車の所有者はディーラーに設定されます。そのため、返済期間中に事故を起こして廃車にしてしまうと、残価の一括返済を要求されるため、注意して運転しなければなりません。
銀行や信用金庫などの金融機関系もカーローン商品を取り扱っています。銀行で扱うカードローンは銀行ごとに貸し付け条件が異なるため、普段利用しているメインバンク以外の銀行も比較対象に含めて商品を選ぶことが重要です。
金利は1~2%と低く設定されていることが多く、月々の返済額を抑えたい人にとってはおすすめです。
一方で、ローン審査は厳しい傾向にあり、手続きも比較的長期間を要します。そのため、審査に不安がある人や、すぐに車が欲しい人にとってはあまりメリットを感じられないかもしれません。
購入資金や事業所得に余裕がある個人事業主にとっては、日ごろの付き合いや信用情報の積み重ねが活きてくるため、銀行系のカーローンはおすすめです。
販売店のローンとは、中古車販売店などが信販会社や金融機関を介さずに購入者と販売店で直接契約を結ぶローンの契約方法です。
審査から購入までを全て自社で完結させるため、手続きが簡単である点がメリットでしょう。また、金融機関のローンのように金融商品として取り扱われないため、基本的に金利がなく、月々の返済額が抑えられる点が魅力的です。
しかし、自社ローンだとしても事業所得を証明する書類や住宅を証明する書類など、販売店ごとに提出を求められる書類は異なります。必要な書類は何かを調べた上で活用を検討しましょう。
個人事業主はカーリースもおすすめ!
カーローンは種類も豊富ですが、金利や諸経費の支払いを考慮すると支払金額が気になるかもしれません。
車に関するお金が心配な方には購入ではなくリース契約を視野に入れてみると良いかもしれません。
ここからは、個人事業主におすすめのカーリースについて紹介します。
カーリースの魅力の一つに、リース料金は月額で固定料金になるため支払の見通しを立てやすい点が挙げられます。
リース料金には、車両価格や諸経費、税金や整備費用などが含まれているため、月々の支払いに関してガソリン代以外に発生する金額を考慮する必要はありません。
月々の支払金額も1万9800円や3万9800円と明確に設定されているため、支出管理がしやすいこともカーリースを利用するメリットでしょう。
また、契約時に頭金を支払う必要はありません。そのため、自己資金が少なくとも新車を調達できます。
お金をかけずに車を手に入れられる点は、ローンを活用した車の購入にはない利点です。
カーリースを活用して入手した車を事業用の社用車として利用する場合、リース費用は全額経費にできる点もメリットです。
もし、カーローンを活用して車を購入した場合、借り入れた元金は経費にできず、支払利息のみ経費計上できます。また、現金で一括支払いしたとしても、固定資産に計上して耐用年数を6年かけて減価償却しなければなりません。車を購入するため多額の資金を使ったとしても、全額を購入年の経費に計上できないことから、税金面でのメリットを感じられない点に注意しましょう。
一方で、カーリースが経費計上できる仕組みは契約者が車を「所有していない」ことに起因します。リース、つまり車を借りているため固定資産としてカウントされないのです。
リース金額を全額経費計上できれば、節税面での優遇を受けられる上に、経理処理も簡単に済むため活用するメリットがたくさんあります。
前述の通り、カーリースを活用した場合メンテナンス代を捻出する必要はありません。
メンテナンス代金は全てリース料金に含まれているため、メンテナンス時期のみ注意を払っておけば十分です。車検の時期に資金繰りを心配しながら、まとまったお金の準備が不要です。
また、自動車税の納付もリース会社に対応してもらえるうえ、車検の時期や自賠責保険の更新時期に関しても事前にリース会社からアナウンスしてもらえます。
事業運営に忙しい個人事業主だからこそ、車両管理を含めてサポートしてもらえるカーリースはおすすめです。
個人事業主がカーリースを使う注意点
ここからは、個人事業主がカーリースを使う際の注意点について紹介します。
個人事業主にとってカーリースはメリットがたくさんありますが、その分気を付けておくべきポイントもあるため、紹介するポイントは押さえておかなければなりません。
カーリースは契約上、走行距離を制限されることが多々あります。そのため、設けられている制限距離は事前に確認しておきましょう。
事業用の商用車として活用する場合、月々の制限距離を超えてしまう可能性があるかもしれません。制限距離を超過して運転した場合、リース期間満了時に追加料金が発生することがあります。
そのため、一か月あたり大体どれくらい車を運転しているかを確かめた上でリース契約をしましょう。
月々定額なのがカーリースのメリットであるにもかかわらず、条件によってメリットを最大限受け取れない可能性もあります。
リース業者を検討する際には、取り扱っている車種の数に注意しなければなりません。
リース業者によっては取り扱っている車種が少ない可能性もあるため、希望する車種をリースしてもらえない場合もあります。
車をリースするからといって、希望する車種に乗れないと商用車利用がメインだとしても車に乗る楽しみを体験できません。
もし、自分が気に入っている車種がある場合は事前に取扱いがあるか確かめておきましょう。希望車種の取り扱いがあることをわかった上で契約や打ち合わせに進みたいところです。
メンテナンスパックのオプションを活用することでメンテナンス代も月々の支払いに含められます。しかし、リース代金に対してメンテナンス代金はいくら含まれているのか、その金額でどこまでメンテナンスをしてもらえるのかは事前の確認が重要です。
基本的なメンテナンス料金には法定整備や車検代が含まれていますが、それらの金額以外にも車を維持するためには必要な出費がいくつもあります。
一方で、ブレーキパッドやエアコンフィルターのような消耗品の交換代金は塵も積もればある程度の金額まで積みあがります。それらの費用もリース料金に含まれていれば、ガソリン代以外の維持費用を気にしなくても良くなるため、メンテナンスに関する契約内容は必ず事前に確かめておきましょう。
法人向けのカーリースプランを利用する場合、法人名義の口座が必要になるケースが多くあります。そのため、可能であれば法人口座を用意して支払いましょう。
個人事業主であれば、法人口座を持っておらず、現在使っているプライベート用口座を支払いに使う可能性もありますが、法人口座を活用することで経費申請時に役立つメリットがあります。
また、法人向けのリース契約にはビジネスで車を使う際に便利なサービスが用意されていることもあります。個人のプライベート用の口座で支払っても問題はなく、経費計上もできるため、法人口座を持っていなければ無理に作成する必要はありません。
カーリースは原則として中途解約はできません。そのため契約時にはリース期間を慎重に選びましょう。
リース期間中に車が不要になったり、資金繰りが厳しくなった結果、車を手放したくなったとしても、事故で廃車にしてしまうなどのよほどの理由でなければ途中解約はできないため、注意が必要です。
たとえ、事故が原因による廃車によって途中解約したとしても、違約金が発生する可能性も少なくありません。そのような場合は、リース料金が割高になる可能性があるため、必要最低限のリース期間で契約を結ぶように心がけましょう。
個人事業主における車のローンは経費になる?
ここからは、ローンを活用して車を購入した場合にローン金額は経費として計上できるか否かについて紹介します。
ローンを活用して車を購入した場合は、現金で一括購入した場合より形状内容が少し違うので注意が必要です。
車をローンで購入した場合、借入金額に対する利息分のみ経費として計上できます。ローンの借入金額は賃借対照表において負債と分類されるため、借入金額は経費計上できません。
また、経費として計上するためには、購入した車を100%事業用で使用しなければならないといった制約が課されます。プライベートでも利用する場合は「家事按分」が必要なため注意しましょう。
借入金額自体は経費計上できないものの、車両価格は減価償却が必要です。カーローンを活用したとしても購入時点で車両費として計上し、耐用年数に応じて減価償却しましょう。
耐用年数は普通車の新車であれば6年間、軽自動車であれば2年です。また、中古車は耐用年数から経過年数を引いた額と経過年数に0.2をかけた額を足して計算します。
前述の通り、車両代は減価償却しなければなりません。ここでは減価償却とは何かについて紹介します。
購入した車は固定資産税としてカウントします。この費用を経費として計算させるために減価償却といった考え方が必要になります。
減価償却する場合、毎年同じ金額で減価償却していく「定額法」と1年目に多額を計上できる「定率法」の2種類があります。一見、定率法の方が経費計上できる金額も大きくなることからメリットを感じやすいですが、利用する場合は事前に申し出が必要な点は注意しておきましょう。
ローンの利息や車両代を全額経費計上するためには、車を事業専用車としなければなりません。もし、プライベートで利用することやパートナーが運転する可能性があるならば、使用する頻度によって経費で算出する割合を考えましょう。
このような方法を「家事按分」をいいます。家事按分をする場合は、客観的に比率の正しさを証明するために証拠を残しておくことをおすすめします。
まとめ
カーリースに関してのエキスパート集団です。カーリースに関する様々な疑問にお答えしていきます。